Windows10版のNetflixでもオフライン視聴が可能に

NetflixがiOSとAndroid向けにオフライン視聴機能のサポートを開始したのは昨年後半のことだった。そして、今日からWindows10のNetflixにも同じ機能が追加されることになった。ただし、Windows 10のモバイルデバイスには対応していない。本日アップデートされたばかりのWindows 10版Netflixアプリを利用することで、映画をダウンロードしてオフライン環境でも視聴できるようになる ― 旅行などの際には重宝する機能だ。

これを最初に発見したのは、MicrosoftやWindowsの最新情報を伝える非公式ニュースサイトのMSPoweruserだった。

Netflixのスポークスパーソンもこれを認め、「本日より、Windows 10ラップトップおよびタブレット版のNetflixアプリはオフライン視聴機能のサポートを開始します。今後も、本機能をさらに多くのユーザーに提供する方法を探し、Netflixをより簡単に楽しめるようにしていきます」とコメントしている。

iOSとAndroidの場合と同様、著作権の関係上、この機能ですべてのタイトルをダウンロードできるわけではない。オフラインで視聴可能なのは、Netflixのオリジナル作品とライセンス取得済みのタイトルだけだ。

しかし、Netflixのオリジナル作品は数多くある。だから、この機能によってダウンロードできる作品数は少なくない。Stranger Things、House of Cards、Orange Is the New Black、Narcos、The Crown、Bloodline、Sense8、そしてスタンドアップコメディやドキュメンタリー作品など、ダウンロード可能なタイトルには人気作も多い。

ダウンロード可能な作品のリストはすべてのOS(iOS、Android、Windows10)で共通しているが、利用する国や地域によって多少の違いはあるだろう。

ダウンロードは簡単だ ― 作品紹介の画面にある「矢印ボタン」をタップするだけでいい。「Available for Download」というセクションでダウンロード可能な作品だけをチェックすることもできる。 また、「My Downloads」ではダウンロード済みの作品を管理することが可能だ。

Netflixによれば、この機能は今日から全世界のWindows 10ユーザーに提供されるそうだ。

ただ、この機能をいち早く試したユーザーからは「ダウンロードができない」という声もあるようだ。サポートされたデバイスでダウンロードを試みても、「問題が発生しています」とのメッセージとともに「ダウンロードエラー」と表示されてしまうようだ(Netflixは現在このバグの修正を試みている)。

Windows10のNetflixアプリはこのリンクから入手可能だ。

Image credits: Windows Central

現金でAmazonアカウント残高をチャージ ― 米国でAmazon Cashがリリース

Amazonは米国時間4月3日、Amazon Cashと呼ばれる新しいサービスを発表した。提携する小売店で専用のバーコードを見せることにより、現金でAmazon.comアカウント残高をチャージすることができる。1度で15〜500ドルをチャージすることが可能だ。

Amazon Cashは今日から米国全土の従来型小売店で利用できる。CVS Pharmacy、Speedway、Sheetz、Kum & Go、D&W Fresh Market、Family Fare Supermarkets、VG’s Groceryなどが提携店となっており、同社は今後もこのリストを増やしていく予定。

PayPalもこれと似たサービスを提供している。PayPal My Cash Cardと呼ばれるサービスで、現金でPayPalアカウントの残高をチャージすることができる。このサービスもGreen Dotが開発するバーコードを利用したものだ。

PayPalの例と同様、Amazon Cashはまだオンラインショッピングを利用したことがないユーザー層を取り込むための策だ ― 現金で給与を受け取る人、銀行口座やデビットカードを持たない人、クレジットカードを利用しない人たちなどだ。FDICによる2015年の調査によれば、消費者全体の27%がこの「キャッシュカスタマー」と呼ばれる人々だという。

たとえ彼らがオンラインショッピングに利用できるお金を持ち合わせていたとしても、実際に買い物をするのは簡単なことではなかった。これまでは現金でAmazonのギフトカードを買って残高をチャージするしかなかったのだ。

また、このサービスは気軽にAmazon.comアカウントへチャージしておきたいという人々にもウケるかもしれない。

Amazon Cashがもつアドバンテージの1つが「即時性」で、小売店のレジでチャージすると即座にAmazon.comアカウントに反映される。いくつかのプリペイドカードは手数料がかかるものもあるが、Amazon Cashでは不要だ。

しかし、小売店で「Amazon Cash」と書いてあるギフトカードが売っているわけではない。その代わり、ユーザーは「amazon.com/cash」というURLにWebやモバイルからアクセスするか、Amazonのモバイルアプリで「amazon cash」と検索して専用のバーコードを表示する必要がある。Amazon Cashは同社のギフトカード機能にうまく統合されているから、AmazonのWebページにある「Manage Gift Card」というリンクをクリックしてもバーコードを表示できる。

このバーコードは再利用されるため、iOSの「Wallet」アプリに追加したり、Android端末のホームスクリーン上にショートカットとして追加しておくことも可能だ。

このサービスを利用するためには、まずバーコードをレジ係に見せ、いくらチャージするのか伝える。レジ係はそのバーコードをスキャンし、ユーザーがその分の現金を支払うという流れだ(スマートフォンをもっていなければ、自宅でバーコードをプリントしておけばいい。スマホの画面が割れている場合もこの方法で)。

チャージは即座に反映され、Amazonに掲載されているどんな商品にも利用できる。チャージをすると、登録されたEメールアドレス、電話番号、またはスマホアプリに通知される仕組みだ。

Amazon Cashは本日よりアメリカ全土で利用可能だ。

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(翻訳:木村拓哉 /Website /Facebook /Twitter

インターネットプロバイダーのプライバシー保護要件を無にする決定にトランプ大統領が署名

これで、正式に決まりだ。大統領が、昨年までのルールを覆す決定に署名した。インターネットのプロバイダがユーザーの閲覧履歴を集めたり売ったりすることを禁ずる、強力なプライバシー保護が、これでなくなった。

これは意外ではない。先週議会が承認したことを、ホワイトハウスが支持しただけだから。上院でそれは議決されたが、15名の共和党議員が下院の決定に反対した。

そのとき書いたように、問題のルールは年内有効になっていたので、すぐには事態は変わらない。ただし、Congressional Review Actという法律があるので、昨年と同じ主旨の法律をまた成立させ復帰させることはできない。

ブロードバンドのプロバイダーも通信企業と見なされるので、FTCの監督下にはないが、FCCはこれを覆そうとしている。実際にそうなるまでは、あなたのWeb閲覧は安全だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

楽天が米Blackstorm Labsと共同で新会社 ― HTML5ゲームのプラットフォームを提供開始

HTML5のゲーム開発者向けディベロッパーツールを提供するBlackstorm Labsは本日、楽天との共同出資により設立した楽天ゲームズから「R Games」と呼ばれるプラットフォームを正式リリースすると発表した。日本とアジアにおけるゲームのハブとなることを目指す。

昨年の11月にBlackstormと楽天がこのプロジェクトに取り組んでいると噂されていたが、それが今日正式に発表される運びとなった。Blackstorm共同創業者のErnestine Fu氏は、楽天と手を結むことでアジアのユーザーとの接点をもつことができ、アプリのディストリビューションを強化できると話している。Blackstorm Labsの技術を利用して開発されたアプリは、立ち上げまでの時間が短く、大きなファイルをダウンロードすることなしで通常のアプリと同じクオリティを発揮できる。

「新しい配信プラットフォームをつくりたければ、まずはそこに良質なコンテンツを用意しなければなりません」とFu氏は語る。「初期のコンテンツを用意するのは私たちですが、将来のどこかの時点では、より広範なディベロッパーにも参加してもらう予定です」。

楽天ゲームズのことを「ジョイント・スピンアウト」と呼んでもいいかもしれない。Blackstormが技術開発と社員教育を担い、そのあとに楽天にバトンタッチするかたちだ。楽天ゲームズには既に十数人のゲーム開発者が所属しており、Blackstorm LabsのHTML5関連技術を利用してゲームをリリースしていく。また、同社はタイトーなどと手を組んで「バブルボブル」や「パックマン」などのゲームタイトルを配信する予定だ。

Blackstormから楽天ゲームズに移籍した従業員はいない。もし同社が追加的なパートナーシップなどを望んでいたのならば、これはスケーラブルなシチュエーションだとは言えないだろう。しかし、Fu氏によれば、昨年後半に同社はHTML5ゲームのエコシステムというチャンスが存在すると確信したようだ。

「2日足らずでバブルシューティングゲームを開発しました ― 洗練されたものとは言いがたい出来でしたが」とFu氏は話す。「私たちはそのゲームを楽天に持ち込み、彼らとの対話をはじめました。すべてが『ラフ』なものでしたが、同時に新しい配信プラットフォームの可能性を見出した決定的瞬間でした。当時、HTML5は急速に変化していて、GoogleやAppleもその動きに加わっていました」。

今でもゲームはHTML5の主要な適用分野の1つだ。忠実度が高いゲームを開発することができ、Facebook Messengerなどのソーシャル・プラットフォームにも入り込むことができる。しかし、理論上はBlackstorm Labsがもつ技術をゲーム以外の分野にも適用することは可能だ。ダウンロードされたアプリと同程度のクオリティをブラウザ上で再現するという技術は他のユースケースにも応用できるだろう。

もしそうなれば ― それこそがBlackstorm Labsの主張なのだが ―、 アプリを配信するために雑然としたApp Storeを利用する必要はなくなる。アプリ本体がNews FeedやMessengerに貼り付けたリンクの中に埋め込まれ、しかもそのアプリは通常のものと同じように動作する。

ただ、この技術を広く普及させるまでの道のりはまだ始まったばかりだ。しかも、HTML5でゲームを動作させるのはどんなアプリよりも難しい。しかし、だからこそ同社は「ゲーム」をスタート地点として選んだのだ。

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(翻訳:木村拓哉 /Website /Facebook /Twitter

“Oath: A Verizon Company”という名称の長所と短所を考える

コーポレート・アイデンティティ!もちろん皆が大好きだ。いや、しかし、良いものに出会うことは難しい。どうやら“Oath: A Verizon Company.”(Oathは「宣誓」といった意味)という名前で行くらしい。すでに別の記事も投稿されているが、ここでは私はグループにフォーカスし、気が付いたことを述べたい(この別の記事“Yahoo + AOL = Oath”では、VerizonによるYahooの買収と、それに伴ってVerizonの子会社AOLとのブランド統合がOathという名前で行われることが書かれている、なおTechCrunchはAOLの子会社であるので、以下の記事もその視点からのものになる)。

長所:

  • これは、他のいくつかの企業のアイデンティティとは異なり、実際の言葉だ。
  • もし「カルトのためのTinder」に方向転換するなら良いブランドだ(Tinderは米国で有名な出会い系アプリ)。
  • フォントがきれいだ(ジオメトリック・サンセリフでは悪くなりようがない)し、私たちの青は、Facebook、Google、そしてTwitterのいずれの青とも異なっている。
  • 今のところグラデーションがない。

短所/その他:

  • Oathというのは誓いを立てる行為の別名だ。古代の Oath は極めて興味深いものだ。あなたはキリストを十字架に磔(はりつけ)にするときに用いられた釘を示す、”by god’s hook”、略して”gadzook”という言葉を知っているだろうか?それは、沢山のカラフルなOathのひとつだ。
  • “Take the Oath”(「宣誓せよ」)という表現は、基本的に恐ろしいキャッチフレーズのように響く。しかし、企業が押し付けがましい広告やトラッキング(失礼)、そして独占的なやりかたで収益を生み出そうとするとき、顧客に対して攻撃的な印象を与えかねない。例えば”Take the Oath and like it”(「宣誓し、それを愛せ」)といった具合に。
  • コロン(:)はあるものの、実際には何も宣誓されていない。何を約束するかを、私たちが決めかねているように響く。「これが私たちからあなたへの永遠の誓いです:『誓いは後からやってきます』」。
  • “taking the oath”という内部でのやり取りは、自殺協定もしくは、少なくとも何らかの流血を想起させる。私は公式な「忠誠の誓い」(Oath of allegiance)のためにこれを書く:

Weave a circle round Tim thrice, (Timの周りを3度回り)
And click your mouse with holy dread(神聖な怖れでそのマウスをクリックせよ)
For he on revenue hath fed, (彼の得る収入のために)
And drunk the MAUs of Yahoo sites.(そして飲み込むYahooサイトのMAUのために)

  • どうやらoath.comを登録し忘れているようだ。  (日本時間4月4日13:00現在)
  • “oaf”(無骨、のろま)のようにも響くし、あるアクセントを持つ人たちは実際にそのように発音する。残念ながら無骨者たちは、一般に思慮深いと思われていない。私たちが悪いわけではないだけに尚更残念だ。
  • 人びとが嘘を言わないようにと、裁判中表面的に誓約が行われる。また就任の際には、一般に「宣誓の下にあることを忘れないように」と念押しされる。いくつかの理由から、本当によい関係とはならない。「宣誓の下」であることは、新たな”A-o-hell”(AOL hell:AOLの使いにくさを揶揄した表現)なのかもしれない。
  • OAuthジョーク

まあ、もっと酷いものになる可能性だってあった。思いを巡らせてみれば、オンラインにあるものは、ほぼ全てが酷い名前を持っている。”Yahoo!”に慣れることができたのだから、”Oath”に慣れることだってできる。あるいは”Oath:”、もしくは”Oath: A Verizon Company”に。これがどのようになるものか、全く明快ではない。

(訳注:途中に引用された詩はSamuel Taylor Coleridge. (1772–1834)の、Kubla Khanのパロディ。なおTimはAOLのCEOであるTim Armstrongを指していると思われる)。

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(翻訳:Sako)

「トルコのStripe」、lyzicoがシリーズCで1500万ドルを調達

Eコマースサイトにオンライン決済機能を提供するトルコのフィンテック企業、lyzicoがシリーズCラウンドで1500万ドルを調達したと発表した。うち1200万ドルは今年初めに発表されていたものだ。

今回のラウンドにはロンドンを拠点とするVCのAmadeus Capital Partnersが加わり、300万ドルを出資している。ファーストクローズをリードしたのはVostok Emerging Financeで、その他にも既存投資家の数々、International Finance Corporation、そしてイスタンブールを拠点とするVCの212が本調達ラウンドに参加した。

「トルコのStripe」と称されることもある同社。サンフランシスコを拠点とする決済分野の有力企業であるStripeの潜在的な競合となりうる存在だ。しかし、Stripeは現在トルコでは事業を行っていない。lyzicoのターゲットはEコマースサイトなどのオンラインビジネスであり、同社はディベロッパーフレンドリーなプラットフォームを通して顧客に決済機能を提供している。

同社によれば、彼らのプラットフォームは24時間以内に導入可能で、PCI-DSSとBRSA(Banking Regulation and Supervision Agency)に準拠したセキュリティ性を備えている。2013年のローンチ以降、同社のプラットフォームは1万以上のオンラインビジネスに導入されており、登録アカウント数は20万を数える。

Amadeus Capital PartnersのJason Pinto氏はリリース上でこのようにコメントしている:

「トルコの急速な経済成長は力強い個人消費によって支えられています。そして、そのほとんどがクレジットカード決済によるものです。そのため、企業は洗練されたカード決済システムを用意し、そのニーズに応えなければなりません。モダンでかつ簡単に導入でき、急速に進化を遂げる決済システムをもつlyzicoに期待しています」。

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(翻訳:木村拓哉 /Website /Facebook /Twitter

AppleがGPUを自社開発中、これまでのサプライヤーから技術者数名を引き抜く

今では数社のスマートフォンメーカーが自社独自のモバイルプロセッサーを作っているが、しかしその中でAppleはさらに一歩進んで、グラフィクス用のプロセッサーも自社で
開発するようだ。

Appleからの公式発表等はまだないが、長年のパートナーであるImagination TechnologiesがAppleから聞いた話としては、同社は15ないし24か月後に、他社の知財であるGPUの使用をやめる、という。つまりそれは、自社製のGPUを使う、ということだ。

“Appleは、同社の製品をコントロールするために、単独で独立のグラフィクス(プロセッサー)の設計に取り組んでおり、将来的にはImaginationの技術への依存を縮小していく、と確言した”、Imaginationの声明文がこう言っている

カスタムGPUの期待は、パフォーマンスの向上など、iPhoneファンにとっては嬉しい話題だが、このイギリスのテク企業にとっては大打撃だ。Appleの多くのパートナーたちと同様に、同社も売上の大半をiPhoneのメーカーに依存している。ロイターの記事によると、この発表で同社の株価は69%下がったそうだ。

1年近く前に、Appleとしては珍しい情報開示により、同社がImaginationを買収するという噂を確認した。今Appleは同社の株の8%を保有している。しかし買収は実現せず、6か月後にMacRumorsが、Appleが同社のエンジニア数名をスカウトした、と報じた。それはたぶん、同社のグラフィクスプロジェクトを立ち上げるためだろう。

Appleのサプライヤーがこのように内部情報を公開することは珍しいし、もしかしたらそれはパテント抗争を始める前触れかもしれない。同社の声明文は、Appleが同社のIPに抵触することなく独自のGPUを開発することは、“非常に困難だろう”、と言っている。

しかし、“Appleの通知によりImaginationはAppleと、現在のライセンスとロイヤリティ合意に関する新たな新たな商業的取り決めを協議することになる”、とも述べているから、今後両社が何らかの協定を結ぶ可能性もありそうだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

AppleフェローのRich Pageがサラダ調理ロボットと「自動化による失業」について語る

最初に私たちがChowboticsのサラダ調理ロボットについて書いたとき、それはまだ単なるプロトタイプで、ちょっとした議論を巻き起こした。同社は、大きな食堂を持っておらず、フルタイムの調理人を雇う予算のない事業所へ、栄養価の高い食事を提供することを約束している。しかし、他の食品自動化技術と同様に、彼らのロボットSallyは、もしレストランの下働きコックを置き換えるなら、大勢の人びとを失業の危機に追い込むだろう。

今週、私たちはChowbotics会長のRich Pageにインタビューを行った。彼はSteve Jobsと一緒に働き、Appleでパーソナルコンピューターのデザインを開拓し、NeXT Computerの共同創業者にもなった人物だ。彼と、ChowboticsのCEOであるDeepak Sekarが、完成したロボットをTechCrunchに見せてくれた。Sallyはほどなく、コワーキングスペースから病院に至る様々な場所に設置され、サラダの提供を始める。

Sallyを自動販売機以上のものにしているのは、内部で使われているセンサーと様々な動くパーツだ、とPageが説明する。「自動販売機は単に物を落とすだけですが」とPage。「Sallyの中では重要な働きが行われています。プライマリー重量センサーによってSallyは各材料の使用量を調整します。どの材料が使われるかは、ユーザーの指示次第です」。

切り整えられたり、丸ごとだったり、あるいは液状になった材料が個別のチューブの中にストックされる。システムはそれぞれのチューブがドレッシングなのか、野菜なのか、あるいはチーズやその他のトッピングなのかを知っている。チューブは少なくとも1日に1度人によって満たされる。いずれかの材料が残り少なくなって補充が必要な際には、システムは顧客に通知を行う。

Cowboticsのサラダ調理ロボットSallyの内側に並ぶチューブ。

ロボットのデザインを十分にコンパクトに保ち、事業所や小売環境で繰り返し利用できる耐久性を実現することが、同社の乗り越えなければならない大きな課題だった。Sekarによれば、従来の「くしゃみガード」をつかったサラダバーではなく、ロボットによってサラダを衛生的に準備できるというアイデアを気に入った、病院からの問い合わせを受け続けていたということだ。

スタートアップは「職を奪う」ことに関しては心配しているのだろうか?Pageは同社を始めとする食品自動化とロボットの企業たちは、イノベーションの手を緩めるべきではないと語る。「既存の職業と、新しい職業の間には、いつでもトレードオフがあります。これは世界にある種の不満をもたらすでしょう。しかし、全体として見れば世界は進み、皆にとって全てが良くなって行くのです」。

Pageは、そのキャリアの初期に、タイピストたちがワードプロセッサによって置き換えられ、Apple IIで動作したVisicalcというプログラムによって紙が消えて行くのを眺め、色々と考えた。彼は言う「誰かを失職させたという事もできると思いますが、同時に生産性も向上させたのです」。

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(翻訳:Sako)

Adobe、Googleと協同でオープンソースのセリフ体CJKフォントを提供

数年前、AdobeとGoogleは協同で中国語、日本語、韓国語(CJK)のオープンソース・フォントを提供した。今日(米国時間4/3)両社はプロジェクトを拡大して、セリフ体CJKフォントを公開した。この新フォントをAdobeはSource Han Serif(源ノ明朝)と呼び、GoogleはNoto Serif CJKと呼んでいる。

最初のプロジェクトと同じく、Adobeのフォントデザイナー、西塚涼子がフォント全体のデザインを担当し、その後同社が中国、日本、韓国のいくつかの会社と協力して6万6635種類のグリフからなるフルセットのフォントを作り上げた(Source Serifに基づくラテン、キリル、ギリシャの各グリフも含まれている)。いずれのグリフも7種類のウェイトが提供される。つまり45万種類以上のグリフというラテン文字フォントとは比べ物にならない数を扱っている。

「アジアのようにタイプフェイスが非常に複雑な地域では、無料で利用できるということが非常に大きな利点だ」とAdobeの上級マネジャー、Dan Rhatigaは言う。「Source Han Sansは、AdobeとGoogleが協力して汎アジアフォントを世界に提供した最初の主要協同プロジェクトだった。セリフ体のSource Han Serifは、デザイナーの嗜好に新たな特徴を加えるだろう」。

前プロジェクトと同じく、Source Han Serifは画面表示に最適化されている。そして、Googleがこのプロジェクトを支援するモチベーションの少なくとも一部は、Androidに美しいCJKフォントを提供する必要性にある。

新しいフォントは、Adobeから北米および日本のTypekit(無料プラン)を通じて提供され、フォントファイルはGitHubでオープンソース・ライセンスに基づき配布される。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

自動コードレビュー「SideCI」提供のアクトキャットが2.1億円の資金調達

開発中もしくは運用中のソースコードを定期的にチェックしてコード品質の維持に貢献するサービス「SideCI」を提供するアクトキャットが今日、2億1000万円の資金調達を発表した。第三者割当増資によるもので、SBIインベストメント、みずほキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、KLabベンチャーパートナーズ、コロプラネクストが本資金調達ラウンドに参加している。アクトキャットは2012年創業で、これまで2016年3月の数千万円規模の資金調達を含めて、YJキャピタル、ベンチャーユナイテッド、インキュベイトファンドなどから累計で2億8600万円の資金を調達している。

SideCIは継続的インテグレーション(CI)と呼ばれているサービスに類した開発者向けのサービス。コーディング規約違反がないか、セキュリティーやパフォーマンス上、好ましくない書き方をしていないかなどの、いわゆるコードレビューを自動的にクラウド上(GitHub)で行うもの。アクトキャットによれば、このコードレビューは開発プロセス全体の15%を占めているという。現在対応しているプログラミング言語はRuby、PHP、Python、Goで、今後はJava、Swift、Scalaもサポート予定。利用料金は無料のお試しサービスをのぞくと、3つのプライベートレポジトリに対応する「マイクロ」で月額3200円から。SideCIは現在、日本、米国、ベトナムに顧客がいる。日本ではクラウドワークス、ピクスタ、VASILY、Life is Tech!、エネチェンジなどが課金ユーザーだ。また、SideCIは第2回Ruby Biz グランプリ 2016で特別賞を受賞している。

アクトキャット創業者でCEOの角幸一郎氏は、今回の資金調達を元にSideCIのグローバル市場への展開を加速すると話している。機能的には2016年8月には「負債カンバン」をリリースしているほか、現在はソースコード解析ツールの内製を進め、このツールのオープンソースコミュニティーへの貢献を行っているそうだ。SideCIはレビューに対しユーザーからのフィードバックを受けることができるようになっていて、今後は開発者たちから寄せられる内容をもとにレビュー内容自体を改善していく計画だそうだ。

Googleがモバイルサイトのデベロッパーのための資格認定事業を開始、ページロードのスピードに重点

Googleが今日(米国時間4/31)、モバイルサイトのデベロッパーのための資格認定事業を立ち上げた。試験の範囲は、モバイルサイトの特殊性、モバイルサイトのスピード向上策、モバイルの効果的なUXデザインなど。先進的なWebアプリケーション、といった高度なトピックも含まれる。

この試験に合格することの意義は、Googleによると、“高品質なサイトを作ったり最適化できる能力を示し、自分をGoogle公認のモバイルサイトデベロッパーとして宣伝できる”、だ。

学習案内(study guide)は、サイトのスピードに関する内容が多い。Googleによれば、モバイルサイトを訪れる人の多くが、ロードに3秒以上かかるサイトからは逃げてしまうが、モバイルのランディングページ(サイトの入り口ページ)の平均ロード時間は22秒だ。サイトが完全にロードされないでユーザーが逃げていけば、Googleの主要収入源である広告もクリックされない。

なお、試験はAndroidやiOSなど、特定のモバイルオペレーティングシステムを対象としてはいないが、Google独自のAccelerated Mobile Pagesプロジェクトはカバーしている。Google独自といっても、最近は多くの他社がこれをサポートし始めている)。

この新しい資格認定は、前からあるAdWordsやAnalyticsの試験と並んでGoogleのパートナー事業の仲間入りをする。ただしAdWordsは、試験が複数あるので、やや面倒だ。


[ページをスクロールさせるなどのアニメーションを実現するJavaScriptは何ミリ秒以内なら妥当か]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

レストラン即時予約サービス「TableCheck」が飲食店のインバウンド支援、第1弾は中国語に対応

「2400万人」、これは2016年に日本へ訪れた外国人観光客の人数だ。日本政府観光局の発表によると正確には2403万9千人。同局が統計を取り始めた 1964 年以降、最多の数字で前年に比べて21.8%増加している。

このような状況もあり、訪日外国人観光客を対象にしたサービスは非常にホットな領域の1つ。たとえばTechCrunchでも2017年に入って、インバウンド旅行者向け専用アプリ「WAmazing」や訪日外国人旅行者の行動データを解析する「inbound insight」などを紹介している。

宿泊施設やレジャー施設と並んで、訪日外国人観光客が増加することで大きなビジネスチャンスを得られるのが飲食店だ。言語の問題などいくつか障壁はあるものの、これをクリアできれば売上の拡大も見込める。レストランの即時予約ができる「TableCheck」もまさにそのような課題を解決しようとしているサービスの1つだ。

同サービスを提供するVESPERは4月4日、飲食店の訪日外国人観光客の獲得支援を強化することを発表。その第1弾として同サービスの中国語対応を開始するとともに、中国人観光客向けメディア「Go Japan」、飲食店向けの予約、決済サービス「日本美食」との連携を始める。

これにより中国人観光客は、TableCheck上に掲載されているレストラン情報の閲覧や予約を中国語で行えるようになったことに加え、日本美食と連携したことにより中国語で来店前の事前決済が可能に。飲食店側もGo Japanを通して集客力強化が見込めるほか、事前決済をすることで直前や無断キャンセルで発生する損失も軽減できる。

訪日外国人観光客の中でも、中国や台湾、香港といった中国語圏の観光客が半数以上を占めている。消費者側と飲食店側双方の需要が高く、まずはそこに対応していく形だ。

予約台帳システムTableSolutionと連動したレストラン予約サイト

TableCheckは2017年1月16日にリリースされたレストラン予約サイト。以前からVESPERが提供していた飲食店向けの予約台帳システム「TableSolution」の導入店舗のみを掲載している。この「TableSolutionと連動していること」が大きなポイントだとVESPER代表取締役の谷口優氏は話す。

「現状では予約サイトとお店の台帳システムが連動していない場合が多く、店舗が事前に席を割り当てる必要があり、記入漏れやオーバーブッキングが発生する原因となっていた。それでは台帳システムは単なる記録保存用のツールでしかない」(谷口氏)

その点TableCheckではTableSolutionと連動しているため、リアルタイムで席の空席状況を正確に把握しオンラインでの即時予約に対応できる。オンラインで予約できる席が限られることによる、機会損失の心配もなくなり、消費者にとっても飲食店にとっても利便性が高いという。

TableSolutionは2014年2月にリリースされ、現在1500店舗ほどに導入されている。2011年のVESPER設立当時、代理店業をやっていた際に「ネット予約が便利なことはわかっているし、導入したいけど管理のが大変」という飲食店の声を聞き、アナログだった予約台帳をデジタル化するツールとして開発された。

「予約台帳をきれいに整理しようとかではなく、飲食店がお客さんにスムーズに対応できるためのサービス、お店の課題を解決できるサービスを志して始めた」と谷口氏が話すように、トレタやエビソルといった競合も存在するが、目指している方向は必ずしも一緒ではない。お手頃で必要最低限の機能を備えたシンプルなサービスではなく、機能が充実している一方で操作になれるまでに時間がかかり、それなりの価格もする。(月額1万2千円、1万5千円、2万円の3プラン)

「本気で課題解決に活用してもらうためにはある程度の数の機能が必要になるし、しっかりしたサポートも不可欠。営業やサポート担当の中にはレストラン出身者やソムリエなど飲食店を経験している人間も多く、親身になってサポートできる体制が整っている」(谷口氏)

社内で重要視している指標もユニークで、導入店舗数ではなく「予約データ件数」。いかに使ってもらえるかにフォーカスをしているそうだ。その点では同数値が伸びていることに加え、新規申し込みの75%が同業他社からの切り替えという結果もでており、手応えを感じているという。基盤が整ってきたなかで2017年に入りTableCheckをリリース、そして今回のインバウンド獲得支援の強化と飲食店が抱える課題の解決に向けて新たな一歩を踏み出した。

「日本の人口が減少している今、飲食店は外国人の顧客をどんどん獲得していく必要がある。そのためには言語もそうだし、オンラインでの即時予約に対応していかないといけない。日本のレストラン市場の拡大や活性化を後押しするサービスにしていきたい」(谷口氏)

Googleマップメーカーが閉鎖

昨年11月Googleはマップメーカーのサービスを終了すると発表した。誰でもGoogleマップの編集に参加できるオンラインツールだ。2008年から長い間提供されてきたサービスで、地図上の場所の詳細や道路、店舗情報などをユーザーが訂正したり不足部分を追加したりできた。公式の地図や詳細な地域地図が入手できないことの多い新興地域では特に有効だった。

同サービスのヘルプサイトの投稿には、マップメーカーが2017年3月31日金曜日に正式に終了したと書かれている。

これまでにユーザーコミュニティは無数の箇所を編集、修正してマップを改善してくれた、とGoogleは発表文に書いている。

もちろんマップメーカーがいつも順調だったわけではない。コンテンツをクラウドソースに依存していることで時としてトラブルに見舞われた。AndroidキャラクターがAppleロゴに放尿している画像をGoogleマップに貼り付けるといういたずらに、マップメーカーが使われたことがよく知られている。その事件以来いくつかスパム攻撃を受け、Googleが一時的にサービスを停止してセキュリティを強化したこともあった。

しかし、やがて同サービスはGoogleのローカルガイドとの重複が増えてきた。ローカルガイドは、Googleマップのアップデートに寄与したパワーユーザーに報奨を与えるプログラムで、商業施設の情報更新を主目的としている。

マップメーカーの編集機能の一部、例えば場所の追加・編集、場所に関する追加情報の共有、編集の管理、編集状況の確認、最近では道路区間の編集などはローカルガイドに吸収されてきている。

Googleが道路区間の編集機能を発表したとき、近々ほかにも、未掲載道路の報告、全体経路の問題の報告、道路閉鎖やイベントなどのリアルタイム情報の報告などの機能を追加すると言った。

ローカルガイドでは今後もユーザーの貢献に対してGoogleマップの新機能の早期利用などの報奨を与えて、マップメーカーコミュニティの役割を引き継いでいく。Googleは、編集の交通整理機能も改善中だと言っている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

セカンドライフはなぜ失敗したのか、そしてclusterはVRリビングルームで何を目指すのか?

2000年代後半に一大センセーションを巻き起こした「Second Life」を覚えているだろうか? 凄まじい勢いでブームが燃え広がり、そしてほぼ何も起こらずに忘れさられていった、あの3Dアバターたちの住む「仮想世界」だ。

Second Life内の住人たち(image source: Wikipedia)

Second Life内では商行為も想定されていた。これは健康関連のアドバイス(image source: Wikipedia)

1990年代後半に登場したMMORPGは多数のプレイヤーが仮想世界で一緒に冒険に出たり戦ったりする多人数参加型ゲームだった。それまで技術的に不可能だった多数の同時接続とGPU進化を背景とした3Dグラフィックスの高い表現力によって、リアルな仮想世界(メタバース)が生まれた。そして2003年にスタートしたSecond Lifeは、このメタバースをゲーム目的以外で使った野心的なプロジェクト(スタートアップ)だった。Second Lifeという名称が示すとおり、そこはユーザーがアバターとして住まい、もう1つの人生を生きる世界。常識的に考えて人生に目的など存在しないが、Second Lifeも「無目的な仮想世界」だった。ドラゴンを倒すとか敵地を攻略するといった目的がなかったのだ。ただ、そこにはリンデンドルという仮想通貨があり、経済活動らしきものが存在した。だから「これは特大のビジネスチャンス到来!」とばかりにビッグウェーブに乗ろうとする人たちが(日本からも含めて)大挙してSecond Lifeのメタバースに乗り込んだ。そして、これといって何も起こらずに忘れられていった。

Second Lifeは何故失敗したのか? こういう問いに対して、そもそも何か有用なものが生まれるとなぜ思ったのか、と皮肉に問い返す人も少なくないだろう。ただ、日本のVR関連スタートアップ企業であるクラスター創業者の加藤直人氏のSecond Life失敗の分析と、いまその反省を取り入れて取り組もうとしている新しい仮想世界の考え方は傾聴に値すると思うのだ。

アバター密度の低さがSecond Life衰退の原因

クラスターが開発・運営する「cluster.」は、VRを使って多地点から参加できる仮想的なイベント開催プラットフォームだ。TechCrunch Japanでも過去2度ほど、そうお伝えしている。そのクラスターが2016年4月の5000万円の資金調達を挟んで準備を進めてきたプラットフォームを5月上旬にオープンするべく、本日より事前登録を開始した。VRで利用するにはHTC ViveかOculus Riftが必要だが、PC版クライアントもWindows、Mac用とも用意されている。

これまでクラスターの加藤CEOの話では、clusterは大規模イベントを仮想空間で行うためのプラットフォームという話だった。HTC ViveやOculus Rift、Gear VRなどのHMDをかぶって仮想空間で開催するイベント会場に「入って」いく。すると、そこには別地点から「入って」きているほかの参加者がいて、同じ発表者の画面を見ながらアバター同士でユーザーが交流ができる。そういう話だった。実際、昨年にはアルファ版サービスの段階で900人同時接続の仮装イベントを実現したという。以下のようなものだ。

サーバー側の処理能力的には1000人程度までは同時アクセス可能なので(ボトルネックはサーバーの帯域とクライアントの描画能力だそうだ)、物理的な会場を用意することなく大規模イベントが行えるプラットフォームというのが売りだった。

このコンセプト自体は有効であるものの、今回改めて加藤CEOに話を聞いたところ、仮想イベントとは違った世界観のサービスを5月リリースに向けて準備中だった。東京・五反田にあるクラスターの拠点でぼくが体験させてもらったのは、むしろ以下の画面のような「仮想リビングルーム」なのだった。

クラスター創業者 加藤直人氏

「弊社が提案するイベントも含めて、リリース初期には500〜1000人程度のイベントをやっていきたいと考えています。ただ、イベントはトリガーでしかありません。むしろ本命と考えているのは、少人数で長時間使うユースケース。clusterでは、誰でも仮想的な部屋を作れます。これはバーチャルのレンタルルームサービスなんです。そのバーチャルルームのVRポータルを狙っています」(クラスター加藤CEO)

加藤CEOの見立てでは、Second Life失敗の最大の理由は「過疎りやすい構造」だ。

「Second Lifeでは1つのワールド(シムと呼ぶ)に最大50人しか入れませんでした。さらに、ユーザーが自由に空間が作れたので(アバター)密度が低くなりがちだったのです」

Second Lifeでは同時刻にユーザーたちが集まる仕組みもなかったのでセレンディピティー頼みだった。延々と仮想世界をアテもなくさまよえるのは一部の熱狂的なユーザーだけだった。

一方、clusterは誰かがバーチャルルームを作ると、そこに人が集まる仕組み。まず生成された部屋にはユニークなURLが発行される。このURLは十分に長いハッシュ値を含んでいて、そこそこ機密性の高い部屋となる。ソーシャルでURLをシェアすると、これを見た人たちは誰でも部屋に入ってこれる。でも、特定の友人のみにメッセでURLをシェアすれば、ほかの誰もその部屋を発見することはできない(偶然にハッシュ値が発見されることは、まずない)。

このバーチャルルームは部屋を作った人が退室すると消えるようになっている。つまり存在する時間が区切られている。基本的に目的ベースで部屋を作ることを想定しているそうだ。Second Lifeと違い、場所も空間も限定されているのだ。

「集まるためのシステムを用意したいんです。これまでにもSkypeなどで4、5人でしゃべるというのはありました。でも、あくまで『ネット越しの体験』だったんです。VRで同じ部屋に入れば違います。その場に集まる、という体験を提供したいんです」

誰かの誕生日に家族や友人が集まったり、友だちとカラオケやゲーム、映画を楽しむといった用途、あるいは少人数の会議やセミナーをやるといったユースケースを想定しているそうだ。

「例えばゲームをしながら4人くらいでダラダラと話すような利用層。そこが大きいと思っています。そうなれば課金ポイントは変わってくるはず。コアな長時間ユーザーにプレミアムで課金してもらえる。最終的には場所貸しビジネスです」(加藤CEO)

密なコミュニケーションにはPCよりもVRが向く

5月のローンチ時には部屋は数個のテンプレートを用意するが、将来的にはカスタマイズや3Dオブジェクトのマーケットプレイス開設などもあり得るという。蓋を開けてみないと分からないものの、「例えば性的マイノリティーの方々が集まるとか、人気ブロガーがサロン的なものを開催するといったこともあるかもしれません。こちらが想定していない使い方が出てくるはず」(加藤CEO)

企業ユースなら朝会とか社内勉強会をclusterでやったりといったこともある。実際クラスターでは朝会は仮想空間の会議室でやるそうだ。

仮想空間内では巨大スクリーンを好きな位置に配置して、「みんなで見る」ことができる。音声は距離に応じた範囲で届く。マイクを握れば参加者全員に声が届く。この辺りは実際の物理的な世界に近い。ちなみにログは残すが録画はしない方針という。

サロンなどだと参加希望者の多くはVRデバイスを持っていないだろう。PS VRが売れているといっても、まだ出荷実績は100万〜200万台のレンジ。Oculus RiftもHTC Viveも100万台にも届いていない。加藤CEOはモバイルVRこそ本命とみていて「VRは(接続概念として)Apple Watchに近いものになる。ペアリングして使うメガネのようなデバイスがiPhone向けに出てくるのではないか」と予想しているそう。ただ、当面はVRデバイスを前提にはできない。このためclusterではPCでの参加も可能になっている。

開催側もPCでもオッケーだ。面白いのは「VRで入る」のと「PCで見る」ことのニュアンスの違いだ。

「密にコミュニケーションが取りたいならVRのほうががいいんです。でも、受動的にコンテンツを受け取るような、参加感が不要のときはPCでも構いません」(加藤CEO)

PCで参加すると自分のアバターは第三者視点で表示されている。自分で自分をみれる。ところがVRで入ると一人称視点になる。これが単なる「視聴」と異なることは、次のようなエピソードでも良く分かる。

「仮想空間のイベントで何百人というユーザーが集まったとき、みんな他のアバターと適度な距離を置くんですよ。実際にはアバター同士は(衝突せず)すり抜けるので、同じ位置に立ってもいいんですが、やっぱり気持ちが悪い。パーソナルスペースはVR空間でも存在しています」(加藤CEO)

配信サーバーに多数の視聴者がぶら下がる「ウェビナー」では参加者同士の交流というのはあまりない。でも、VRで同じ空間を共有していると、参加者同士がヒソヒソ話をすることもできるのだという。親しい人とテレビを見ながら感想を言ったり、感想を言わないまでも顔を見合わせるコミュニケーションというのがある。あれもコンテンツ視聴の重要な体験の一部だと思うが、そうしたものが徐々にVRで再現できるようになるのかもしれない。

clusterのバーチャルルームの利用は無料提供を予定している。マネタイズは有料イベントなどのチケット販売の30%課金ということを考えているそうだ。法人向け大規模イベントや、たくさんの人が集まるところをメイン市場と見ていないことについては、「人気コンテンツは人が集まるでしょう。でも、例えば人気スポーツ配信の放映権を取得したところで、そうやって集まる視聴者はプラットフォームには定着しません。すぐに離れていくでしょう」(加藤CEO)と考えているそう。また主催者側からミニマムチャージなどは課金しない。これはUstreamがプラットフォームとして失敗した原因だと考えているそうだ。

グローバル市場で見ればBigscreenAltspaceVRといった競合サービスがある。部屋の中に巨大ディスプレイがあるかのようなVR空間を提供するBigscreenは15万ユーザーと先を行っている。ただ、加藤CEOは「VRは最初から世界を取りにいかないと駄目だと考えています」と話していて、日本を足がかりに早い段階で世界市場に打って出たい考えだ。

書き起こしもやってくれるボイスメモアプリRecocoなら録音の大事なところだけ聞き返せる

記事を書くという仕事柄、インタビューを録音しておくことが多いのだけれど、録音データの問題は後から大事な部分が見つけづらいことだ。1時間分も録音データがあると、インタビューアーの数秒の発言がどのタイミングにあったか探すのに苦労する。今回、録音データの聞き返しを楽にするボイスメモアプリRecocoを試してみたので紹介したい。

Recocoは音声を録音しながら、自動で文字起こしを行い、簡単なタグとメモ機能がついているボイスメモアプリだ。Recocoを立ち上げて「録音をはじめる」ボタンを押すと、録音と書き起こしが始まる。録音画面の下部に「区分け」「ToDo」「お気に入り」のボタンがあり、音声の途中でちょっとしたメモやタグを残すこともできる。話題が変わった時に「区分け」タグ、タスクが指示された時に「ToDo」タグ、あとでもう一度聞きたい内容に「お気に入り」タグをつけることを想定していると、Recocoを開発する藤坂祐史氏は説明する。

Recocoの特徴は、録音中に付けたタグから簡単に録音内容を振り返ることができる点だ。保存したデータを開くと、右側に録音データを時系列を表すタイムラインがあり、そこから「ToDo」や「お気に入り」をどこに付けたかが一目で分かる。スライダーを動かすことで、すぐに聞きたい箇所に移動でき、書き起こされた文字も連動する。録音の再生倍率を変えることも可能だ。

今回、藤坂氏のインタビュー時にRecocoを使ってみた。正直なところ、アプリの書き起こしの精度は高いとは言えない。ただ、自動書き起こしであらかたの内容が分かるのと、自分で付けたタグ から聞きたい部分がすぐに分かるので記事を書く際、インタビューを聞き返すのに役立った。

ちなみに藤坂氏によると、書き起こしの精度はマイクの精度にもより、外付けのマイクをつけると改善する場合もあるとのことだ。

藤坂氏は、今年の春に筑波大学大学院に進学した。Recocoはもともと授業の復習に役立てるために開発した「Recture」アプリが元になっているという。授業を聞いている時は納得していても、数日経つと手書きのメモだけではどういう文脈だったか思い出せないことがあるだろう。Rectureは授業の録音データに「重要」や「質問」などのタグやメモを入れることで大事なところを分かりやすくし、電車の中でもバスを待っている時にも聞き直し、復習を促進するためのアプリと藤坂氏は話す。ただ、授業中に板書が忙しいとアプリにメモが残せないなど、Rectureをうまく活用できない場面もあり、そうした点を改良して汎用的に使えるRecocoを制作したそうだ。

Recocoは2017年2月にリリースし、ダウンロード数は1万まで伸びたという。また、Recocoは2016年度の未踏IT人材発掘・育成事業に採択されている。今後は、パソコンで取ったメモと音声データとを連動させたり、話している人を識別してテキストを起こしたりする機能を付け加えたいと話す。Recocoのマネタイズも考えているが、Recocoはまだ自分の納得できる品質ではなく、インターフェイスや音声認識の部分を磨きたいと藤坂氏は話している。

RecocoはiOSで利用できる。

インターネットのトップOSはAndroid―初めてWindowsを抜く

現在、インターネットとアプリに関して、モバイルはデスクトップと同様の重要な地位を占めている。このことを明瞭に示すレポートが発表された。これによれば、インターネットで利用されているオペレーティング・システムの数でGoogleのAndroidがWindowsを追い越したという。ウェブ・アナリティクスの有力企業、Statcounterによれば、Androidはインターネット利用において初めてWindowsより大きなシェアを占めた。

2017年3月期の Statcounterのネットワークにおけるインターネット・トラフィックでAndroidが37.93%を占めた。これに対してMicrosoftのWindowsは37.91%だった。なるほど僅差ではある。またこのデータは活動を示すもので、実ユーザー数ではない。しかしこの数年明らかになっていたトレンドが一つの節目を迎えたことを示すものといっていいだろう。

Statcounterのネットワークは250万のサイトのデータをベースにしており、これは月間150億ページビューを生成している。下のグラフで明らかなようにWindowsとAndroidのシェアは長期にわたって差を縮めてきた。MicrosoftがWindows Phoneプラットフォームの失敗でモバイル分野を失った影響が大きいことが感じられる。

Statcounter: Internet usage based on operating systems Match 2012-March 2017

興味深い点は、Appleがモバイル分野への移行を早い時点で行っていたことだ。2017年3月期ではインターネットにおけるAppleのモバイル・ユーザー(iOS)数はデスクトップ(OSX)の3倍近くとなっている。

Statcounter: Internet usage based on operating systems during March 2017

AndroidとWindowsをめぐるこうしたトレンドはかなり以前からのものだ。 Windowsはデスクトップを制覇したし、今後もその優位は続くだろう。しかし世界レベルでデスクトップ・パソコンのセールスはこの5年間減少を続けており2008年の水準に戻ってしまった。これと対照的に、 スマートフォンのセールスは増加を続け、Androidがインターネットで使われるOSのトップとなった。スマートフォンの成長はインドのような途上国で特に著しい。ここではAppleも売上を伸ばしているものの、Androidがスマートフォンの9割以上を占める中でニッチな製品にとどまっている

アメリカなど先進国市場ではiOSとAndroidの比率はそれほど極端ではないが、アジア、アフリカ、中東、ラテンアメリカなどでスマートフォンの利用が急増することがAndroidのシェアに有利に働いている。Statcounterの先週のレポートでは、途上国市場におけるAndroidのシェアは圧倒的だ。たとえばインドでは79%、インドネシアでは(72%、中国では57%などとなっている。ただし先進国ではデスクトップの比重が大きく、アメリカでは37%、イギリスでは35%、ドイツでは30%だ。

こうしたトレンドは世界のデベロッパーの売上にも影響を与えている。世界のiOSアプリの売上で中国市場がアメリカ市場を抜いた。Androidはユーザーベースの巨大さにもかかわらず、収益性ではiOSに遅れを取っている。

最近のApp Annieのレポートによれば、 2016年のアプリダウンロード900億回のうちiOSは250億回を占めており、残りはAndroidだった。にもかかわらず、アプリのパブリッシャーの売上総額350億ドルの大半はiOSが占めていた。

しかしこれも近く変わりそうだ。App Annieの予測では、途上国における圧倒的な優位性のために2017年にはAndroidアプリの売上がiOSを初めて上回りそうだという。そうなればこれも大きな節目といえるだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Teslaの時価総額がFordを抜いた―投資家の電気自動車への期待は高い

Teslaの時価総額がフォードを追い越した。

Google Financeによれば、今日(米国時間4/3)のTeslaの株式時価総額は474.6億ドル〔日本時間4/4 AM5:00現在487.7億ドル〕となった。Teslaより創業がちょうど100年早いアメリカを代表する自動車メーカー、フォードの株価は下落し、時価総額は448.9億ドル〔同453.1億ドル〕をつけた。GMの時価総額は510億ドルで、もはや射程圏内だ。

この株価の乱高下はTeslaに良いニュースが出て、反対にフォードには悪いニュースが出たことによる。第1四半期のTeslaの生産、出荷台数がアナリストの予測を上回って上昇したのに対し、フォードは主力商品の一角であるF-150ピックアップ・トラックの一部のリコールを発表した。また先月のアメリカ市場での売上が7%下落した。

Teslaの株価は2016年の後半以来、右肩上がりだ。株価は2016年12月の181ドルから大きくアップし、現在の291.54ドル〔同298.52ドル〕は新高値だ。しかし時価総額は話の一部にすぎない。

昨年、Teslaは7万6000台を出荷したにとどまり、負債も巨額だった。この間、フォード始め他の自動車メーカーはそれぞれ数百万台を売った。バランスシートも創業13年のTeslaよりはるかに健全だった。Teslaの強みは「世界最良の電気自動車を提供する」というプロモーションにある。この株価は将来の自動車エコシステムにおいてTeslaがカギとなる地位を占めることを投資家が期待していることを示すものだ。

画像: Darrell Etherington

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

筆頭株主Intelとの共同開発も進めるClouderaが上場申請

大方の予想通り、過去にIntelからの巨額出資を獲得したビックデータ企業のClouderaがIPOの申請を行ったことが明らかとなった。

S-1フォームで同社の財政状態を確認することができる。収益は伸びていて、2017年1月に終了した会計年度では2億6100万ドルを記録している。昨年同期における収益は1億6600万ドルだった。

最終損益は1億8632万ドルの損失。昨年の2億300万ドルと比べると損失額は減っている。フォームの「リスクファクター」の項には「近い将来に関して言えば、今後も損失が発生することが予測されます」と記載してある。

Clouderaの事業領域には多くの競合が存在することを同社は認識している。彼らは、HP、IBM、Oracle、Amazon Web Services、Hortonworksなどの企業を競合として挙げている。

2014年、IntelはClouderaに7億4000万ドルを出資した。当時のバリュエーションは41億ドルだ。しかし、IntelとClouderaのパートナーシップは財務的なものだけではない。S-1フォームによれば、この2社は大量のデータセットを処理するスピードとセキュリティ性を向上させるためのプロダクトの共同開発に取り組んでいるようだ。フォームには、「私たちが想定している共同開発の例として、Intelのアーキテクチャーに演算加速機構を組み入れることでデータを暗号化するスピードを向上させるという試みがあります。また、IntelとClouderaはSpot(インキュベーティング・プロジェクト)の開発にも取り組んでいます。これはオープンソースのサイバーセキュリティ分析プラットフォームで、ビックデータ分析と機械学習の技術によって想定される脅威を事前に警告するオープン・データモデル上に構築されたものです」と書かれている。

2008年まで遡った同社の累計調達金額は10億ドルだ。S-1フォームによればClouderaの筆頭株主はIntelで、発行済株式の22%を同社が保有している。以下、Accelが16.3%、Greylock Partnersが12.5%を保有している。

Clouderaが最後に資金調達を行ったのは3年前だ。IPOを目指し、かつベンチャー資金が投下された企業としてはその空白の期間は長かったと言える。ただ、この数年間Clouderaによる買収やIPOの噂は絶えなかった。

今回のIPOで主幹事を務めるのはMorgan Stanley、JP Morgan、Allen & Coの3社だ。Clouderaが上場するのはニューヨーク証券取引所(NYSE)で、ティッカーコードは「CLDR」。昨年は大半のテック系企業がNasdaqを目指していた一方、今年上場したSnap、Mulesoft、AlteryxなどはClouderaと同じくNYSEに上場した。

JOBS Actにより、企業は通常、ロードショーの約15日前に申請書類を公開する。つまり、企業と株式市場が安定していれば、実際の上場が行なわれるのは4月下旬から5月上旬になる可能性が高い。

株式の発行価格の合計は2億ドルだ。しかし、これはあくまで推定でしかない。実際の発行価格が最終的に決定するのは上場日の前日夜となる。

今回の上場により、Clouderaも最近のテック系企業によるIPOラッシュに加わることになる。閑散とした昨年の後に起こったIPOラッシュの先駆けとなったのは、今月はじめに上場したSnapだ。その後、Mulesoft、Alteryxがその流れに加わることとなる。YextとOktaもすでに申請を済ませており、彼らのデビュー戦は今後数週間のうちに行なわれると見られている。

直近に上場を果たした企業の成功、そしてポジティブな株式市場の動向によりIPOの「窓」は開いている。投資銀行と企業も株式公開に乗り気だ。

[原文]

(翻訳:木村拓哉 /Website /Facebook /Twitter

スクーがR&Dのための新会社、仕事の「パフォーマンス」に影響する因子探る

Schoo@me代表に就任した赤根浩平氏

参加型生放送によるオンライン動画学習サービス「Schoo」を運営するスクーは4月3日、100%出資子会社となる「Schoo@me」を設立すると発表した。Schoo@meでは、「人間のパフォーマンスの最大化」を目的とした研究開発やサービス提供を行う。

schooは、オンラインで生放送の授業をストリーミングするリアルタイム動画学習サービス。3000時間以上の動画教材を通して、IT系を中心としたスキルや知識を学ぶことができる。僕たちTechCrunch Japan編集部をはじめ日本マイクロソフトサイバーエージェントヤフーメルカリなどの企業から講師を招き、受講生同士や講師との生放送中の対話を通して理解を深めることができるのが特徴だ。

そんなスクーが立ち上げたSchoo@meは、研究機関との共同研究を通して人間のパフォーマンスを左右する要素とは何かを探っていくことを目的とした会社となる。

具体的には、同社はウェアラブル端末を利用して心拍や脳波などの生体信号を測定。それによって被験者の性格や特徴などを理解したり、例えば眠気や「好き・嫌い」などの因子がパフォーマンスにどのように影響を与えるのかを探っていく。Schoo@me代表取締役に就任した赤根浩平氏は、「これまでにもアンケートを利用した研究などはあったが、それは被験者が自覚的に答えた回答を参考にしたもの。私たちの研究では、被験者が無意識にもつパフォーマンス因子を測定していく」と話す。

ちなみに、実証研究や将来的なサービスでは既存のウェアラブル端末を利用し、自社で端末を開発する予定はないという。利用する端末の詳細は公開されていない。

研究開発を進めたのちに、同社はその成果を利用して人材マネジメントツールを開発していきたいとしている。「データによって社員の適正を判断するツールが増えているとは言え、現状では人事担当者の属人的な感覚で社員をどのポジションにアサインすべきか決めている企業は多いと思う。そこで、データによって完全に裏付けされた適正診断によって社員人事をサポートできるツールを開発したい」と赤根氏は話す。

同社がこの研究に成功すれば、親会社が運営するSchooとのシナジーもありそうだ。たとえば、受講者が装着したウェアラブル端末が「授業をあまり理解していない」と判断した場合、その受講者にのみ復習用の教材を用意するといったことが可能になるという。

Schoo@meの会長には現スクー代表取締役の森健志郎氏が就任するものの、実働チームは赤根氏を含む3人だ。現在27歳の赤根氏は、2012年に早稲田大学創造理工学部を卒業後、グリーにエンジニアとして入社。2014年にスクーに入社すると、同じくエンジニアとして全文検索機能や非同期パイプライン処理などの開発に携わってきた。

同社は今秋から実証実験を開始。今後1〜2年のあいだに研究開発を進め、2019年頃には前述した人材マネジメントツールのリリースを目指すとしている。実証実験や研究開発が中心となるためにイニシャルコストが大きくかかりそうだが、「今のところ外部からの資金調達は考えていない」(赤根氏)という。

生鮮野菜デリバリーサービス「VEGERY」が関東全域へエリア拡大、Android版も提供開始

野菜を中心とした生鮮食品のデリバリーサービス「VEGERY」。運営元のベジオベジコは4月3日、同サービスの提供エリアを関東全域に拡大し、同時にAndroidアプリの提供を開始した。

VEGERYは2017年1月にiPhone版がリリース。その際にはTechCrunchでも紹介したが、自社で直接契約した九州の農家の新鮮な野菜を、最短1時間で指定の場所に配送するサービスだ。これまでは都内5区(港区、渋谷区、世田谷区、目黒区、品川区の一部のエリア)を対象としていたが、本日より関東全域に対応する。なお即日配送は以前から対応していたエリアのみで、それ以外のエリアに関しては翌日以降の配送となるという。

ベジオベジコでは渋谷に自社の配送拠点を設け、約15人のスタッフが自転車やバイクで配送を行う体制を構築してきたが、今回エリアの拡大にあたって佐川急便とタッグを組む。同社の物流網を活用しながら、コストを抑えつつ対応地域の幅を広げた形だ。

1月のiPhone版リリース以降、想定以上のリピート率

iPhone版リリースから約2ヶ月が経つが、ベジオベジコ代表取締役社長の平林聡一朗氏によると「想像以上の反響があった」という。

「リリースから3月末までのリピート率が50%を超えているのが大きな特徴。この2カ月ちょっとで30回ほど利用しているユーザーもいる」(平林氏)

正式リリース前にステルスでサービスを提供していた際には1カ月以内のリピート率が30%だったというが、3月に関してはこの数値が70%を超えるほど伸びているという。提供する食材のラインナップも予定より前倒しで拡充し、野菜に加えて牛肉や豚肉、卵などを扱い始めた。これによって平均単価は想定していた2500円を大きく超え、現在では4000円ほどになっているそうだ。

iPhone版リリースと同時に根津にオープンしたリアル店舗「VEGEO VEGECO 根津」も当初の目標を達成しており、順調な滑り出しだという。VEGERYの利用者は約9割が女性で社会人や主婦が多い一方で、店舗を訪れる顧客には地元に住む高齢者の方も多いなど、それぞれ違った特徴が出ているそうだ。

「リピートしてくださる方も多いだけに、いかに一度使ってもらえる機会を増やせるかが今後の課題」と平林氏が話すように、今後VEGERYで注力していくのは利用できるユーザーを増やすとともに、初回利用のハードルを下げること。今回のAndroid版リリースや対象エリアの拡大に加え、アプリのダウンロード数を増やすための施策や、たとえばタイムセールのように利用のハードルを下げる施策の実施も検討していくという。

今後は拡大したエリアでの利用率なども踏まえて対象エリアをさらに広げていくことや、魚や鶏肉、お酒など食材ラインナップをさらに充実していくことも検討。平林氏が目指す「IT時代の三河屋」に向けてサービスの改善を進めていく。

「VEGEO VEGECO 根津」

「VEGEO VEGECO 根津」