a16zが十分な支援を受けていない創業者に投資する2.4億円のファンド創設へ

Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ=a16z)は米国6月3日のブログ投稿で、過小評価され、十分な支援を受けていない創業者らに投資するファンドを立ち上げると発表した。

a16zが6カ月にわたり準備してきたTalent x Opportunity(TxO)ファンドは、同社のパートナーらからの220万ドル(約2億4000万円)の寄付でスタートする。TxOは初年度にシードステージのスタートアップ数社に投資し、将来的には規模を拡大する予定だ。

「当社は、人生でファストトラックにアクセスできなかったが大きな可能性を秘めている起業家を探している。プロダクトは非技術的なものでも技術的なものでも構わない。起業家は十分な支援を受けていないコミュニティ出身である必要がある(あらゆる出自を歓迎する)。理想的には、ニッチな市場を対象とする事業で、興味深いモデルを持っており、見込みと可能性を示す力が多少あることが望ましい」と同社は投稿した

a16zはTxOの目標について「まだ見出されていない人を対象としたアクセラレータのようなもので、目指す成果はVCの資金を獲得すること」だと述べ、起業家にネットワークとトレーニングプログラムを提供するという。同社はスタートアップの後続ラウンドに投資するかどうかについてはコメントしなかった。

a16zは全ファンドで120億ドル(約1兆3000億円)の運用資産を有しているため、220万ドル(約2億4000万円)のファンドは金額面では画期的ではない。ただし、TxOの投資方針は注目に値するものだ。

同社は寄付をベースとしたファンドから企業へ出資する。収益は将来の起業家に資金を提供するためファンドに残す。

TxOの立ち上げは、ミネアポリスの警察によるGeorge Floyd(ジョージ・フロイド)氏の殺害と、それに続く先週の全国的な抗議活動に対する警察の暴力に続く形となる。

抗議から数日経ち、ベンチャーキャピタルコミュニティからBlack Lives Matter(黒人の命も大切だ)運動への支援の動きが相次いだ(未訳記事)。ソフトバンクは、ポートフォリオ企業で最近人種差別に関わる論争(未訳記事)を抱えていたが、今週、有色人種の創業者に投資する1億ドル(約110億円)の「オポチュニティー・グロース・ファンド(未訳記事)を立ち上げた。

さまざまな起業家に日々投資している黒人の起業家や投資家は、他人からの反応の洪水に疑念を抱いている。ベンチャーキャピタル業界は不平等に直面しても変化が遅いからだ。

無数の黒人男性や女性が死んで始めてテクノロジー業界が多様性ある起業家への投資方法を変えるのでは遅いと多くの人が言う。新たな動きが増えているが、善意というよりは日和見的に見える。

ベンチャーキャピタル業界全体が、基本的に2つのことを行う必要がある。人を雇うこと、投資を通じて資金を供給することだ。

「難しいことではない。黒人の創業者に投資してほしい。すべての黒人創業者に投資する必要はない。自分の仮説や『基準』を維持したまま投資対象の黒人創業者を探すことは可能だ」。Backstage Capital(バックステージキャピタル)のArlan Hamilton(アーラン・ハミルトン)氏は米国6月2日、TechCrunchに対しそう書いた。「必要なら、私には130のポートフォリオ企業があるし、雇うべき黒人投資家の厳選リストをお見せできる」。

黒人の創業者が率いる企業をターゲットとするプレシード投資ファンドについてブレーンストーミングしている企業もある。計画段階のため早すぎるとして匿名を希望したある企業は、同社のファンドは歴史的黒人大学(HBCU)出身経営者の企業に注力すると述べた。

a16z自身は対象企業をどう探すのか明らかにしなかったが、ブログ記事で「過去6カ月間を、シリコンバレーでは見られないような隠れた天才創業者の探索に費やした」と語った。

ソーシング戦略は、多様性のある起業家に投資するというファンドの目標を達成するために不可欠だ。ベンチャーキャピタルのネットワークは主に男性と白人で構成されているため、特別なパイプラインが必要だ。HBCUからソーシングするのか。才能を見出すために黒人のためのテックカンファレンスに参加するのか。Cleo Capital、Backstage Capital、Precursor Ventures、Harlem Capitalなどの黒人が主導するファンドと共同投資するのか。

これらの質問への答えは、a16zが小切手に限らず創業者をどのようにサポートできるかを理解する上で不可欠だ。

TxOファンドは、a16zに5年間在籍したNaithan Jones(ネイサン・ジョーンズ)氏が主導する。ジョーンズ氏は、シードステージのスタートアップであるAgLocal(アグローカル)を経営していた。同氏は、同社に投資していたAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロヴィッツ)のパートナーであるBen Horowitz(ベン・ホロヴィッツ)氏に引き抜かれた。2017年のブログ投稿(Midium記事)でジョーンズ氏は会話の様子を詳しく語っている。

「ベンは、私がa16zポートフォリオ企業の1つで働くか、それともa16z自体で働くことに興味があるかを知りたがっていた。驚いた。彼らが電話で採用の打診をしてくるなんて思いもよらなかった。 私の会社が倒産に向かっている頃に、彼らは私のことを見聞きするようになった。a16zやそのネットワークで私のスキルと才能が役に立つと思ったようだ。彼らは私の本質を調べた。『黒人で、大学の学位がなく、アウトサイダー』であることには関心がなかった。彼らが見ていたのはネイサン・ジョーンズという私自身だった」。

a16zは以前、黒人起業家に資金を提供すべく金銭面で献身的な努力をしてきた。同社は2018年、Cultural Leadership Fund(CLF)を設立した。規模未公開のこのファンドは、WillとJada Smith、Chance the Rapper、Kevin Durant、Nasir Jones、Shellye Archambeauなどの限られた人数の著名なパートナーによって創設された。CLFは、アフリカ系アメリカ人のテック分野への進出支援を行う非営利団体に、年間のマネジメントフィーをすべて寄付している。

TxOファンドはCLFとは異なりLPにリターンを分配しない。リターンはすべてファンドに戻され再投資される。

画像クレジット:Malte Mueller / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

バーチャルイベントのスタートアップRun The Worldが約12億円を調達

カリフォルニア州マウンテンビューに拠点を置き、中国と台湾にも小さなチームを抱え、創業1年になるRun The Worldが、既存投資家であるAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ、a16z)と新規投資家であるFounders Fund(ファウンダーズファンド)からシリーズAで1080万ドル(約11億6000万円)を調達した。

両ファンドがRun The Worldに関心を持ったことを理解するのは簡単だ。同社のプラットフォームはパンデミックのこの時期だけでなくその後であっても、会議の主催者が必要とするすべての機能を備えている。多くの会社が、遠方からの参加者を呼ぶイベントをどう開催すべきか長期的な視野で考えている。ビデオ会議、チケット発行、双方向性、ネットワーキングについて検討しなければならない。

TechCrunchは数カ月前に同社について書いた。AndreessenのパートナーであるConnie Chan(コニー・チャン)氏がリードした430万ドル(約4億6000万ドル)のシードラウンドの時だ。Pear Ventures、GSR Ventures、Unanimous Capitalなどの多数のシードステージの投資家が参加した。「現在の状況を考えれば、Run The Worldはその後十分な支持を得たといえる」とFacebook(フェイスブック)とInstagram(インスタグラム)の両方でプロダクトをリードした共同創業者兼CEOのXiaoyin Qu(シャオイン・チュー)氏は述べた。

「2020年2月の立ち上げ以来、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響を受けたイベントについてはすべて、セットアップ料金を免除した。その後、毎日数百件のイベントリクエストが来ている」とチュー氏はいう。同社はコアチームの規模を2倍にして現在30人の従業員を抱えており、現時点で2000以上のイベントがさまざまな国で主催されている。

ウェブセミナーの開催にZoom(ズーム)を使っていた多くのイベントプランナーが、エンゲージメントとソーシャル機能を重視するためRun The Worldに乗り換えているとチュー氏は話す。例えばイベントの参加者はプラットフォーム上でInstagram Storyに似たビデオプロフィールを作成して、他の参加者に自分のことを知らせることができる。また「カクテルパーティー」を開催し、1回あたり数分間参加者同士を会わせ、参加者が後でフォローする相手を選べる機能もある。

ソーシャルネットワーキングに重点を置いているのは偶然ではない。チュー氏はフェイスブックで共同創業者のXuan Jiang(シュアン・ジアン)氏に会った。同氏はフェイスブックのイベント、広告、ストーリーのテクニカルリードを務めていた。

Run The Worldはチケット料金の25%を受け取り、イベントで使うテンプレート、支払い処理、ストリーミングなどのすべてを提供する。もちろんRun The Worldは、現在Zoomと非常に激しい競争を繰り広げている。創業9年目を迎えるZoomは2月以来ユーザーの利用者が急増しており、4月末現在、毎日3億人の会議参加者がこのサービスを利用している。

こうしたネットワーク効果に対抗するのはもちろん難しいが、Run The Worldだけがイベント主催者を取り込もうとしているわけではない。例えば今週初めに、起業家イベントを主催するStartup Grindの創業者が共同で創業したイベントソフトウェアビジネスのBevyは、AccelがリードしたシリーズBで1500万ドル(約16億1000万円)を調達したと発表した。同様に最近数カ月間投資家からの支持を集めている新興のオンラインイベントプラットフォームには、ロンドンを本拠とするHopin(最近のラウンドも興味深いことにAccelがリードした)やパリを本拠とするEventmakerがある。

それでも、新たな資金は役に立つはずだ。Run The Worldはこれまで「口コミを通じて完全にオーガニックに」成長してきたが、同社はチームの拡大を計画しており、多少はマーケティングに資金を使い始めると思われる。ソーシャルメディアに詳しい投資家がこの点をサポートする可能性は十分にある。

a16zとFounders Fundに加え、シリーズAの多くの投資家の中にはWill Smith(ウィル・スミス)氏のDreamers VCとKevin Hart(ケビン・ハート)氏のHartbeat Capitalの名前もある。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

デザインコラボプラットフォームのFigmaが約53億円調達、新型コロナ禍でも需要増

コラボワークやクラウド作業ができるデザインプラットフォームのFigma(フィグマ)は4月30日、5000万ドル(約53億円)のシリーズDのクローズを発表した。本ラウンドはAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)がリードし、パートナーのPeter Levine(ピーター・レヴィン)氏と共同創業パートナーのMarc Andreessen(マーク・アンドリーセン)氏がディールをまとめた。既存投資家のIndex、Greylock、KPCB、SequoiaそしてFounders Fundとともに、Durable CapitalのHenry Ellenbogen(ヘンリー・エレンボーゲン)氏を含む新たなエンジェル投資家も本ラウンドに参加した。

本ラウンドによりFigmaのバリュエーションは20億ドル(約2140億円)になったとForbesは報じている。Figmaの創業者でCEOのDylan Field(ディラン・フィールド)氏は、Andreessen HorowitzとFigmaの話し合いは実際には2019年2月にクローズした資金調達シリーズCの終わり頃から始まっていた、とTechCrunchに語った。

「できちゃった結婚みたいな感じがした」とフィールド氏は語り、それでも両社は互いをよく知ることにした、と説明した。両社は2019年に関係を構築し、シリーズDのクローズに至った。フィールド氏はまた、本ラウンドに参加した他の投資家には直接顔を合わせておらず、ディールの大半はZoom越しに行われたとも語った。

「シリコンバレーの将来を考えたとき、シリコンバレーの資本インフラ、そしてシリコンバレーにいなければアクセスできな人、という点で興味深い疑問がある。私は今回オンラインでのディールがいかにうまくいくかを目の当たりにした。より多くの投資家がシリコンバレーにいるかどうかを気にしなくなると思う」とフィールド氏は話した。

Figmaはステルスモードで6年近くかけて準備された後、2015年に創業された。デザインのGoogleドキュメントとなるような、コラボができてクラウドベースのデザインツールをつくる、というのが目的だった。

以来、Figmaは個人のデザイナーや中小企業、大企業の使い勝手が良くなるようなプラットフォームを築いてきた。例えば同社は2019年にプラグインを開発した。デザイナーが取り組んでいるレイヤーに新たに名前をつけたり整頓したりといったことが自動的にできるプラグイン(Rename.it)のようなものをデベロッパーが自分のツールで構築できるようにする。また自動的に見つけて後に置き換えるプレイスホルダー・テキストをユーザーが加えることもできる(Content Buddy)。

同社は、Communityという教育用プラットフォームも立ち上げた。このプラットフォームではデザイナーが自分の作品をシェアし、他のユーザーがそのデザインを「リミックス」したり、単にどんなふうに作られたのかをチェックしたりすることができる。

同社の広報担当はTechCrunchに対して、今回のディールは機会に恵まれたものであり、資金調達前でも資金は豊富だった、と述べた。新型コロナウイルスが猛威を振るう現在では、多くの企業が購入を控えたり将来が見込まれる企業の成長が緩やかになったりしており、新たな資金調達はこの不確実な時代にFigmaの取り組みを拡大させるものとなる。

Figmaはチームがクラウドでコラボするように作られているため、同社のデータは企業の購入活動を語るものになるとフィールド氏は説明した。

「販売面に目を向けると、大きな取引がどんどん進んでいる」と同氏は述べた。「Figmaは今すぐ役立つルールだ」。新型コロナウイルス蔓延の中で興味深い変化の1つは、Figmaでのコラボ作業でユーザー利用時間が飛躍的に伸びたことだ。また、企業がデザイナーチーム内だけでなく組織全体でコラボ作業を行うツールとしてFigmaを利用し始め、ホワイトボード作業、ノート取り、スライド作成、図表の作成などが増えた。

今回のラウンドにより、Figmaがこれまでに調達した資金は1億3290万ドル(約140億円)になった。同社はまだ黒字化できていないが、成長するためにアグレッシブに展開し、新規採用を行っても今回の資金調達で今後3、4年の事業費を賄える、とフィールド氏は述べた。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

注目が集まるオンラインイベントのプラットフォームを提供するRun The Wolrd

このところ毎日、イベントがキャンセルされたニュースを聞く。もちろん新型コロナウイルスに対する懸念が原因だ。Microsoftはゲーム開発者のカンファレンス、GDCへの参加を取り止めたと発表した。Facebookも5月に予定されていたF8 2020の開催をキャンセルした。

F8はFacebook最大のイベントであり、毎年大勢の参加者を集めてきただけにキャンセルの影響は極めて大きい。 Facebookはイベントのオフラインで行うものを中止したものの、他はオンラインでストリーミングする計画だ。

Facebookであれば、こうした大規模イベントのオンライン化は社内のテクノロジーを利用して行えるだろう。しかしそうしたリソースを社内にもたない場合、新しいオプションがある。社員18人、創立1年半になるRun The Worldは台湾と中国にもエンジニアのチームを持つマウンテンビューのスタートアップだ。

Run The Wolrdはオンラインイベントの組織、運営に必要な参加登録、チケット販売、ビデオカンファレンス、ソーシャルネットワークなどを含むプラットフォームを提供する。パンデミックに対する懸念からイベントのオンライン化を考えている主催者には理想的なサービスだ。

このスタートアップに対する最大の投資家はシリコンバレーを代表するベンチャーキャピタル、a16nとして知られるAndreessen Horowitzで、すでに430万ドル(約4億6500万円)のシード資金を投じている。株主にはGSR Ventures、Pear Ventures、122 West Ventures、Unanimous Capitalに加え、エンジェル投資家でFacebookグループのCalibraのバイスプレジデントであるKevin Weil(ケビン・ワイル)氏、Patreonの共同ファウンダー、Sam Yam(サム・ヤン)氏、Jetblue Airwaysの会長であるJoel Peterson(ジョエル・ピーターソン)氏らが参加している。

写真左のRun The Worldの共同ファウンダー、CEOのXiaoyin Qu(シャオイン・ク)氏はFacebookとInstagramでエンタテインメント関係のプロダクトのリーダーを務めた。ク氏によれば「エンタテインメント分野のインフルエンサーやクリエーターに関係あるすべて」を扱ったという。

ク氏はスタンフォード大学のMBAを中退して、写真右のXuan Jiang(スアン・チアン)氏とともにこのスタートアップを始めた。チアン氏はFacebookでク氏の元同僚でジョージア工科大学のコンピュータ科学の修士だ。Facebookではイベント、広告、ストーリーの上級エンジニアだった。

Andreessen Horowitzのジェネラル・パートナーのひとりででこの投資をまとめたConnie Chan(コニー・チャン)氏にク氏について教えられ、私はク氏に2月27日にインタビューすることができた。

ク氏によれば、このスタートアップを始めたきっかけは中国で医師、医療研究者として働く母親の体験だった。2018年に髄膜炎の専門家としてシカゴのカンファレンスに参加したとき、やはり髄膜炎を研究しているドバイの医師と知り合い、貴重な知見を交換することができた。

シリコンバレーの起業家やジャーナリストのようにいつも世界を飛び歩いている人間にはさほど特別な経験には思えないが、ク氏の母親にとっては大事件だった。中国からの出国手続き、アメリカのビザ取得の煩雑さはいうまでもなく、チケットの購入や宿泊にはひと財産が必要で、旅行時間も非常に長い。しかもこの旅は35年の医師生活で初めての海外出張だったという。

ク氏は「スタンフォードだったら毎日のようにカンファレンスが開かれているので、キャンパスを歩いていれば避けるのが難しいくらいだ」とジョークを言う。

多くのファウンダーと同様、ク氏も自分自身や身近な人々が現実に遭遇した「痛点」を解決するために創業した。ク氏の場合は、母親が中国にいながらリモートワークで参加し、髄膜炎の研究に役立つ情報を得られるオンラインで行われるカンファレンスのプラットフォームを作ろうとした。

このプラットフォームの提供は図らずも絶好のタイミングとなっている。現在、多くの人々が集まるイベントを計画している主催者はRun The Worldが提供するようなオンラインイベントへの切り替えを真剣に検討しているところだ。

ク氏のスタートアップが実際にサービスの提供を始めたのは4カ月前に過ぎないが、すでに数十回のイベントをホストしており、予定されているイベントは数百にも上る。ク氏によれば、ユーザーの1社は wuhan2020という武漢のオープンソースコミュニティーで、新型コロナウイルス対策に役立つソリューションを求めて3000人以上のデベロッパーがリモートワークによるハッカソンを実施している。

このプラットフォームはラオスにおけるゾウの保護に関するカンファレンスを実施し、2週間で15カ国から3万ドル(約324万円)の寄付を集めることができた。主催者は乏しい予算しかなかったが、まったくムダのない低予算でオンラインイベントを開催し、経済的に余裕ある人をはじめとした多くの人々から寄付をつのることができた。

Run The Worldはこうした小型、低予算のイベントを効率的にホストできるのも強みだ。たとえばエンジニア向けにデートのテクニックをコーチするというイベントではわずか40人を対象にしたワークショップを開催することができた。ク氏によれば主催者は1300ドル(約14万円)の収入を得ることができた。

このスタートアップのビジネスモデルはごく単純で、カンファレンスのチケット販売額の25%を得るのと引き換えにイベントの主催に必要なサービス一切を提供する。これにはカンファレンスの紹介、告知のテンプレートから参加登録、チケットの販売と支払い(Stripeを利用)、カンファレンスのストリーミング、専用のソーシャルネットワーク、イベント終了後のフォローアップなどが含まれる。さらに現実のカンファレンスにおけるカクテルパーティーをオンライン化した参加者同志をマッチングして数分間親しく会話できる機能も含まれる。

【略】

Run The Worldが規模を拡大すれば「(副作用を取り除くための)新しい方法を考えねばならないだろう」とク氏は言う。

FacebookとInstagramにおける経験が、プラットフォームの構造や成長を勢いをづけるビジネスモデルについての洞察を与えたことは間違いない。ともあれク氏は「200万人を集めるイベントを扱いたいとは思わない。むしろ50人が集まるイベントを200万回扱いたい」と述べた。

[原文へ]

滑川海彦@Facebook

オンラインゲームプラットフォームのRobloxがAndreessen Horowitzから165億円調達、評価額4400億円に

オンラインゲームのプラットフォームであるRoblox(ロブロックス)は、Z世代を中心に月あたり1億1500万人のプレイヤーが集う場だが、米国時間2月26日にAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)のLate Stage Ventureファンド率いる1億5000万ドル(約165億円)のシリーズG投資を獲得したことを発表した。同社はまた、最大3億5000万ドル(約385億円)の普通株と優先株の株式公開買い付けを開始すると話している。

同社は以前、長期的な可能性を信じて、株主と従業員に定期的な売り出しを行い流動性を提供した。またCFOのMichael Guthrie(マイケル・ガスリー)氏によれば、Robloxのキャッシュフローはポジティブだとのこと。

このシリーズG投資には、新規の投資会社としてテマセクとテンセント・ホールディングスのほか、これまでの投資会社Altos Ventures、Meritech Capital、Tiger Global Managementが参加している。

今回の投資は、このゲーミングプラットフォームの急成長期と重なることとなった。2019年には、訪問者数がMinecraft(マインクラフト)を超えて1億人となった。200万アクティブユーザーを擁する開発者コミュニティーは、1億1000万ドル(約120億円)の収益を上げた。2018年の収益は7000万ドル(約77億円)強、2017年は4000万ドル(約44億円)強だった。

以来、Robloxは開発者事業への投資をさらに増やし、よりリアルな3D体験が得られる新しいツールとマーケットプレイスを立ち上げた。そこでは、クリエイターは自分が開発したアセットやツールなどを他人に売ることができる。

Robloxは、App Storeに似た、それを利用してゲームが構築できるプラットフォームを提供している。人気の高いゲームは多くが無料だが、ゲーム内アイテムをRobuxとう仮想キャッシュでプレイヤーに買ってもらうことで利益を得ることができる。最大クラスのゲームとなると、月平均のプレイヤー数が1000万人に上るものもある。訪問者数が10億人を超えるゲームは10本以上を数える。

Robloxのプレイヤーは、単にゲームのゴールやタスクのコンプリートを目指しているだけではない。ゲーム環境の中で、友だちとオンラインでつながり遊んでいるのだ。週間のアクティブユーザーの半数は、友だちと遊ぶためにRobloxを訪れている。さらに、Robloxユーザーの半数は毎月自分のアバターを変更している。

この数カ月間、Robloxはそのプラットフォームを米国外に広げてきた。中でも注目すべきは中国だ。昨年、Robloxはテンセントとの戦略的提携を行い、プラットフォームとコーディングカリキュラムを中国で展開することを決めた。中国語に対応するばかりか、コーダーキャンプも開催する。現在Robloxには、200を超える国々のプレイヤーと開発者がいると同社は話している。

去年の時点でRobloxの評価額は25億ドル(約2750億円)あり、コムスコアによると、そのプラットフォームでは9歳から12歳の米国の子どもたちのおよそ半数が遊んでいたという。今もその数値は維持されている。しかもそのユーザーベースは、13歳以上が40%と若年層に傾いている。

ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、現在のRobloxの評価額は40億ドル(約4400億円)となっている。同社はコメントを控えているが、TechCrunchはそれが本当であると強く信じている。

Robloxによると、現在のユーザーベースは1カ月に延べ15億時間をそのサービス上で費やしているという。プラットフォーム間で行き来が可能なため、パソコンからスマートフォンへ移動してプレイを続けるユーザーも多い。これはオンラインゲームの新しいトレンドだ。フォートナイトやPUBGといったゲームが人気を集めている一因でもある。

「私たちは、Robloxの長期ビジョンを強く信じており、次なる変曲点に突入する彼らを支援することに自信を持っています」と、Andreessen Horowitzの無限責任パートナーを務めるDavid George(デイビッド・ジョージ)氏は、今回の投資に関連して話していた。「Robloxは、強力なトラクションと、会社を前進させ、長年にわたり業界を押し上げる、有機的で成長率の高いビジネスモデルを併せ持った、非常に珍しいプラットフォーム企業のひとつです」と彼は言い添えた。

Robloxは、新しく調達した資金を使って海外進出を含めた成長を継続させ、さらなる開発用ツールとエコシステムを構築し、エンジニアリングの人材とインフラに投資する計画を立てている。

「私たちは、人々が集まり、創造し、学び、楽しむための安全な公共の場を作り上げるというビジョンに忠実に従っていきます。これまで世界のクリエイターコミュニティーとともに築いてきたものを振り返ると、まさに感無量です」とRobloxの共同創設者でCEOのDavid Baszucki(デイビッド・バスズキー)氏は声明の中で述べている。「将来に向かっては、私たちは、クリエイターとプレイヤーを未来のメタバースへと導く最先端のツールとテクノロジーの構築に、今まで以上にしっかりと関与してまいります」。

[原文へ]

(翻訳:金井哲夫)

AIによる分散システム「Ray」を開発するAnyscaleが22億円超を調達

オープンソースは今や現代のソフトウェアの重要な要素だ。米国時間12月1日、新たなスタートアップがステルスを脱してオープンソースの新しい分野を商機にしようとしている。人工知能や複雑な科学計算など大規模なコンピューティングのプロジェクトで近年多く利用されている、分散アプリケーション環境の構築と管理という分野だ。

カリフォルニア大学バークレー校で分散プログラミングのフレームワークProject Rayを作ったRobert Nishihara(ロバート・ニシハラ)氏とPhilipp Moritz(フィリップ・モリッツ)氏、Ion Stoica(イオン、ストイカ)氏、そして教授のMichael I. Jordan(マイケル・I・ジョーダン)氏らのチームが今回創業したAnyscaleは、このほどAndreessen HorowitzがリードするシリーズAのラウンドで2060万ドル(約22億5500万円)を調達した。これには、NEA、Intel Capital、Ant Financial、Amplify Partners、11.2 Capital、そしてThe House Fundが参加した。

同社はこの資金を使って、初めての商用製品を作るつもりだ。その詳細はまだ明かされないが、一般化した言い方としては、コンピューティングのプロジェクトを1台のラップトップからマシンのクラスターへと容易にスケールアウトできる仕組み、そしてプロジェクトを管理するための一連のライブラリやアプリケーションが含まれるようだ。ローンチは来年を予定している。

ストイカ氏はインタビューで「現状ではRayをアプリケーション構築のスタンダードにすることに注力している。Rayのためのツールやランタイムプラットホームを作ることになるだろう。つまり、Anyscaleのその新しいプロダクトを利用すれば、Rayのアプリケーションを安全にハイパフォーマンスで動かせるというわけだ」と語る。

今回の投資の一部は、企業の戦略的投資でもある。たとえばIntel(インテル)は、AmazonやMicrosoft、Ant Financialなどと並んで自社のコンピューティングプロジェクトのためにRayを使ってきた大企業のひとつだ。

インテルのIT部門のエンタープライズ&プラットフォームグループでCTOを務めるMoty Fania(モティ・ファニア)氏は声明で「IntelのIT部門はRayを利用してPythonのワークロードをコードをほとんど書き換えずに大規模化している。Intelの生産と検査の工程に実装してわかったのは、個人化されたチップテストを作るために使うハイパーパラメータ選択のテクニックとオートモデリングの工程でRayがスピードとスケールを増大してくれることだ。それによって、コストを下げ、工程の容量と質を上げることができた」とコメントしている。

Rayのユーザーリストにはそうそうたる企業が名を連ねているが、でもAnyscaleの目的は何だろうか?ストイカ氏とニシハラ氏の説明では、Rayを実装するためのもっとシンプルで容易な方法を作ることが目的だ。それによってRayを、Amazonのような世界的企業でなく、もっと技術力の弱いほどほどの企業でも使えるようにしたい。

「エキスパートのエンジニアがいない企業では、それがとても重要なことだ」とストイカ氏は語る。Anyscaleが解決する問題は、未来の大規模で複雑なコンピューティングには必ずつきまとう。コンピューティングによる解を求める問題が目白押しで並んでいるが、その中には1台の大型計算機では扱えないものがある。たとえばAnyscaleが挙げるIDCの推計によると、2025年に生成され処理されるデータ量は175ZB(ゼタバイト、1ZB=1兆TB)に達する。

これだけのスケールでも、未来の量子コンピューターには平気かもしれないが、現在の現実的なオプションとしては、分散コンピューティングが妥当なソリューションだ。Rayは分散コンピューティング環境を実装するために用いるスタンダードとして考案されたが、でもそれ自身が技術的に相当高度で、使いこなせる人は限られている。

ニシハラ氏はこ「あなたが生物学者でも、シンプルなプログラムを書いて大きなスケールでそれを動かすことはできるだろう。でもそれがうまくいくためには、生物学の専門知識だけでなく、コンピューティングの専門知識も要る。そしてそれが、越えがたい高い障壁になる」と説明する。

AnyscaleやRayを作った人々は、過去にこれら以外にも優れた業績があり、今の大規模分散コンピューティングの問題解決にとって彼らは適任だ。例えばストイカ氏はDatabricksやConvivaの共同創業者であり、Apache Sparkの最初のデベロッパーの一人でもある。

Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)の共同創業者Ben Horowitz(ベン・ホロウィッツ)氏はインタビューで、「IonでDatabricksを扱い、それで縁ができた」と語る。Ionはバークレー校で生まれるプロジェクトに頻繁に投資していた。そしてRayとAnyscaleは、現在のコンピューティングのニーズによく応えていると感じた。「Rayはオープンソースである点が非常に魅力的だったが、それが解決しようとしている問題が重要だった」と彼は述べている。

「ムーアの法則は終わったとみんな嘆いているが、重要なのは人工知能のアプリケーションにとってはそんなの関係ないという点だ。必要とするコンピューティングパワーがますます増大しているから、今や一つのマシンの性能を云々する時代ではない。みんなが分散コンピューティングをマスターしなければならないが、でも今それが得意なのはGoogleぐらいで、ほかのみんなにとって分散コンピューティングは難しい。我々は、この問題の解を求めていたのだ」。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a.hiwa

名門VC・a16zが暗号通貨スタートアップのための無料スクールを開校

先月、Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ、a16z)のジェネラルパートナーであるChris Dixon(クリス・ディクソン)氏がTechCrunch Disruptで、ベンチャーキャピタル企業である同社が暗号通貨を扱うスタートアップを育てる無料のスクールを開くと発表した。そして米国時間11月8日に同社は、そのスクールを公式に立ち上げた。すでに願書を受け付けており、受付期間は4週間だ。

この事業でa16zは、暗号通貨を大衆的に普及させたいと願っている。ディクソン氏とa16zのチームは暗号通貨とブロックチェーンに7年間関わっており、これからはその間に学んだことを起業家たちと共有したいと考えている。

これによって暗号通貨のコミュニティが育ち、今後のa16zの投資機会も創出されるだろう。ただしa16zは「暗号通貨のスタートアップスクールに参加したことはa16zからの投資を受けることを意味しない」と言っている。暗号通貨スタートアップへの投資に関してはa16zは思慮深い投資家であり、暗号通貨スタートアップスクールに参加した者だけを対象とせず、暗号通貨のコミュニティ全体が対象だ、と言っている。

そのa16zのCrypto Startup Schoolは7週間の課程を2020年2月21に開始する。授業料は無料であり、a16zは何ら所有権を有しない。

授業はメンローパークで行われるので、シリコンバレー周辺に住んでいない人はおよそ2カ月あまり下宿する必要があるだろう。「それでは大変すぎる」という人たちのためにa16zはすべての授業を録画する。そして誰もがそのビデオを見たり、スクールのカリキュラムや教材をダウンロードできる。

以下がコースの概要だ。

  • 暗号通貨のネットワーク(クリプトネットワーク)とは何か、なぜそれが重要なのか?
  • ブロックチェーンコンピューティングの基礎: 暗号技術とコンセンサス
  • アプリケーション開発ツールの概要
  • アプリケーションの現状と2025年
  • 暗号通貨のビジネスモデル
  • 暗号通貨の経済学
  • ユーザー体験、製品開発、セキュリティ
  • マーケティングとデベロッパーリレーション
  • コミュニティと参加と統治
  • 規制の現況と配慮
  • 資金調達ガイド

ご覧のようにこれらは、暗号通貨にフォーカスした授業と、資金調達やマーケティングなど一般的なスタートアップ入門のミックスだ。スクールが対象とするのは20から25ぐらいのチームで、40名前後の参加者総数を想定している。ソフトウェア開発の経験者であることが条件だが、暗号通貨のエキスパートである必要はない。授業内容は一週間に12〜15時間の講義とワークショップ、個人指導、そしてネットワーキングの実技だ。

最後に参加者は、プロジェクトのアイデアやプロトタイプのデモをを披露しなければならない。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

米名門VCの共同創業者・ベン・ホロウィッツがWeWorkやUber、企業文化について語る

シリコンバレーを代表するベンチャーキャピタル、Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)の共同創業者である ベン・ホロウィッツ氏の新しい本が来週に出る。同氏は著書「What You Do is Who You Are」(やってきたことがその人自身)で企業文化とその作り方について語っている。

言い古された言葉だが、その意味を捉え常に実行するとなると非常に難しい。ホロウィッツ氏はこのことをCEOとして直接体験してきた。同氏は前著「HARD THINGS 答えがない難問と困難にきみはどう立ち向かうか」に欠けていたのが企業文化に関する分析だったことに気づき、フォローアップを書くことにしたという。自身の経験に加えて他の経営者や組織のリーダーの行動、体験を詳しく観察して取り入れている。ハイチ独立の父で史上初めて黒人による共和国を作ったトゥーサン・ルベルチュールからモンゴル帝国の基礎を築いたチンギス・ハーン、殺人罪で有罪となり20年近く服役した後、著作家、大学講師となり人間の更生の可能性を説くシャカ・センゴアまで幅広く取り上げている。

これらの人々のストーリーは大いに参考になるし、歴史ファンなら特にそうだろう。我々は先日のTechCrunch取材のDisrupt SFイベントにホロウィッツを招き、本書について話を聞くことができた。またこれに関連して最も注目され、社会的にも大きな影響を与えているスタートアップであるUberとWeWorkについても尋ねた。

以下の抜粋は簡明化のために若干編集してある。

TC:あなたの企業文化に関する本が出たとき、ちょうどWeWorkの企業文化について多くの疑問が質問が出された。いったいどういうことが起きたのだろう?

BH:(WeWorkの共同創業者である)アダム・ニューマン氏には、確かにある種の文化があった。同時に彼の人格には大きな穴が空いていた。能力も桁外れだったが欠陥も桁外れだった。こういうことは時折起きる。ある部分で非常に優れていると、自分は必要なものがすべて手に入る人間だと錯覚しやすい。ところが実際は別の部分で非常に無能なのだ。

アダムは驚くべき才能がある。あれだけの巨額を資金を集める力があったことを考えてみるといい。未来に対する素晴らしいビジョンを持っていた。人々がそれを信じたからこそ資金も優秀な人材も集まった。しかしそこまでオプティミスティックな場合、周囲に本当のことを言ってくれる人間、悪いニュースであっても告げてくれる人間を置く企業文化が必須となる。たとえば資金が流出して手がつけられないなどだ。

TC:Uberの創業者で元CEOのトラビス・カラニック氏についても企業文化が非難されていた。これに対してWeWorkのアダム・ニューマン氏は非常にオープンは会社運営をしていた。彼がどういう人間であるかは誰もが知っていたと思うが。

BH:実のところ、トラビスがどのように会社を運営していたかは誰もが知っていた。シリコンバレーでは誰もが知っていたし、もちろん取締役会のメンバーはなおさらだ。企業文化は公開されていた。この記事を読むといいが、当時のUberの企業文化が詳しく説明されている。

トラビスは非常に説得力ある企業文化を創造し、その価値を確信していたし、文章を公開していた。しかし見逃しているものがあり、その結果は誰もが知るとおり(の失脚)だった。つまりトラビスの欠点に対する世間の圧力が耐え難くなってきたと取締役会が判断したわけだ。

TC:こうした例から得られる教訓は?

BH:我々はLyftに(6000万ドルを)投資しているので当然ライバルのUberについてもよく知っている。あれは非常に微妙な問題だった。いってみればトラビスは非常にすぐれたアプリだったが隠れたバグがあった。

トラビスが(社員の)悪い行動を奨励したように報じられがちだ。そんなことは決してなかったと私は見ている。彼に問題があっとすれば、倫理性、合法性は競争に勝つことより決定的に重要だということを周知させることに失敗した点だ。その結果、とにかくUberのような会社では機能は広く分散するので、その一部では人々が暴走することになったのだと思う。

しかもトラビスのおかげで関係者はみな大金を稼いだ。Uberはとてつもない急成長を続けていたから、私のみるところ取締役会も「これだけ儲かっているなら多少のことをとやかく言うまい」という気持ちになっていたのだろう。

最後に誰も責任を取らなかったのは不公平というしかない。 トラビスに落ち度はあった。しかし彼を責めるなら、見て見ぬふりをした人間にも責任はある。ごく控え目に言ってもそうだと私は思う。

いかにして企業文化を確立すべきかという本を私が書いた理由は、スタートアップを立ち上げたCEOにしてみたら、企業文化なんて小さい問題だと思えるかもしれない。しかしやがて大問題に発展するのだ。倫理問題というのはセキュリティ問題に似たところがある。あまりにも本質的な問題なので実際に問題が起きるまでは問題だと気づかない。

TC:なぜこの問題に興味を持つようになったのか?

BH:いくつかあるが、第一にこれが CEOとして体験した中で最も困難で解決にいちばん時間がかかる問題だったからだ。 なるほど誰もがこれは重要だと助言してくれた。「ベン、企業文化に注意しろよ。これがカギになるぞ」というので「オーケー、じゃどうしたらいい?」と尋ねると「ああ、そうだな、会議で検討したらいいんじゃないか?」といった話になって要領を得ない。誰も問題の本質はどこにあり、具体的に何をすればいいか教えてくれない。それなら、ここに私の知識の穴があるのだろうと考えるようになった。

もう1つ、今何をしていようと文化を作ること以上に重要なことはない。 社員たちに常々言っているのだが、10年後、20年後、30年後に振り返ったときに個々の取引で勝ったとか負けたとか、どれだけ儲けたとか覚えている人はいない。覚えているのは、ここで働いていたときの気分、我々とビジネスをしたときの気持ちや印象、我々が周囲に与えた影響だ。つまりそれが企業文化であり、誰もここから逃げることはできない。これはどんな企業にも当てはまることだと思う。

加えて、シリコンバレーの企業は非常に急速に成長し強力になってきたのでこの文化について厳しい批判が出ている。一部はもっともだ。しかし解決策の提案となると、はっきり言って奇妙なものが多い。そこで単に批判や非難をするのではなく、具体的どうすればいいのかまとめてみる必要があると感じるようになった。

TC:先ほどUberの話が出たが、こうした急成長企業の多くは高度に分散的な環境であることが多い。本書ではこうしたリモートワークの場合ついてあまり触れられていないように感じる。広く分散した職場で働く社員についてはどのように考えているだろうか?

BH:確かにこの本ではリモートワークについては触れていないが、もちろん非常に重要な分野だ。ただその環境を支えるテクノロジーが急激に発達しており、リモートワークは進化中だ。以前はコミュニケーションその他のシステムが不十分だったためにエンジニアリングを中心とする組織がリモートワークで機能を発揮するのはほぼ不可能だった。だからMicrosoft(マイクロソフト)は(本社が所在する)レドモンドに移転できるスタートアップだけを買収していた。

しかし最近はSlackやTandemなどがのサービスが普及し、環境は大きく改善されている。企業文化を作ることもこうしたツールの発達によってリモート化可能だろう。ただ、ミーティングで顔を合わせたり廊下でつかまえたりした社員に直接に企業文化を普及させるのに比べて、電子メディアを通じて文化の伝達を図るのはかなり難しいだろう。

実際、最近もメールでいろいろやったし、電子的ツールにはもちろん文化的価値がある。私は起業家をあれこれ批判したくはない。そのアイディアがばかばかしく見えようと問題ではない。起業家はゼロから何かを作ろうとしている。夢に賭けているわけだ。だから我々は彼らをサポートする。以上だ。

(Benchmarkの著名ベンチャーキャピタリストである)ビル・ガーリー氏ばりにTwitterに「あんなクソ会社、1ドルだって儲けていないじゃないか」などと書き込むと誰もが読むことになり会社をクビになるだろう。我々のポッドキャストにはニュース部門があるが「WeWorkの失敗の教訓」といった安易な話はしたくない。そんなことは他の連中がやればいい。企業文化的の問題で教訓などを書きたい人間はいくらでもいる。

つまりリモートで企業文化を構築しようとすることは可能だが、慎重にやる必要がある。また誰がそれを読むのか考えなければならない。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

PayPalがFacebook率いるLibra Associationから撤退する最初の企業に

【抄訳】
PayPalは、Facebookがこの前発表した暗号通貨Libraとその関連団体から公式に脱退する最初の企業になった。

PayPalは次のように声明している。「PayPalは今回、Libra Associationへの今後の参加を見合わせ、誰にでもアクセスできる金融サービスの実現という弊社のこれまでのミッションの前進に引き続きフォーカスすることを決定した。Libraが志望しているものに対しては今後も支持を続け、協力のあり方について対話を維持したい。FacebookはPayPalにとって長年の貴重な戦略的パートナーであり、今後もいろいろな面でFacebookとパートナーしサポートを続けるであろう」。

PayPalのような高名なパートナー候補がこの取り組みから、まだ離陸すらしていない時点で撤退したことは、FacebookとLibra Association(Libra連合)にとって大きな打撃だ。それでなくてもLibraは、最初は協力的だった一部大企業の変心に苦しみ、規制当局などからの否定的な反応(反トラスト問題など)に足を引っ張られていた。このままでは、立ち上げとその後の成長も、思わしくないかもしれない。

これに対してLibra Associationは、PayPalへの対応として、口調は控えめだが厳しい声明を発表した。Facebookは本誌からの質問をこのグループに渡し、直接にコメントすることを控えたようだ。

すなわち、Facebookのスポークスパーソンは「Libraのような意欲的な事業は、ある種の大胆さと気丈さを必要とする。それは正しくより良いやり方で金融サービスへの平等なアクセスを目指す、現世代にとっての重要な機会であり、その旅路は厳しく困難なものになるであろう。金融のシステムを金融機関のものから人びとのものへ変えようとするこの変革努力は、きわめて困難な道のりであり、何よりも必要なのはそのミッションへの献身である。われわれは、この献身の欠如について、あとからではなく今知りたいと願っている」とコメントしている。

【中略】

今週初めのウォール・ストリート・ジャーナルの記事は「MastercardやVisaなどの企業がPayPalに倣ってLibraプロジェクトから撤退するかもしれない」と報じている。これに関しVisaのCEOであるAl Kelly(アル・ケリー)氏は公式声明で「規制やそのほかの問題が阻害要因にならないかぎり立ち位置は従来と変わらない」と語った。

【後略】

関連記事:議会証言でFacebookのデジタル通貨の欠陥が明らかに(未訳)

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ニュースレター有料購読サービスの「Substack」が16.5億円を調達

ベンチャーキャピタルのAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)は、ニュースレターには今も大きな勝機があると考えているようだ。同社はSubstackのシリーズAを主導し、1530万ドル(約16億5000万円)を調達した。

Substackは2年前にニュースレターを有料購読ビジネスにする企業として設立され、その後ポッドキャストとディスカッションスレッドにも対応した。CEOのChris Best(クリス・ベスト)氏が語るように、ライターやクリエイターが自分自身の「パーソナルメディアの帝国」を運営することを目指している。

Substackを利用しているライターには、Nicole Cliffe(ニコール・クリフ)氏Daniel Ortberg(ダニエル・オートバーグ)氏Judd Legum(ジャド・レガム)氏Heather Havrilesky(ヘザー・ハバイルズキー)氏Matt Taibbi(マット・タイービ)氏などがいる。同社のプラットフォームで発行されているニュースレターには5万人の有料購読者がいて(10月には2万5000人だった)、最も人気のある書き手はすでに相当な金額を稼いでいるという。

自身がブロガーでありニュースレターのライターでもあるAndreessen HorowitzのAndrew Chen(アンドリュー・チェン)氏は、Substackの取締役を務めている。チェン氏の考えによれば、Substackは古いものと新しいものを組み合わせていて、ライターは以前から存在する「熱心なオンラインコミュニティ」にリーチしつつ、読者から直接お金を集めることのできる「マイクロアントレプレナーシップを実現する新しい方法」を追求できるという。「この2つが両立すれば特別なことになる」とチェン氏は言う。

Substackがかつて参加したY Combinatorも資金調達に加わった。

Substackのメンバーは、共同設立者であるベスト氏、CTOのJairaj Sethi(ジャラジ・セティ)氏、COOのHamish McKenzie(ヘイミッシュ・マッケンジー)氏の3人で、ベスト氏の家のリビングで仕事をしているという(その3人が上の写真だ)。新たに資金を調達したが、ベスト氏とマッケンジー氏は慎重に成長していきたいと語る。

マッケンジー氏は「我々は信頼性と安定性のあるSubstackから収入を得るライターのことを考えている。そこを逸脱して多くのスタートアップが陥りがちな誤りをすることのないようにしたい」と言う。

とはいえ、同社はリビングを出てチームを大きくする予定だ。ベスト氏は、クリエイターが同社のプラットフォームを最大限に活用し、ビデオなどほかのフォーマットにも展開できる「ライターの成功」ツールをさらに構築する計画であると語った。

マッケンジー氏は、Substackが成長しても「読者との関係を自分で所有したい人々」のためのサブスクリプション製品に取り組み続けていくと言う。ベスト氏は、こうしたアプローチによって「くだらない暴言、注目、中毒性」を狙ってオンラインニュースを発行する意欲が削がれると述べている。「これは文化を創造するのに適したモデルだ」とも付け加えた。

ニュースレターのブームが飽和するかどうかはともかくとして、新しいニュースレターが読者を獲得するのは難しい。ほとんどの読者にとって購読するニュースレターの数にはおそらく限りがあると、Best氏は認める。しかし同氏はこう語る。「そうだとしても、ニュースレターは成功するモデルになり得る。有料購読の魅力は、何百万人もの読者を獲得しなくてもいいということだ」。

画像:Substack

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

ダイレクトリスティングを控えてSlackは売上が順調に増加し損失率は低下

職場のメッセージングは、いまやSlackで決まり。そのSlackが、6月20日と予想されているダイレクトリスティングに備えて米証券取引委員会(Securities and Exchange Commission、SEC)に、修正S-1を提出した。

その文書でSlackは今後の黒字化への道のりもやや改定し、前期2019年Q1の決算は売上1億3480万ドルに対し損失3180万ドルと報告している。売上は前年同期比67%の増で、2018年Q1では8090万ドルの売上に対して損失が2480万ドルだった。

2019年1月で終わる会計年度では、同社の売上は4億60万ドルに対し1億3890万ドルの損失だった。前会計年度では売上2億2050万ドル、損失が1億1億4010万ドルだった。

Slackは今、ニューヨーク証券取引所におけるダイレクトリスティングに必要な準備過程の最後の段階に来ている。ちなみに同取引所におけるSlackのティッカーシンボルは「WORK」になる。ダイレクトリスティングは株式市場へのアプローチの仕方のひとつで、それにより有名企業は、新株を発行する代わりにインサイダーや社員、投資家などが持つ既存の株を市場に直接売り出す。この方法だと企業は、会社説明など売り出しにあたってのロードショープロセスを省略でき、またウォール街に相当な額のIPO手数料を取られずに済む。

Spotifyは2018年にダイレクトリスティングを完了し、もうひとつの価値の高いVC支援企業Airbnbも、2020年にダイレクトリスティングを行うと噂されている。

Slackは現在、70億ドルの評価額とされている。これまで同社は累計12億2000万ドルを、Accel(同社の株式24%を保有)、Andreessen Horowitz(13.3%)、Social Capital(10.2%)、ソフトバンク、T. Rowe Price、IVP、Kleiner Perkinsなどから調達している。

関連記事: The Slack origin story(Slackの起源、未訳)

画像クレジット: TechCrunch

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

YouTubeで開発されたDBaaSにアンドリーセン・ホロウィッツなどが24億円超を投資

PlanetScaleの共同ファウンダーは元YouTubeのエンジニアで、このサービスの巨大化を助けたVitessデータベースシステムの開発者だ。現在2人が創業したスタートアップは大規模なデータに迅速にアクセスすると同時にセキュリティーも確保したい企業にVitessを販売している。

Vitessは稼働中に簡単にデータベースのレプリケーションができるのが大きな特徴だ。 この機能はEUのGDPR(一般データ保護規則)の遵守を容易にする。GDPRではユーザーデータをそのユーザーが居住する国に保存しなければならないことが要求され、これが企業にとって大きな負担となっている。

PlanetSacaleはAmazonのAWSのライバルであり、同時に補完関係にある。またコンピューティング全般のインフラとなる可能性があることを考えれば、シリーズAで2200万ドル(約24億円)という巨額の資金調達に成功したことも不思議ではない。ラウンドをリードしたのはAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)で、長年Googleのスパム対策のトップを務めたことで知られるマット・カッツ(先月、大統領直属のUSデジタル・サービス責任者に就任)や以前からの投資家であるSignalFireが加わっている。1年前にPlanetScaleが調達したシード資金は300万ドルに過ぎなかったことを考えれば一大飛躍だ。

今回の投資を機会にAndreessen Horowitzのジェネラル・パートナーであるPeter Levine氏がPlanetScaleの取締役に就任し、エンタープライズ向け事業に関するノウハウによってスタートアップを助ける。

PlanetScaleの共同ファウンダー、左から Jitendra Vaidya氏、Sugu Sougoumarane氏

CEOのJitendra Vaidya氏は次のように述べている。

以前我々はAWSやRDBをホスティングするサービスをライバルと考えていたが、むしろパートナーだということに気づいた。われわれのサービスはAWSなどのデータベースホスティングサービスのフロントエンドとして大きな需要がある。PlanetScaleは順調に成長中だ。

ライバルのデータベーススタートアップも巨額の資金調達を行っているのでPlanetScaleも対抗する必要があった。Andreessen Horowitzと関係を作れたことは大きな成果だ。テクノロジーとして見ると、VitessはGoogleが開発したKubernetesの先行者にあたり、MySQのミドルウェアとなってデータベースの水平的規模拡張を助けるプロダクトだ。Vitessは信頼性とパフォーマンスを損なうことなく大規模データベースのメモリー効率を高めるプロダクトとしてまずYouTubeのバックボーンに採用された。2014年にSugu Sougoumarane氏自身が下のビデオでVitessの仕組みを説明している。

PlanetScaleのVitessの販売は4つのチャンネルに分かれている。一つは自社サーバーを利用したデータベース・アズ・ア・サービス(DBaaS)、 次はクライアントがオンプレミスないし他のクラウドで利用するためのテクノロジーのライセンス、 3番目はデータベース専門家に対するVitess利用の教育、4番目がオープンソース版Vitessを利用するユーザーに対するオンデマンド・サポートだ。PlanetScaleには現在18社と契約して有料サービスを提供しているが、近くサビスを一般公開する計画だ。【略】

PlanetScaleは充分な資金を得たため人員を現在の20人から倍増させ、サポート、セールス、マーケティング部門を強化する計画だという。CEOのJitendra Vaidya氏は「我々共同ファウンダーは2人ともエンジニアなので、技術面に関しては心配していない。しかしエンタープライズ向け市場に参入するための戦略が必要だ」と説明する。

Andreessen Horowitzのような有力ベンチャーキャピタルがリードするシリーズAで2200万ドルを調達できたのはどんなスタートアップであれビッグニュースだが、PlanetScaleの場合はテクノロジーエコシステム全体に対する影響が大きい。EUのGDPRは巨大テクノロジー企業の行動を抑制することを目的としているが、実態としては大小あらゆる企業にコンプライアンス・コストを強いるものとなっている。皮肉なことに、このコスト負担はリソースに余裕のある大企業より中小のビジネスに重くのしかかるものとなっている。

「データの保存場所をユーザーの居住国にローカライズせよ」というGDPRの要求はスタートアップにとって耐え難い負担となる。PlanetScaleのVitessは単にデータベースの運用を省力化、効率化するだけでなく、GDPRを遵守することを可能にする。PlanetSclaleのサービスを利用することで、スタートアップは新しいサービスを提供するという本来の目的に専念できるようになるだろう。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

ベンチャーキャピタルのSFへの移転加速、アンドリーセン・ホロウィッツが年内に引越

トップクラスのベンチャーキャピタルが次々にサンフランシスコに移転する中、最後までシリコンバレーに踏みとどまっていたAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)がついに市内に引っ越すことに決めたようだ。事情に詳しい情報源によれば、Andreessen Horowitzは今年中にサンフランシスコにオフィスをオープンさせるという。

ウォールストリートジャーナル(WSJ)のさる金曜日の記事によれば、同社は180 Townsend Streetビルのリース契約にサインしたという。このビルはMLBのサンフランシスコ・ジャイアンツのホーム・スタジアムの付近にある(今年1月までAT&Tパークとして知られていたが、現在はオラクル・パークと改名された)。

我々の情報源によれば、「a16z(Andreessen Horowitz)はスタンフォード大学近くのサンドヒル・ロードの広大な敷地のオフィスを閉鎖するわけではない」という。同社は2009年の創立直後からここを本拠としてきた。情報源は「a16zはビル全体をリースするわけではない」と付け加えた(180 Townsendは延べ床面積が3800平方メートルもある)。

ここ数念、シリコンバレーの有力ベンチャーキャピタルがサンフランシスコにオフィスを移す動きが続いていた。a19zもこれに加わったことはベンチャーキャピタルの地理的重心が北に50キロほど移動するトレンドを確認するものだ。

サンフランシスコ市内にオープンしたベンチャーキャピタルはTrue Venturesだった。当初はウォーターフロント地区だったが、その後もっと便利なサウスパークに移転した。この近所にはKleiner Perkins、Accel、General Catalyst、New Enterprise Associatesといった名だたるベンチャーキャピタルがオフィスを構えている。

サンフランシスコの金融センターに近く、エンバーカデロとチャイナタウンの中間に位置するジャクソン・スクエアにもJackson Square Ventures、NextWorld Capital、 Catamount Ventures、Sway Venturesなどいくつかのベンチャーキャピタルの本社がある。

Andreessen Horowitzは同業他社がサンフランシスコやニューヨークにオフィスをオープンする動きにも影響されずメンローパークのサンドヒル・ロードを唯一の拠点として順調に活動を続けてきた。

しかし、我々のの情報源によれば、1年ほど前からサンフランシスコ市内にも拠点を設けることを真剣に考えるようになったという。最終決定に至ったのは最近のようだ。これで150人の社員の多くは毎日の長時間通勤の苦労が大きく軽減されるに違いない。社員の多くは市内に住んでおり、会社まで車で延々と走ることを余儀なくされていた。

もちろんいちばん要なのは、市内にオフィスを設けることで投資先のファウンダーとこれまでより密接にコンタクトできる点だろう。ファウンダーたちは静かすぎるシリコンバレーを好まず、サンフランシスコを拠点とすることが増えていた。

もちろんサンフランシスコの不動産価格は過去最高を更新し続けており、WSJの記事によれば、大手不動産業者のCushman & Wakefieldのオフィス賃貸料月額は2018年第4四半期現在で平方メートルあたり813ドルという記録的な額になっているという。これは前年同期比で6.4%のアップだ。

我々は有名アクセラレータ、ベンチャーキャピタルのY Combinatorが市内に適当な物件を探していると報じた。Andreessen Horowitzに続いてY Combinatorも今年サンフランシスコに引っ越してくることになるかもしれない。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

今年のクリスマスはこのダサいトレーディングカードだけでいい

冗談です。お願いだからこのシリコンバレーのベンチャーキャピタリストをあしらったトレーディングカードをクリスマスにプレゼント〈しない〉でほしい。でも、もし今あなたがVC——あるいはVC志願者——のためにプレゼントを探しているなら、1セット贈ると喜ばれるかもしれない。

  1. image03

  2. image04

  3. Mary-Meeker

そう。彼らは実在している! VCトレーディングカードのシリーズを販売するのはTouchBaseで、そこにはY Combinatorの共同ファウンダーPaul Graham、Andreessen Horowitzの共同ファウンダーMarc Andreessen、Kleiner PerkinsのパートナーMary Meeker、Benchmarkの代表パートナーBill Gurleyらがフィーチャーされている。

誰か、MeekerはKleinerを離れて独自のファンドを始めようとしている、とTouchBaseに教えてあげるといいかもしれない。

カード5枚セットの価格は60ドル。それぞれのセットには後期ステージVC、エンジェル、シード投資家のほかアドバイザーのカードが1~2枚入っていると同社は言っている。

TouchBaseは他に誰のカードがあるか公表していないので、知るためには1~2パックあるいは3パック買う必要があるかもしれない。

VCカードは今月中に発売される。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Chris Dixonインタビュー:Andreessen Horowitz、3億ドルの暗号通貨ファンド結成――元連邦検事が女性初の共同責任者に

シリコンバレーを代表するベンチャーキャピタルの一つ、Andreessen Horowitzがビッグニュースを2つ発表した。今日(米国時間6/25)、同社は総額3億ドルの暗号通貨専門ファンドの設立を完了した。Cryptoファンドは先週、Andreessen Horowitzのリミッテッド・パートナーから出資契約を得ていた。

Cryptoファンドは最近シリコンバレーのベンチャー業界最大の話題となっていた。というのも他のベンチャーキャピタルも暗号通貨テクノロジーに対する戦略を決めようとしており、この5年間、暗号通貨への投資を着実に増やしていたAndreessen Horowitzの動向を注視していたからだ。

もうひとつのビッグニュースは、創業9年になるAndreessen Horowitzに初めて(ついに)、女性のジェネラル・パートナーが誕生したことだ。Katie(Kathryn) Haunは以前からジェネラル・マネージャーを務めるChris Dixon(筋金入りの暗号通貨支持者)と共にAndreessen Horowitzの暗号通貨ファンド担当のジェネラル・パートナーに就任した。Haunの株はこの数年シリコンバレーで上昇を続けていたので同社がジェネラル・パートナーに選んだことは意外ではない。

Haunは司法省の連邦検事を10年以上務め、証券取引委員会、FBI、財務省などと協力して詐欺、サイバー犯罪、企業のコンプライアンス違反の捜査と訴追に当ってきた。Haunの略歴には司法省初のデジタル資産担当調整官という職務もみえる。中でも注目すべきなのは、暗号通貨取引所の歴史で最大の経済事件となった、Mt. Goxの不正を捜査し、オンラインの麻薬や違法物質の取引所となっていたSilk Roadを捜査するチームに加わっていた点だろう。Haunはまたスタンフォード大学ビジネススクールの講師、暗号通貨取引ネットワーク、Coinbaseの取締役を務めている。 Andreessen HorowitzはCoinbaseの最初期からの出資者で、Dixonが取締役だったためHaunと知り合ったという(2人は現在も取締役)。

今日、TechCrunchはChris Dixonにインタビューすることができた。われわれはファンドの詳細、特にDixonとHaunが投資先の暗号通貨スタートアップのエグジット(現金化)についてどう考えているかを尋ねた。これまでのところクリプト企業がエグジットに成功した例は少ない。なお、読みやすさと文章量を考慮して以下のテキストには若干の編集が行われている。

Chris Dixonインタビュー

TC: 3億ドルの出資者の大部分はもともとAndreessen Horowitzの本体のファンドの出資者だと思うが、暗号通貨ファンドの結成は今後の本体ファンドの結成に何らかの影響を与えるだろうか? つまりAndreessen Horowitzは暗号通貨分野にこれまで以上に力を入れ、反面、他の分野への投資は減少することになるのだろうか?

CD: 答えはノーだ。われわれはこれまで投資してきた分野への投資をフルスピードで続ける。Cryptoファンドの結成はこの分野への努力を倍加するということであり、コンシューマー向け、エンタープライズ向けのプロダクトだろうと、バイオ・テクノロジーだろうと、これまでのコミットメントを減少させることはまったくない。

TC: 新しいファンドが他の暗号通貨ファンドに投資することはあり得る? Union Squareはこれを積極的に推し進めているが?

CD: あり得る。しかし当面そのつもりはない。われわれは暗号通貨ビジネスについて学ぼうと考え、Polychainその他何社かに1年半前から投資を始めている。今回暗号通貨を専門とする本格的ファンドが作られ、初期段階、後期段階両方の暗号通貨プロジェクトに出資できる体制が整えられた。われわれの使命はあくまでそうしたスタートアップへの直接投資だ。もっとも何ごとであれ「絶対ない」と言うつもりはない。

TC: Andreessen Horowitzはこれまでに何件ほど暗号通貨プロジェクトに投資してきたのか? そのうちの何件かは新しいファンドに移管されるのか?

CD: われわれはこの5年で20件程度の暗号通貨投資を行っている。. [Bitcoinのライバル] Ripple は私の最初の暗号通貨投資で、2013年1月のことだった。その後、同年中にCoinbase、21.coに投資した(同社はEarnになり、今年Coinbaseが買収している)。 その他、OpenBazaar、Mediachainにも投資した。やがてEthereumがスタートして暗号通貨分野の動きが激しくなってきた。才能ある起業家や優秀な企業が参入し始めた。われわれの[既存の暗号通貨プロジェクトへの]投資は当初の枠組みのまま本体ファンドに残る。

TC: 新ファンドですでに投資を決めた案件は?

CD: いくつか検討中のプロジェクトがある。ただし決定したものはない。

TC: このファンドの投資はどのような形態になるのか?

CD: エクイティー〔株式〕投資の一部はトークンによる投資 [つまりスタートアップがトークンを発行し、投資家が購入できる場合]が行われるだろう。われわれは〔適格投資家のみを対象とする〕SAFTによる投資も実施している。 われわれはまたストレートなBitcoinやEthereumの購入という形式でも投資してきた。しかし〔Andreessen Horowitzの〕本体ファンドでは投資方法に限界に突き当たった。そこで優秀な起業家がビッグかつ重要なアイディアを実行に移そうとしており、それに経済的将来性があるなら、あらゆる方法で投資したい。そこで条件を整えた専門ファンドを結成したわけだ。

TC: そうした投資のエグジットはどうなるのか?

CD: いい質問だ。これまでわれわれは暗号通貨資産を売却したことはない。この業界のプレイヤーの多くはデイトレーダーだ。しかしわれわれは投機筋ではなく、投資家だ。われわれはどんな投資も5年から10年にわたってポジションを維持していく考えだ。こうしたスタートアップの一部が発行するトークンは自由に流通するようになるだろうから、そういう形でのエグジットも可能だろう。いちばん可能性が高いシナリオは、アーリー・ステージの暗号通貨プロジェクトに投資し、引き換えにデジタルコインあるいはトークンを受け取ることだろう。その後プロジェクトが成功すればこうしたデジタル資産はそれに応じた評価を受ける。しかし何億という人々に利用されるようになることを目標とするプロジェクトの場合、われわれはそうした目標が実現するまでエグジットを考えることはない。

TC: ファンドの出資者に対してトークンで払い戻しを行うことはないと考えていいだろうか?

CD: そのとおり。われわのリミッテッド・パートナーは通常のキャッシュを好んでいる。

TC: 投資先企業における持ち分比率についてどのように考えているか?

CD: 伝統的なベンチャーキャピタルのビジネスモデルでは10%から20%の持ち株比率を目標とする。しかし暗号通貨スタートアップの場合は固定的な持ち株比率を考えるのは現実的でない。ごく初期のプロジェクトでは持ち株比率が会社評価額と連動するからそれを目安とするかもしれない。しかし一般的に言って、われわれは率ではなく額を問題にする。この投資は元が取れるほど成功しそうか、といったことだ。次のビッグウェーブに登場する企業はわれわれがこれまで経験したのに比べて10倍も大きくなるだろう。

TC: ICOについてどう考えるか? 将来適格投資家以外にもトークンを広く販売する予定の会社にも投資する予定か?

CD:適切に実施されるならICOは暗号通貨へのアクセスを拡大し、デモクラタイズする。これは正しい考えだと思う。参加者を増やすために役立つアイディアはなんであれ歓迎だ。しかし現在実施されている多くのICOは規則を忠実に守って実施されているとは考えられていない。われわれはこうしたICOには一切関与して来なかった。われわれはFilecoinに投資しているが、このICOの対象は厳密に適格投資家に限られていた。

TC: 投資における利益相反についてどう思うか? この分野はスタートしたばかりなので同種の企業に投資する制限についてもこれまでの例とは異なる点が多いのではないかと思う。伝統的分野におけるベンチャー投資では、当然ながら、複数のライバル企業に投資するのはタブーだが。

CD: クリプト企業への投資では伝統的なベンチャー企業への投資とは行動基準が違ってくる。基本的にベンチャーキャピタルは直接の競合関係になる会社の双方に投資してはならない。しかし暗号通貨では倫理が異なる。企業同士はライバルというより協力関係にあることが多い。この分野の参加者はパイ一切れの大きさを巡って戦うのでなしに、まず協力してパイ全体を大きくしたいと考えている。われわれは競合するプロジェクトへの投資が行われないようチェックしてきた。しかし暗号通貨のような動きの速い新興マーケットでは固定的なカテゴリーで考えることは難しい。この分野での投資基準はまだ確立していないが、たとえば、暗号通貨を複数の種類支援することはあり得る。

TC: Basisの投資家の1人としてステーブルコインについてどう考えているか? 価値が不規則に変動せず安定したプロダクトを作り出そうとしているスタートアップだが、暗号通貨が広く利用されるためには価格安定性が必須だろう。ステーブルコインでは複数のプレイヤーが存在する余地があると考えるか?

TC: われわれはBasisだけでなくMakerにも投資している。両者の仕組みは大きく異なるが、われわれは相互補完的だと考えている。投資を決定する際に両者に詳しく話を聞いた。ステーブルコインというアイディアは重要だ。暗号通貨がメインストリームになるためには、現在のような価値がボラタイルな通貨でなく、アメリカ・ドルのような安定した外部の価値によって担保される仕組みが必須だ。そうした重要性を持つインフラだけに、勝者は複数存在することになるだろう。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

インターネットを監視不可能な層で覆うOrchid Labsが$125Mの資金調達過程に入る

インターネットの上に監視のない層を作ろうとするサンフランシスコのOrchid Labsが巨額の資金調達を行い、SECに提出された報告文書によれば、この1歳のスタートアップはこのたび、3610万ドルのラウンドを完了した。同社はこれよりわずか5か月前に、Yes VCなどの投資家と、Caterina FakeやJyri Engeströmなどのシリアル・アントレプレナーから450万ドルを調達したばかりだ。

同社のサイトによれば、初期の支援者にはAndreessen Horowitz, DFJ, MetaStable, Compound, Box Group, Blockchain Capital, Sequoia Capitalなどがいる。

同社が宣言しているOrchidの目標は、世界中の人びとに匿名化されたインターネットアクセスを提供することだ。その典型的な想定ユーザーとしては、政府が国民の閲覧やショッピング行為を監視している国の個人が挙げられる。

その目標にはまた、ユーザーのデータを私物化して売っているような多くの企業からユーザーを隔離することも含まれるようだ。そんな企業の著名な例としては、FacebookやAT&Tのようなウォールド・ガーデン(高い塀のある庭)が挙げられる。〔Facebookが…売ってる、は象徴的な意味合いか〕

データの悪用に関しては、Cambridge Analyticaのスキャンダルのような事件が氷山の一角にすぎない今の世界では、このプロジェクトの投資家にとっての魅力も容易に理解できる。上記SEC文書によると、同社は3610万ドルをSAFTで調達している。それは、暗号通貨の開発者たちが認定投資家たちに与える投資契約だ。〔SAFT参考記事

当文書によると、これまで42名の個人が参加している。しかしながらその目標額は$125,595,882〔約1億2560万ドル〕であり、今ブロックチェーンは急速にその人気が過熱している(今週初めのBasisの例を見よ)から、今でなくてももうじき、同社にはもっと多くのお金が流れこむだろう。それもまた、この文書上のすごいターゲットだ。

今本誌は、同社に詳しい情報を求めている。読者は、このホワイトペーパーを勉強してもよろしい。

Orchidの5名のファウンダーは、その経歴がおもしろい:

Stephen BellはTrilogy Venturesで7年間マネージングディレクターを務め、その後中国に機会を探し、2015年にアメリカに帰国した

Steve Waterhouseは長年、デジタル通貨専門のPantera Capitalの投資家だった。

Gustav Simonssonは、元Ethereum Foundationのデベロッパーだ。

Jay Freemanは、ソフトウェアエンジニア。

Brian Foxは1995年に世界で初めての対話的オンラインバンキングソフトウェアをWells Fargoのために作った、とクレジットされており、また伝説のプログラマーRichard StallmanのFree Software Foundationの最初の職員でもあった。

金額、ミッション、そしてファウンダーたちの顔ぶれからして、これは大物のようだ。今後に注目しよう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

AWS Lambdaのイベントトリガを使いやすくしてWebサイトの開発方法を改革するNetlify

Webプロジェクトの継続的なデプロイメントを支援するサービスNetlifyのビジョンは、Webサイトの作り方を変えることだ。とくに、フロントエンドのデザインとバックエンドで実行されるサービスとの結合を、もっとシンプルにしたい。今日同社は、そのビジョンの実現に向かう次の一歩として、NetlifyのサービスにAWS Lambdaのファンクションを導入した。

同社のねらいは、Web開発に伴う多くの複雑性を、できるだけ減らすことだ。たとえば、ユーザーがHTMLとJavaScriptでフロントエンドをデザインすると、Netlifyはそれをさまざまなサービスに結びつける。決済ならStripe、メールによるニューズレターの管理ならMailChimp、というように。このやり方でNetlifyは、Webサーバーという概念を抽象化(実体のないものに)してしまう。デプロイが遅くてセキュリティもスケーリングも困難なあのあれが、消えてなくなる。そして、一枚岩的なWebサイトから、スタティックなフロントエンドとバックエンドのマイクロサービスという組み合わせへ移行し、それによりセキュリティとスケーリングの問題を解決、そしてサイトを従来よりも相当早くユーザーに渡せるようになる(デリバリが早い)、と同社は信じている。

ユーザーは、サイトの構築に何を使ってもよい。ユーザーが作った設計/デザインを渡されたNetlifyは、バックエンドのコーディングのすべてをエッジに置き、コードはエッジで実行される。その意味で同社のサービスは、半分はContent Delivery Network(CDN)、残る半分はデベロッパーの自動化エンジンだ。

この、より動的なWebサイトをより早く作るというNetlifyの能力がAndreessen HorowitzのパートナーPeter Levineの目に留まり、昨年8月に同社の1200万ドルのシリーズを彼がリードした。Levineは曰く、“彼らの、マイクロサービスとAPIsを活用して柔軟性に富む動的な(ダイナミックな)Webサイトを作る、という考え方はすばらしいアイデアだ。しかも、エッジへデプロイすることによって、さらにハイパフォーマンスなユーザー体験を作れるし、GitHubを統合することによってアプリケーションを容易に作成し管理できる”。

今日の発表は、同社のサービスのそんなアプローチをさらに一歩前進させる。Lambdは、AWSのいわゆるサーバーレス・ツールだ。デベロッパーはファンクションを作り、それが特定のイベントにトリガされて実行される。デベロッパー側には、サーバーを24/7動かし管理しメンテナンスする苦労がない。これは、NetlifyのWeb開発アプローチとぴったり相性が良い。つまりそれは、AWS Lambdaと同じく、WebのパブリシングプロセスからWebサーバーを取り除くから。

そしてNetlifyは、Lambdaのファンクションを、もっと容易に実行できるようにした。同社によると、Webデベロッパーは確かにイベントトリガーという考え方を気に入っているけど、AWSのワークフローは複雑すぎる。イベントトリガーをデベロッパーのアイデンティティで容易に作れるようになれば、Lambdaをもっと気軽に利用できるだろう。

同社の協同ファウンダーChristian Bachは、こう説明する: “Lambdaが良いことは自明だが、それを軸とするワークフローがないために、使いづらい。われわれにはフロントエンドをパブリシングするワークフローがあるので、サーバーレスもそれと同じようにしたい、と考えた”。

“Lambdaのトリガのひとつひとつが小さなマイクロサービスになり、ブラウザーからそれらにアクセスできる”、と彼は述べる。たとえばStripeを使って決済をする場合なら、Stripeの秘密の認証情報のコードで決済のゲートウェイに入る。“従来なら、この小さな呼び出しのために、どこかでサーバーを動かす必要がある。この小さな機能だけのために、Railsのアプリケーションを作るだろう”、Bachはそう述べる。

しかしNetlifyのやり方では、認証情報を数行のコードでタイプし、それからLambdaのトリガとNetlifyの糊的なコードを少々使うだけだ。これにより、そのコードをどこに置くか、それをどうやって管理するか、という問題が解決する、とBachは言う。

かねてからエッジコンピューティングをテクノロジーの大きな駆動因として見ているLevineがNetlifyのシリーズAをリードし、同社の取締役会に加わったたのは、たぶん偶然ではない。

Levineは曰く、“かなり前からエッジコンピューティングには注目しているし、Netlifyは、エッジにおけるサービスという大きなトレンドの一部だ。同社は、現代的なWebサイトを構築しデプロイする方法を開発した”。

同社は、2015年に創業され、これまでに1410万ドルを調達している。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Kaggleを買収したGoogleが早くもコンペの主催者に…機械学習のユニークなアプリケーションで賞金100万ドル、7社のVCが協賛

Googleはデータサイエンスのコミュニティ(コンペの主催プラットホーム)Kaggle買収に続いて、今度はGoogle自身が機械学習のコンペを開催することになった。Googleはとくに、機械学習に革新的な姿勢で臨んでいる若いスタートアップに期待している。

このコンペはSequoia, KPCB, GV, Data Collective, Emergence Capital, Andreessen Horowitz, Greylock、計7社のVCがパートナーとして賛助する。そしてData CollectiveEmergence Capitalは、優勝者の賞金100万ドルを半分の50万ドルずつ折半する。

応募資格としてGoogleのサービスの利用はないが、Google CloudとTensorFlowを使う応募者にはそれなりの副賞がある。すなわち“Build with Google”賞(Googleで作ったで賞)は、100万ドルぶんのGCP(Google Cloud Platform)クレジットとGoogle Cloudのエンジニアからの協力、そしてG Suiteの12か月の利用権10名ぶんだ。この賞の次位企業は、優勝者の半分のGCPクレジットと、そのほかの副賞(優勝者と同じ)を授与される。また、予選を通過した全社は、20万ドルぶんのGCPクレジットと、優勝者と同じG Suite利用権が得られる。

審査の基準は、機械学習の実装の‘ユニークさ’とされる。VCの一般的な基準、たとえばスケーラビリティとか、プロダクトの市場適性、スキル力、チームの結束力なども勘案される。

Googleは、テクノロジー系のスタートアップだけでなく、医療、エネルギー、リテールなどさまざまな専門分野からの応募も期待している。Googleにもコンペを主催した経験は過去にあるが、データサイエンスや機械学習のコミュニティへの訴求は、今週初めに行われたKaggleの買収に負うところが大きい。一方KaggleのCEO Anthony Goldbloomは、この買収によってコミュニティがGoogle Cloudをより高度に利用できる点が魅力、と言っている。

応募企業は、これまでの資金調達額が500万ドル未満であることと、アメリカ合衆国の法人であることが条件だ。応募の受け付けは、今日(米国時間3/10)から4月16日までだ。予選通過者が決まるのは6月、そして最終決戦は夏の終わりごろになる。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

電話の詐欺を見抜くPindropが創業3年で早くもシリーズC、Google Capitalらから$75Mを調達

288491653_2eebf1d6e1_o

Pindropは、電話の音声と発呼者に関するメタデータの両方を分析して、企業が電話詐欺にやられることを防ぐ。ローンチ時の2012年に調達した4700万ドルに加えて今日(米国時間1/28)同社は、Google Capital率いるシリーズCのラウンドにより7500万ドルを調達したことを発表した。

このラウンドにはGoogle Ventures、Citi Ventures、Felicis Venturesのほか、同社のシリーズAをリードしたAndreessen Horowitzと、シリーズBをリードしたInstitutional Venture Partnersが参加した。

2016-01-27_1429

Pindropによると、同社の技術の主なユーザーは、保険企業、政府機関、小売企業、そして合衆国の4大銀行のうちの三つだ。これまでに同社がチェックした起呼は、合計3億6000万あまりになる。

このサービスはまず、かかってきた電話の起源(どこから)と、固定電話/セル電話/VoIPの番号など、いちばんベーシックなデータを調べる(詐欺電話はVoIPからがいちばん多いそうだ)。さらにそれに加えて、電話の音声を調べる。そのためにたとえば、周波数フィルターやコーデックのデータ、パケットロスやフレーム落ちなどを分析する。

これらのデータから各起呼のリスクプロファイルを生成する。そのプロファイルが詐欺の可能性を示唆していたら、エージェントが相手にセキュリティ関連の質問をすることができる。

Pindropによると、同社は新たな資金を国際展開に充て、また研究開発への投資も増やしたい、という。同社は今イギリスに10名の社員がいるが、今後はEMEA地域におけるプレゼンスを拡大したい。ラテン・アメリカではすでにサービスを提供しており、今年後半にはアジア太平洋地域にも市場を広げていく予定だ。

[原文へ]。
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

Andreessen Horowitz、バイオテック投資に2億ドルを用意―新たなゼネラル・パートナーが就任

2015-11-19-vijay_pande2

シリコンバレーを代表するベンチャーキャピタル、Andreessen Horowitzが大々的にバイオテック分野に参入しようとしている。同社はAH Bio Fundと呼ばれる2億ドルのファンドを組成した。同時にこのファンドの運用の指揮を取る新たなGP(ゼネラル・パートナー)にVijay Pandeが就任した。

新ファンドはコンピューターとバイオテックの交差する分野の初期のスタートアップを主たる投資ターゲットとしている。HA BioはAndreessen Horowitzとして特定分野を対象とする最初のファンドとなる。またスタートアップがこのファンドで成功すれば、その後は今年3月に発表された15億ドルのメインのファンドが投資を引き継ぐことになるのだろう。

Pandeは知識、経験、人脈いずれをとっても新たなGPとして適任だと思われる。過去16年、スタンフォードの教授として化学と構造生物学を教えてきたPandeは、「割合としては少なくなるだろう」としながらも、大学における研究グループに今後も時間を割くとしている。

またPandeはこれまで数多くのスタートアップに関わってきた。シード資金を受けた感染症治療のスタートアップ、Globavirの共同ファウンダーであり、発足以来16年になる感染症研究のための分散コンピューティング環境、Folding@homeのファウンダーでもある。

ヘルスケアや機械学習などスタンフォード発のこの分野のスタートアップについて尋ねられて、Pandeは「どれも魅力的だ。私は菓子屋に入り込んだ子供みたいな状態で、どれに対してもノーといいにくい」と答えた。PandeはスタンフォードだけでなくUCバークレーやM.I.Tのスタートアップにも時間を割くという。Pandeは以前、バークレーでMiller Fellowを務めており、PhDの学位はM.I.Tで取得しているだけに、この方針を実行するにはまさに適任だ。

PandeはGPに就任する以前、昨年Andreessen Horowitzにパートタイムで関わったが、これは大いに役立ったという。バイオテックのビジネス的側面についてはAndreessen HorowitzのGPであり、以前のOpenTableのCEOであるJeff Jordanが詳しく、Pandeが適切なスタートアップを選ぶ手助けになるだろうという。ヘルスケアや保険業の専門家としては、以前人的資源管理のソフトウェア企業を創立したLarsDalgaardがやはりGPの職に就いている。

具体的なディスカッションの過程は不明だが、こうした専門家の助力はすでにPandeに最初の成果をもたらしている。ビッグデータを利用して新薬の候補を効率的にスクリーニングするアルゴリズムを開発している初期のスタートアップ、TwoXARにPandeは投資を決めている。 今後も続々と投資案件が決定されていくと期待してよいだろう。

Pandeの任命でAndreessen HorowitzのGPは9人となった。【略】

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+