米国のオンライン食料品販売は6月に7700億円を記録、2019年10月の1.3億円から新型コロナで急増

この数週間、米国経済の再開はゆっくりだが、米国人が再び店舗に殺到する様子を見せない代わりに、食料品のオンラインショッピングは記録的な売上高を更新し続けている。Brick Meets Click(ブリック・ミーツ・クリック)とMercatus(マーカタス)が米国時間7月6日に発表した最新の調査報告によれば、米国の4560万戸の世帯が必要な食料品の購入の大部分をオンラインに切り替え、配達サービスを利用したため、2020年6月の食料品のオンライン販売高は、5月の9%増となり72億ドル(約7730億円)を記録したという。

この数字は、米国が初めて新型コロナウイルス(COVID-19)によるロックダンを経験した2020年3月の40億ドル(約4300億円)を上回る。それ以来、食料品のオンライン購入は急増し、食料品を含むオンライン小売サービスへと多くの消費者が移行するに従い、4月には53億ドル(約5690億円)、5月には66億ドル(約7080億円)に跳ね上がった。

オンライン食料品販売の顧客ベースも、3月の月間アクティブユーザーが3950万件だったのに対して、6月は4560万件となったと報告書には書かれている。

注目すべきは、2019年10月にオンラインで食料品を買っていたユーザー数はわずか1610万件しかなく、総売上高は120万ドル(約1億2900万円)に過ぎなかったことだ。

この成長の要因は、単に食料品のオンライン購入に大量の人たちが流れ込んだというだけでなく、注文数の増加もあった。オンラインで食料品を買うのは、大量の「備蓄」のためだけではない。備蓄と備蓄の間に行われるもっと細かい週1回の食料品の調達や、牛乳やパンや農作物などの足の速い食品の買い換えもある。

「6月のスコアカード:オンラインによる食料品の配達および店舗受け取り」。左列上から「指標」「過去30日間の売上」「注文ごとの平均消費額」「過去30日の注文件数」「過去30日間のアクティブ顧客数」「頻度(月平均 / 顧客数)」。
画像クレジット:Brick Meets Click / Mercatus

今回発表された調査結果によれば、5月のアクティブユーザー世帯の注文の頻度は月1.7回だったが、6月には1.9回となりこの増加傾向を示している。

さらに、新型コロナウイルスのパンデミックによる顧客の需要の変化にともない、オンライン注文の対応能力を強化する独立事業者を含む小売店が増えたこともある。その結果、より多くの顧客がオンラインで買い物ができ、配達や店舗受け取りの時間帯の指定もできるようになって、売上げが増加した。

Walmart Grocery(ウォルマート・グロサリー)も、4月に追加料金を支払えば2時間で配達するという「特急」食料品配達サービスの運用試験を開始した(未訳記事)。これは、オンライン食料品顧客ベースに向けた新しいサービス能力の強化による直接の結果だと同社は話している。またInstacart(インスタカート)も、4月に販売窓口を増やそうと新機能を追加した(未訳記事)。さらにAmazon(アマゾン)、Walmart(Business Insider記事)、Instacart、Shipt(シプト)などを含む多くの小売業者が、オンライン注文数の増加に対応するための人材を増やしている。

6月に食料品のオンライン購入が増えた理由を消費者に尋ねると、新型コロナウイルスの接触を避けるためが一番だったと報告書は伝えている。特に44%の世帯が、家族の感染を「高レベル」で心配しているという。その数は前月から2ポイント増えている。またこの数値の上昇の要因は、ほぼ全体が60歳以上の購入者セグメントの9%という増加率によるものだ。

しかしマイナス面として、オンラインで食料品を販売する業者の選択肢が増えたことで、リピーターの確保が難しくなったことをデータは指摘している。6月の時点で、30日以内に同じオンライン食料品販売サービスを使う確率は、今のところ57%となっている。この数は5月から1ポイント増えているが、新型コロナ禍以前の2019年8月の74%というリピート率には遠く及ばない。

とはいえ、オンライン食料品販売に対する一般の関心は増加しつつある。オンライン食料品販売のアクティブユーザーと非アクティブユーザーを合わせたうちの32%が、この後90日以内に同サービスを「ぜひとも」または「きっと」利用すると答えている。この数は5月から2ポイント増えている。関心の強さは、当然のことながら、6月にオンライン食料品販売サービスを利用した世帯で57%と最も高く、非アクティブユーザー世帯はわずか17%に過ぎない。

今回の調査に使用されたデータは、6月(24日から25日)に1781名の成人の米国人から提供されたものだ。回答は国勢調査に基づいて米国に住む成人から年齢別に集められた。これらの調査会社は以前の調査でも、同様の手法、タイミング、サンプル抽出法を採用している。

「一部の小売業は、それぞれの事業で売上げが落ちているものの、市場全体が能力を高め、買い物客により多くの選択肢を与えるという新たな現実が、オンラインショッピングをさらに使いやすくして発展させる努力を加速せよと、あらゆる食品小売業者に訴えています」と、Brick Meets Clickのパートナー及び調査責任者のDavid Bishop(デイビッド・ビショップ)氏は声明の中で述べていた。

画像クレジット:Instacart

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(翻訳:金井哲夫)

Pinterestに写真から検索して買い物できる機能が加わる

商品をPinterestで紹介する小売業者が増える中、Pinterestは米国時間6月1日から「レンズ」機能に新たに「Shop」タブを設けた。これはユーザーがオフラインで撮った写真やスクリーンショットから、それに似たものを検索して在庫のある商品を表示する機能だ。

この新しいタブを使うには、検索バーにあるカメラのアイコンをタップし、写真を撮影するかアップロードする。するとShopタブに購入できる商品のピンが表示され、価格や在庫状況のほか販売業者の購入ページへのリンクも表示される。

レンズは、もともとはユーザーが実際の店舗や出かけた先などで見た商品を探すことを意図した機能だったが、これからはこの機能を使って家にいながらにして商品を見つけられるとPinterestは提案している。例えばランニングシューズを買い換えるなら、今履いているお気に入りのシューズの写真を撮るか、あるいはスマートフォンのカメラロールやブログなどのプラットフォームから写真をアップロードすればいい。

Pinterestによれば、カメラを使ったビジュアル検索の件数は2019年と比べて3倍ほどになっているという。このことから、買い物をする際にスマートフォンのカメラを使うことにユーザーが慣れてきたと言える。同時に、Pinterestが最近取り組んできたこととつながっている。

例えばこの半年間、Pinterestでは女性向けファッションで検出される属性の数を2倍に増やした。色、柄、生地、ドレススタイル、長さ、テクスチャー、ブランド、ネックライン、靴のヒールの高さ、場面、スタイル、シーズンなどだ。ファッション関連製品の検索では、この1年で精度が50%以上あがったと同社は述べている。

Shopタブの登場は、Shopifyとの連携に続くものだ。この連携により、中小企業は商品カタログをPinterestにアップロードして3億5000万人のユーザーにリーチできるようになった。さらに米国時間5月18日には、インフルエンサーやパブリッシャーがトレンドを紹介する「ショッピングスポットライト」を発表していた。

レンズ機能のShopタブは、PinterestがGoogle(グーグル)に対抗する手段のひとつだ。グーグルは4月に商品検索機能を変更(未訳記事)して、有料広告ではなくほぼ無料のリスティングにした。また、Googleレンズでは写真で検索して見つけた商品を購入することができる。

ShopタブはInstagramへの挑戦でもある。Instagramは写真で見つけた商品と購入者をつなぐショッピングサービスを着実に成長させ、Instagram内で購入手続きを進められるようにしている。小売大手のTargetがこの機能を5月に採用した。これはFacebookとInstagramが、FacebookページやInstagramのプロフィールから直接買い物ができる「Shop」を開始したのと同時期だ。

こうした各社の取り組みは、新しい買い物のトレンドを表している。消費者は、商品の長いリストを延々スクロールするのではなく、写真や画像をヒントに購入したいと思っている。このように画像から始まる買い物は結果として、店を見て回り、目を引くようにデザインされたディスプレイに出あうのと似た感覚の体験になる。

Pinterestの新しいShopタブは、米国時間6月1日から公開されている。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Amazon時代のeコマース投資を考える

【編集部注】著者のSunny DhillonはSignia Venture Partnersのパートナーである。

Amazonが800ポンド(362キロ)のゴリラとして立ち塞がっているために、私の投資家仲間たちの多くはeコマース市場を無視することにしている。実際この業界は、取引や投資の面で最近低迷している。しかし、WalmartによるBonoboの3億1000万ドルの買収や、Stich FixIPOが示すように、この業界にも投資家たちにとってのエキサイティングな機会がまだ沢山あるのだ。

投資機会を探る中で、私はさほど多額の資本を調達することなく多くの売り上げを果たしたあるブランドにも遭遇した。ただし、この売り上げは旧来の小売チャネルを通して達成されたものだった。残念ながら、私のようなベンチャー投資家にとってとても大切なチャネル、すなわちeコマースを通してのものではなかったのだ。

私がこの消費者に直結するeコーマスのチャネルを高く評価している理由は何だろうか?1つは、eコマースのマージンが優れているからだ(従来の小売チャネルなマージンが50%程度なのに比べて、80%ほどのマージンが期待できる)。しかし、さらに重要なことは、単純に小売では実現できないスケールの可能性を提供するからだ。私の祖父はその織物業を、取引相手や店を1つ1つじっくりと増やすという形で、段階的に成長させた。それぞれの取引に賭ける根性と情熱は、子孫の1人として称賛に値するものだった。しかし、今日では、Facebook広告の助けを借りたDollar Shave Clubの古典的な広告や、インフルエンサーや有名人による推薦などで、セールスを一晩で急上昇させることが可能だ。

人びとは、20年以上に渡ってオンラインでショッピングをしていて、私たちも多くの象徴的なブランドが、オンラインから生まれたことを知っている。こうしたブランドの背後の多くには、Forerunner Ventures(Warby Parker、Glossier、Bonobos)や、Maveron(Everlane、Madison Reed)といった素晴らしい投資家たちが控えているだけでなく、Kal Vepuri、Divya Gugnani、Rohan Ozaなどの、消費者ブランディングに通じた素晴らしい起業家たちやマーケッターたちなどの存在もある。彼らはクールな物品を手頃な価格で作る手段を知っているし、適切な時期が来た時には、その会社を大きなM&Aの対象として位置付けるやり方も熟知している。

これらの投資家や個人たちが知っているように、10億ドル規模の買収は、eコマーススタートアップを拡大し取り込む事で、買収側の拡大を助けるために行われる。Jet.com (Walmart)、Dollar Shave Club(Unilever)、 Chewy.comPetSmart)、そしてLazada(Alibaba)といった買収は、人材、売り上げ、EBITDA(金利・税金・償却前利益)、サプライチェーン、そして強いオンラインブランドの獲得のために行われた。

こうした経験を通して、私は直接販売ブランド取引にアプローチする際に使う、3つのレンズ(判断基準)を手に入れた。以下にそれを説明して行こう。

破壊する(ディスラプトする)対象はどこか?

現状の問題を特定することが、しばしば新しい会社が必要とされる理由の出発点となる。例えばそれは、非倫理的もしくは不健全なサプライチェーン(Everlaneが破壊したようなもの)や、古い消費者たちに結びついている退屈なブランドや、あるいは多大な利益をとっている現行ブランドよりも安価で格好良い類似製品を提供すること(Dollar Shave対Gilletteのようなもの)といったものだ。

私はCAC(costs of customer acquisition:顧客獲得コスト)についても気にしている。eコマースに対する一般的な認識では、米国内商取引のオンライン取引は10%未満であるため、最終的には製品に対する潜在顧客が枯渇してしまう。FacebookやInstagramの広告では、これまでのところデジタルオーディエンスにしかリーチできていない。もし日頃オンラインショッピング生活をしていない顧客へと拡大したいと思うなら、一般的なアプローチは、従来のブリックアンドモルタル小売業者(レンガとモルタル=実店舗を持つ小売業者)とのパートナーシップを持つことだ。

例としてCasperを見てみよう。1ヶ月で100万ドルの売り上げを達成し話題になったあと、最初の1年では1億ドルのビジネスを成し遂げたこの会社は、発展しつつあるオンラインベッド業界の紛れもない王者である。eコマースの領域を超えた潜在的顧客の一群を狙って、Casperはまず家庭用家具の小売業者であるWest Elm、次いでTargetと提携した――これはミネアポリスの小売の巨人(Target)が上でも述べたような10億ドル規模の買収をCasperに対して行おうとした後である。ともあれこのアプローチは上手く行ったようだ。Casperの昨年の収益はおよそ2億ドルであり、CEOのPhillip Krimは今年の春の時点で、2017年の収益はさらに倍になるだろうとコメントしている

Casperに限らずeコマースブランド一般で、GoogleやAmazon上での顧客のレビューは本当に重要である。私はかつて自分がマットレスをオンラインで買うことになるとは思ってもいなかった。ベッドのようなものを購入する前には、「耐久性」を徹底的にテストしなければと考えていたのだ。しかし、私もミレニアル世代のショッピング習慣を身に付け、ベッドが快適かどうかを確かめるために自分でベッドを調べて回る必要はないということに気が付いた。なぜならユーザーレビューを信じることができたからだ。

マットレス業界をディスラプト(破壊)するCasper

最終的に対象をどのように攻略するのだろうか。私はeコマース取引関係を改善するために、どのようにデータを利用しているかに関心がある。Constructor.ioのような企業は、巨大なeコーマス企業たちの検索機能を強化し、プロダクトに対するサイト内検索機能を構築する効果を実証している。人びとが探しているものを分析することで、ベンダーがストックすべき新規もしくは隣接したプロダクトカテゴリー戦略への、豊富な洞察が得られるのだ。

また、どの顧客に対してどのプロダクトのリピートが成功したのかという情報からも、多くの洞察を引き出すことができる。もし小売店舗を持っているのなら、顧客が物理的な店舗内にいる間に集められるデータを活用しているだろうか?例えばRetailNextは、戦略的に配置されたカメラとコンピュータービジョン技術を使って、顧客候補が来店してから売り上げに至るまでの全ての出来事に関する洞察を、小売業者たちに提供する。

中間業者を排除しサプライチェーンを圧縮して、どれだけプロダクトをより直接的に顧客のもとに届けことができるだろうか?

このような中間業者の人間たちを排除する

デジタルファースト(場合によってはデジタルオンリー)ブランドは、サプライチェーンに対する迅速なオペレーションから利益を得ることができる。一方大規模なブリックアンドモルタル事業は、依然として各ショップで働く販売員と、そうした大規模事業者に対する全国的な配送事業者を通じて行われている。eコマースの買い物客たちは、デジタルブランドが提供する、簡便な比較ショッピングや無料配送、その他の魅力に引き寄せられている。

新しいデジタルブランドが、破壊(ディスラプト)しようとしている既存のブランドと、同じ工場や調達先を使っていても問題はない。新しい会社はミレニアル世代が共感するライフスタイルを売っていて、これに対して既存の会社は両親たちや「老人」向けのものを扱っているからだ。

eコマースプラットフォームを運営しようと考える場合(それ自身がブランド化可能だが)には、Amazon Marketplace、もしくはSignaの投資先の1つであるBoxed Wholesaleのことを考えれば十分である。顧客が一度オンラインマーケットプレイスを信頼すれば、プラットフォーム自身から提供される独自ブランドの製品も信頼するようになる。サードパーティのプロダクトを販売するよりも、垂直統合されたサプライヤーになる方がマージンを高くとれるので、これは一般的に、プラットフォームに対してとても大きな利益をもたらすことになる。

プロダクトにはどのようなブランド化が可能なのか?

オンラインでのブランド化能力、特にInstagram上でのプランド能力は、成功したeコマースを現在構築するためには、欠かせない能力だ。以前の記事で、私はインフルエンサーマーケティングの重要性が増していることについて説明したが、同時にブランド自身の力も重要であることも以下のように指摘した。「インフルエンサーマーケティングが多くの形態をとる一方、偉大なプロダクト、偉大なストーリー、そして魔法を解き放つための優れたストーリーの語り口が常に必要とされている。インフルエンサーをブランドに連れてくるだけで、セールスが上手くいくようになると期待することはできない」。

「オフライン」でのブランド化も重要な考慮事項だ。消費者直販(D2C)ブランドが小売りに参入するときには、その戦略の一部には、CasperがWest ElmやTargetと行ったような、大規模な既存の小売業者とのパートナーシップが含まれることになる。他には、小売りのための「ブランドアンバサダー」(ブランド大使として振る舞う店舗)を開くことも含まれるかもしれない。たとえば、モンゴル系アメリカ企業である、高級カシミアブランドNaadamは最近、モンゴルの遊牧民のライフスタイルと、ブランドのエキゾチックな東洋のルーツのイメージに触発された工芸品を売る期間限定のショップを、ニューヨークに開設した。Glossierは最近ロンドンで期間限定ストアを開き、多くの美容業界のインフルエンサーたちを招いたディナーを主催した。こうした物理的なIRL(in real life:現実の生活)イベントや場の設定は、消費者たちを、彼らの愛するデジタルブランドにさらに固く結びつけるための、実世界でのブランド体験を与えることができる。

上に挙げてきた基準を満たすことは容易ではない、しかしそれらを満たすことのできるスタートアップたちは、私の注目と投資金を引きつけることになるだろう。他のベンチャー投資家たちには賛同して貰えないかもしれないが、eコマースは魅力的な投資機会を提供する、幅広い革新的企業を生み出し続けているのだ。

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(翻訳:Sako)

現金でAmazonアカウント残高をチャージ ― 米国でAmazon Cashがリリース

Amazonは米国時間4月3日、Amazon Cashと呼ばれる新しいサービスを発表した。提携する小売店で専用のバーコードを見せることにより、現金でAmazon.comアカウント残高をチャージすることができる。1度で15〜500ドルをチャージすることが可能だ。

Amazon Cashは今日から米国全土の従来型小売店で利用できる。CVS Pharmacy、Speedway、Sheetz、Kum & Go、D&W Fresh Market、Family Fare Supermarkets、VG’s Groceryなどが提携店となっており、同社は今後もこのリストを増やしていく予定。

PayPalもこれと似たサービスを提供している。PayPal My Cash Cardと呼ばれるサービスで、現金でPayPalアカウントの残高をチャージすることができる。このサービスもGreen Dotが開発するバーコードを利用したものだ。

PayPalの例と同様、Amazon Cashはまだオンラインショッピングを利用したことがないユーザー層を取り込むための策だ ― 現金で給与を受け取る人、銀行口座やデビットカードを持たない人、クレジットカードを利用しない人たちなどだ。FDICによる2015年の調査によれば、消費者全体の27%がこの「キャッシュカスタマー」と呼ばれる人々だという。

たとえ彼らがオンラインショッピングに利用できるお金を持ち合わせていたとしても、実際に買い物をするのは簡単なことではなかった。これまでは現金でAmazonのギフトカードを買って残高をチャージするしかなかったのだ。

また、このサービスは気軽にAmazon.comアカウントへチャージしておきたいという人々にもウケるかもしれない。

Amazon Cashがもつアドバンテージの1つが「即時性」で、小売店のレジでチャージすると即座にAmazon.comアカウントに反映される。いくつかのプリペイドカードは手数料がかかるものもあるが、Amazon Cashでは不要だ。

しかし、小売店で「Amazon Cash」と書いてあるギフトカードが売っているわけではない。その代わり、ユーザーは「amazon.com/cash」というURLにWebやモバイルからアクセスするか、Amazonのモバイルアプリで「amazon cash」と検索して専用のバーコードを表示する必要がある。Amazon Cashは同社のギフトカード機能にうまく統合されているから、AmazonのWebページにある「Manage Gift Card」というリンクをクリックしてもバーコードを表示できる。

このバーコードは再利用されるため、iOSの「Wallet」アプリに追加したり、Android端末のホームスクリーン上にショートカットとして追加しておくことも可能だ。

このサービスを利用するためには、まずバーコードをレジ係に見せ、いくらチャージするのか伝える。レジ係はそのバーコードをスキャンし、ユーザーがその分の現金を支払うという流れだ(スマートフォンをもっていなければ、自宅でバーコードをプリントしておけばいい。スマホの画面が割れている場合もこの方法で)。

チャージは即座に反映され、Amazonに掲載されているどんな商品にも利用できる。チャージをすると、登録されたEメールアドレス、電話番号、またはスマホアプリに通知される仕組みだ。

Amazon Cashは本日よりアメリカ全土で利用可能だ。

[原文]

(翻訳:木村拓哉 /Website /Facebook /Twitter

コンシューマーの79%がオンラインで買い物をする、でも重要なのは利便性より価格

OAKLAND, CA - NOVEMBER 30:  A FedEx worker sorts packages being uloaded from a truck on a conveyor belt at the FedEx Oakland Airport sort facility November 30, 2005 in Oakland, California. FedEx and UPS are beginning to feel large volumes of packages as the holiday shipping season gets underway with a high level of online shopping.  (Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

今朝Pew Researchが発表した調査結果によると、10人に8人のアメリカ人がオンラインで買い物をするという。79%のアメリカのコンシューマーは、ウェブサイトやスマホから買い物をしている。2000年の調査ではたった22%だった。さらにその半数以上(51%)は、モバイルでも買い物をした経験があり、15%はソーシャルメディアでシェアされていたリンク経由で品物を購入した経験がある。

この調査では、オンラインでショッピングをした人の数、場所、頻度、どのプラットフォームを利用しているかなどを詳しく調べているが、最も興味深いのはオンラインで買い物をする理由だ。

コンシューマーがオンラインショッピングに最も魅力を感じるのは、クリック数回で品物がドアの前に届く利便性ではなく、価格だった。また、購入する前に価格やその他の情報をウェブで効率的に調べられることに魅力を感じていた。

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多くのスタートアップが、コンシューマーが外に出て買い物にでかけるときの課題を解決しようとしている。 同日配送から、タンポン歯ブラシといった生活用品のサブスクリプション、食糧品店を訪れる手間を省くサービスまで多様なサービスがある。今回の調査で分かったコンシューマーの消費行動は参考になるかもしれない。

また、これは新しいオンライン経済の創出を目指すシリコンバレーのアプローチを批判する内容とも一致している。

General Catalystの投資アソシエイトを務めるKatherine Boyleは、TechCrunchの寄稿記事で「シリコンバレーは時間を節約するサービスを追求しています。しかしアメリカの他の地域の人はお金を節約したいと考えているのです」と指摘する。

Pewの調査結果もそれを裏付けている。Pewの調査では、オンラインショッパーの65%は同じ商品であるなら、店舗で購入することを望むと回答した。

これは、全体で広く見たときの傾向とPewは示す。オンラインより店舗で購入を望む人の割合は、オンラインでの買い物を頻度が高いほど、大きく下がる。

例えば、毎週オンラインショッピングを利用すると回答した人の62%は、店舗よりオンラインでの買い物を望んだ。しかし、月に1度もオンラインショッピングを利用しない人の82%は、店舗での買い物を望む傾向にあった。

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しかし、最終的にどこで買い物をするか決めているのは結局のところ価格のようだ。

オンラインショッパーの65%は何かを購入するとき、店舗での価格とオンラインでの価格を比較し、最もお得なところで購入するとした。オンラインでの価格を確認せず、店舗で購入すると回答した人は21%だった。また、店舗での価格を確認しないで、オンラインで購入すると回答したのはたった14%だった。

これまで購入したことがない品物を購入する時に重視することへの回答も興味深い。たくさん項目がある中で、重視する項目の最下位だったのは、「店舗に行かずとも品物を購入できる利便性」だった。

利便性について「どちらかというと重要」「とても重要」のいずれかを選択したのは全体の42%にとどまった。最も重視していたことは、価格を比較できること(86%の人が「どちらかというと重要」あるいは「とても重要」と回答)だった。次に、質問ができること(84%)、知っている小売店で購入すること(84%)、自分の目で品物を確認すること(78%)、知っている人のアドバイスを得ること(77%)、オンラインのレビューを読むこと(74%)が続いた。

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Pewの調査結果は、オンラインのレビューがアメリカ人の買い物の意思決定において重要なものであることを示している。82%は、初めて購入する品物ではオンライン上のレビューを気にすると回答した。また、半数近く(46%)がオンラインのレビューを見ることで、購入の意思決定に自信が持てるとした。

しかし、オンラインのレビューの信頼性も揺らいでいる。48%の人が、レビューが誠実か、あるいは偏った意見かどうか判断がつかないとした。有料レビューが広まったことが大きな原因だろう。例えば、Amazonはインセンティブありのレビュー(無料、あるいは割引価格で商品を提供して得たレビュー)を排除し、レビューの信頼回復に取り組んでいる。

調査結果では他にも、「ショールーミング」(オンラインで価格を確認して、店舗で購入すること。45%の人が行ったことがあると回答している)や購入に際するソーシャルメディアの役割と決済について調査している。

最後の決済について見てみると、現金で決済する人が減っているようだ。普段、1週間のうち、1回も現金で決済しないと回答した人が24%いた。現金でほとんどの決済を行っていると回答した人も24%で、残りの半数はまちまちだった。

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この調査では、個別の新しい決済テクノロジーには言及していない。ただモバイル決済について、アメリカ人の12%は、レジでスマホをスワイプやスキャンして決済したことがあると回答している。もう1つ、39%の人がビットコインについて聞いたことはあると回答した。ただ、実際に使用したことがあるのはたった1%だった。これは、一般の人とテクノロジーとの乖離を示しているのかもしれない。

Pewのウェブサイトで全ての調査結果を見ることができる。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website