SpaceX、中継切れのあのシーンを公開―Falcon 9ブースターがドローン艀に垂直着陸

SpaceXは衛星打ち上げミッションの一部始終を生中継で公開している。われわれも報じたとおり、前回のSES-10放送衛星打ち上げでは、回収したFalcon 9ブースターの再利用に成功し、さらに上の写真のように大西洋上のドローン艀への回収にも成功した。しかし SpaceXが公開していた生中継ビデオはブースターの大気圏再突入時にカメラの不具合でビデオの送信が途切れ、ドローン艀からの送信も中断してしまった。

Instagram Photo

艀からの中継も切れたのは衛星アップリンクを失ったからだという。しかしSpaceXではブースターの着陸の瞬間を艀上のカメラでローカルに記録していた。このほどその瞬間のビデオが公開された。

着陸は複数のアングルから記録されており、タッチダウンの瞬間にわずかにバウンドする(安定性のため)ところも捉えられている。この成功の意味は大きい。いくら強調しても強調しすぎることはない。ロケットの回収と再利用により衛星打ち上げコストを劇的に減少させるというpaceXのビジネスモデルそのものがが有効だと証明された瞬間だった。

〔日本版〕上のInstagramビデオは再生時に音が出るので注意。キャプションにある"Of Course I Still Love You"はSpaceXが運用する2隻のドローン艀の1隻の船名。もう1隻は"Just Read the Instructions"。どちらもSF作家、イアン・M・バンクスの作品名から。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

個人間の無料送金アプリ「Kyash」iOS正式版を提供開始─残高を買い物で使うことも可能

スマホによる送金・決済システムを開発するスタートアップKyash(キャッシュ)は4月5日、個人間の無料送金アプリ「Kyash」iOS正式版の提供を開始した。

Kyashアプリでは、割り勘の精算や贈り物の共同購入など、個人間のお金のやり取りを手数料無料で、キャッシュレスで行うことができる。SNSや電話帳でつながるユーザーなら、相手がアプリを持っていない場合でも、送金・請求のメッセージを送信でき、アプリのインストール後にお金のやり取りが可能だ。

Kyash社は、2016年12月にシリーズAで10億円超の資金調達を実施。同時にKyashアプリのベータ版サービスを開始していた。その後、資金決済法上の第三者型前払式支払手段の発行事業者として2017年1月に金融庁から承認を受け、今回の正式版の一般公開に至った。前払式支払手段の承認事業者から提供される個人間無料送金アプリは、Kyashが国内初となるという。

この点は、同じく4月5日に「アプリなし支払い」機能を追加した「paymo」とは立ち位置が異なるところだ(paymoを提供するAnyPayは、収納代行サービスとしてのスタンスを取っている)。Kyashアプリは、法的にはSuicaやPASMOなどと同じ枠組みでプリペイド型のカードに近い。前払式支払手段を枠組みとすることで、本人確認の手続きを省略でき、アプリのインストールからすぐに使い始めることができるのもKyashのメリットとなっている。

一方でSuicaと同様プリペイド型なので、別のクレジットカードからのチャージや送金で得たお金を現金として引き出すことはできない。その代わりに受け取った残高を、VISAカードの使える店舗などで支払いに利用することが可能だ。Kyash社は「現金化ができることより、キャッシュレスで、スマホで人や店とのお金のやり取りを完結させたいと考えている」としている。

なお現状での支払いは、オンラインショップなどインターネット決済での利用に限定されている。Kyash社は「iDやApple Payなど、非接触型の電子マネー決済への対応に向け、事業者との話も具体的に進めており、今年夏ごろには実店舗でも利用できるよう目指したい」という。

また、現在はiOS版のみ提供されているKyashアプリだが、Kyash社では「学生など、iOSの利用率が高い若年層に向けてiOS版を先に提供開始したが、近いうちにAndroid版も提供を予定している」とコメントしている。

Kyash社では今後、2020年までにサービスの国内利用者1000万人を目指すとしており、事業・資本提携企業をはじめとする事業者との連携や施策展開を予定している。またKyash社からは「完全に独自でシステムを開発していることから、汎用性の高い通貨の送金を安く実現したい。単なる決済ゲートウェイではなく、新しい通貨プラットフォームを目指している」ともコメントがあり、海外への送金を安く提供するなどの海外展開も視野に入れているそうだ。

ストリーミングだけでプラチナ・アルバムになる新時代、カニエ・ウェストのThe Life of Pabloがその先頭を切った

カニエ・ウェスト(Kanye West)の最新アルバムが、ストリーミングの歴史を作った

1年あまり前にリリースされたThe Life of Pabloが、のべ15億曲以上ストリーミングされ、プラチナアルバムになった。

人気アルバムがプラチナになるのは珍しくないが、カニエのアルバムがすごいのは、有料ダウンロードなし、ストリーミングだけでこの数に達したことだ。

では、説明しよう:

アルバムはふつう、100万枚売れるとプラチナになる。しかし昨年のRIAAのガイドラインでは、その数にストリーミングの数も含む、となった。その数え方は、1曲が150回ダウンロードされたら1曲ダウンロードと等しく、そして10曲ダウンロードが1アルバムのダウンロードに等しい、となる。つまり、アルバムが1枚売れた、と数えられるためには、それの曲が1500回ストリーミングされなければならない。

そこで、ストリーミング1500回がアルバム1枚の売上に等しいわけだから、アルバム100万の売れ行きは、15億回のストリーミングと等しいことになる。それが、プラチナ評価の条件だ。

ふつう、アルバムがプラチナになるのは、ストリーミングと有料ダウンロードの組み合わせによってそうなる。有料ダウンロードが混じれば、15億回ストリーミングされなくても、プラチナになる。でもカニエは、The Life of PabloをiTunesなどで売らずに、最初はTidalに限定、その後SpotifyやApple Musicなどストリーミング-オンリーのプラットホームへ広げた

このアルバムは彼のサイトで買ってダウンロードできるが、それは最初の週の総数の1%にも達しなかった。そしてアルバムは、この売上を含めなくてもプラチナに達した。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

日本人起業家がアジアで挑む広告プラットフォーム「AdAsia」が約13.6億円を調達

AdAsiaはシンガポールに拠点を置く、創業1年のスタートアップだ。AdAsiaはシリーズAラウンドでJAFCOから総額1200万ドル(約13.6億円)を調達した。

AdAsiaは2016年4月にCEOの十河宏輔氏が創業した会社だ。十河氏は、アドプラットフォーム事業などを展開するマイクロアドでAPACのマネージングディレクターを務めた経験がある。また、COOの小堤音彦氏もマイクロアドのベトナム事業に携わっていた。AdAsiaではリアルタイム広告取引、ソーシャルターゲティングの他、Adwords、DoubleClick、Facebook広告といった大型の広告取引といった機能を一括で管理できる広告プラットフォームを提供している。また、動画やモバイル向けのソリューションやインフルエンサー・マーケティング・プログラムも用意している。

事業を開始してから1年ほどだが、十河氏はAdAsiaはすでに利益を出しているとTechCrunchの取材に話した。2016年4月から12月の売上高は1200万ドルを達成し、毎月20%から30%のスピードで伸びているという。今年は年間売上3000万ドルを目指していて、現在300社のクライアントを抱えている。

AdAsiaはシンガポールに本社を構え、台湾、カンボジア、ベトナム(2カ所)、インドネシア、タイにオフィスを開設している。今回調達した資金は、中国(上海)、香港、フィリピン、マレージア、日本で事業を展開するために充てる。現在、合計で80名のスタッフを抱え、今年30歳になる十河氏は、来年末までにスタッフの人数を400人規模にしたいと話す。

シリーズAで調達した資金は、AdAsiaの既存の広告商品と将来提供予定の商品における機械学習と人工知能(AI)の機能を改善することにも充てる計画だ。そのためにベトナムに開発センターを開設するという。

「アジアで最大級の広告テクノロジー企業になるためにマーケットシェアを拡大していきたいと考えています。それを進めていくための調達です」と十河氏は言う。

東南アジアではデジタル広告というコンセプト自体まだ根付き始めたばかりであり、AdAsiaはそこでマーケットシェアを拡大したい考えだ。一方で、中国のデジタル広告市場はすでに飽和しつつあり、そこでマーケットシェアを獲得するハードルは高いかもしれない。十河氏は、中国市場でマーケットシェアを大幅に得るのは難しいと認めつつも、例えばTencentといった大手プレイヤーと連携することで「多少はマーケットシェアを獲得し、収益を得られるだろう」と話す。

この野心的な企業はすでにエグジットの選択肢も検討しているようだ。 十河氏は2019年、早ければ来年にも香港、あるいは日本でのIPOを視野に入れている。アメリカで上場する可能性については否定しなかったのも、それに関しては「考える必要があります」とTechCrunchに話した。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

ビットコイン決済が身近に、bitFlyerがビックカメラ2店、Coincheckが26万店展開のAirレジで

bitFlyerはビックカメラの旗艦2店舗にビットコイン決済サービスを提供する。

お店でビットコインを使って買い物をすることが、ごく近い将来に普通の光景になるかもしれない。2017年4月5日、家電量販大手ビックカメラが旗艦2店舗でbitFlyerのビットコイン決済の導入を発表した。同日、26万店舗にサービスを提供中のPOSレジアプリ「Airレジ」がこの夏をめどにCoincheckのビットコイン決済に対応することが明らかになった。

Airレジでのビットコイン決済のイメージ。店舗側のiPhone/iPad上のPOSレジアプリと、顧客のスマートフォンのQRコード読み取り機能付きのウォレットアプリを使う。

同じ日の2件の発表には共通のトリガーがある。ビットコインの法的位置づけを明確にした改正資金決済法が2017年4月1日より施行されて、いわば政府の“お墨付き”を得た形になったことがひとつ。法的位置づけが明確になったことで、大手事業者がビットコインを堂々と取り扱えるようになった。

もうひとつのトリガーは海外から訪日する観光客によるビットコイン決済の利用を見込んでいることだ。訪日観光客にとって、ビットコインは両替の手間がなく使える便利なお金という訳だ。

bitFlyerはビックカメラ旗艦2店舗に提供

bitFlyerとビックカメラは、2017年4月7日より「ビックカメラ有楽町店」と「ビックロ ビックカメラ新宿東口店」の旗艦2店舗でビットコイン決済サービスを開始する。1会計につき10万円相当までを上限とする。ポイント付与率は現金と同等だ(つまり、クレジットカード払いよりも多くのポイントが貯まる)。またbitFlyerは、ビックカメラ店舗でbitFlyerのiOSアプリを使ってビットコイン決済をする先着200名を対象に500円相当のビットコインをプレゼントするキャンペーンを実施する。

ビックカメラは、今回の取り組みを「試験導入」と位置づける。旗艦2店舗で有効と判断すれば、ビットコイン決済の取り組みが広がっていく可能性もある。

Coincheckのビットコイン決済機能を26万店導入のAirレジに提供

iPad/iPhoneをPOSレジとして使えるようにする「Airレジ」は、2017年夏頃をメドにビットコイン決済に対応する。ビットコイン決済サービスCoincheck paymentを提供するコインチェック(この2017年3月にレジュプレスから社名変更)、決済事業を手がけるデジタルガレージの子会社のベリトランス、イーコンテクストの3社が連携し、リクルートライフスタイルが提供するAirレジ向け決済サービス「モバイル決済 for Airレジ」にビットコイン決済機能を提供する。

Coincheck Paymentは、2017年1月時点で、日本国内で約4000件以上の導入実績がある。その中のいくつかはTechCrunch Japanでも紹介してきた(DMM.comでの利用開始寄付金の受付電気料金支払いの事例)。

今回は、新たにAirレジでビットコイン決済を受け付けるようにした。リクルートライフスタイルが提供するAirレジは、iPhone/iPadをPOSレジとして利用できるようにするサービスで、店舗側は無料で利用できる。IT投資額が大きくない普通の飲食店でも利用できる手軽さが特色だ。利用者数は約26万件に達する。Airレジを入り口に店舗向けのサービスを強化しつつあり(例えば「ホットペッパーグルメ」と連携したサービスなど)、今回のビットコイン決済の導入もAirレジを取り巻く店舗向けサービス強化の一環といえる。

モバイル決済 for Airレジ」は、「Airレジ」と連携する決済サービスで、現状では中国からの訪日観光客の利用が多い決済サービスAlipay(支付宝/アリペイ)と、日本での利用者数が多いLINE Payに対応している。新たにビットコイン決済が支払い手段として加わる形だ。

このAirレジがビットコイン決済に対応すれば、Airレジを導入した多くの店舗が特別な手間をかけずにビットコイン決済を導入できるようになる。現在の約4000店舗から最大26万店舗へとビットコイン決済の導入数が伸びることが期待できる。

もともとCoincheck Paymentは、カフェ、寿司屋のような店舗でも手軽にビットコイン決済を利用できることを「売り」として展開してきた。顧客は、スマートフォン上のQRコードを読み取ってビットコインを送金できるアプリを使う(これは複数あるウォレットアプリやQRコード対応のビットコイン取引所アプリを使うことができる)。

ビットコイン決済は客と店舗の双方にメリットがある

ビットコイン決済は、客(特に訪日外国人客)と、店舗の双方にメリットがあるサービスといえる。

海外から日本に来たばかりの外国人が日本円を利用するには両替が必要だ。クレジットカードは後払いというメリットがあるが、別の通貨で支払う場合の手数料や、スキミングのリスクというマイナス材料がある。Suicaや楽天EdyのようなFeliCa対応の電子マネーは日本国内では便利だが、外国人が旅行中だけ利用する使い方はあまり考慮されていない。ビットコインは外国人であることの不利を感じずに済むお金だ。

店舗側から見れば、ビットコイン決済はカード決済よりも早く入金する(また日本円で受け取ることができる)。決済会社のマージンは1%とクレジットカードより割安だ。店舗側にとってもメリットがあるサービスという訳だ。

決済システムとして見たビットコインには、値動きがあり、決済確定までに6承認で1時間かそれ以上の時間がかかる点が課題としてよく指摘される。だが店舗向けビットコイン決済サービスでは、値動きや決済時間の問題は事業者(bitFlyerやCoincheck)が肩代わりしてくれる。利用者や店舗から見れば、難しいことは考えず、日本円建てと同じ感覚で決済がすぐ完了する「便利なお金」として使える。

ビットコインをめぐって膨大な量の議論があり、今でもビットコインへの懐疑的な意見を聞くことがある。その一方で、法制度の整備やサービス投入は着々と進んでいる。管理する「中央」がないお金に関する法整備が進み、サービスが増えている。これは目の前の観測された事実だ。ビットコインには注目しておいた方がいい。

ペット(猫、小型犬)の出入りをスマホのアプリでコントロールするペットドアSureFlapはペット版IoTだ

この夏、ペット・テクノロジーの分野についに登場するのが、アプリでコントロールするキャットドアだ。猫がその‘家’や‘部屋’の外へ出たら、警告をくれる。もはや、ペットにもプライバシーはないのである!

イギリスのSureFlapは、これまでもマイクロチップを装備した食餌器とか、正しいチップを埋め込んだ(RFIDカラーをした)ペットだけが通れるペットドアなどを作ってきたが、飼い主たちがリモートコントロールできるペット用品を求めていることに、気づいていた。そこで今回は、同社の、マイクロチップを埋め込んだペットドアをアプリからコントロールできるようにして、今年の夏に発売することにした。

その新製品Microchip Pet Door Connectは、飼い主がスマートフォンのアプリからドアをロックしたり解錠したりできる。また毎日の一定の“外出禁止時間”を、アプリで設定できる(通常は出入り自由)。

ペットがこのドアを出たり入ったりするたびに、飼い主はアプリから通知を受け取る。またその出入りは、ログに記録される。そのパターンの変化で、異状を検出できるかもしれない。

アプリへのアクセスは他人、たとえばペットシッターと共有できる。

SureFlapは、デバイス(ここではドア)とアプリの接続にクラウドIoTプラットホームXivelyを使っている。まさにこれは、IoTだから。こういう形のIoT接続製品を今後もいろいろ出していきたい、と同社は言っている。

このペットドアは、猫と小型犬に使える。お値段はドア本体が119.99ポンド、ハブデバイス(ドアとアプリの通信用)が49.99ポンド、計159.99ポンドだ。

ドアとスマホで(クラウドを介する)ネット通信ができるためには、最低でも1Mbpsのブロードバンド接続が必要だ。上図のドアの隣りにあるハブデバイスの接続には、ルーターに空きのEthernetポートが必要。

このペットドアは電源が4本のC電池で、寿命は通常の使用で半年から1年だ。

ドアとアプリの通信はTLSで暗号化されている。またAWSのELBでロードバランスをしているから、サーバーとの接続不良も少ない。ペットドアとハブとの通信も、暗号化されている。

これまでのSureFlapのペットドアには通信機能がないが、同社は、それらの製品に対してもアップグレードオプションを提供する予定だ、と言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

機械学習を使って間違いメールを防ぐCheckRecipientが、270万ドルを調達

Eメールのセキュリティ問題は、人的ミスよりも悪者の侵入によるものと考えられがちだ。しかし、著名なケースの多くがメールのアドレス間違いという単純な理由から起きている。

ロンドン拠点のスタートアップ、CheckRecipientは、機械学習を利用して間違った相手にメールが送られるのを防ぐ。同社はAccelおよびLocalGlobeがリードしたラウンドで270万ドルを調達したと発表した。ほかにWinton Ventures、Amedus Capital Partners、およびCraneが出資した。

2013年にインペリアル・カレッジ出身のエンジニアTim Sadler、Tom Adams、Ed Bishopの3人が設立した。CheckRecipientのメール・セキュリティ・プラットフォームは、AI/機械学習を利用して機密メールが間違った相手に送られないようにする。

システムは過去のメールデータを調べて利用パターンや企業のメールシステムの動作状況を理解する。「機械学習を使うことでCheckRecipientが異常を検出し、送信前にユーザーが問題を修正する機会を与える。これまでのルールベースシステムや暗号化プラットフォームと異なり、管理方法やユーザーの行動を変える必要がない」と同社は説明する。

CheckRecipent CEO Tim Salderは私との電話で、最近の事例で同社のシステムを使っていれば防げた可能性のあるものについて話した。

例えば、英国のあるHIVクリニックが、感染患者のリストをメールの宛先間違いのために誤って公開してしまい大きく報じられた

Google傘下のWaymo対Uber傘下のOttoの訴訟を巡ってもアドレスを間違えてメールが送られたことが問題を引き起こした。

間違いメールは、来るEUデータ規制に関して企業が注意を払うべき問題でもある。CheckRecipientが強調しているように、2018年5月に発効するEU一般データ保護規制では、企業は個人情報にかかわるデータ漏洩についてプライバシー監視機関(ICO)に報告する義務があり、罰金の対象となる。

「メールのセキュリティを高めるための製品は数多く出回っているが、いずれもエンドユーザーの行動を大きく変えたり、IT部門の管理を強めたりする必要があり、結局は効果が薄れてしまう」と同社は言う。

CheckRecipientは当然ながらロンドンで大きく注目されており、法律、医療、金融等の多国籍企業と商談中だと言っている。

同社は近く米国でもサービスを提供する予定で、メールや文書にかかわるその他のセキュリティ問題にもCheckRecipientのテクノロジーを適用すべく開発している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

福利厚生サービスを米国で展開するAnyPerkが社名をFondに変更、無料の会社文化測定サービスも展開

Fond CEO兼共同創業者の福山太郎氏

日本人チームとして初めてY Combinatorの起業家支援プログラムを卒業し、現在は米国トップシェアとなる福利厚生サービスを展開するAnyPerk。Y Combinatorでの経験などはTechCrunch Japanでも以前に詳細をお伝えしているが(前編後編)、同社は今や米国の福利厚生サービスでトップシェアにまで成長した。そんな同社がさらなる事業の展開に向けた一歩を踏み出した。AnyPerkは4月5日、社名をFondに変更したことを発表した。加えて、会社文化の測定を行う無料サービス「EngagementIQ」の提供を開始した。

僕がFondメンバーのことを知ったのは2011年頃、当初はOpen Network Labの起業家支援プログラム「Seed Accelerator Program」の第3期に採択され、国内でSNSの開発を行っていた。その後、CEO兼共同創業者の福山太郎氏率いるチームは渡米、Y Combinatorの門を叩くことになる。

そこからの起業家としてのストーリーについては前述の過去記事などを参考にしてもらいたいのだが、現在同社が展開するのは、福利厚生のアウトソーシングサービスである「Perks(社名変更に合わせて「Fond Perks」にサービス名を変更)」、そして2016年5月からスタートした社員の承認・表彰サービスの「Rewords(同じく「Fond Rewords」に)だ。

福利厚生サービスは米国大手企業も導入

「Fond Perks」のイメージ

Fond Perksは、導入企業の社員が、映画鑑賞や携帯電話料金など850以上の特典・割引を受けられるサービスだ。日本で言えばベネフィット・ワンやリロクラブなどをイメージしてもらえればいいだろう。導入企業向けにGoogle Chromeの拡張機能などを提供することで、サービス利用可能なサイトの通知をするなどしてユーザーの利便性を図っている。

またFond Rewordsは、導入企業の社員がミッションを達成した際や彼らの誕生日、記念日などに、マネージャーがポイントを送ることができるサービス。ポイントはAmazonギフト券などに交換することができる。福利厚生とは異なり、日本では余り馴染みのない「Rewords」の文化だが、マーケットは日本円で年間4兆6000億円。一方で13%しかオンラインでマネジメントできていないのが実情だという。

Fondのサービスを導入する企業は、SalesforceやVirginなどの大企業も含めて1000社以上になるという。Perksのユーザー企業は、その半数が米国西海岸のテック企業だ。一方、Rewordsではテック企業の割合が約10%。それ以外は学校や歯医者など幅広いのだという。日本と比較して離職率の高い米国。さらに人材競争が激しいマーケットでは、当然給与以外での差別化が求められる。企業は採用を積極的にするよりも、さまざまなメリットを提供して社員の満足度を高めて長期の雇用を行うことを重視するのだという。例えばGoogleやFacebookのオフィスがステキだなんてたびたびメディアで紹介されるが、それだって社員の満足度向上の一環だ。

福山氏に聞いたところによると、ミレニアル世代(2000年以降に成人した、1980〜2000年頃生まれた世代)は離職についての考え方でもこれまでの世代と違うようで、彼らはSnapchatやInstagramでそんなGoogleやFacebookのオフィスで働く友人の光景を気軽に見ることができる。現在の自分の環境と比較して早々に離職してしまうのだそうだ。

福利厚生からスタートしたAnyPerkではあったが、Rewords、そして今回発表されたEngagementIQを通じて、エンプロイエンゲージメントと呼ばれる領域を広くカバーしていく。今回の社名変更にはそんな意思があるのだろう(ちなみに「fond」は好き、好むといった意味だ)。Fondは新しいミッションとして「どんな企業でも社員のやる気を引き出し、その貢献度をきちんと認識する、そして自社の文化を測定する、それを可能にする革新的な方法を我々が作り出すこと」と掲げている。

社員文化的な健全度を測定する新サービス

あらためて新サービスのEngagementIQについて説明しよう。これは社員が企業における目的意識や認識、ほかの社員との繋がりなどをどう考えているかという、職場文化の健全度をはかるサービスだという。社員に対して6つの質問をすることで、その健全度を導き出す。サービスは無料。米国をターゲットにしているため、英語のみでの提供だが、米国外からの利用も可能だ。

Fondによると、会社に認めてもらっていると感じ、自らの職場を気に入っている社員の多い健全な組織は、やる気を持たず正しく評価されない社員の多い組織よりも業績がいいという研究もあるのだという。このサービスで健全度を測定し、その状況に合わせて福利厚生サービスなどを導入することで、よりよい職場環境を整えることができる、EngagementIQはその窓口とも言えるサービスだ。

「社員の健全度は営業(成績)などと違って測定が難しいので、プライオリティが低くなってしまう。だがニューヨークやサンフランシスコでは、2年ほどで会社を辞めるということが多い。そうなると採用よりもケアが大事になってくる。それならまずは『はかる』というところからやっていく」(福山氏)

Fondのメンバーら

ファイナンスプラットフォーム提供の「エメラダ」がシードラウンドで2億円を調達

ファイナンスプラットフォームの提供を計画しているFintechスタートアップ「エメラダ」がシードラウンドで2億円の資金調達を実施したことをTechCrunch Japanへの取材で明らかにした。この投資ラウンドをリードしたのはD4V(Design for Ventures)で、大手金融機関、金融業界関係者など個人投資家なども含まれるという。

2017年中にエクイティーとデットで2つのサービスを目指す

エメラダは2017年中にエクイティーとデットで2つのサービスのローンチを目指している。

1つはエクイティー(株式)によるファイナンスプラットフォーム。スタートアップ企業と個人投資家を結び、1件あたり数千万円の資金調達のマッチングを行うもの。もう1つのサービスは機関投資家を対象にしたP2Pによるデットファイナンス(借入)のプラットフォーム。いずれのサービスも2017年中のサービスインに向けて準備中だという。

TechCrunch読者なら「日本版AngelList」と言えば分かりやすいかもしれない。ただ、多数の個人投資家に生株を渡してしまうと株主にしても投資を受ける企業にしても、株主総会の対応などが頻繁に生じるため現実的な仕組みとして回らない。この辺りのスキームは現在の金融商品取引法および会社法の枠内でできる方策を当局と議論中という。シードより少し後のステージのスタートアップの資金調達を扱い、1口あたりの投資額は50万円となる可能性が高いという。取扱対象となるスタートアップ企業は、IPOやM&Aなど明確にエグジットを意識している企業で、「ある程度セレクティブなものになるだろう」(エメラダ澤村帝我CEO)という。スタートアップの資金調達需要のどの辺りを取り込むのかという質問に対しては、「シリコンバレーでAngelListFundersClubが活用されているように、大きな調達ラウンドにジョインするだけではなく、ブリッジファイナンスをまかなうなどシリーズAクランチの回避を仕組みでサポートしたい」としている。こうした調達プラットフォームがもし普及すれば、ハンズオンVCを補完するプラットフォームとして機能していくことになるだろう。

もう1つのデットによるP2Pファイナンスは、従来からあるソーシャルレンディングとは異なるものになると澤村氏は言う。「金融機関出身の人間としては本丸はそこではない思っています。機関投資家が貸出しているところを早く簡単にできるようにするのが狙いです。(ソーシャルレンディングのような借り手の)匿名性よりも、むしろ見える化したい。リスク・リターンの情報開示をしっかりやって機関投資家を相手にビジネスにしていく」(エメラダ澤村CEO)。

大切なのは「プロのお金」が還流すること

「P2P」とか「プラットフォーム」という言葉を聞くと、個人を含む多くのプレイヤーが参加可能なものを想起する人もいるだろう。ぼくは「民主化」というキーワードを思い浮かべた。ただ、エメラダは民主化ということに力点を置いていないそうだ。実際、先行する英米のサービスには、Funding CircleLendingClubなど色々あるが、澤村氏によれば、これらのプラットフォームでも機関投資家からの資金が大半というところが増えているのが現状だそうだ。また、個人をプラットフォームに載せようと考えると「ユーザー獲得単価(CPA)が高くなる」、「一定規模になるとスケールが難しい」、「コンプライアンス・リスクがある」(個人を対象にする以上は機関投資家相手以上にシッカリした情報開示が必要)などといったこと難しさもある。

「長い目でみれば個人がお金を動かす時代が来るかもしれません。ただ、アメリカですら(資金調達プラットフォームが)機関投資家へシフトしていることを考えると楽観的に考えても日本では、これは20年はかかる話。それよりも、事業者に対して最適な形で資金還流がなされることが大切。経済にとっては流れるべきところに適切な方法で流れていないのが課題なので、大事なのはプロのお金。われわれは融資先の発掘、選別、リスク評価の機能を充実させて既存の金融機関を支援します。審査モデルとシステム構築の方向性については、金融機関の融資企画や審査部門で経験が長い専門家などと協議をしながら決めています」(エメラダ澤村CEO)。

低金利時代に多くの営業員を抱えて収益を圧迫される金融機関に対して、テクノロジーを活用した案件発掘や審査の機能をオンラインで提供し、そこに対して投資家として既存金融機関にも入ってもらう、というのが狙いだそうだ。

エメラダの潜在利用ユーザーの企業に対しては、事業の中身も含めて資金に関する悩みや課題を解決するという意味で、これまで銀行、税理士・会計士、証券会社とバラバラに行く必要がる現状に対して、ワンストップとなるような「ファイナンスのアマゾン」を長期的には目指したい、と澤村CEOは話している。

澤村CEOは慶應義塾大学出身で、エメラダ創業前は野村證券、ゴールドマン・サックス証券の投資銀行部門で企業買収や資金調達の助言業務に携わっていたそうだ。現在エメラダのマネジメントチームは同じくゴールドマン・サックス出身のメンバーのほかに、ソニーでPS VRの開発をしていたエンジニアなどが参画している。

Apple、新しいiMacとPro用モニターも開発中

今日午前、Appleは報道関係者と異例の会見を行い、Mac Proを根本的に見直す計画について語った。しかしその話し合いでは、いくつかほかのハードウェアの話も出た。新しいiMacは積極的にプロユーザーに焦点が合わされ、Mac Pro専用にデザインされたスタンドアロンのディスプレーも計画されている。

いずれについても詳細は明らかになっていないが、この会社が新製品の全体戦略について進んで話したことだけでも、これまでにない透明性を示すものだ。いずれもプロユーザーをターゲットにしているが、別の視点から焦点を当てているところが興味深い。

Appleは会見を通じて、iMacが益々プロユーザーに使われるようになっているという認識を表した ― オールインワン機の能力が向上したことと、Proが3年以上本格的にアップグレードされていないことの両方が理由だろう。2018年にMacを見直す一環として、新しいiMacの仕様はプロにとってさらに魅力の増したものになる。

タッチスクリーンが採用される可能性は低い。Surface Studioを始めとするWindowsオールインワン機との競争はあるものの、AppleはiOSとMacOSの製品ラインを分けることにこだわっている。少なくとも現時点では、プロユーザーにはMac製品とiPad Proなどのデバイスを両方使って欲しいとAppleは思っている。

「様々な作業がある中では、それがベストだと考えているからだ。ユーザーには安心して複数の製品を買ってもらいたい。いや買うよう勧めている」とSVP Crraig Federighiは冗談交じりに話した。

Appleは来年に向けて、新しいMac Proと共に独自のディスプレーも開発している。昨年新MacBook Pro専用の5Kモニターで、LGと協力したのとは違うやり方だ。もちろん、そのモニターがルーターの近くに置かれると表示に問題が起きるとわかったことで、提携関係にひびが入ったことも理由に違いない。

あれはAppleにとって絶対に避けたいバグであり、今回新しいMac Proとモジュール部品を一から作り直すことになった理由の一つかもしれない。

「新しいMac Proは本質的にモジュラーシステムであり、我々はPro用のディスプレーも作っている」とPhil Schillerは語った。「ただしどの製品も今年中にみなさんが目にすることはなく、今は準備を進めているところだ。Mac Proモジュラーシステムを求めている当社のプロユーザーのために素晴らしい製品を作ることは非常に重要だと考えている。それには今年だけでは足りない」。

それまで待ちきれない人のために、スペックをアップグレードしたMac Proが今週発表される予定だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

GoogleのProject Zeroが多くのスマートフォンに使われているBroadcomのWi-Fiチップの脆弱性を発見

GoogleのProject Zeroはこのところ快調で、CloudflareLastPassの高度なバグを発見したことに続き、今度は、iPhoneやNexusやSamsungの製品に使われているBroadcomのWi-Fiチップにバグを見つけた。

Appleは、昨日(米国時間4/3)のセキュリティアップデートでこのバグをパッチした(パッチ10.3.1 — Apple製品のユーザーは今すぐこのアップデートをインストールすべきだ)。そしてProject Zeroの研究員Gal Beniaminiが今日(米国時間4/4)のブログ記事で、問題を詳しく説明している。

Appleはセキュリティアップデートの注記で、“犯人が被害者から一定範囲内の距離にいれば、そのWi-Fiチップ上で任意のコードを実行できただろう”。それはまずい! まずいだけでなく、Appleが10.3.1のリリースを急いだ理由も分かる(一週間前に10.3が出たばかりだ)。AppleとGoogleは、どちらもコメントを拒否した。

BeniaminiはBroadcomのチップ上で一連の悪行を連鎖的に実行することによって、“ユーザーのアクションをいっさい要さずに、Wi-Fiの近くにいるだけでデバイスを完全に支配できた。すなわち、共有されているWi-Fiネットワーク上の犯人は秘かに、何の前触れもなく、ユーザーのデバイスを犯すことができた”。

Beniaminiは彼が行った調査を、Nexus 6Pでデモした。だからAppleがセキュリティアップデートの注記で“できただろう”と言っているのは、自分の(Appleの)デバイスでもできただろう、という意味だ。Broadcomのチップはいろんなスマートフォンで使われているから、Appleに限らずそのほかのメーカーにも影響が及ぶだろう。

“Broadcomはこの脆弱性の修復と、それの関連ベンダへの提供の両方で、対応がきわめて迅速で有益だった。その完全なタイムラインは、バグトラッカー記録見ていただきたい”、とBeniaminiは書いている。

Beniaminiからの、さらなる情報開示を期待しよう。彼は、近いうちにこの脆弱性の詳細をもっと明らかにしたい、と言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

コンピュータービジョンで家具を特定するGrokstyleは200万ドルを調達済

こんな技術があればいいのに、といつも思っていたことの1つは、携帯電話を何かに向けて写真を撮れば、それが何であるかということと、どこでそれが買えるかを教えてくれるような機能だ。そんな私の贅沢な大量消費の夢が叶い始めているようだ。Grokstyleはその夢の実現に取組んでいる企業の1つだが、同社の技術はどんな角度の写真からでも家具や家庭の装飾品を自動的に特定してくれる。

基本的なアイデアは以下のようなものだ。アプリやウェブインターフェイスを開き、写真を撮影するかアップロードする。椅子でもランプでもお好みのものを選ぶことができる。好きな角度、好きなスタイルで構わない。Grokstyleサービスは、即座に最も似通ったものを答えてくる。そのものだけでなく、それに似通ったものも一緒に。

これはもちろん、インテリアコーディネーターにとってとても便利な機能だが、一般の買い物客も役立てることができる。Restoration Hardwareで素敵なランプを見かけたが、それに500ドルは支払えない?おそらくCB2には似たような何かがあるだろう…Grokstyleは個々の店の在庫を示し、類似品や相当価格のものをチェックできるようにする。

ビジネスとしては、同社は小売アプリやウェブインターフェイスが呼ぶことのできるAPIとしてそのサービスを提供する。そして多くのデザイナー、部屋、地域を組み合わせた深い知識を使って、例えば、今見たカウチとこのエンドテーブルがお似合いだ、といったことを勧めることもできる。

当然だが、こうしたことの中心にはコンピュータービジョンとマシンラーニングが置かれている。それが何の写真なのかを判別し、対象の輪郭を抽出し、寸法を測り、色やその他の特徴を調べ、同社が集めた数百万ものライブラリとマッチングを行う。

「私たちの会社はコーネル大学での研究からスタートしました」と共同創業者兼CEOのSean Bellが言う。「私たちは『それは何か?』という問に焦点を当てました。そして、その問題のための最高の技術を開発したのです」。

それは簡単なことではない。照明、組み合わせ、奇妙な角度…ユーザーの意図は言うまでもない。テーブルを撮影したのか、それともその隣の椅子が狙いだったのか?それはクルミなのかサクラなのか?

簡単だろうが何だろうが、彼らはそれらを実現した。そして得られたシステムは本当に素早く動作するのでまるでトリックがあるようにも見える(そうではないが)。動作中のプロトタイプの動画を以下に示そう。

共同創業者のKavita Balaが研究所を率い、大学院生のBellが加わった。そして彼らはGrokstyleの技術基盤を2015年のSIGGRAPHで発表した。大変な将来性が見込まれたので、コーネル大の公式な承認の下、彼らは自身の会社をスピンアウトすることを決めた。

「コーネル大学における起業活動は、ここ数年でとても重要になって来ています」とBala。「私たちは時代の波に乗っています、大学は私たちの成功を望んでいるのです」。

もちろん、この活動の一部は、お金を持っている人びとと関係している。Grokstyleは国立科学財団からの22万5000ドルの助成金でスタートし、様々なファームやエンジェルたちから合計200万ドルを集めた。取りこぼしはしたくないので、Seanによるサマリーを引用することにしよう。

Canaan Partners、Amino Capital、Neuron.VC、Krishna Bharat(元Google News責任者)、Amit Singhal(元Google検索責任者)、Luc Vincent(Lyftのエンジニアリング担当副社長)、Red Bear Angels(コーネル大エンジェルネットワーク)、その他のエンジェル投資家たち。

CB Insightsは彼らをAI 100リストに取り上げて賞賛している。今日のAIスタートアップの数を考えると、決して小さな扱いではない。現在は家具の世界に集中しているが、決してそこが物語の終わりではない。

「私たちは、このアルゴリズムは一般化できるものだと思っています」とBala。「複数のひとがユースケースとしてテレビを挙げています。もし適切なパートナーをご存知なら…」。

この手の技術が、ファッション、旅行、その他の高度に視覚的なマーケットにどれほど良くマッチするかは言うまでもない。家具の場合、バラエティには富んでいるものの、対象は少なくとも静止しているし比較的硬い。風にたなびく織物や、バースツールチェアがずっと同じ位置にあり続けるかどうかを心配する必要はない。しかし彼らは靴とハンドバッグあたりから、手を出すのかもしれない。

現在同社はパートナーシップの獲得と運営(相手が誰かは教えて貰えなかった)に取組んでいる。そして「本当に多数のエンジニア」を雇うことで、アルゴリズムの正確性と柔軟性に取組んでいる。

Grokstyleのシステムと、彼らの取り組み(そしてAPIアクセス)に関しては、同社のウェブサイトで情報を得ることができる。

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(翻訳:Sako)

Apple、現行Mac Proをアップデート―新Mac Proは「一から作り直して来年登場」と発表

今週AppleはMac Proの設計を根本的に見直すという異例の発表をした。AppleはTechCrunchのMathew Panzarinoを含むメディアの編集長を何人か秘密に包まれた本拠に招き、この計画について話し合った。新Mac Proは2018年に登場する予定だが、その間、Appleは現行Mac Proのパフォーマンスをアップさせることを約束した。

Appleのフィル・シラーはこのミーティングで「それまでの間、〔現行Mac Proの〕構成をアップデートしてスピードアップし、コストパフォーマンスの改善を図る。新モデルではないし、新デザインでもない。一部のアップデートだ。これは今週出荷予定だ」と述べた。

つまり黒いぴかぴかの円筒形のデザインは変わらないものの、ユーザーは今日からMac ProでIntel Xeonコア、 デュアルAMD FirePro D500 GPU、16GBメモリという構成を選べる(現行は3.7GHz Quad-Core Intel Xeon E5、12GBメモリ)。価格はエントリーモデルが2999ドルから。現行6コア・モデル(3999ドル)は8コア、デュアルD700 GPUモデルにアップデートされる。

Appleがこのように情報公開に踏み切ったのは、Mac Proについてこれというアップデートなしに3年以上待たされたプロ・ユーザーの苛立ちを静めるようとする努力だろう。Appleは新製品ではないと念を押しているが、古いハードウェアに魅力を取り戻す助けになりそうだ。来年の新モデル登場まで待てないプロ・ユーザーのためには朗報だろう。

ただし全体として見ると、たしかに今日以降のMac Pro(基本的には現行Mac Proのまま)は昨日までより優れたパフォーマンスが期待できる。しかしAppleが来年Mac Proのデザインを見直していくつかの重大な制約を取り除いたモデルを発表するのを待てるなら待った方がいいだろう。いや待つべきかもしれない。

過去数年、Mac Proシリーズを事実上放置されていたことについて、一部では長年Appleを支えてきたプロ・ユーザー層にAppleは背を向けていると批判されていた。MacBook Proシリーズも大きなアップデートなしだったが、これは昨年Touch Barを備えた新しいMacBook Proシリーズにアップデートされた。

Appleはデザイン、アート関係のプロ・ユーザー向けにモバイル・デバイスとしてはiPad Proを発表している。Mac Proは抜本的にリニューアルされるものの、製品のシリーズごとの特色は維持されるという。つまり、タッチスクリーンはMac ProやiMacには導入されないということのようだ。

Appleの上級副社長、クレイグ・フェデリギは「Appleのユーザーは前述のミーティングで〔複数のシリーズの製品を〕並行して使うことが多い。そこでわれわれは異なるシリーズの製品の協調動作の改良に集中している。なぜなら、多くのミッションで〔複数製品を並行使用することが〕ベストのソリューションだと考えるからだ」と述べた。フェデリギはまた「ユーザーには安心して複数の製品を買ってもらいたい。いや買うよう勧めている」とジョークを飛ばした。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

割り勘アプリ「paymo」、アプリのダウンロードをしなくても支払い可能な新機能が登場

連続起業家の木村新司氏が率いるスタートアップのAnyPay。同社が3月にリリースしたのが、個人間の決済(割り勘)アプリの「paymo(ペイモ)」だ。

ペイモは飲み会やレジャーなどでの、友人との割り勘に特化した決済アプリだ。支払いを担当したユーザー、つまり割り勘の幹事がレシートを撮影し、アプリ上で1人あたりの支払額を入力。割り勘を行う友人たちにアプリ上で支払い依頼を送ればOK。友人らのアプリには支払い依頼が届くので、あらかじめアプリに登録しておいたクレジットカードで支払いを行うことができる(これは資金移動業者として登録が必要となる「送金」ではなく、個人間での「支払い」と定義している。つまりpaymoは収納代行サービスという位置付けだ)。幹事のアプリには友人からの支払い額がチャージされ、paymoでの支払いに利用したり、現金として引き出したりできる(直接的な現金のチャージはできない)。

個人間の「支払い」という手段に限定することで、ユーザーの本人確認が必要となる個人間送金と同様の機能を手軽に実現したこのサービスだが、まだまだ課題は少なくない。その1つが、「アプリのダウンロード」だ。僕も実際にサービスを何度か使って実感したが、あらかじめ登録しておいたクレジットカードで支払いができるとはいえ、初回はアプリをダウンロードして、カード登録しておかないと利用できない。いざ割り勘の際にアプリをダウンロードして、カードを登録して……というのは割と時間がかかるものだった。

そんな課題を解決するのが、4月5日に発表された「アプリなし支払い」の機能だ。この機能を利用すれば、paymoをダウンロードしていないユーザーであっても幹事に対してウェブ上での支払いが可能になる。具体的には、幹事がアプリ上で友人に対しての支払い依頼を行う際、LINEやメールなどでユニークなURLを友人に送信する。友人らがURLをクリックすれば、支払い用のウェブページが表示されるので、名前と電話番号を入力。SMSで認証を行えば、クレジットカード番号をウェブ上で入力すれば支払いは完了する。

「アプリなし支払い」のイメージ

AnyPayの木村氏は、具体的な数字は非公開としつつ、「paymoのダウンロード数は順調に伸びている。1月にリリースして、2月3月は倍増している状況」と語る。その一方で、僕が経験したのと同じように、「初めて使う際、飲み会などの場でアプリをダウンロードして、名前やメールアドレス、クレジットカードを登録するというのは意外に大変。みんながアプリを入れていないとことが、幹事側のプレッシャーにもなっている」と説明。「僕らとしてはアプリをダウンロードしてもらいたいが、それよりまずは『クレジットカードで割り勘ができる』ということを体験してもらいたい」と新機能提供の意図を語った。

AnyPay代表取締役の木村新司氏

なおAnyPayではpaymoに先駆けて、2016年9月よりウェブ決済サービスの「AnyPay」を提供している。このサービスは、アカウント作成後、自分の売りたいアイテムを登録すれば、ユニークなURLを発行してオンラインで販売できるようになるサービス。こちらに関しても具体的な数字は非公開ながらサービスは成長しているという。

「SEOなどで集客するというよりも、ダイレクトなコミュニケーションで伸びている。いまやTwitterやFacebook上で見えているコミュニケーションは全体のごく一部(小さなグループ内での「ネットで見えない」コミュニケーションが中心になっているという意味)。トラフィックを分析するのは難しい。ECよりも結婚式の二次会やカンファレンス、セミナーといったオフラインイベントの決済に利用されている」(木村氏)

同社では今後、paymoとAnyPayのサービス連携なども強化しつつ、paymoの年内700万ダウンロードを目指すとしている。

初期費用約1万円のデバイスで自動車のビックデータ解析 ― スマートドライブが10億円調達

自動車のビックデータ解析を手かげる日本のスマートドライブは4月5日、複数の事業会社および既存株主の産業革新機構、その他銀行系VCを引受先とした第三者割当増資を実施し、約10億円を調達したと発表した。これが同社のシリーズBラウンドとなる。今回の調達ラウンドは将来的な事業提携を視野に入れた戦略的投資だと見られるが(すでに数社とは業務提携を締結済み)、代表取締役の北川烈氏は「まだ発表していない大きな業務提携に関わるため、現段階では会社名を明かすことはできない」としている。

スマートドライブは自動車に取り付ける専用デバイスから50〜60項目にわたるデータを取得・解析し、それをもとに自動車保険の開発や走行データ可視化サービスなどを展開している。現在、同デバイスは大手コンビニの配送車両をはじめとする1万台以上のクルマに装着されているという。

この専用デバイスを取り付けるのは「OBD-Ⅱ」と呼ばれるコネクターだ。これは車両の自己診断用に搭載されたコネクターで、ここから車速やエンジン回転数など様々なデータを取得することができる。日本では2010年9月以降に販売されたすべての自動車(輸入車含む)への搭載が義務化されている。

スマートドライブは2015年10月よりクラウドファンディング・プラットフォームのMakuakeでデバイスの先行販売を開始。現在はOBD-Ⅱコネクタに装着する2つのタイプ(3G接続、Bluetooth経由でスマホと接続)と、シガーソケットに装着するタイプの計3種類のデバイスを用意している。デバイス本体は約1万円で購入することができ、月額でかかる費用も1500円〜と比較的リーズナブルだ。

価格を低く抑えることができた理由として北川氏は、「デバイスの販売で利益を得るのではなく、そこから得たデータを解析して付加価値を提供するビジネスモデル」だからだと語る。

その例として、同社は2015年に業務提携したアクサ損害保険と共同で「テレマティクス保険」を開発している。これは、スマートドライブが取得したデータによって運転の安全性を判断し、それをもとに掛け金が変動する仕組みの保険商品だ。

その他にも、走行データの可視化サービスを法人向け「DriveOps」と個人向け「DriveOn」のそれぞれに提供している。

つい先日もYahoo! Japanが自動運転車のSBドライブに出資するなど、日本でも「クルマを賢くしよう」とする動きが盛り上がりを見せている。そんな中、約10億円という大規模な資金調達を完了したスマートドライブ。今後の展望を北川氏に聞いた。

それによれば、まず同社は2017年度中に交通渋滞の予測など公共性の高いデータを地方自治体などに販売開始するという。

また、2017年夏ごろにはドライブレコーダーの動画データを解析するサービスを公開する予定だ。GfKジャパンの調査によれば、2015年度におけるドライブレコーダー保有率は16%とまだ低いものの、販売台数は前年比42%増の61万台と上昇傾向にある。需要は少しずつ増えているようだ。しかし、企業の営業車にドライブレコーダーが導入された場合、取得した動画データをすべて目視で確認するのは難しい。そこで、スマートドライブはデバイスから得たデータ(急なハンドル操作など)を組み合わせて解析することで、危険な運転があった箇所だけをサマライズできるクラウド解析サービスを提供していく。

スマートドライブは2013年10月の設立。同社はベンチャーキャピタルのANRIからシードマネーを調達後、2015年8月には産業革新機構から最大で6.6億円を調達すると発表した。北川氏によれば、助成金や借入金も含めた累計調達金額は約20億円だという。

Netflixからミニシリーズ、Defendersの予告編―4人のMarvel ヒーローがこの夏ニューヨークを救う

NetflixオリジナルにMarvel Defendersが登場する。これは4人のスーパーヒーロー、デアデビル、ジェシカ・ジョーンズ、アイアン・フィスト、ルーク・ケイジがチームを組んでニューヨークを救うというミニシリーズだ。ヒーローたちはMarvelですでにそれぞれ独自のシリーズを持っているがタッグを組むのはこれが初めてだ。

公開された予告編はモノクロの監視カメラの映像仕立てなのであまり情報が豊富ではない。しかし番組の雰囲気は感じとれる。

Defendersの4人のスーパーヒーロー(残念ながらダニー・ランドのアイアン・フィストが加わっている)は力を合せて謎の悪の力からニューヨークを救うために立ち上がる。Netflixによれば8月18日からストリーミングで公開されるという。

アイアン・フィストが不評なのはこのシリーズの弱点かもしれない。特にこのミニシリーズが始まる直前にバッシングを浴びたのは不運だった。それでも他のシリーズの好調さから考えればDefendersは注目だ。予告編は短いが内容に期待させるものがあった。

〔日本版〕Netflix日本版でもDefendersは公開が予定されている。スケジュールについては情報がない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Teslaの時価総額、GMも抜く―アメリカ自動車メーカーのトップに

Teslaの株価は引き続き今日(米国時間4/4)もアップした。これにより時価総額はフォードを抜いただけでなく、GMさえ抜き去った。つまりアメリカの自動車メーカーで時価総額のトップに立ったことになる。

値動きからするとこれは昨日の時点でかなり予測できたことだ。今年第1四半期のTeslaの生産、出荷台数が上向きだったことが確認されてから、株価は一本調子に上がっていた。これに対してアメリカの自動車の大メーカーの第1四半期のニュースは出荷台数含めて悪いニュースが多かった。投資家にとってTeslaは有望な成長株であり、ライバルの自動車メーカーは控え目に言ってもぱっとしない株に見えたということだろう。

Teslaの株価は主として今後の成長へ強い期待によって支えられている。 同社は新しい電気自動車、Model 3を準備中だ。グリーンカー奨励金を考慮する前の価格も3万5000ドルとこれまでのTeslaより手頃だ。需要もきわめて強力で、昨年5月にすでに予約注文が37万3000台入っていた。これまでのところスケジュールは順調に消化されており、2017年中に出荷を開始することができそうだ。今年の末には一部のユーザーの手元にModel 3が届き始めるかもしれない。

この記事の執筆時点でTesla株は1.8%アップして303.89ドルをつけている。時価総額は530.6億ドルだ。これに対してGMは34.40ドルで時価総額は498.0億ドルとなっている。

〔日本版〕Google Finance(日本時間4/5 AM6:00)によれば世界の自動車メーカーの時価総額はToyota:175.21、Daimler:76.19、VW:72.78、Honda:53.61、Tesla:53.07、GM:49.61、Ford:45.19などとなっている(単位:10億ドル)。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

自宅でできる精子チェックが流行中?!

精子の状態を自宅でテストするツールがはやっているようだ。先週にはハーバード大学の開発した、安価かつ手軽に精子の運動能力チェックを行うアプリケーションが話題になった。そして今回紹介するYOも出荷を開始した。FDA認可のデバイスと、簡単に使えるアプリケーションをセットにして、精子の状態をチェックするものだ。

不妊の原因の40%ほどは、精子の運動不全によるものだとのこと。誰もが気になることではあるが、これまでは医院で精子を放出してチェックする必要があった。手間もかかり費用も高額なこともあり、検査に二の足を踏む人も多かった。

もちろん、これまでにも自宅で精子チェックをするためのツールは、ドラッグストアなどで売られていた。製品には「医院でのチェックと同等の正確さ」云々と記されていた。見たことがないという人は、妊娠検査キットや避妊具などが並ぶコーナーにあるはずなのでチェックしてみるといい。しかしドラッグストアで売られてきた精子検査キットでは、精子の量のみをチェックするようになっていた。実際のところ、泳動能力の方がより重要なのだ。

FDA認可キットとしてはTrakというものもあった。しかしこちらも精子の量のみを検査するもので、また価格も200ドルというものだった(今回紹介しているYOは50ドルを下回る価格となっている)。

Yoは、SpermCheckやTrakなどと異なり、ハーバード発のツールと同様の検査を行うようになっている。ともに運動精子濃度(MSC:motile sperm count)をチェックするようになっている。数ではなく、有効に機能している精子を率を判別しようとしているわけだ。

なお、衛生面を気にする人も多いことだろう。精子は専用のスライドにのせて、特別のデバイスに装着するようになっている。装着後7分ほどでテスと結果がアプリケーションで確認できるようになる。

結果について医者に相談したりしたいと考える人もいるだろうし、また運動精子濃度以外にも考慮すべきことはある。Yoについて意見を求めた医師によれば、精子の形や環境なども考慮すべきだとおことだった。たとえば周りの温度によっても精子の運動能力は影響を受ける。また熱い風呂や、スキニージーンズなども影響を及ぼすことがあるらしい。

しかし、とにもかくにも現状を理解するための、手軽でかつ安価な第一段階調査として役立つのは間違いないようだ(精子の状況が健全であれば、不妊の原因を他に求めることができる)。

YO(ともだちに「よーっ」と挨拶を送るアプリケーションと混同しないように)はAndroidおよびiOS版が提供されている。ハードウェアの方は、ロサンゼルスのMedical Electronic Systems (MES)が開発している。同社は20年前から、商用の精子チェックツールの開発を行なっている。

YOについては、以下のビデオも参考になるだろう。

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(翻訳:Maeda, H

グラフェンのふるいを使った海水の淡水化、実用化へ大きく進歩?

科学者たちはグラフェンの可能性を探求し続けている。グラフェンは原子1個分の厚さの、結合した炭素原子の薄いシートで、10年以上前に研究者たちがグラファイトの塊からスコッチテープを使って数層を剥がすことによって作り出したものだ。その後技術が洗練されて原子1個分の厚さのシートが作成されるようになった。

このナノ材料は革命的な可能性を秘めたあらゆる用途に利用されて来た、より速く、より薄く、さらには透明なエレクトロニクスから、バイオテクノロジーによる移植、そして優れたバッテリ容量の実現まで。現在マンチェスター大学の研究者たちが、グラフェン酸化物膜の透過を制御するための方法発見したと報告している。これにより膜を海水の淡水化のためのふるいとして使うことが可能になる。

膜の細孔の大きさを制御することにより、チームは食塩が素材を通過することを阻止することができた。このことにより海水が飲料水になる。

これまでグラフェンは、小さいナノ粒子、有機分子、さらには大型の塩を濾過することが実証されてきたが、毎水中の食塩の場合にはその小ささが課題となっていた。グラフェン膜は水に浸すとそのサイズが膨張する、すなわち食塩を阻止するためにはより小さなふるいが必要とされることを意味する。

マンチェスターのチームは水に浸されたグラフェン積層板内の層間間隔を制御するために物理的拘束手法を使ったと語った。このことにより、彼らの表現するところの「正確で調整可能なイオンふるい」を実現することが可能となり、水和イオンの直径よりも小さなふるいのサイズを実現することができるようになった。

研究者たちは膜に対する透過率が、ふるいサイズの縮小とともに指数関数的に減少することを発見する一方で、水の移動そのものは「弱い影響を受ける」に過ぎないことを報告している。すなわち、膜を通貨する濾過された水の流れは相対的に速いままということを意味する。これは手頃な価格の淡水化技術を開発しようと考えるなら、重要な因子だ。

淡水化への応用の可能性と同時に、チームは「イオンをサイズに従ってオンデマンドで濾過できる能力」の、産業への幅広い応用も想定している。彼らの研究はネイチャー・ナノテクノロジー論文として掲載されている。

発表に対するコメントとして、研究者の1人であるRahul Nair教授は次のように語った「原子スケールへ縮小可能で、均一な細孔径を持つ可変膜の実現は、淡水化技術の効率性の改善に向けて重要な1歩を刻み、新しい可能性を開きます」。

「これは、この方式による最初の明快な実験です。私たちはまた、論文に述べられたアプローチをスケールアップし、必要な大きさのふるいをもつグラフェンベースの膜の大量生産を行うことへの、現実的な可能性も示しています」。

予算規模6100万ポンドの国立グラフェン研究センターを擁する同大学の科学者たちは、グラフェン膜をガスの分離に利用することも狙っている。たとえば発電所の排気ダクト内のガスから二酸化炭素を分離するといったことだ。これは経済的に炭素を補足し、大量に保存することを可能にする方法へのヒントになるだろう。

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(翻訳:Sako)

ShopifyのBurstは無料の素材写真サイト、ネット・ショップの内外装用に無難できれいな画像を集める

写真を見て、たとえば、“おっ、こいつはミレニアル世代の手作りショップのヘッダーにぴったりだね”、なんて思うことがあるだろう。誰もがネット・ショップを開けるサービスShopifyがこのほど立ち上げた素材写真サイトBurstには、そんな写真が揃っている。しかも画像はすべて使用料無料で、Creative Commons Zeroのライセンスで提供される。とにかく、自由に使える写真ばかり、ということ。

Burstにある写真は、何かの分野に偏っているわけではなく、上質で完全に無料の、クレジットなしで使える画像を大量に揃えている。写真の変更や編集も自由にできる。どの写真にも、それを撮ったアーチストのリンクがあるから、有料のサイトに使って稼ぐ気なら、ひとことご挨拶するのも悪くない。

Burstは、誰もが気軽にネット・ショップを開けるサービスShopifyの関連サービスだから、写真もそんなショップをより魅力的に見せることがねらいだ。良質な写真を簡単に見つけられてそれを無料で自由に使えることも、Shopifyのサービスの使いやすさ、使い勝手を増大させる。”horse”(馬)で検索するとなにもなかったりだから、何でもある写真集サイトではないけど、Instagramの“あこがれのライフスタイル”的な写真なら、それ的なキーワード検索でたくさん見つかる。

この写真ライブラリの真価は、なにしろ完全に無料で使い方に制約がないことだ。ユーザーの制限もない。ブロガーが自分の記事のアイキャッチに使ってもよいし、ネット・ショップが使ってもよい。こういう、個性臭や芸術臭のない、きれいで一般性のある写真は、通常の素材写真(stock photo)サイトにはなかなかない。このサイトの、見てて気持ちの良い写真を活用して、インターネットをより賑やかにしましょう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))