Googleマップ上の数百万件の企業情報がフェイクとの報道

Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル、WSJ)紙による調査が、Googleマップには偽の企業情報が数百万もあると結論したことに対して、Googleはその問題の対策を詳しく述べた返答を発表した。

WSJがアンケート調査をしたオンライン広告のエキスパートたちによると、「1日におよそ110万件の企業情報が載っており」、毎月新たに数十万件ずつ増えている。偽情報はそれを専門とする企業が作り、顧客は存在しない支社や子会社などをGoogleマップ上にたくさん載せて、検索結果などにおいて自社を競争上優位に見せかけようとする。

WSJがインタビューした検索のエキスパートによると、2017年にGoogleが研究者たちに金を払ってやらせた調査では、ローカル検索の結果のわずか0.5%がフェイク(偽)とされているが、元データが少なすぎるため、その調査結果自体がフェイクである。

今回の返答の中でGoogleマップのプロダクトディレクターであるEthan Russell(イーサン・ラッセル)氏は、ここ数年でGoogleマップに加えられた2億件あまりの企業情報のうち「わずかなパーセント」がフェイクだとコメントしている。彼によると昨年Googleは300万件あまりの偽の企業プロフィールを取り下げたが、その90%あまりはユーザーがそれらを目にする前に消された。削除した企業情報の85%はGoogleのシステムが見つけたもので、25万件はユーザーからの報告だった。悪質と見なされたユーザーアカウント15万件も無効にされた。それらは2017年に比べて50%増加している。

ラッセル氏は「さまざまな手作業や自動化システムにより、これらの悪質な情報と戦う有効な方法を探究している」とも述べている。詳細を述べられないのは、犯人たちがそれらを出し抜く方法を考案するおそれがあるからだ。

偽情報に関してはGoogleが保有するサービスYouTubeも、その対策の生ぬるさを問題視されている。YouTubeは昨年初めて悪用対策報告書を発表したが、ヘイトスピーチなど問題のあるコンテンツは根絶できず、批評家たちは、YouTubeはポリシーとその適用がでたらめだと指摘する。

AppleやAmazon、Facebookなどと並んでGoogleの親会社Alphabetも目下、連邦取引委員会と司法省による反トラストの調査に直面しており、Googleの場合は検索事業が精査されることになるだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Google系の配達ドローンWingが6月にフィンランドでパイロット事業

ゆっくりと、しかし確実に、翼(Wing)は広がりつつある。つい先月、かつてはGoogleのドリーム企画(Moonshot、人間を月に打ち上げるような途方もない企画)だったこの製品が、オーストラリアの首都キャンベラの一部で荷物の配達を開始した。そして今度はフィンランドに飛び、首都ヘルシンキで仕事を始める。

ドローンの配達は6月に始まるが、それは昨年暮れに発表したように、まさにフィンランドでは春の時期だ。オーストラリアの場合と同じく、今回もパイロット事業と位置づけられていて、特定の品物を一定の地域へ届ける。ヘルシンキの場合は、いちばん人口の多いVuosaari(ヴオサーリ)地区だ。

Wingは、Mediumのページにこう書いている。

VuosaariはWingにとって、いろんな点でやる気満々になる地区だ。ヘルシンキでいちばん人口が多く、三方向が海で住宅地と緑の森が混在し、大きな国際貿易港もある。今回は集合住宅への配達サービスを初めて行うが、人口密度の高いVuosaariはそれにふさわしい場所だ。

このパイロット事業には2社のパートナーがいる。高級食材のスーパーマーケットのHerkku Food Markと、カフェのCafe Monamiだ。サーモンサンドイッチやペーストリーもドローンで届くのだ。

Wingも書いているが、ヘルシンキは今、マイカーへの依存を減らして公共交通機関を充実させようとしている。Wingにとっても、好機だろう。

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中国の報復関税で米ハイテク株が軒並み下落

米中の間で進行中の貿易戦争の新たな局面として、中国が米国に報復の総攻撃をかけたことにより、米ハイテク企業の株価は大打撃を受けた。

S&P 500指数は、金額にして約1.1兆ドル(約120兆円)ぶんも下げ、ダウ工業株平均とナスダック総合指数も、それぞれ2.38%と3.41%下落した。

米国時間5月13日の月曜日に、中国は、米国が中国からの輸入品に25%の関税をかけたことへの報復として、約600億ドル(約6兆6000億円)にもなる米国からの輸入品に25%の関税を課すことにした。

6月1日から、中国政府は5000以上の品目に25%の関税をかけることになる。また、それ以外の多くの輸入品についても、税率は20%に上がる見込みだ。以前は、10%または5%だったものからの引き上げとなる。最も高い税率がかけられる品目は、ドナルド・トランプ大統領の政治的な支持基盤に対して打撃となるよう、意図的に選ばれているようだ。つまり、米中西部の畜産物、果物、野菜が相当する。

しかし、この貿易戦争の矢面に立たされているのは、とりわけ米国内のハイテク産業だ。実際に、このニュースはハイテク企業の株価の急降下を招いた。それは元TechCrunchの共同編集長で、今はベンチャーキャピタリストのAlexia Bonatsos氏が「ハイテク企業のレッドウェディング」と呼んだ通りのものだ。

関税の引き上げは、アップルや、その他の米国内のハイテク企業の製品の製造コストを押し上げる。それは結局、そうしたハードウェアメーカーの米国内での製品価格を上昇させることになる。一方、完成品を中国に輸出する際の関税は、中国国内でそうした製品を買おうとする際の製品価格を、法外なまでに高価なものにする。

消費者向けの製品が高価になるということは、特に重要ではない製品に費やす金額が減ることを意味する。それは結局消費者の生活を質素なものにし、オンデマンド経済に対する支出を減らすことになる。それはまた、広告の削減を引き起こす可能性もある。企業は中核ではないと判断される領域への出費を削減し、切り詰めようとするからだ。

こうした状況は、ハイテク株の取引そのものを停滞させることにもなる。市場の低迷が長引くことが予想される中では、アルゴリズムうんぬんではなく、ただ持ち株を処分して利益を確保するという気運になりやすいからだ。

今回の貿易戦争は、すでにUberの新規株式公開に大きな損失を与えている。今日も同社の短期的な株式市場のパフォーマンスを食いちぎっている

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流血しているハイテク株はUberだけ、というわけではまったくない。Amazonの株価は3.56%下落し、Alphabetは2.66%、そしてAppleも5.81%下げた。さらにFacebookは3.61%下げ、Netflixに至っては4%以上も急落した。すべてこの1日でだ。

ハイテク企業の中には、持ち直すところも出てくるかもしれない。しかし、今回の中国との経済戦で傷ついた米国の農民に対して大統領が与えようとしているような救済策や助成金を、ハイテク企業が受け取ることになるとは考えにくい。議会が、行き詰まっているインフラを含むパッケージに関する交渉を再び軌道に乗せることができない限り、政府の援助によって今回の打撃を和らげられるという希望はほとんどない。2020年の米国大統領選挙が統治の問題に影を落とし始めているの見る限り、交渉の再開は、ますますありそうもないことのように思われる。

「私たちは、この状況は、数カ月ではないとしても、少なくとも数週間はエスカレートしていくのではないかと見ています。問題は、2つの国が再び交渉のテーブルに着いて同意に達することができるかどうかですが、その間にも市場はさらに打撃を受けることになるでしょう。本当の問題は、我々は5%、10%、あるいはもっと大きな市場の調整を必要としているのかどうかということです」と、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのグローバル経済部門の責任者、Ethan Harris氏はCNBCに語った

画像クレジット:Hiroshi Watanabe

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

エリック・シュミットとダイアン・グリーンがGoogle親会社Alphabet取締役を辞任

Schmidt(シュミット)氏は2001年以来同社の取締役会メンバーであり、 2011年4月まで10年にわたりCEOを務めた。その後は同社の会長となり、2017年末に「技術顧問」といわかりにくい職務についた(昨年彼は機械学習と人工知能の新しいアプリケーションに集中していると語った)。

Alphabetは、シュミット氏が今後も技術顧問の職務を続けると発表した。

一方のGreene(グリーン)氏は、Googleが2015年に同氏の会社Bebopを買収したあとGoogleのクラウド事業のCEOになり、1月に退任するまで約3年間務めた。グリーン氏は2012年以来取締役会メンバーだった。

2人の離任とともに、AlphabetはRobin L Washington(ロビン・L・ワシントン)氏を取締役に任命したことを発表した。ワシントン氏はバイオ製薬会社Gilead Scienceの執行副社長・最高財務責任者。同氏は以前Hyperion SolutionsとPeopleSoftの経営職だった。

「ロビンの卓越したビジネス及び指導者としての経験は、今後の取締役会および当社にとって驚くべき価値がある」と取締役会会長のJohn Hennessy(ジョン・ヘネシー)氏が声明で語った。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Alphabetはスマートフォン市場の逆風を認めハードウェア新製品の発表を匂わす

Googleの親会社であるAlphabetの2019第1四半期は、主に広告収入の過小によりウォール街を落胆させた。また、ほとんどすべての選手たちに影響を与えたスマートフォンのグローバル市場の不調のせいもあって、ハードウェア部門も苦しかった。

CEOのSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏は、昨年秋のPixel 3Pixel 3 XLに続く同社のスマートフォン系列を指して「逆風が収まらないまま年を越した」と述べた。確かに彼の言うとおり同社はハードウェア部門を独立させてからまだ日が浅いが、同時に彼はまた、今後のイノベーションへの明るい希望も述べた。

「5Gとフォルダブル(折り畳み式スマートフォン)には今後も大きな期待が持てるし、それらはAndroidの重要な活躍の舞台でもある」、と決算報告で彼は語った。Androidのフォルダブルに関しては、そのUIの設計でGoogleが重要な役割を担い、サムスンの最近遅れが発表されたフォルダブルでも密接に協働している。

CFOのRuth Porat氏のコメントもピチャイ氏とほぼ同様だが、将来についても暗示した。「第一四半期の結果はスマートフォンの高級機の全市場的な不調を反映しているが、しかしGoogleアシスタントを実装したHome製品の好調は喜ばしい。とくに良いのはHome HubとMiniデバイスだが、ハードウェアチームは5月7日のGoogle I/Oカンファレンスで新しい発表をするようだから、それも楽しみにしていただきたい」。

上で「スマートフォンの高級機の不調」とあえて言っているのは、中級機ならという思惑があるからだ。その噂のミドルレンジ機のPixel 3aは、来月のI/Oでデビューするらしい。もしかしたらこれによって、Pixelの売上が持ち直すかもしれない。

ピチャイ氏がとくに言及したのは、同社が最近オープンした「キャンパスとエンジニアリングハブ」だ。苦境のハンドセットメーカーHTCで大きな買い物をした結果、Googleの台北R&Dセンターは同社のスマートフォン事業の拠点になるだろう。また彼はAmazonと競合するHome製品、とくにMiniとHubについて、ハードウェア部門の明るい材料、と言った。

彼はこう語る。「Google Homeとアシスタント製品だけを見れば、これまでも良くやっている。市場で勢いがある。グローバルで見れば、弊社はこのカテゴリーにおけるマーケットリーダーだ」。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Google系のWingがドローン配達にてFAA認可を取得

GoogleのX Labから誕生したドローン配達スタートアップのWing Aviationは、FAA(連邦通信委員会)から初めて商品の商業配達に関する認可を受けた。ドローンがブリトーを配達する日は、そう遠くないはずだ。

Wingはここ数年間テストを続けており、数千回の飛行をくり返す中で、ドローン配達の安全性と効率性を実証してきた。その多くは、初めて同社の商業配達が実施されたオーストラリアのキャンベラ郊外で実施された。また、フィンランドなど他の数カ国でもプロジェクトが進められている。

Wingの初のオペレーションはヴァージニア州のブラックスバーグとクリスティアンバーグにて、連邦政府と自治体の協力の元で年内に開始される。FAAの認可だけでは、一般向けのドローン配達は実施できないのだ。

FAAのリリースには、「Wingは食品の配達を始める前に、地域のコミュニティとコンタクトを取りフィードバックを集め、将来のオペレーションを告知する」と記載されている。これは、自分の空域を騒音を立てる小さな航空機が通過するかどうかを選択できる、という意味だ。

今回の申請では渋滞時にもすばやく食事を配達できることになるが、それ以外にもさまざまな計画がある。例えば救急救命士が迅速に医療品を配達したり、あるいは医療機関同士で輸血用の血液を輸送する、などが想定されている。

現在TechCrunchはWingの計画について問い合わせており、詳細がわかり次第記事をアップデートする予定だ。

 

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

オーストラリアでドローンによる日用品の配達サービスが開始

Alphabet傘下のWing(ウイング)は、オーストラリアの首都キャンベラ周辺の3つの地域でドローンによる配達サービスを開始した。 同社は過去18か月間に3000回ものテストを実施し、「対象となる限定された住宅」への展開を開始する。

同サービスはグレース、パーマストン、フランクリンのエリアで利用可能。その他エリアは「今後数週間から数カ月のうちに」追加される予定だ。配達の対象となる商品は食品や飲み物、医薬品など。

同社ではKickstart Expresso、Capital Chemist、Pure Gelato、Jasper + Myrtle、Bakers Delight、Guzman Y Gomez、Drummond Golfなど、食料品・日用品、ゴルフ用品などのパートナーと提携し、「ほんの数分」でのデリバリーを約束している。

同社は、今のところ、主に地元の企業と提携し、当面はAmazonに対抗するようなアプローチで配達事業を行なっていく見込みだ。配達に参加しようとしている地元の商人のための応募フォームも準備されている。 現時点ではこのプログラムはまだ発表されたばかりだが、小売店にとっては良い宣伝効果になるのではないか。

Wingは、事業をできるだけ円滑に進めるため、地元の人々とのコミュニケーションを重視していると述べている。

「Wingは、地元の政策立案者、規制当局、そして地域社会と協力することで、サービスを拡大、新たな経済的機会を開拓し、都市の連携をより強固なものにできると信じている」「キャンベラのコミュニティとの対話を続け、Wingのサービスを拡大していく予定だ」と同社は綴っている。 

(本稿は米国版TechCrunchの記事を翻訳・編集したものです)

[US版TechCrunchの記事はこちら]

公園など公共施設の現状調査をクラウドソーシングで行うGoogle系アプリ

Googleと同様にAlphabet(アルファベット)子会社で都市計画をサービスとして提供するSidewalk Labs米国時間3月29日、公共施設観察アプリのCommonSpaceをローンチした。公園の管理者や有志のコミュニティメンバーなどが、このアプリを利用して身近な公共施設に関する観察や所見を入力してまとめ、それらを何らかの活動に結びつけていく。

あるスペースに関心を持った人たちが、そのスペースのためのウェブ上のポータルを作る。まとめ役(オーガナイザー)はその研究事業のパラメータを定義し、何のためにどんなデータを集めるのかを説明する。そしてメンバーはシフト制のグループに分かれて、データを記録していく。目標は、人びとがさまざまな公共のスペースをどのように利用しているのかを発見し、今後の整備事業につなげていくことだ。

SidewalkのシニアエンジニアであるAnanta Pandey氏がブログでこう言っている。「このアプリはデータを、オープンなデータ規格のPublic Life Data Protocol形式で記録するから、いろんな公共施設のデータと比較できる。CommonSpaceアプリで集めたデータは、視覚化や分析を行うツールに容易にエクスポートできる。コミュニティや施設の管理者は、それらのツールの出力を見て、一定のパターンを発見したり、問題点を見つけたり、今後必要な整備事業のための予算獲得説得用の証拠を得ることができる」。なお、Public Life Data Protocolは、ニューヨークの都市計画研究所のGehl Instituteとその創設に関わった市町村や民間パートナーにより策定された。

ただし公共施設のために集めるデータやパラメータにはプライバシーに関わるものもある。Sidewalk Labsはこの問題に関して、それはPrivacy by Designに準じており、とくに、CommonSpaceの視野に入った傍観者や見物人の個人情報は収集しない、と言っている。

昨年の秋にトロントの公園でパイロットテストを行ったこのアプリは、今ではAndroidiOSの両方で利用できる。

画像クレジット: Sidewalk Labs

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

AppleとAplhabetが進化させるヘルスケアウェアラブル

Appleが、Apple Watchのデータを活用する新しいアプリに関して、健康保険会社のAetnaと提携したという発表や、Googleの親会社のAlphabetの傘下にある健康にフォーカスする会社Verilyが、体重と動きを検知できる靴を開発しているといったニュースは、ウェアラブルからのデータを、臨床用の健康管理アプリや治療に活用しようという動きが勢いを増していることを示している。

ベンチャーキャピタルの投資家にとって、このようなAppleとAlphabetの動きは、ウェアラブルデバイス用の新しいアプリケーションへの道を切り開くものであり、正しい方向への第一歩となる。それは、むしろ遅すぎたくらいだ。

「医療サービス提供者として、私たちは予防医療の重要性についてかなり話してきました。しかし米国の医療システムには、それにお金を払うための適切なインセンティブがありません」と、Trinity Venturesの起業家、Cameron Sepahは書いている。「大会社の経営者は(メディケードやメディケア以外に)すでに多額の医療費を支払っているので、予防のためにまでにお金を出そうという気には、なかなかなりません。というのも、従業員がそれほど長く会社に留まることもないので、長期的な健康管理の費用を負担しようとは思わないからです。そのため、この分野のスタートアップのほとんどは、企業にとって見返りの少ない健康手当となりがちです。しかし、Aetnaのような保険会社が会員を十分長く引き止めておけるのであれば、うまく連携して、このアプリを普及させることもできるでしょう」。

Sepahは、健康保険会社とハイテク企業が提携すれば、さまざまな種類のデバイスによって健康状態を検出して診断することができる、という大きな可能性を視野に入れている。

「ほとんどの患者と保険会社との関係は、紙に印刷された請求書や通知を郵便で受け取るだけで、顧客満足度(NPS)はどこを見ても最低です」とSepahは電子メールに書いている。「しかし、もし手首に装着されたデバイスを通して、より密接な関係を築く方法があれば、他の健康関連技術のスタートアップと協力して取り組む可能性も広がります。たとえばMindstrongは、自覚症状が出る前に精神的な健康の問題を通知できます。またCardiogramは、高血圧や睡眠時の無呼吸を検出して治療を促します。あるいは、Omada Healthは、デバイスからの健康データを、慢性疾患の治療プログラムに活用することができます」。

(関連記事:Apple partners with Aetna to launch health app leveraging Apple Watch data

Aetnaは、Apple Watchのデータを健康保険に結び付けた最初の会社ではない。John Hancockは、2018年の9月にVitalityというプログラムを立ち上げた。ユーザーがJohn Hancockのアプリとリンクすれば、最新のApple Watchを割引するというものだ。さらに、ユーザーがダイエットとエクササイズに関する習慣を変えれば、会社が報奨金を支払う。

米国、英国および南アフリカ共和国の40万人を対象としてRand Europeが実施した調査によれば、Apple Watchを着用し、Vitalityのプログラムに参加したユーザーは、Apple Watchを着けていない人と比べて、運動量が平均で34パーセントも増加したという。その数字は、1ヶ月あたり、ほぼ5日分もトレーニング量を増やしたのに相当する。

「CVSとAppleの協力が、どのような結果になるのか興味深く見守っています。個人の医療履歴と、ウェアラブルからのリアルタイムのデータの組み合わせに基づいて、健康に関するパーソナライズされたアドバイスを提供することは、非常に大きな価値のある目標となるでしょう」と、ベンチャーキャピタルMenlo Venturesの共同経営者、Greg Yapは書いている。しかしYapは、「彼らの第1世代のアプリが、幅広い利用者に対して十分な価値を提供できるだけのデータや学習能力を備えているかについては疑問があります。しかし話題性はあるし、それも重要だと思っています」と続けている。

その一方で、消費者の健康情報を記録するデバイスの種類は増え続けている。これも、少なからずVerilyのおかげだ。

CNBCによれば、Verilyはユーザーの動きや体重を監視するセンサーを備えた靴の共同開発に取り組んでいて、さらに健康状態の監視および管理のための常時接続型デバイスの種類を拡張しているという。すでに同社は、FDAが承認した心電図を含む、患者の特定のデータを監視する腕時計を実用化しており、さらに、糖尿病に由来する眼の疾患を感知する技術や、白内障を治療するスマートレンズを開発中だという。

こうした動きは、ハイテク企業が、ほぼ3兆ドル規模にもなるヘルスケア市場に食い込もうとして、消費者の健康に密接に関わることをもくろんでいるのを示すものだ。

ウェアラブルデバイスから、あるいは消費者の行動から、より多くのデータを収集できれば、そしてそれを継続的に監視できれば、ハイテク企業が、より早い段階で通知することで、より低コストの治療を提供することもできるかもしれない。緊急の、あるいは救急医療の必要性をなくすことにつながるからだ。

ハイテク企業による、いわば大風呂敷を広げたようなコミュニケーションとモニタリングのサービスは、うまくすれば、ユーザーと将来に医療を受ける人を、今とは異なったシステムに移行させるかもしれない。それは、治療の量や処置の回数よりも、結果にフォーカスすることになり、低コストのものになる可能性が高い。

持続的なモニタリングが良質な治療に結びつくと、すべての医師が確信しているわけではない。スタンフォード大学の有名な教授であるDr. John Ioannidisは、データが実際に何を明らかにするのかをはっきり理解しない限り、モニタリングを有効に利用することはできないと主張している。

「情報というものは、それが何を意味するのかを知っていれば、有益なものとなります。その情報の大部分については、何を意味しているのか分かっていません。それをどう扱えばよいのか、皆目見当も付かないのです。単に不安の種を増やすだけでしょう」と、Dr. Ioannidisは述べた。

ライフサイエンスのスタートアップを支援している投資家によれば、目標は、機械学習を使用して問題を特定し、同時に治療方法を確立できるような、パーソナライズされたアドバイスを提供することなのだという。

「Omada、Livongo、Lark、Vida、Virta、といったスタートアップは、リアルタイムのデータと、個人の履歴データを組み合わせるというアイディアに、すでに取り組んでいて、それはうまくいくと私は考えています。しかし、スタートアップが成功するためには、さらに細かく絞り込むことで、より良い結果を提供できるようにする必要があるでしょう。もちろん、早急に経済的な利益を生み出すことも重要です」と前出のYapは付け加えた。

画像クレジット:VenimoShutterstock

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

ハイテク企業は健康管理の方法を変えられるか?

[著者:Cyrus Radfar]
V1 Worldwideの創設パートナー。

2018年9月の時点で、2012年からアメリカのハイテク企業上位10社が医療関係企業の買収に費やした総額は47億ドル(約5170億円)にのぼった。これらの企業による医療関係企業の買収件数は年々増加している。これは、アメリカのハイテク企業が医療への関心を高めている証しであることに違いはないが、ここにいくつもの疑問がわく。彼らの目的はなんなのか、また、医療業界はどんな帰路に立たされるのだろうか。

もうひとつ、なぜ医療がアメリカのハイテク大手企業の最新のターゲットになったのだろうか。表面上、この2つは気の合う仲間には見えない。片方は機敏で腰が軽いが、もう片方は鈍重で思いに耽るタイプだ。片方は未来に恋い焦がれ、もう片方は過去と共に生きようと必死になっている。

にも関わらず、これが事実だ。近年は、Apple、IBM、Microsoft、Samsung、Uberが医療に浮気し、データを収集する健康アプリ医療患者がタクシー配車のデジタルサービスを受けられる機器などを出している。なかでも、このところ医療分野に深く入り込もうとしているのがAmazonとAlphabetの2社だ。この2つの企業は、とくに健康保険を視野に入れているようだ。

Alphabet、Amazon、AppleのA

CB Insightsによれば、現在、アメリカで医療分野にもっとも多く投資しているハイテク企業はAlphabetだ。Alphabetの子会社Verilyは、テクノロジーで健康への理解を深めることに専念している。これもまたAlphabetが買収したDeepMindは人工知能(AI)によるソリューションを提供しているが、AlphabetはそのAIを活用し、データ生成、データ検出、生活習慣の改善で病気と闘う方法を探っている。Alphabetはまた、Oscar、Clover、Collective Hearlthといった、どれも健康保険分野に波風を立たせようという企業に相当額の投資を行っている。

一方、Amazonは、昨年の夏、インターネット薬局のスタートアップPillPackを買収するという、医療分野への大きな動きを見せて周囲を驚かせた。そして2018年10月には、音声アシスタントAlexaが風邪を感知する機能の特許申請を行った。さらにAmazonは、Heraという内部プロジェクトに取り組んでいる。これは、電子カルテ(EMR)のデータを使い、誤診を修正するというものだ。さらに昨年の1月、Amazonは、従業員の健康管理計画でBerkshireとJP Morganと提携したことを発表した。片方の目では一般市場への拡大を見据えつつ、企業の従業員を実験台にして健康保険の研究をしようという戦略が見え隠れしている。

Appleも黙って見ているわけではない。同社は2016年からAetnaと共同で、個々の顧客に合わせた運動と健康上の助言を提供し、健康的な生活習慣の実践を促す活動を行っている。

これら3つの企業は医療分野に大きな一歩を踏み出しているが、とくに、AlphabetとAmazonにとっては、医療保険が長期戦略の柱になりそうだ。

ハイテク大手は濠を超えられるか

アメリカの医療と健康保険の市場をハイテク産業が拡大したのは、今回が初めてではない。医療業界は、長い間、座ったアヒルのように何もせず自滅を待つ存在だと見なされてきた。それは事実であり、意外な話ではない。アナログシステム、複雑な縦割り組織、時代遅れの技術。デジタル改革の筆頭候補であり、その受け入れ準備ができている分野だと誰もが思う。最新のデジタル技術は、この時代遅れながら収益性の高い産業を合理化し、効率化し、利用者中心の形に変革できる。

それが、2013年、Health Heroの共同創設者でRock Healthの顧問を務めるGeoffrey Clappによって創設された、モバイル医療サービスを提供するBetterの設立の狙いでもあった。このスタートアップは、開業初日から投資や、過剰な問題をひとつの単純な方法で解決するという途方もない作業に翻弄された。そして設立からわずか2年後、Betterは敗北を認めることになった。

「私たちは、膝間接手術や脳卒中といった、あらゆる病状、あらゆる解剖学的状況に対処するコンシェルジュ・サービスを提供しつつ、包括支払い制度やその他の多岐にわたる支払い制度への対応を行なっていました」とClappは、2016年にBetterを振り返り話している。「人は製品を気に入ってくれるかも知れませんが、どんな問題にも対応して欲しいと望むのです。私たちはよく自分たちに言い聞かせていました。これはバーティカル市場なのだと」

健康保険は、アメリカの他の医療産業分野と同じく頑固であり、参入の手前ですでに巨額の資金を必要とするため、スタートアップには魅力の薄い分野だ。

規模、資本、アイデアに関わらず
医療産業への参入はハイテク企業にとって
容易なものではない

ここ数年のケーススタディーで興味深いのは、Oscar健康保険だ(ちなみに昨年、Alphabetから3億7500万ドル(約413億円)の投資を受けた)。Oscarは、2012年、テクノロジーと顧客体験からの洞察を活かして健康保険を簡素化するという条件のもとで設立され、健康保険業界を撹乱したことでスタートアップの鑑のように見られてきた。しかし、その道のりは決して平坦ではなく、巨額の投資を受けながらも、未来は混沌としている。

同社は、個人向け医療の市場で奮闘し、事業に必要な医師や病院とのネットワーク作りにも力を入れた。設立から7年目の2018年に初めて黒字の四半期を記録したが、そこに至るまでには資金の大量出血を経験している。2016年には2億ドル(約220億円)の損失もあった。もしOscarが、アメリカの健康保険に変革をもたらしたスタートアップの成功物語だとしたら、それは、この事業がどれだけ過酷な戦いであるかを知らしめる厳格な指標ともなる。

もちろん、AmazonとAlphabetは、健康保険という長期計画において損失を心配する必要はない。それでも、数々の規制や現実主義を乗り越えなければならず、こればかりは単に資金をつぎ込めば解決できるというものではない。企業規模や資金によって、自動的に信頼を獲得できるわけでもない。それは「思っていたほど広範なインパクトを与えられなかった」として2017年にGoogle Healthのサービスを打ち切ったGoogleが経験したことだ。

AlphabetやAmazonといった企業は、自身の失敗、仲間の失敗、Betterなどのスタートアップの失敗から学んでいるようだ。Alphabetは、今回は頭から飛び込むことは控え、特定の疾病に的を絞った。病院と提携し、AIに関する膨大なノウハウを武器に大勢のアメリカ人が抱える問題に立ち向かっている。Amazonは、Berkshire、Hathaway、JP Morganと提携し、ミクロのスケールで問題点を綿密に調べながら、引っかき回すべき市場を時間をかけて研究している。

成長するか死ぬか

もしアメリカの健康保険業界が本当に征服困難であるなら、ひとつの疑問が浮かぶ。ハイテク企業はどうして再挑戦しないのだろうか。答えは簡単。利益だ。

アメリカの健康保険業界の、2017年の健康保険と生命保険の純保険料は5949億ドル(約65兆4000億円)だった。これはAmazonの2017年の利益である1780億ドル(約19億6000万円)の3倍を上回る額であり、Alphabetの1110億ドル(約12億2000万円)の何倍にもなる額だ。

まだある。

年間の事業収益が1000億ドルを超えると、有意義な成長につながる新しい道を探すのが大変に困難になる。これは、AlphabetやAmazonのような企業には厄介な問題だ。彼らには、成長と規模の拡大が生命線だからだ。それが鈍れば、エコシステムから脱落すると見込んで、ハゲタカどもが頭の上を舞い始める。そしてそれが株価に響く。

近年、ハイテク大手企業は、他分野のバーティカル市場への拡大を成功させて、こうしたリスクを回避してきた。食品宅配サービス音声アシスタント自律運転車両など、ハイテク産業は帝国拡大の機会を求めて、新鮮なバーティカル市場を探し続けている。医療業界は、単に次なる征服目標にすぎないのだ。

行く手を阻む障害物

規模、資本、アイデアに関わらず、医療産業への参入は、どんなに気をつけたところで、ハイテク企業にとって容易なものではない。業界をかき回すことには慣れている彼らにしても、医療と健康保険はまったく別の生き物だ。

まず、規制の壁がある。薬を販売したり流通させるためには、複雑で費用のかさむいくつもの輪をくぐり抜けなければならない。そこでは米食品医療局や米麻薬取締局といった規制当局が目を光らせている。

これらの企業は膨大な独自のデータを
どのように活用するのかという疑問が
常につきまとう

そして、データとプライバシーの問題がある。ハイテク大手企業は、業界に長年居座っている既存企業にテクノロジーで勝ることができると信じているが、テクノロジーを活用しようとすれば、これまた厳しい個人情報保護のための規制に守られたデータへのアクセスが必要となる。とりわけ、健康保険に参入しようとする者には、乗り越えなければならない最大の障壁だ。

そしてそれらの上に、健康保険に参入したいと考えるハイテク企業が通らなければならない州ごとの保険規制制度がある。保険規制に関しては概して寛大だとされているユタ州で通用するものが、もっとも厳しいとされるカリフォルニア州では通用しない。

プライバシー、データ、国民皆保険

健康保険業界の主力選手となるための新規事業に挑むには、反対に打って出られる勇敢な人物が必要だ。成功しようと思えば、すべての人が喜ぶのとは違う道を行く必要もある。

まずは、これらの企業は膨大な独自のデータをどのように活用するのかという疑問符が常につきまとう。ハイテク企業はこの数年、自分たちのデータで金儲けをしていることを嫌った一般ユーザーの離反に揺さぶられてきた。しかし、そのデータが、その人の保険料の計算に使われるとしたらどうだろう。たとえば、健康的な食品を買っていたり、スポーツジムの会員になっていたり、日常的に運動をしていることを追跡するデバイスがあり、その人が健康的な生活を送っているとデータが証明してくれたなら、保険料が下がる可能性がある。

反対に、あまり体を動かさない人が不健康な食品や製品を買ったことがわかれば、保険料が徐々に上がるということも考えられる。

ジョージア工科大学Scheller College of Businessに在籍するプライバシー専門家であり、ホワイトハウスではクリントン大統領のもとで医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律のプライバシーに関するルールを取りまとめたPeter Swireは、そこに危機感を覚えるという。「私の知る限りでは、AmazonのウェブサイトはAmazonが取得した利用者の情報を、提携する健康保険会社に提供できるとなっています」とSwireはViceのインタビューに応えて話している。「言い換えれば、データが医療機関の外へ流れ、健康保険会社で利用されることを阻むルールの存在を私は知らないということです」

接線:ハイテク企業が押すのは単一支払者制度かユニバーサルヘルスケアか?

ちょっと一息入れて、アルミ箔の帽子をかぶらせていただく。

つい先日の2017年、AetnaのCEO、Mark Bertoliniは単一支払者制度についてオープンに議論したいと話した。「単一支払者。国として議論しておくべきだったと思う」

単一支払者制度、いわゆる「メディケア・フォー・オール」(すべての人に医療を:国民皆保険)は、どちらもワシントンの進歩的な民主党の考え方だ。イギリスやカナダなどの国をモデルにした単一支払者制度の実現を目指す人たちは、すでに、医薬品業界と保険業界が送り込んだ強力なロビイスト団体に対抗している。ゲームの理論から言えば、世界で最も裕福な企業をロビイスト団体の味方につければ、アメリカでのユニバーサルヘルスケア(国民皆保険)の実現を遠くに追いやることができる。

これは、ハイテク企業が独自の保険方式を作り始める未来を思うときに、常に私につきまとう大きな「もしも」のシナリオだ。彼らは、政府の介入で民間の保険が奪われてしまうことを決して好まない。

さて、ここでアルミ箔の帽子を脱いで、陰謀めいた話から現実的な話に戻ろう。

現状よりはマシ

もちろん、AmazonやGoogleなど、健康保険への参入に興味を示す企業が、利用者に不利益をもたらよう、あるいはユニバーサルヘルスケアに反対するロビイスト団体のためにデータを使う可能性を示す証拠はない。実際、それらの業者が唯一わかっていることがあるとすれば、それはできるだけ多くの人を喜ばせることの重要性だ。彼らは、おもに個人的な体験から、ネガティブな評判の影響力の大きさを知っている。それは特定の製品やサービスに止まらず、事業全体にもダメージを与える。悪辣な金儲けに走れば、健康保険業界をかき回す可能性は、手を付ける前に、ことごとく失われる。

ハイテク企業は、それぞれのソリューションに特製ソースで臨んでくるだろう。

Amazonは、高度な効率性を武器にするだろう。無駄のない驚くほど高速な物流で製品を提供する。GoogleとAlphabetの子会社は、AIと予測的アプローチで挑んでくるだろう。そこでは、すべての人に、それぞれの分野の専門家に支えられた健康アシスタントが着く。Aiphabetのマシンやキオスクに立ち寄れば、簡単な健康診断ができる。Appleは、洗練された小売の経験を持ち、顧客の支配を好むことから、管理医療機構Kaiser Permanenteのようなバーティカルな方式を作り出すかも知れない。どの企業も、高品質な利便性を追求するはずだ。それらは実質的に、異なるタイプの消費者を対象にすることになる。

彼らが手の内を見せて、健康保険業界の既存企業と真っ向対決するようになれば、制度の対象となるすべての人たちのために、既存企業に置き換わる善意の企業という立ち位置で戦うことになる。それは結果的に、より良く、より安価で効率的なものを生み出す。2017年のMckinseyの調査によると、アメリカ人が求めているものを提供している保険会社は非常に少ないという。具体的には、保険料に見合った利便性、より統合された技術、健康増進のためのツールだ。

技術者が秀でることのできる分野がある。レベルの高いカスタマーケア、サービスの向上とコストの削減、これらを最新テクノロジーを取り込むことで実現する。それを健康保険に活かせれば、テクノロジーの約束を短期間に果たすことができるだろう。それは、時代遅れの業界を引っかき回すことだ。

ハイテク大手企業にとって、成長は血と同じ。そして、引っかき回す準備が整った健康分野のバーティカル市場は、奇遇にも、我々が生きてゆくために欠かせないものでもある。この戦いは見ものになる。Uberが荒っぽいスタートを切ったときのように、はたしてハイテク企業は規制を飛び越えて、議会を動かし、消費者の要求に応えさせることができるだろうか。

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(訳者:金井哲夫)

Alphabetの売上は22%増でも株価はダウン

Q4の決算報告で売上が予想を上回ったAlphabet(Googleの親会社)は、しかし株価が少し下がった。

売上は393億ドルで前年同期比22%の増、一株あたり利益は12ドル77セントだった。しかしAlphabetの株価は時間外取引(米国時間2/4)で2%あまり下がった。

同社の売上は、“市場性のない債務証券関連の”未回収利得13億ドルを引けば、アナリストの予想を上回った、にはならない。Alphabetは詳細を述べていないが、それはアナリストたちの合理的な予想に対する一種のスキュー(ゆがみ…予想外の不祥事など)による乖離である。

広告収入は前年同期比20%アップの326億ドルだった。クラウドやハードウェアなど“その他”(Other)の売上は31%アップの64億9000万ドルだった。Waymo、Fiber、Verilyなど“そのほかの事業”(Other Bets)は損失が13億ドルに急増し、売上は1億5400万ドルにとどまった。これらはウォール街の予想に達していない。

アナリストたちが最近ますます注目しているトラフィック獲得費用は74億ドルに上昇、前年同期比で15%、前期比で13%の増となった。

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Googleの社員グループ、会社の性的不品行への対応に抗議のストライキを計画

New York Timesの調査によって、Androidの開発者Andy RubinにGoogle社員との不倫や性的不品行があったにもかかわらず、会社が9000万ドルの退職金を与えたことが暴かれた。これを受け、検索巨人の社員200名がストライキを計画している。 BuzzFeed Newsが伝えた。

本誌はGoogleにコメントを求めた。

ストライキは社内フォーラムでは women’s walkと呼ばれており、木曜日(米国時間11/1)に予定されている。

NYT紙報道の後、GoogleのCEO Sundar Pichaiと人事担当VP Eileen Naughtonは連名の社内メモを発行し、過去2年間に48名がセクシャル・ハラスメントによって退職し、うち13名は上級経営陣だったことを認めた。メモによると、その中で退職報酬を受け取った者は誰もいない。

「今日のNew York Timesの記事は読むのが辛かった」と彼らは書いた。「われわれは安全で誰もを受け入れる職場を提供することに本気で取り組んでいる。セクシャル・ハラスメントや不適切な行動に関する苦情にはすべて必ず目を通し、調査のうえ行動を起こすことを約束する」

Rubinは2014年、彼の性的不品行に対する訴えが信用に足ることが内部調査によってわかった後Googleを去った。しかし、退職の詳細について公表されることはなかった。昨秋The InformationがRunbinの不法行為に関する独自の爆弾レポートを報道したことで、彼のセクシャル・ハラスメントの歴史が明かされ始めた。同誌の記事を受け、Rubinは「私事に対応する」ためにEssentialを休職した。

Google退社後、RubinはEssential Productsというスマートフォン会社を設立し、多額のVC資金を調達したものの、次期端末の開発は中止となり、社員の30%をレイオフし、報道によれば会社を売りに出したと言われている。

Rubinは先週のツイートで、NYTの記事には「不正確な内容」が数多く含まれていると主張した。

「中でも、私はホテルの部屋で女性に性行為を強要したことはない。こうした虚偽の主張は、離婚や親権争いで私の評判を落とすための中傷工作の一部だ。また、匿名のGoogle幹部が私の人事データについて事実を曲げたコメントをしていることに深く傷ついている」

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

自動運転車タクシーの料金計算方式のテストをWaymoが開始

Googleからスピンオフして今やAlphabet傘下の自動運車転技術の企業Waymoが、同社の自動運転車の乗車料金の計算方式のテストをフェニックスで開始した。これは同社が商用のロボタクシーサービスの立ち上げを準備していることの、いちばん新しい兆候だ。

Waymoはまだ、フェニックスでもどこでも、大規模な商用ロボタクシーサービスを立ち上げてはいない。でも、その日は近い。

Waymoの初期の乗車プログラムでは、厳選された本物の人間のグループがアプリを使って自動運転車を呼ぶだけだったが、今回テストはさらに拡大された。AlphabetのCFO Ruth Poratが、木曜日(米国時間10/25)に行われた同社の決算報告でそう説明した。すなわちWaymoは、第三四半期の間に行なう、そのアプリにある料金計算方式のテストを開始した、とPoratは述べた。

前回Waymoがそのプログラムの数字を共有したときは、その初期の乗車プログラムに400名が参加した。しかしWaymoのスポークスパーソンは今回、それがどれだけ増えたかを明言しなかった。

代わりにこう言っている: “初期の乗車プログラムの一環として最近、アプリにある料金計算方式のテストを始めた。料金計算は現在実験段階であり、初期の乗車者からのフィードバックを得ることだけが目的である。サービスの本格的な開始に向けて現在検討中の、そのほかの料金計算方式を反映したフィードバックにはならない”。

Waymoは、2016年に郊外地区のチャンドラーなどでテストを開始して以来、少しずつフェニックスにおける商用サービスに向かって近づいていた。2017年4月には初期的な乗車プログラムを本格的に開始し、その年の後半にはテスト車の隊列から社員と乗客を外して、空の自動運転ミニバンの車列をフェニックス大都市圏の街路に送り出した。

今年の5月には、Waymoは一部の初期的乗車者に、人間のテストドライバーが乗っていない自動運転ミニバンをタクシーのように呼ばせることを開始した。さらに最近同社は、フェニックスで公共交通プログラムを立ち上げ、人びとを最寄りのバス停や、列車やライトレール(市街電車)の駅まで運ぶパイロット事業を始めた。

テストはカリフォルニア州のマウンテンビューやテキサス州のオースチンなど、他の都市でも継続する。同社は今月の初めに、同社の自動運転車がアメリカの公道を1000万マイル走破したと発表した〔約1610万キロメートル〕。

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Waymo、自動運転車のテスト走行1000万マイルを達成

Alphabet傘下の自動運転車会社、 Waymoは、公道での自動運転車のテストを長年続けている。わずかなマイル数から始まった走行距離はここ数年で爆発的に延びた。。

そして今、商用配車サービスの準備を進める同社は新たな節目を迎えた。

水曜日(米国時間10/10)にWaymoは同社の自動運転車が米国内の公道を1000万マイル(1600万キロ)走ったことを発表した。ちなみに同社は7月に800万マイルを達成したばかりで、2017年11月にはわずか400万マイルだった。つまり、Waymoのペースは急上昇している。

この無人自動車の走行距離は25都市で累積されたもので、中でもGoogleのホームタウンであるカリフォルニア州マウンテンビューとアリゾナ州フェニックス周辺地域では、都市周辺の利用者を運ぶ乗車プログラムを早期に実施した。400人以上の早期利用者がWaymoアプリを使って同社の Chrysler Pacifica Hybrid自動運転ミニバンに乗車した。

同社の公道テストの実績を可能にしたのは、シミュレーションへの投資だとWaymo CEO John KrafcikMediumへの投稿に書いている。同社のバーチャル世界での走行距離は今月末で70億マイルに達する。.

「シミュレーションの中で、われわれは路上で遭遇するあらゆる事象を再現し、『ファジング』によってさらに厳しい状況を作り出した」とKrafcikは書いた。「新しいスキルをテストし、既存のスキルを洗練し、極めて稀な状況への対応を練習することで、われわれのソフトウェアの確認、検証を常に行うことができる。こうした公道テストとシミュレーションの組み合わせによってわれわれは飛躍的に多くのことを学ぶことができる。

もちろん、重要なのはマイルを蓄積することだけではない。

CruiseやWaymoのように大量の自動運転車を保有する企業は、複雑な都市環境を安全に走り、かつ、路上を走る数百万人の人間に溶け込むことのできる自動運転車を開発することを要求されている。それは常にスムーズにいくとは限らず、注意深い自動運転車の後ろに車列が滞ることもあり、時には人間のテストドライバーが手動で車を操作する必要もある。

「現在われわれの車は慎重さと丁寧さを何よりも優先している。それが最も安全だからだ」とKrafcikは書いた。路上の誰にとっても困難な行動に習熟することで、この慎重さと強引さのバランスを保つように努力している。たとえば、速く走っている車線に合流するためには、他者がブレーキを踏まずに済む程度に大胆に、かつ乗客が快適に感じられるくらいスムーズに行動する必要がある。

今のところWaymoの車は、たとえ所要時間が数分増えるとしても、より慎重になり安全な道を選ぶように設計されている。

次の1000万マイルは、配車サービスを構築し、利便性、効率性を高めることに集中するつもりだとKrafcikは言った。たとえば現在同社は、経路や乗車、降車地点の改善に務めいてる。

Waymoの技術者たちは、自社製の新しいセンサーシステムを使って大雨大雪など困難な気象条件下での運転を可能にするために高度な人工知能も応用している。

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Alphabet傘下のChronicleがマルウェアスキャンVirusTotalのエンタープライズバージョンを立ち上げ

Googleの持株会社Alphabet傘下のセキュリティ企業Chronicleの、ウィルスやマルウェアをスキャンするサービスVirusTotalが今日(米国時間9/27)、エンタープライズ向けのバージョンを立ち上げた

VirusTotal Enterpriseと名付けられたその新サービスは、より高速でよりカスタマイズ性に富むマルウェア検索と、Private Graphと呼ばれる新しい機能を提供する。Private Graphは、企業のインフラストラクチャと、彼らのマシンに悪影響を及ぼすマルウェアの、プライベートな視覚化を作りだす。

企業はPrivate Graphを使って社内のインフラストラクチャやそのユーザーの明細を容易に作れるので、セキュリティチームはインシデントとその起点を調べやすくなる。上図のようなグラフを作る過程でVirtusTotalは、複数のノードの共通性を見つけ、問題の発見を助ける。

当然ながらこれらのグラフはプライベートに維持される。VirusTotalはすでにその有料ユーザーにVirusTotal Graphという機能を提供しているが、しかしその情報はすべて、パブリックだ。

VirusTotalの主張によると、このサービスはAlphabetの大きなインフラストラクチャと検索の専門的能力を利用できるので、高速で高度な検索ができる。VirusTotal EnterpriseのスピードはこれまでのVirusTotalの100倍で、検索の精度も高い。その高度な検索機能により、企業のセキュリティチームは、偽アプリケーションからアイコンを取り出したり、同じファイルに取り付いているすべてのマルウェアを見つけたりできる。

さらにVirusTotalによれば、同サービスは今後も引き続きGoogleの強力なインフラストラクチャを利用する前提で、そのエンタープライズサービスを徐々に拡張していく。

GoogleがVirusTotalを買収したのは2012年で、その後長年このサービスに変化はなかったが、今年の初めにGoogleの親会社AlphabetがVirusTotalを新設のChronicleブランドへ移し、それ以降、開発が活発になったようだ。

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トラック運送のUber、Convoyが評価額10億ドルで1.85億ドルを調達

Alphabetの未公開株投資部門であるCapitalGは、Convoyの1.85億ドルの調達ラウンドをリードした。同社にとってシアトル拠点のIT利用トラック輸送ネットワークへの初めての投資だ。

このラウンドによってCovoyの総調達額は2.65億ドル、企業評価額は10億ドルとなった。新たな投資家として、T. Rowe PriceとLone Pine Capitalが既存投資家とともに参加した。

Convoyは長年Greylock Partnersの支援を受けてきた。同社は2015年のシリーズAラウンドをリードしている。 Y Combinatorも支援者のひとつだ。昨年 Y CombinatorはConvoyの6200万ドルのラウンドをリードするという異例の行動にでた。アクセラレーターであるY Combinatorが、Continuity Fundの資金をYC卒業生以外のレイトステージ企業に投資したのは初めてだった。

Salesforce CEOのMarc Benioff、Dropbox CEOのDrew Houston、Bezos Expeditions、および元Starbucks社長のHoward BeharもConvoyに出資している。

元AmazonのDan LewisとGrant Goodaleのペアが設立したConvoyは、8000億ドルのトラック業界に変革をもたらそうとしている。これは至難の業だ。トラックのUberとも呼ばれるConvyのアプリは、トラック運転手と荷物を運ぶ必要のある人たちをつなぐ。同社は新たな資金を使って、全米に規模を拡大するとともに運送マッチンク以外の事業にも進出しようとしている。

「トラックは40%の時間、からっぽで走っている。また、非効率的なスケジューリングのために何もせずに止まっていることがしょっちゅうだ」とConvoyのCEO Dan Lewisが声明で言った。「これは経済や環境だけでなく、荷主や運送会社の利益にも悪影響を及ぼす」

GeekWireによると、Convoyは、トラック運転手が仕事をうまく組み合わせて時間の無駄を省けるように新しいツール群を開発している。また、荷主にはシステムを通じて荷物追跡や価格データの利用を可能にしようとしている。

CapitalGのパートナー、David Laweeは出資契約の一環としてConvoyの取締役会に加わる。
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Google Payのアップデートでピアツーピアの決済やチケット購入/保存ができるようになった

GoogleがGoogle Payのアップデートをいくつか行った。Google Payは、これまでいろいろあった支払い決済ツールを一つにまとめたサービスの名前だ。アップデートの多くはもっと早くに発表されたが、それらの実装の提供は今日(米国時間7/10)からだ。

新たに加わった機能の中には、ピアツーピアの決済がある。友だちにお金を払ったり請求することはGoogle Pay Sendでできたが、今日からはメインのGoogle Payアプリでできる。

Google Payのプロマネを担当するGerardo Capielによると、そのほうが請求を複数の友だちに分割するのが簡単だそうだ。たとえばGoogle Payで何かを買って[買う]をタップしたら、その支払いを5人の友だちなどに分割請求できる。

要するに二つのアプリを合体させるわけだが、Google Pay Sendはそのままでもいいのではないか。しかしCapielは曰く、“あらゆるものをGoogle Payにまとめてしまいたい”のだが、でもPay Sendを閉鎖する“そのタイミングは未定”だ。

また今度のアップデートでは、チケットや搭乗券を保存できるようになった。その[Passes]タブの中にはポイントカードやギフトカードなども入れられる。すでにTicketmasterとSouthwes航空をサポートしているが、今後はEventbrite, Singapore Airlines, Vuelingなどが加わるそうだ。

Google pay

まだ一部の機能…[Passes]タブなど…はAndroidのみだが、Capiel曰く、いずれどのプラットホームでもサポートするそうだ。WebやiOSアプリでもGoogle Payできるようになるだろう。今Googleは、一人のユーザーの決済情報を複数のプラットホームにまたがって一本化しようと努力しているから、そのうち、たとえば、Webで生じた決済をモバイルアプリで見たり払ったりできるようになる。

Capielが語る今後の計画は、チケットのパートナーをもっと増やすことと、Google Payアプリをもっと多くの国で使えるようにすることだ。とくに、このサービスがすでにオンラインの支払いに使われている国で。

“何もかもアプリで済むように努力している。それが難しいものも一部にはあるが、できるかぎり完全な決済アプリに育てたい”、のだそうだ。

画像クレジット: Google

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VirusTotalは、アンチウイルスの「誤判定」からデベロッパーを守る

GoogleがVirusTotalを買収してから6年が過ぎた。VirusTotalは、ユーザーがアップロードしたファイルにマルウェアやウィルスが入っていないかをチェックするサービスで、70種類のアンチウイルスとドメインブラックリストサービスのデータベースとアルゴリズムを利用している。 現在はAlphabet傘下のセキュリティー会社、Chronicleの一部となっているVirusTotalは、ここ数年の間に中立的公共サービスとしての地位を確立し、ユーザー、デベロッパーの両方から信用を勝ち取ってきた。デベロッパーはAPI経由でも同サービスを利用できる。

本日VirusTotalは、新しいツールを公開して中核サービスを拡大した。これはデベロッパーが新しく書いたコードを同社のパートナーである複数のアンチウイルスシステムでスキャンすることで、アンチウイルスが誤ってマルウェアと判断しないようにするものだ。この種の誤判定(偽陽性)問題は驚くほどよく起こっており、マルウェアに関係のないデベロッパーにとって大きな頭痛の種になっている。

このほどデベロッパーに一般公開されたVirusTotal Monitorは、デベロッパーがコードをアップロードすると、VirusTotalがチェックを行い、いずれかのアンチウイルス・パートナーが誤ってマルウェアと判断した場合、各パートナーとデベロッパーに通知する——そして解決策を見つけるための橋渡しをする。

VirusTotalの技術責任者、Emiliano Martinezは、誤判定問題はデベロッパーにとって頭痛の種であるばかりでなく、アンチウイルス業界にとっても広報災害となりかねないことを指摘する。アンチウイルス会社は、自分たちのツールが誤ってマルウェア認定したために、ユーザーが最新バージョンのアプリケーションを使えなくなる責任をとりたくないと考えている。「そこでわれわれは、Google Driveのような場所にソフトウェアデベロッパーがプログラムをアップロードできるようにした——プログラムの公開前でも公開後でもよい」とMartinezは説明した。

これは、主として商業デベロッパー向けのツールだが、大企業で業務アプリを作っているデベロッパーにも有効だ。

VirusTotal Monitorは、アンチウイルス会社には無料で提供される。デベロッパーからは料金を取ることで収益化する計画だ。「つまるところデベロッパーは、誤判定されて利用禁止になれば莫大な損害を被る」と、この収益モデルの理由を尋ねた私にMartinezは言った。

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Googleの第1四半期は311.5億ドルの好成績――CPCは漸増だが売上、利益ともアナリスト予想を上回る

Googleの親会社、Alphabetが2018年最初の四半期決算(PDF)を発表したが、きわめて堅実な内容だった。事業が着実に拡大を続けているだけでなく、昨年に比べて成長速度はさらに加速している。

Googleによれば今年第1四半期の売上は対前年比で26%のアップで311.6億ドルとなった。昨年同期の売上は247.5億ドルだった。このときGoogleは第1四半期売上が対前年比22%アップしたと発表していたので今年はそれを上回ったことになる。

CPC(クリック単価)が引き続き低下傾向にあるにもかかわらずGoogleは売上を増加させてきた。CPCはあるサイトの価値を表すといってよいが、インターネット閲覧がますますモバイル・デバイスにシフトする中でここ数年低下を続けている。

またAlphabetが「それ以外の賭け」と呼ぶGoogle部門以外の他事業、自動運転車やインターネット・アクセスを提供する気球なども全体として売上が増加し赤字が減少している。Googleは広告収入に全面的に依存する現在の体質を改善する必要があるのでこれはよい兆候だ。しかし他事業の収入はGoogle全体でみればまだごく一部を占めるに過ぎない。今回はGoogleが自動運転車のノウハウをめぐってUberと和解した後の最初の決算となる。

スコアカードは以下のとおり。

  • 売上: 311.6億ドル(アナリスト予測は303.6億ドル)で対前年比26%アップ
  • 利益: 調整済1株あたり9.93ドル(アナリスト予測は9.28ドル)
  • Google内の他事業売上: 43.5億ドル、前年同期32.7億ドル
  • Googl外の事業売上:1.5億ドル(前年同期は1.32億ドル)
  • Google外の事業損失: 5.71億ドル(前年同期は7.03億ドル)
  • 売上TAC比(%) 24% 〔TAC=トラフィック獲得コスト〕
  • 実効税率: 11%(前年同期は20%)

この結果、Googleの株価は延長取引時間で2%アップした。時価総額世界最大の座をめぐってGoogleがMicrosoftやAmazonと並んでAppleを追う中で、Googleの時価総額に100億ドル以上を加えたことになる。

GoogleのTACは比較的安定しているようだ。Googleがトラフィックを得る代償としてアフィリエイト先や提携先から支払う金額はGoogleウォッチャーにとって重要な意味を持つ。これが上昇することはネットワーク企業の経営にネガティブを影響を与えるからで、ウェブ閲覧がモバイルにシフトするなかでここ数年GoogleのTACもわずかに増大していたのが懸念を呼んでいた。しかし今期は24%と安定した水準を保った。

Googleは本質的に広告企業であり、世界中の何十億ものユーザーからわずかずつ収益を上げている。しかしすべてがモバイルに移行する中で現在のような広告の価値は減少傾向だ。モバイルによるウェブブラウジングはデスクトップやノートなどのコンピューターを利用したブラウジングとは全く異なる消費者行動をもたらしているからだ。これまでGoogleはCPC(クリック単価)の減少をインプレッション(広告表示回数)の増大で相殺してきた。実際、今期の決算もそのとおりの傾向を示している。【略】

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Amazonが市場価値でAlphabetを抜く、Appleのダントツは揺るがず

Amazonは現在、マーケットの現在価値ではAppleにつぎ世界で二番目に大きい企業である。同社の時価総額は7632.7億ドル(NASDAQ:AMZN)、対してAlphabet(NASDAQ:GOOG)は7629.8億ドル“しか”ない。

Amazonは、前四半期(1710-12)がすごかった。株価は1月の初め以降29%も上がった。対してAlphabetの株価は高下した。

今日(米国時間3/20)だけを見ると、Amazonは2%上がり、Alphabetはフラットだ。今日の最終結果はまだ分からないが、たぶん逆転はないだろう。

現在、Amazonよりも時価総額が大きい唯一の企業はAppleだ。Appleの市場現在価値は8920億ドルだから、差は相当大きい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa