企業と社員のアップル製デバイス管理を自動化するFleetsmithが海外進出を目指す

Fleetsmithは2016年に、クラウド上のApple(アップル)製デバイスを管理することをミッションとしてローンチした。同社はAppleのDevice Enrollment Program(日本語ページ)を利用して、これまでは複雑だったITの活動を単純化する。同社は昨年そのサービスを大幅に充実し、そして米国時間4月8日、Menlo VenturesがリードするシリーズBのラウンドで3000万ドルを調達したことを発表した。

Tiger Global ManagementとUpfront Ventures、およびHarrison Metalがこのラウンドに参加した。契約の条件として、MenloのパートナーですNaomi Pilosof Ionita氏が同社の取締役会に加わる。彼女の同僚であるMatt Murphy氏が取締役会のオブザーバーになる。同社発表のデータによると、これで同社の調達総額は4000万ドルあまりになる。

同社の共同創業者でCEOのZack Blum氏によると、最初のミッションは痛点の解消を目指し、共同創業者はAppleのデバイスを管理する現代的なアプローチを手探りで探した。Blumはこう説明する。「Fleetsmithを利用すると、顧客企業はデバイスを社員たちに直接配布できる。そして、それをもらった社員はWi-Fiに接続し、デバイスは自動的に管理システムに登録される」。

彼によると、このような自動化と、同社プロダクトのセキュリティおよびインテリジェンスの機能が合わさって、ITはデバイスの登録やアップデートについて心配する必要がなくなる。社員は、世界中のどこにいてもよい。

最初は主に中小企業に問題解決を提供していたが、最近では規模の大小を問わず、ワークフォースが分散している企業が主な顧客だ。そういう企業にとっては、どこからでも自動的に登録ができるのでとても便利だ。登録が完了したら顧客企業は、会社の全社員にセキュリティアップデートをプッシュしたり、必要ならアップデートを強制できる。ただし社員がクライアントところで会議に出ていることもあるので、そのようなアップデートができない場合には、強力なリマインダーを送る。

昨年同社は、ITが管理下のすべてのデバイスを一望にできるために、ダッシュボードを開発した。それを見ると、個々のデバイスの健康状態や問題点が分かる。たとえば、ディスクの暗号化をやっていないMacBook Proが数台見つかるかもしれない。

このダッシュボードは、Office 365やG Suiteのアイデンティティ管理部位に統合できる。ITはこれら両ツールから直接に社員をダッシュボードへインポートし、すると社員はFleetsmitこれらツールの認証情報でサインインできるから、全社員を管理下に収めることが迅速にできる。

スクリーンショット提供: Fleetsmith

Fleetsmithはまた、Managed Service Providers(MSPs, 各種のマネージドサービスのプロバイダー)とのパートナー事業により、そのリーチをさらに広げた。MSPsは中小企業のITを管理しているから、彼らとの関係を構築すればFleetsmithの拡大も迅速に行える。

現在同社は社員数30名、顧客企業数1500社に成長しているから、このやり方がうまく行ってるようだ。今回の新たな資金は今後のさらなる社員増と、プロダクトの能力拡大、そして海外進出に充てられる(これまでは米国市場のみ)。

関連記事: 中小企業の多様なApple製品の利用を自動化クラウドサービスで管理するFleetsmith$7.7Mを調達(同社シリーズA時)

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コンテナのセキュリティをサービスするAquaがシリーズCで約68億円相当を調達

コンテナのセキュアな立ち上げを助けるAqua Securityが、Insight Partners率いるシリーズCで6200万ドルを調達したことを発表した。

これまでの投資家であるLightspeed Venture Partners、マイクロソフトのベンチャーファンドM12、TLV Partners、そしてShlomo Kramerも参加した。米国時間4月2日の投資で、「これまでの累積調達額は1億ドルを超える」と同社は言っている。

初期の投資家たちは、同社が2015年に創業されたとき賭けに出た。というのも当時はコンテナはまだ何者でもなかった。でもファウンダーたちは、次に来るものに関して確かなビジョンを持っていた。そしてその後、賭けはでっかく当たって今同社は、先行馬のアドバンテージを享受している。ますます多くの企業がKubernetesとコンテナの方を向くようになり、コンテナという特殊な環境を最初から想定したセキュリティ製品が必須になりつつある。

共同ファウンダーでCEOのDror Davidoff氏は、Fortune 500社のうち60社が同社の顧客だというが、その社名は明かさない。でもひとつのヒントとして、世界のトップバンクのうち5行が顧客だそうだ。そんなクラスの企業がコンテナのような新しい技術へ舵を切ったら、しっかりとしたセキュリティオプションなしでは本気で前へ進めない。それを、Aquaが提供する。

Davidoff氏はこう語る。「うちの顧客はみな、思い切った決断をして新しい技術を採用している。彼らは、既存のセキュリティツールでは問題を解決できないことも、よく知っている」。彼によると、みな最初は小さく始めるが、まわりでコンテナの採用が増えるにしたがって自分たちもコンテナの利用を拡大している。

コンテナのような軽量で短命(エフェメラル)なコンセプトはセキュリティの脅威も少ない、と思いがちだが、しかしDavidoff氏によると、コンテナはオープンな技術だから不正行為に遭いやすい。彼はこう言う。「今のコンテナは、誰も知らない初物技術ではない。多くの人に知られており、したがって危険性も増している。技術そのものがオープンだから、ハックもしやすいし脇道にも行きやすい。コンテナに機密情報があれば、その情報には容易にアクセスできる」。

Aquaは、コンテナのイメージをスキャンしてマルウェアを探し、安全を証明されたコンテナだけが確実に本番で動いているようにする。いわばAquaがコンテナの関所になるから、悪者が不正なイメージを挿入することが困難になる。しかしコンテナの短命という性質が、何かがこっそり入り込むことを許してしまう。DevOpsがいるところなら、欠陥コンテナを取り外して新たに証明されたコンテナに迅速に入れ替えるのも簡単だが。

同社は150名の社員がボストン周辺のオフィス、そしてR&Dチームはイスラエルのテルアビブにいる。今回の新たな資金で同社は、営業とマーケティングそしてカスタマサポートを充実させたい、と言っている。またプラットホームとしての能力を、サーバーレスコンピューティングなど新しい領域にも拡張したい。あれやこれやでDavidoff氏の皮算用によると、今から12ないし18カ月後には社員数は倍増、顧客数は3倍から4倍増を期待している。

これだけの資金があれば同社は今後のコンテナ化の拡大に遅れを取ることなく成長でき、プロダクションにおけるコンテナを安全に保ちたいと願う各社からの、セキュリティソリューションの需要に対応していけるだろう。

関連記事: Four years after its release, Kubernetes has come a long way(Kubernetesの誕生後の4年は長い旅路だった、未訳)

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オンライン学習の仏OpenClassroomsが修士号取得のためのAIコースを開設

フランスのオンライン学習コースOpenClassroomsが、新しいパートナーシップにより修士レベルのコースを始めようとしている。このコースに登録した学生は、人工知能に関する完全にオンラインの課程にアクセスできる。そして卒業したら企業に就職し、この事業のパートナーであるマイクロソフトも一部を雇用するだろう。

OpenClassroomsは、さまざまなテーマに関する人びとの学習意欲に応えるための、大規模でオープンなオンラインコースとして始まった。そしてその後、完全な卒業証書と学位をもらえる6か月から数年を要する長期コースも始めた。

OpenClassroomsはフランスの正式な学位を提供し、今後アメリカやイギリスでも同じことをしようと計画している。毎週メンターと対話して進捗状況を話し合えるから、完全な自学自習ではない。同社の場合、このやり方がとてもうまくいっている。

オンラインのコースは、学位を取るコストが通常の大学より低いし、時間/日/学期などのスケジュールの組み方に柔軟性がある。また同社は、卒業後6か月以内に就労できることを保証している

最近OpenClassroomsは、企業とパートナーして新入社員教育を提供している。その間新人は、週に数日出勤し、他の日はネットでOpenClassroomsを受講する。企業はそれにより各新人社員の適性がわかるし、一方社員は自分で金を払って基礎知識などを学習せずに済む。OpenClassroomsにお金を払うのは、社員ではなく企業だ。UberやDeliveroo、Capgemini、BNP Paribasなど数十社が、この新入社員教育事業を利用している。

マイクロソフトは、OpenClassroomsのデータサイエンスや機械学習、人口知能一般など学位取得コースの構築を助ける。同社は、学習コンテンツと実習プロジェクトの両方を提供する。最初の受講生は、フランスとイギリスとアメリカの計で1000名を予定している。

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安心して犬を飼うための良質な人間関係を構築するGood Dog

私は今、自分ちで犬を飼いたいと思っている。でも、まず、犬を見つけるのが思ったほど簡単ではないことに気づく。犬を手に入れられる場所は、ブリーダーやシェルターやドッグレスキューなど山ほどたくさんあるが、それらの施設や人びとのやってることがどこまでまともなのか、それが分からない。良質な提供者を、どうやって見つけるのか。

そんなとき助けてくれるのがGood Dogだ。同社は米国時間4月1日、David Tisch氏が率いるBoxGroupやFelicis、Slow Ventures などから670万ドル(約7億円)を調達した。今日立ち上がったばかりのGood Dogは一種のマーケットプレイスで、事前によく調査したブリーダーやシェルター、レスキューなどが自分たちの持ち犬を紹介するセンター的なサイトでもあり、ここ1カ所で納得と満足ができる犬探しを目指している。

Tisch氏はこう声明している。「JoshとLaurenにGood Dogの始まりから関われたことは幸運だ。自分でも犬を探してみてすぐにわかったのは、その過程が完全に破綻していること、だから720億ドルのペット市場には大きな機会が開けていると言える」。

Good Dogの共同ファウンダーであるLauren McDevitt氏とJosh Wais氏は、eコマース大手Jet.comの社員だったが、犬を家族の一員にしたくなって犬探しをしたとき、アイデアがひらめいた。McDevitt氏によると、犬探しでいちばん苦労したのは犬に関するスタンダードと、それを熟知したプロの不在だ。ドシロートのいいかげんな活動や商売が多いようだ。

彼女は曰く「どれがいいのか悪いのかさえ、わからない。誰のやってることが正しいのかもわからない。犬を危険な状態に置いている人たちもいるから、いい意思を持った人間がいい犬を見つけることが、とても難しくなっている」。

Good Dogは、犬を世話するために人間がやるべきことを、人々に教育することに力を入れている。また、この人たちにはどんな犬がいいかという相性も大事にする。それから同社は犬を探している人たちに、信頼できる、動物への注意の行き届いた提供者のプロフィールを調べさせ、彼らとの結びつきを取り持つ。

その際、位置やシェルターを指定できる。犬種だけを指定してもいい。

Wais氏はこう言う。「我々のミッションはいい人といい提供者を結びつけて、悪い人たちを減らすことだ。ペット業界はとっくに破綻しているから、このような人と人を結ぶ仲人業によって無責任な提供者を減らしていけるだろう。そこに、うちの商機がある」。

今のところGood Dogは全米の1000人を超える責任ある提供者からの犬を紹介している。提供者は、Good Dogに載せる前に同社独自の基準でふるいにかける。それにより、犬の健康や社交性(人慣れ)、安全性に配慮した提供者だけをGood Dogから紹介する。

ユーザーが犬を決めて実際にそれを買ったとき、Good Dogはおよそ100ドルの料金をいただく。ブリーダーやシェルターやドッグレスキューには課金しない。また犬の提供者は、Good Dogにお金を払っても載せてはもらえない。

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ウェブアプリのセキュリティを組み込みモジュールで提供するSqreenが約15億円を調達

ウェブ

アプリケーションやクラウドインフラのセキュリティを向上させるSqreenが、シリーズAのラウンドで1400万ドル(約15億円)を調達した。ラウンドをリードしたのはGreylock Partners、これに既存の投資家Y CombinatorとAlven、およびPoint Nineが参加した。

Sqreenは、ユーザーのコードを書き換えたりファイヤーウォールを置いたりせずにセキュリティを改善する。その意味で同社のやることは、New RelicやAppDynamics、DataDogのようなパフォーマンス管理企業に似ている。

共同創業者でCEOのPierre Betouin氏はこう述べる。「今では多くの戦略的タスクがエンジニア主体のやり方で扱われている。パフォーマンス、デプロイメント、ログモニタリング、エラー管理等々、どれもそうだ。でも、セキュリティが抜けている」。

ユーザー企業にセキュリティ専門チームを置く余裕がなければ、Sqreenがその企業のウェブアプリケーションの問題発見とフィックスを助けてくれる。サーバーにSqreenのライブラリパッケージをインストールして数行のコードを書き加えれば、アプリケーションにSqreenのモジュールが加わる。

すると、Sqreenのマイクロエージェントが常時動いてアプリケーションをモニタしている状態になる。そしてSqreenのダッシュボードを見ればセキュリティホールが分かる。オプションでリアルタイムのプロテクションモジュールを動かしてもいい。

Sqreenは最近サービスの機能を拡張して、これまでよりも多くの脆弱性に対応できるようになった。SQLやXSSのインジェクションに対抗するセルフプロテクションモジュールは前からあるが、最近Sqreenはアプリ内Webアプリケーションファイヤーウォール(Web Application Firewall)、というものを導入した。そのほか、アカウント乗っ取り対策や悪質ボット対策もある。

このようにSqreenのアプリケーションセキュリティ管理プラットホームはモジュール構造なので、ユーザーは必要なモジュールだけを動かしておける。Sqreenはユーザー企業のクラウドインフラのセキュリティの概要を示してくれるので、各ユーザーが万全のセキュリティを整えることができる。

Sqreenは現在、Node.JSやRuby、PHP、Python、Java、そしてGoで書かれたWebアプリケーションに対応している。Sqreenをデプロイすると、若干CPUのオーバヘッドは増える。現在のクライアントは、Le Monde、Algolia、Y Combinatorなどだ。

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Salesforce Ventures初のハードウェア投資先はエンタープライズドローンのKespry

業務用のユーザーにサブスクリプション方式でドローンサービスを提供しているKespryは米国時間3月27日、Salesforce Venturesからの資金調達を発表した。それは、Salesforceのベンチャー部門としては初めてのハードウェア方面への投資だ。これによりSalesforceとKespryとのパートナーシップが実現し、前者の保険業界向けツールに後者のドローンサービスが統合されることになった。資金の調達額は公表されていないが、Salesforce Venturesのそのほかの投資に比べて相当大きいと思われる。

2013年に創業されたKespryは、主に鉱業や骨材業界(砂利、砕石など)に強く、ドローンで撮影した画像から採掘容積を求める。その他に同社は、最近では建設や保険、エネルギー部門にも顧客を広げている。

CEOのGeorge Mathew氏によると、Kespryの現在の顧客は300社あまりで内200社以上が鉱業と骨材業界、そして40社以上が過去1年以内の新規登録ユーザーだ。

今は、ドローンも人気の盛りを過ぎたかもしれないが、同社のように初期にニッチ市場を見つけた企業は好調だ。CEOはこう言う。「今では活用範囲が広がっているからドローンビジネスは活気があり、また変化も激しい。うちはもっぱら商用利用に目をつけてきたから、産業界の非常に難しい課題にも対応できる。しかしドローンで大規模で有効なビジネスモデルを見つけるのは容易じゃないから、問題を抱えているドローン企業もある」。

彼によるとKespryが好調な主な理由は、そのサブスクリプションモデルと顧客にエンドツーエンドのハードウェアとソフトウェアのソリューションを提供していることだ。

Salesforceからの投資は、ある業界イベントでCEOのMarc Benioff氏にたまたま会ったことがきっかけだ。Salesforceは保険業界向けの業種特定型アプリケーションを目指していたから、当然そこにはKespryの役割もあった。「大きな災害などのあとには保険会社への支払い請求がどっと押し寄せる。すると保険会社は、大量の土地や建物の被害の査定を短期間でしなければならない。明らかにそれは、ドローンの出番であり、その需要は今きわめて多い」とMathew氏は言う。そんな場合Salesforceのツールを使って査定官を現場に送り込むが、彼ら請求査定官は今度はKespryのサービスを利用してドローンを飛ばし、家の屋根がどれぐらい壊れているかなどを調べる。

KespryはSaleforceとのパートナーシップの一環として後者のPledge 1%プログラムに登録している。それは、社員の全労働時間の1%を企業の社会的責任とチャリティ努力に投ずるという企画だ。

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Ustreamの元CEOが高効率電動モーターのスタートアップLinear Labsを創業

電動モーターを開発しているLinear Labsが、Science Inc.とKindred Venturesが率いるシードラウンドで450万ドル(約5億円)を調達した。同社のモーターは、自動車やスクーター、ロボット、風力タービン、そして空調機など、さまざまな用途に使われている。

投資家のChrisおよびCrystal Sacca、Saltwater VenturesのRyan Graves、Dynamic SignalのCEO Russ Fradin、Masergyの常勤会長で元CEOのChris MacFarland、Ustreamの協同ファウンダーGyula Feherらも、このラウンドに参加した。

創業4年になる同社の創業者であるBrad Hunstable氏とFred Hunstable氏によると、彼らはこれまでよりも軽くて柔軟性のある電動モーターを発明した。彼らは世界各地の低開発国の小さなコミュニティで、きれいな水を汲み上げたり、水力発電に使うデバイスを設計しているときそのモーターを着想し、Hunstable Electric Turbine(HET)と名付けた。

Linear Labsは現在50の特許を出願しており、内21件には特許が下りて、29件はまだ審査中だ。

二人の創業者には、起業家と電気工学の経歴がある。Brad Hunstable氏は、ライブのビデオストリーミングサービスUstreamの元CEOで創業者だが、それは2016年に1億5000万ドルでIBMに売った。Fred Hunstable氏には電気工学と原子力技術の経歴があり、EbascoとWalker Engineeringで、電気のインフラストラクチャや、環境およびエンタープライズのプロジェクト、また高度な安全性評価事業の、設計とアップグレードを担当した。

同社によると、HETは状況の変化や多様な状況に適応できる複数のローターを使っている。永久磁石を使ったモーターに比べてトルク密度は2倍、電力密度は3倍ある。出力は同じサイズのモーターに比べて2倍、レンジは10%以上大きい。

HETの設計は電気自動車のようなモビリティ用途に向いている。ギアボックス不要で高いトルクを産出するからだ。そのため、電気自動車の生産コストも低くなる、と同社は主張する。

「電動モーターが長年追い続けてきた夢は、ギアボックスなしで高いトルクを生むことだ。HETはそれを、小型軽量でかつ、従来のモーターよりも効率的なパッケージで実現している」とLinear LabsのCTOであるFred Hunstable氏が声明の中で言っている。

これにより、航続距離の長い電気自動車や、より強力な電気スクーターが実現するだろう。

テキサス大学の再生エネルギーと自動車技術に関する研究所(Renewable Energy and Vehicular Technology、REVT)を創設したBabak Fahimi氏によると、「この電気モーターはエネルギーの節約と信頼性の向上、および自動車の製造コストの削減に大きく寄与する」という。

同社はこのシード資金を、自分たちの発明を顧客に広めるマーケティング活動に使いたい、と考えている。同社はまた、人材も求めているし、最近確保した新しい人びとを同社のリーダーシップチームに加えたい、としている。具体的には、John Curry氏を社長に、Jon Hurry氏をバイスプレジデントにしたい。Curry氏はこれまで、KLA-TencorやNanoPhotonicsにいた人だ。Hurry氏は、TeslaとFaraday Futureで高い地位にあった。

画像クレジット: Linear Labs

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個人化サービスのDynamic Yieldをあのマックが買収、ドライブスルーのメニュー充実へ

マクドナルド(McDonald’s)が、「個人化(パーソナライゼーション)を行う企業Dynamic Yieldを買収することで合意に達した」と発表した。

発表にその価額は含まれていないが、情報筋によると3億ドル(約330億円)あまりだ。マクドナルドの、これまでの20年間で最大の買収だ。

Dynamic Yield自身の説明によると、同社はeコマースや旅行、金融、メディアなどの企業に、Amazonのような個人化されたオンライン体験の提供を可能にする。

マクドナルドによると、同社はその技術を利用してドライブスルーのメニューをそのときの天候や、お店の混み具合、メニューアイテムのトレンドなどに合わせてカスタム化する。またお客がオーダーを始めると、その選択に基づいて追加メニューをおすすめする。

実は同社は、2018年に米国内の数店でこのやり方をテストした。2019年には本格展開の予定で、その後国際展開もする計画だ。またこの方式をセルフサービスのキオスクやマクドナルドのモバイルアプリなど、他の部門にも導入するつもりだ。

マクドナルドの社長でCEOのSteve Easterbrook氏は、声明でこう述べている。「テクノロジーは私たちの回転率向上計画の重要かつ必須の要素であり、顧客に最大限の便宜を提供することによって顧客体験を向上させたい。この買収で弊社は、テクノロジーとデータが弊社の未来に演ずる役割を増強し、また、顧客により個人化された体験をより早く提供したいというビジョンの実現を早めたい」。

関連記事: McDonald’s begins testing Mobile Order & Pay ahead of nationwide launch:マクドナルドがモバイルによるオーダーと支払いをテスト中(未訳)

Easterbrook氏が述べている同社のテクノロジー導入計画は、2017年の3月に初めて発表され、そのときは同社のモバイルアプリや、同社の未来型店舗が強調された。

マクドナルドによると、買収後もDynamic Yieldはスタンドアローンの企業として操業を続け、既存および将来のクライアントにサービスを提供していく。また同社の中核的技術であるパーソナライゼーション技術への投資も続ける。

Crunchbaseによると、Dynamic Yieldはこれまでに8330万ドルを、Innovation Endeavors、Bessemer Venture Partners、Marker Capitalなどから調達している。またNaver(メッセージングアプリLineとSnowのオーナー企業)、Baidu、The New York Times、Deutsche Telekomなども同社に戦略的投資を行っている。

Dynamic Yieldの共同創業者でCEOのLior Agmon氏は、声明でこう述べている。「私たちは7年前に、顧客中心型の企業は個人化が中核的な営為であるべき、との前提のもとにDynamic Yieldを始めた。今回、マクドナルドのような代表的世界企業に加わり、人びとの日常生活に本物のインパクトを与える方法のイノベーションに取り組めることは、とても喜ばしい」。

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外回りの営業社員を効率的に管理するSkeduloが30億円のシリーズBを調達

企業の外回りの社員の管理を助けるサービスSkeduloが米国時間3月22日、マイクロソフトのベンチャーファンドM12がリードするシリーズBのラウンドで2800万ドル(約30億円)を調達したことを発表した。これまでの投資家BlackbirdとCastanoa Venturesもこのラウンドに参加した。

同社のサービスは、企業が外で動いている社員のスケジュールなどを管理するために必要なすべてのツールを提供する。小企業の多くはいまだにスプレッドシートとメールを使っているが、社員と仕事を正しくマッチングさせるといった管理業務をあまり効率的に行えない。

SkeduloのCEOで共同創業者のMatt Fairhurst氏はこう言う。「ワークフォース管理といえば従来はもっぱら、会社にいてほとんど1日中机にかじりついている社員が対象だった。でも2020年には労働者の圧倒的多数、80%がデスクレスになる、と予想されている。しかしこれまでは誰も、この増加する人口のニーズに十分な規模で対応してこなかった。エンタープライズは今、急速に変化している顧客と社員の期待に応えて競争力を高めようと、躍起になっている。そういう前向きな企業を助ける仕事には、本当にやりがいを感じる」。

SkeduloのサービスはモバイルのアプリとWebから提供され、同社が「Mastermind」と呼ぶエンジンが、社員と仕事を企業が定めた優先順に基づいて自動的に正しくマッチングする。同社は今回の資金で機械学習の機能を導入し、このツールを強化する計画だ。近くアナリティクスのツールと、人事や給与、財務管理などサードパーティのサービスとの統合も提供する予定だ。

また、とくにオーストラリアのブリスベーンとシドニーで60名以上の新社員を雇用したい、と考えている。

このラウンドの一環として、M12のプリンシパル(パートナーの下)であるPriya Saiprasad氏がSkeduloの取締役会に加わる。Fairhurst氏は次のように語る。「Priya SaiprasadおよびM12のチームとは、目的観が見事に一致している。彼らもまた、労働者の時間効率を上げるようなツールやサービスに投資したいと考えている。基本的には、Skeduloもそんな生産性企業だ。うちは企業とバックオフィスと外回りのワークフォースを助けて、仕事から無駄な時間を排除する。それによって企業と社員は、もっとも重要な仕事に時間を割り当てることができるようになる”。

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社員たちのスマホに第2番号を割り当てるMoviusが新CEOを迎え約50億円を調達

アトランタ出身のMoviusは、企業が社員たちの電話機の音声通話とテキストメッセージングに、仕事専用の別の電話番号を割り当てられるようにする。同社は米国時間3月22日、JPMorgan Chase(JPモルガン・チェース)が仕切るシリーズDのラウンドにより、4500万ドル(約50億円)の資金を調達した。これに既存の投資家であるPointGuard VenturesとNew Enterprise AssociatesおよびAnschutz Investmentが参加した。これで、同社の累計調達額は1億ドルになる。

さらにMoviusは、AdobeやSunの役員だったJohn Loiacono氏を新たなCEOとして迎えたことを発表した。Loiacono氏は、ネットワークアナリティクスのスタートアップJolataの創立時のCEOだった。

新CEOはこう言っている。「Moviusの商機はどんどん拡大している。地球という惑星の上のすべての企業でワークフォースが流動化しているが、それに伴い、さまざまな通信手段による顧客や社員たちとの安全な対話が難しい課題になっている。音声でも、SMSでも、あるいはそのほかの彼らが日常的に使用するどんな通信チャネルでもそうだ。私が今感激しているのは、すごく情熱的で実績のあるイノベーターたちのチームに加わろうとしているからだ。彼らはまさに、その難題のソリューションを提供することに、激しく燃えている人びとだ。この会社の成長の次の章を率いていくことが、楽しみである」。

Hyperloop Transportation Technologiesの最高戦略責任者(CSO)のSanjay Jain氏と、JPMorgan ChaseのTechnology Innovation, Strategy & Partnerships部門のトップのLarry Feinsmith氏が、Moviusの取締役会に加わる。

Moviusの現在の顧客数は1400社を超えている。そしてSprintとTelstra、Telefonicaなどがパートナーのキャリアだ。ここで重要なのは、Moviusが提供するものがスマートフォン向けのベーシックなVoIPアプリではない、という点だ。同社が約束しているのは、顧客にキャリア級の本格的なネットワークを提供して、彼らの社員のスマートフォンに第2の番号を割り当てることだ。そのため、社員が自分のデバイスを仕事に使っていても、雇用者は安眠できる。

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Webアプリのエラーの原因を早く見つけるLogRocketが12.2億円超を調達

Webサイトで訪問者がトラブルを体験するたびに、その企業の印象が悪くなる。だから、問題はできるだけ早急に解決すべきだ。そのための情報をWebサイトの開発チームに提供する、マサチューセッツ州ケンブリッジのLogRocketは米国時間3月21日、シリーズAで1100万ドル(約12.2億円)を調達したことを発表した。

このラウンドをリードしたのはBattery Venturesで、これにシード投資家のMatrix Partnersが参加した。未発表の400万ドルのシードラウンドを合わせると、同社の調達総額は1500万ドルになる。

創業者のMatthew Arbesfeld氏とBen Edelstein氏は幼なじみで、ともにボストンの郊外で育った。大学はMITとコロンビア大学に分かれたが、その後二人はサンフランシスコに移り、主にフロントエンド専門のエンジニアとして働いた。

LogRocket社のアイデアは、Webアプリケーションのエラーを調べるときの、彼ら自身のフラストレーションから生まれた。問題を見つけるために、手作業による調査をたくさんしなければならない。時間がかかりすぎる。そこから起業のアイデアが生まれた。

Arbesfeld氏はこう説明する: 「LogRocketは、ユーザーのすべてのアクティビティをリアルタイムで記録し、デベロッパーがトラブルシューティングをするとき、それらを正確に再現できるようにする。すると、どこで問題が起きたのかが早くわかるし、対策もしやすい」。

スクリーンショット提供: LogRocket

彼らのツールは、問題を起こしているアクティビティのHTMLとCSSのコードを捕捉し、その部分の操作のビデオも撮る。そしてエラーや問題が生じるとエンジニアはそのビデオを調べて、エラーが生じたとき彼または彼女が何をやっていたのかを見る。このやり方だと、問題の発見と解決がとても早い。

Arbesfeld氏によると、ユーザー体験の全体ではなく問題に関連したコードを捕捉するから、ビデオは本当は必要ない。「ユーザーがトラブった瞬間のコードを見つけて、問題領域にフォーカスできる」と彼は説明する。

ユーザーはそのデータに、LogRocketのダッシュボードからアクセスできる。また、Zendeskのようなヘルプデスクソフトウェアに統合してもよい。同社は今急成長中で、立ち上げから18か月で社員数25名、顧客数500社に成長した。顧客企業の中には、RedditやIkea、Bloombergなどがいる。

今回の資金調達は、彼らにとっては長旅の始まりだ。「顧客層をもっと広げる必要があるし、そのためには有能な営業とマーケティングの組織が必要だ」とArbesfeld氏は語る。「これまでのデータを活用すれば、トラブルが実際に起きてからではなく、前もって問題が起きそうな部分を見つけることもできる」と彼は言う。

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ディープラーニングを企業が使いやすい形で提供するSkymind、アジア市場開拓を目指す

Y Combinatorで孵化したAIプラットホームSkymindは、ディープラーニングをエンタープライズにとってアクセスしやすくすることがミッションだ。同社は米国時間3月20日、TransLink CapitalがリードするシリーズAのラウンドで1150万ドル(約12.7億円)を調達したことを発表した。これには、ServiceNow、住友のPresidio Ventures、UpHonest Capital、およびGovTech Fundが参加した。また初期の投資家であるY CombinatorやTencent、Mandra Capital、Hemi Ventures、そしてGMO Venturesらも参加した。これで、同社の調達総額は1790万ドルになる。

TransLink Capitalの存在が、今回の資金調達の目的を示唆している。TransLinkの得意技は、起業家のアジア市場開拓を助けることだ。Skymindもアジア市場に大きな機会があると信じているので、TransLinkのリードは理にかなっている。Skymindは、今度の資金で北アメリカにもチームを作り、顧客を獲得していきたいと考えている。

SkymindのCEOクリス・ニコルソン氏(Chris Nicholson)は、次のように語った。「TransLinkはこのラウンドのリードとして完璧だ。彼らは、北アメリカとアジアの間のコネクションの作り方を知っている。そこは世界でもっとも大きく成長している地域だ。そして、さまざまなシナジーの可能性もある。ServiceNowのような戦略的投資家の参加と、住友のPresidio Venturesが初めてわれわれを支援してくれたことも、すごく嬉しい。ServiceNowとはすでにコラボレーションしており、そこではSkymindのソフトウェアが、彼らが展開する強力で新しい技術の一部になっている」。

今では誰もが知っているように、エンタープライズはAIを何らかの形で採用しなければならないことを分かっているが、そのやり方が分からない。Skymindのツール、とくにそのコアプロダクトであるSKIL frameworkを利用すれば、データの取り入れ、洗浄、モデルの訓練、その実稼働までのワークフローを、データサイエンティストがこなせるようになる。つまりここでの同社の約束は、SkymindのツールがデータサイエンティストとITとの間にあるあるギャップをなくすことだ。

ニコルソン氏は語る。「AIにとって二つの大きな機会は、顧客体験の改善と効率の向上だ。そしてどちらもその源泉は、データに関するスマートな意思決定だ。それを、AIが行う。エンタープライズにとって重要なデータは、その多くがテキストと時系列データだ。前者の典型が企業や各部署のブログ、後者の例は会計経理のデータなどだ。したがってそこには自然言語処理と、ログのようなデータストリームに基づく意思決定の、膨大な量の需要がある」。

現在のSkymindの顧客は、前掲のServiceNowや、Orangeのような通信企業だ。またCiscoやSoftBankなど一部のテクノロジー系パートナーは、Skymindのサービスを自分たちのポートフォリオに統合している。

また、忘れてならないのは、Javaで書かれたオープンソースのAI/ディープラーニングライブラリとしていちばん多く使われているDeeplearning4jの作者が、Skymindであることだ。またPythonによるディープラーニングフレームワークKerasにも、同社が大きく寄与貢献している。

関連記事: Javaによるディープラーニングライブラリをオープンソースで提供するSkymind$3Mを調達

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Galaxy S10カメラアプリに技術導入、スマホにAI/MLを持ち込むPolarr

ベイエリアの写真加工スタートアップであるPolarrは米国時間3月14日の朝、シリーズAで1150万ドル(約13億円)を調達したことを発表した。この投資ラウンドをリードしたのはThreshold Venturesで、Pear VenturesとCota Capitalが参加し、同社によるとこれで調達総額は1350万ドルになった。

現在同社のアプリは、iOSやAndroidの写真アプリとしてよく知られている。機械学習とAIを利用して高度な写真編集ができるのが特徴だ。同社によると、現在の月間アクティブユーザー数はおよそ400万とのこと。

今回得られた資金は主に、研究開発とエンジニアリング、およびパートナーシップに充当される。パートナーシップは目下、Polarrにとってビッグビジネスになり始めている。というか同社は、この資金調達の発表の機会に乗じて、同社の技術がサムスンのGalaxy S10が搭載するネイティブのカメラアプリに利用されていることを誇示している。ほかにもこれまで同社は、QualcommやOppoなどのハードウェア大手とチームを組んだ経験がある。

資金調達を発表する声明の中で、同社のCEO Borui Wang氏はこう述べている。「ディープラーニングの計算がクラウドからエッジデバイスへシフトすると、高度でクリエイティブなAI技術をモバイルデバイスに持ち込む機会が増える。今回の資金調達ラウンドは、誰もが美しい創造ができるように、その気と能力を人びとに与えるわれわれのアプローチが、明確な支持を得たことの証だ」。

スマートフォンのメーカーはハードウェアのほかに、その画像技術でも製品の差別化を図ろうとしているから、Polarrの技術がますます重要になりつつある。サムスン、アップル、グーグルなどの企業の最新世代のハンドセットで注目すべき傾向は、AIとMLの最新技術に大きく依存して、頭ひとつ先頭に立とうとしていることだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Apache Sparkの技術を応用するDetermined AIがAI開発を民主化

深層学習では、データサイエンティストは、かなり反復的なプロセスによってモデルを設計し、GPUを利用したシステム上でテストすることになる。そうすることで、はじめて機能するものを手にすることができる。それには、多大な費用と時間がかかる。適切なモデルを仕上げるのに数週間かかることもざらだ。新しいスタートアップDetermined AIは、そこにメスを入れ、そのプロセスをより速く、安く、そして効率的なものにしたいと考えている。そして今日、1100万ドルのシリーズAの資金を得て忽然と表舞台に姿を現した。

今回のラウンドは、GV(かつてのGoogle Ventures)が主導したもので、Amplify Partners、Haystack、さらにSV Angelの協力も取り付けている。同社はすでに2017年、260万ドルのシードラウンドがあったことも発表した。現在までにトータルで1360万ドルを調達したことになる。

Determined AIの共同創立者兼CEOであるEvan Sparks氏によれば、これまでは、Facebook、Google、Apple、Microsoftのような巨大企業だけが、自動運転や音声認識技術など、高度なAIを生み出すためのインフラとシステムを構築することができたのだという。「私たちの考えでは、そうしたことが可能な大きな理由は、それらの大企業はみな社内にソフトウェアのインフラを持っていることにあります。それによって、機械学習のエンジニアとデータサイエンティストのチームは効率的に仕事ができ、素早くアプリケーションを生み出すことができるのです」と、Sparks氏はTechCrunchに語った。

Determined AIのアイデアは、クラスタ計算機のリソース管理からワークフローの自動化まで、すべてを扱えるソフトウェアを作成すること。それにより、大企業と同様の技術を、あらゆる組織の手の届くところに引き寄せることができる。「私たちの使命は、そのソフトウェアを他のみんなのために開発することです」と彼は述べた。ターゲットとする市場は、Fortune 500や、Global 2000に含まれているような企業となる。

同社のソリューションは、カリフォルニア大学バークレー校のAmpLabでの、ここ数年間の研究成果に基づいている。同研究室は、ビッグデータを扱うクラスタ計算機のフレームワーク、Apache Sparkを開発したことでもよく知られている。その研究室で培った知識を使って、顧客のGPUリソースをより有効に活用できるようにするための高度なソリューションを開発したのだ。

「私たちが提供するは、スケジューリングとリソース共有のための一種の基礎レイヤーです。それによって、そうした非常に高価なリソースを扱います。その上に、ワークフローを自動化するための、いろいろなサービスのレイヤーを重ねるのです」と、Sparks氏は説明する。これまでにチームが達成した最先端の成果によれば、現在ほとんどの会社が使っているツールに比べて、5倍から50倍も高速化を実現できるという。

今のところ、このスタートアップは、顧客が現在利用可能な一般的な種類のソリューションから、よりカスタマイズされたアプローチに移行するのを支援しようとしている。そこでは、Determined AIのツールを使って、AIの生産プロセスをスピードアップすることができる。今日のラウンドから得た資金は、成長を促進させ、エンジニアを増強し、ソリューションを開発し続けることを可能にするはずだ。

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

スマート秤がコーヒー好きの悩みを解消、焙煎したての豆をなくなる前に自動補充

あなたも、月に一度くらいは、コーヒー豆を切らしたことに後から気付いて、大きなため息をもらしたことがあるだろう。Bottomlessは、Y Combinatorの最新バッチに含まれる200を超えるスタートアップの1つで、カフェイン中毒者向けのソリューションを提供するもの。

共同創立者のMichael Mayer氏によれば、まだ確定ではないものの、36ドルの年会費を払い、ブレンドの種類の応じて毎回11.29ドルを払えば、コーヒー豆のストックが底をつく前に、Bottomlessが自動的に補給してくれる。どうやって?このスタートアップは、インターネットに接続された秤(はかり)をメンバーに無料で配る。メンバーは自分のコーヒー豆の袋をその上に置いておく。Bottomlessの秤が袋の重さを監視して、顧客のコーヒー豆が残り少なくなると、あらかじめ選んである種類の煎りたてのコーヒー豆を、なくなる前に配達してくれる。

よっしゃ、これでもうコーヒーを切らすことはない!

Mayer氏とLiana Herrera氏の夫妻が2016年にシアトルで設立したBottomlessは、Nike.comの元デベロッパーだったMayer氏が情熱を持って始めたもの。Bottomlessが十分な数の顧客を確保し、二人がこのプロジェクトにフルタイムで取り組んでも大丈夫と分かるまで、Herrera氏はシステム実装の専門家として働き続けた。それは2018年のことだった。何カ月か後、2回目の応募で、彼らはY Combinatorのアクセラレータプログラムへの参加を認められた。

Bttomlessのスマート秤

今日、Bottomlessには約400人の顧客がいる。さらにFour BarrelやPhilz Coffeeなどとも配給契約を結んでいる。YCが個々のスタートアップに提供する15万ドルの投資を含め、Bottomlessは、サンフランシスコやシアトル地区のエンジェル投資家から、プレシードラウンドをすでに獲得していた。

YCのためにサンフランシスコに引っ越す前は、Bottomlessの創立者夫婦はシアトルの自宅で無我夢中で働いていた。

「私たちはずっと、アパートに置いた3Dプリンターを使ってプロトタイプを作っていました。はんだ付けもアパートの中でやりました」と、Mayer氏はTechCrunchに語った。「私たちは、自分たちの住まいを、新しい製造工場に変えたわけです。そこらじゅうゴミだらけで、大騒ぎでした。それでもなんとか自分たちの手で、150個の製品を、指に火傷しながらはんだ付けして組み立てたのです」。

長期的な目標は、ペットフード、石鹸、シャンプーなど、いろいろな家庭用品の補充プロセスを自動化することだ。彼らの課題は、顧客の自宅に複数のスマート秤を置いてもらうこと。それは、デジタルアシスタントに指示して、Amazonにコーヒーや石鹸を注文するのとは違うのだ。

Amazonは最近、商品をセルフオーダーできる貼り付けタイプのIoTデバイス、ダッシュボタンを廃止したことを発表した。そのデバイスは、Google HomeやAmazon Alexaが流行りだす前の2015年に発売された。

それでも、なぜキッチンにスマート秤を設置するのか。デジタルアシスタントに、補給を依頼するのではだめなのか?Mayer氏によれば、コーヒー豆の品質が、競争力を保つ秘訣なのだという。

「私たちの最も熱心な顧客の中には、都会からかなり遠く離れた郊外に住んでいる人もいます。彼らは本当に新鮮なコーヒー豆が欲しいのです」とMayer氏は言う。「市街の中心部から20、30分も離れたところに住んでいたら、焙煎したてのコーヒー豆を手に入れる方法はないでしょう?」。

「サンフランシスコやシアトルのような都市なら、レストランがあちこちにあるので、煎りたてのコーヒー豆も簡単に手に入れることができると思うでしょ?」と、彼は続ける。「それは間違いないでしょう。でも、コーヒー豆の残りが少なくなってきたとき、買い足すのに最適な日を覚えておくのには、ちょっと気を使わなければならないのです」。

Mayer氏とHerrera氏は、自らをコーヒーの専門家だとは考えていない。現在、コーヒーの聖地とみなされているシアトルで、基本的に消費者に直売するコーヒー市場を運営しているにもかかわらずだ。

「私はポートランド出身で、ポートランドの人はコーヒーについて詳しいのです」と、Mayer氏は言う。「私は自分では、自分のことを熱心なコーヒー愛飲家だとか、コーヒー通だとか考えたことは、まったくありませんでした。とはいえ、そこらにいる一般的な米国人と比べれば、私はポートランド出身者らしく、よくコーヒーを飲む方だと思います。私がこの仕事を始める前に知っていたのは、コーヒー豆は新鮮なほど良い、ということだけです。本当にそれだけ」。

Bottomlessは現在、ベータユーザーとして顧客を募集している。このチームは来週、YC Demo Daysで投資家にプレゼンする予定だ。

画像クレジット:Bottomless

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

辛い葬儀を補佐するEver Lovedが本当の問題に取り組む

アリソン・ジョンストン氏は、死というものに関連するスタートアップを立ち上げようと考えていたわけではなかった。Googleに買収されたQ&Aアプリ「Aardvark」の初期の社員だった彼女は、InstaEDUという個人指導アプリを立ち上げ、それをCheggに売却した。彼女はマスマーケットの消費者向け製品を開発していたのだ。ところがその後、「私の家族が末期癌と診断されたのです。私は彼女のことをずっと憶えているにはどうすればよいか、と考えました」と、当時を思い出して語った。また別のソーシャルアプリを創り出すことは、それほど重要ではないと、すぐに判断した。

「私は葬儀業界について調べ始めましたが、身近に死を経験した家族を支援したり、案内したりするような拠り所となるものが、ほとんどないことに気付いたのです。オプションや価格について理解したり比べたりするのは難しく(いずれにせよ私がこれまで想像していたよりもはるかに高かったのですが)、そうした情報や、思い出を他の人と共有できるような良いツールもありませんでした」とジョンストン氏は語った。米国内では平均9000ドル(約100万円)にもなる高額な葬儀のコストと、いろいろなオプションを突きつけられて、ただでさえ危機に瀕した家族は、途方に暮れることになる。

Ever Lovedの共同創立者兼CEOのアリソン・ジョンストン氏

ジョンストン氏が起したEver Lovedは、葬儀に関する手続きの間、心の安らぎを提供したいと考えている。これは、葬儀場、墓地、棺、骨壷、墓石を比較して購入し、レビューできるサイトなのだ。価格のガイドを提供し、Amazonで人気のある葬儀商品を推薦して5パーセントのアフィリエイト料を受け取る。それによって、Ever Lovedが無料で提供する追悼サイト作成機能の経費をまかなっている。そのサイトでは、葬儀の詳細、思い出や追想を共有することができる。さらに家族は資金を募集して、自分たちの費用をまかなったり、慈善団体を支援することさえできるのだ。

このスタートアップは、1年ほど前にSocial Capitalと、多くのエンジェル投資家からシード資金を調達した。今では、毎月何十万ものユーザーがEver Lovedのショッピングサイトや追悼サイトを訪れている。Ever Lovedは、ゆくゆくは、独自に葬儀サービスと製品の販売サイトを立ち上げたいと考えている。そこでは販売代金の10パーセントを徴収し、葬儀社に対して商取引用のソフトウェアを販売する。

「人は死について語りたがりません。私たちの社会ではタブーなのです。それにほとんどの人は、前もって計画するということを、まったくしていません」と、ジョンストン氏は語った。人の死に際して必要なものを慌てて準備するというのは、とても辛いものだ。ジョンストン氏は、Ever Lovedがそのストレスをいくらか軽くすることができると信じている。「私は、シリコンバレーの人が、ほとんど経験したことがないような分野を探したかったのです。それは、若くて都会に住むプロフェッショナルのためだけのものではないのです」。

この老朽化した業界を近代化することには、多くの機会がある。そのためには、持続可能なビジネスモデルと、人の感情を大切にすることが不可欠だ。ジョンストン氏によれば、葬儀場の86パーセントは独立した会社なので、ハイテクを導入するリソースを持っているところはほとんどない。この分野の数少ない大企業としては、時価総額70億ドルで株式公開しているService Corporation Internationalがある。葬儀社や墓所を統括してはいるものの、価格の透明性を確保したり、苦難の最中にある家族のためにユーザー体験を向上させたりといったことは、ほとんど実現できていない。評価やレビューが公開されない場合が多く、顧客は選択肢が多過ぎる割に、高い金額を払わされることになりがちだ。

スタートアップとしては、たとえばFuneralWiseのように、直接競合する企業もある。この会社は、教育とフォーラムに焦点を当てているものの、しっかりした予約機能や、追悼サイト作成機能は備えていない。もう1つのFuneral360は、Ever Lovedの最大のライバルだ。しかし、Ever Lovedの追悼サイトの方が見栄えがよく、ステップバイステップで使えるより踏み込んだ価格見積もりと、葬儀場に関する詳しい情報も得られる。

ジョンストン氏は、終活関連の販売による利益を、Ever Lovedの追悼サイト作成、資金募集機能の財政基盤とし、無料、または安い価格を維持したいと考えている。それによって、市場の関心を高め、先導的な役割を果たそうというのだ。しかし、未だ誰もブレークしておらず、結婚サイトThe Knotの葬儀版になることができていない。

私は学生時代からジョンストン氏を知っていた。彼女はいつも際立った先見性を持っていて、ブレークしそうなものを嗅ぎ分けていた。かなり初期のBox.comでのパートタイム的な仕事から、AardvarkでのQ&Aやオンデマンド解答、さらにはInstaEDUによるオンライン教育の急成長に至るまで、彼女は大きな潮流の先頭を駆け抜けてきた。そして、日陰に置かれてきたビジネスを再構築することは、現在のハイテクにとって運命的に重要なのだ。

Amazonでは、価格とレビューを前もって調べることができる。それにならってEver Lovedは、米国の葬儀社の約3分の2から料金の見積もりを集め、実際に使った人々の声を募集している。それにより、誰でも近所にある4つ星以上の葬儀場をすぐに検索し、質の高い結果をすぐに得ることができる。一方、葬儀場側では、契約して自分のページを持つことができ、情報を提供できるのだ。

Facebookは、オンラインのイベントページを広めた。しかし、その融通の効かないアクセス権、万能的な雰囲気、反感のせいで、葬儀の詳細を公開するには、礼を失した場所のように感じさせるきらいがある。また、故郷を離れた人々にとって、新聞はそうした情報を適切に広める媒体ではない。Ever Lovedは、このような厳粛な瞬間のために特別に作られたもの。招待状の管理を容易にし、追悼記事を収集する場所を提供し、写真や思い出も共有できる。

GoFundMeページへのリンクをクリックしなければならないというのも面倒なので、Ever Lovedは追悼サイトの中に資金集めの機能を備え、てきるだけ多くの寄付を募る。ほとんどの人にとって、葬儀には貯金している金額以上の費用がかかるので、これは非常に重要だ。Ever Lovedでは、手数料が課金されるだけで、サイトの訪問者の意思でチップを追加できるようになっているため、一般的な資金集めのサイトほど高くつくことはない。

それから、「2つの重要な点は、私たちのサイトですべてを確実に予約することができること、そして死後に必要なことをサポートできることです」と、ジョンストン氏は続けた。というのも、葬儀は死後の手続きの始まりに過ぎないからだ。Ever Lovedは遺されたものの処理にも手を差し伸べる。「誰かが亡くなった後にしなければならないことは、文字通り何十もあります。社会保障事務所への連絡、銀行口座を閉じ、Facebookのプロフィールを削除すること…」。

ジョンストン氏によると、44%の家庭で遺産を分割する際にもめごとがあるという。そして、それには平均で560時間、フルタイムの仕事に換算して3ヶ月もかかるというのだ。団塊の世代に属する人は、今後30年でいなくなる。その際、その資産の30兆ドル分が遺産として相続されることになると、彼女は主張する。その一部だけでも相続できるようにするため、会葬者に遺産分割の一般的な方法を説明する手段を提供することで、争いを軽減することができるはず。その部分で、Ever Lovedは利益を得ることができるかもしれない。

「最初のころは、私も、これについて人々に話すことが気まずかったのです。私たちは死というものを嫌うので、いろいろな面で行動が妨げられているのです」と、ジョンストン氏は締めくくった。筆者自身の家族も、これに苦しんだ。死ぬことを受け入れるのを拒んだ結果、祖父母は自分たちがいなくなった後のことを計画することができなかった。「しかし私は、これは会話を始めるとても良い機会であって、決して沈黙すべきときではないと、すぐに気付きました。これは、人々がより多く話し合い、そこからより多くのことを学びたいと思うはずの話題なのです。ハイテクは、すでにそこそこの人生や仕事を手にしている人にとって、単にそれらをより良くするためだけのものでありがちです。ハイテクが悲劇を和らげられれば、シリコンバレーにとって歓迎すべき進化でしょう」。

画像クレジット:ProCollage

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

ベンチャーキャピタルのSFへの移転加速、アンドリーセン・ホロウィッツが年内に引越

トップクラスのベンチャーキャピタルが次々にサンフランシスコに移転する中、最後までシリコンバレーに踏みとどまっていたAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)がついに市内に引っ越すことに決めたようだ。事情に詳しい情報源によれば、Andreessen Horowitzは今年中にサンフランシスコにオフィスをオープンさせるという。

ウォールストリートジャーナル(WSJ)のさる金曜日の記事によれば、同社は180 Townsend Streetビルのリース契約にサインしたという。このビルはMLBのサンフランシスコ・ジャイアンツのホーム・スタジアムの付近にある(今年1月までAT&Tパークとして知られていたが、現在はオラクル・パークと改名された)。

我々の情報源によれば、「a16z(Andreessen Horowitz)はスタンフォード大学近くのサンドヒル・ロードの広大な敷地のオフィスを閉鎖するわけではない」という。同社は2009年の創立直後からここを本拠としてきた。情報源は「a16zはビル全体をリースするわけではない」と付け加えた(180 Townsendは延べ床面積が3800平方メートルもある)。

ここ数念、シリコンバレーの有力ベンチャーキャピタルがサンフランシスコにオフィスを移す動きが続いていた。a19zもこれに加わったことはベンチャーキャピタルの地理的重心が北に50キロほど移動するトレンドを確認するものだ。

サンフランシスコ市内にオープンしたベンチャーキャピタルはTrue Venturesだった。当初はウォーターフロント地区だったが、その後もっと便利なサウスパークに移転した。この近所にはKleiner Perkins、Accel、General Catalyst、New Enterprise Associatesといった名だたるベンチャーキャピタルがオフィスを構えている。

サンフランシスコの金融センターに近く、エンバーカデロとチャイナタウンの中間に位置するジャクソン・スクエアにもJackson Square Ventures、NextWorld Capital、 Catamount Ventures、Sway Venturesなどいくつかのベンチャーキャピタルの本社がある。

Andreessen Horowitzは同業他社がサンフランシスコやニューヨークにオフィスをオープンする動きにも影響されずメンローパークのサンドヒル・ロードを唯一の拠点として順調に活動を続けてきた。

しかし、我々のの情報源によれば、1年ほど前からサンフランシスコ市内にも拠点を設けることを真剣に考えるようになったという。最終決定に至ったのは最近のようだ。これで150人の社員の多くは毎日の長時間通勤の苦労が大きく軽減されるに違いない。社員の多くは市内に住んでおり、会社まで車で延々と走ることを余儀なくされていた。

もちろんいちばん要なのは、市内にオフィスを設けることで投資先のファウンダーとこれまでより密接にコンタクトできる点だろう。ファウンダーたちは静かすぎるシリコンバレーを好まず、サンフランシスコを拠点とすることが増えていた。

もちろんサンフランシスコの不動産価格は過去最高を更新し続けており、WSJの記事によれば、大手不動産業者のCushman & Wakefieldのオフィス賃貸料月額は2018年第4四半期現在で平方メートルあたり813ドルという記録的な額になっているという。これは前年同期比で6.4%のアップだ。

我々は有名アクセラレータ、ベンチャーキャピタルのY Combinatorが市内に適当な物件を探していると報じた。Andreessen Horowitzに続いてY Combinatorも今年サンフランシスコに引っ越してくることになるかもしれない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Y CombinatorのSam Altman社長が会長へ、後継者の計画はなし

シリコンバレーの多産なアクセラレーターY Combinatorの、著名な社長Sam Altman氏(写真中央)が社長を退いたことを、同社が米国時間3月8日に公開したブログ記事が共有している。

Altman氏は会長職へ移行し、YCの他のパートナーたちが昇格して彼の日常業務を引き受けるとAxiosが報じている。情報筋によると、Altman氏の後継者を立てるは予定はない。YCの中核的な事業は目下、CEOのMichael Seibel氏が率いている。彼は2013年に非常勤のパートナーとしてYCに加わり、20016年にトップの座に着いた。

このニュースが流れた今同社は、一連の変革の真っ最中だ。しかももうすぐ、3月18日と19日にはサンフランシスコで、200あまりの企業から成る最新のバッチのデモが行われる。上述のブログ記事でYCは、本誌TechCrunchが今週初めに報じた本社のサンフランシスコ移転の件をはじめ、変化の一部について詳説している。

それによると、「YCをその都市〔サンフランシスコ〕へ移すことを検討しており、目下スペースを探している。最近の5年間で新しいスタートアップたちの重心が明らかに変わり、マウンテンビューのスペースに愛着はあるものの、そこに固執するロジスティクス上のトレードオフにそれだけの価値があるかを再考している。とりわけ、バレーは社員の通勤が難しい。また、ベイエリアの同窓生たちに近い場所にいたいのだが、その圧倒的多くがサンフランシスコで生活し仕事をしている」。

本社を北へ移すだけでなく、最近のYCは参加者が大幅に増えているので、次のデモデーではステージを2つ使う。そして、ポートフォリオ企業への初期投資の額も増やす

Altman氏は2011年にパートナーとしてYCに加わり、2014年に社長に指名された。今後の彼は、調査研究企業OpenAIの共同会長職など、他の努力に傾注する。AltmanはYCの共同ファウンダーPaul Graham氏を継ぐ、同社2代目の社長だった。Graham氏は今、YCのアドバイザーだ。

関連記事: The Silicon Valley exodus continues主要VCの脱シリコンバレー傾向(未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

注目のコスメブランドGlossierからインスタ映えする新ラインが登場

主張しすぎないコスメのラインアップでミレニアル世代のインスタグラマーからカルト的な人気を誇るGlossier(日本未発売)が、初のスピンオフブランドとなるカラフルな「Glossier Play」を発売した。

美容ブログ「Into The Gloss」で人気を博したEmily Weiss氏は、トップクラスのD2C投資家であるForerunner Ventures、Index Ventures、IVPから合計9,200万ドルのベンチャーキャピタル資金を調達し、創業者兼CEOとしてGlossierをおよそ4億ドルのビジネスにまで成長させた。AIを利用したパーソナルスタイリングサービス、Stitch Fixの創業者Katrina Lake氏とForerunner Venturesの創業者兼ジェネラルパートナーKirsten Green氏が、同社の取締役に就いている。

Weiss氏は2014年に、クリーンなスキンケアと自然な美しさを提唱するGlossierを創業した。現在までにWeiss氏自身の持つ繊細でナチュラルな雰囲気を再現するかのような、すっぴん風メイクのための製品ラインアップを揃えて、D2Cビジネスを加速させている。1970年代のノスタルジアからインスパイアされたGlossier Playは、同社としては初めて鮮やかな発色やグリッターを取り入れた、テンションの上がる製品ラインだ。

Glossier Playブランドとして初めて登場したラインアップには、カラーアイライナー(15ドル)、ハイライター(20ドル)、マルチユースのグリッタージェル(14ドル)、「ビニールリップ」(16ドル)などがある。新製品がセットになった「The Playground」(60ドル)もある。

インスタグラムを活用した広告キャンペーンには、人気インスタグラマーのDonté ColleyとミュージシャンのTroye Sivanが起用されている。この新ラインのGlossier Play、そして今後のスピンオフブランドをもってすれば、Glossierはエスティローダーやロレアルといった既存の化粧品ブランドと戦えることになるだろう。化粧品市場は2024年までに7,500億ドルの規模になると推定されている。

ニューヨークに本社を構えるGlossierの従業員数は200人。同社のソーシャルメディアのフォロワーが200万人近くいて、しかもその数が増え続けていることを考えれば、従業員数は相当少ない。同社はTechCrunchに対し、2018年の年間売上高は1億ドルを超え、100万人の新規顧客を獲得したと語っている。 Glossierは、スキンケア、メイクアップ、ボディケア、フレグランスのカテゴリーにわたって計29種類の製品を販売している。

Glossierは、2019年中にさらに新ブランドを立ち上げる予定はなく、同社はブランドインキュベーターではないと明言している。

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(翻訳:Kaori Koyama)

アプリの正常アクセスに潜む犯行を見破り撃退するCequence Securityが1700万ドル調達

アプリケーションを、そのビジネスロジックに対する攻撃から護るCequence Securityは米国時間2月27日、シリーズBで1700万ドルを調達したことを発表した。

このラウンドはDell Technologies Capitalがリードし、昨年同社のシリーズAで800万ドルをリードしたShasta Venturesが参加した。これで同社の調達総額は3000万ドルになるという。

Larry Link CEOによると、同社の仕事はアプリケーションを一見正常に見える犯行から保護することだ。特に同社が探すのは、ビジネスロジックに対する自動化ボットの攻撃で、具体的な例としては、コンテンツの窃盗、アカウントの乗っ取り、嘘の悪評の拡散、ショッピングボット、偽アカウントの作成、在庫拒否などの悪行だ。

アプリケーションを護るための同社のサービスは、1)アプリケーションの脆弱性を見つける発見フェーズ、2)その傷口を悪用している者を突き止める検出フェーズ、3)攻撃を防御し追い払う防御フェーズ、以上の3段階で行われる。

スクリーンショット提供: Cequence Security

今回の投資をリードしたDTCのDeepak Jeevankumarマネージングディレクターは、Link氏を経験豊富で優れたリーダーと認識している。彼はPalo Alto Networksで営業を5年統轄し、同社の成長を助けた。Jeevankumer氏はCequenceの技術者チームも気に入っていて、彼らはSymantecのマルウェア対策プラットホームの開発に携わった連中だ。Jeevankumar氏はこう言う。「同社は、市場をよく知っているリーダーと、短期間でFortune 100社の信頼を獲得したサイバー技術者たちとの完璧な組み合わせだ」。

Jeevankumer氏が同社のやり方で好きなのは、アプリケーションの従来のセキュリティ戦略とはかなり違うところだ。彼は曰く「従来のWebアプリケーション用ファイヤーウォールやDDoS対策製品、RASP/IAST/DASTなどのアプリケーションセキュリティベンダーは、主にコードレベルの問題を見るので、ビジネスロジックレベルの攻撃には疎い。でも今では企業の多くが、ますます多くのセキュリティ投資を、そういう‘ビジネスロジックセキュリティ’に投じている」。

Cequence Securityは11月にステルスを脱した若い会社だが、Link氏によると顧客企業の案件の平均金額サイズは50万ドルとかなり大きい。今回の資金は主に、営業とマーケティングのチーム作りに充て、彼らの教育とともに、金融サービスやソーシャルメディア、リテール、ゲームなど、これまでこのタイプのセキュリティ、ビジネスロジックへの攻撃対策が比較的お留守だった企業を顧客にしていきたい、という。

同社が創業されたのは2014年だが、プロダクトの制作に時間を要し、やっと昨年ビジネスにこぎつけた。現在、34名の社員がカリフォルニア州サニーベールの本社で仕事をしている。社員数は今度の資金で相当数増やせるだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa