トランプ大統領の緊急命令でボーイング737 Maxは飛行全面差し止め

New York Timesによれば、トランプ大統領は米国における737 Maxの飛行を当面禁止する大統領命令を発した。これはエチオピア航空のボーイング737 Maxの墜落事故を受けたもので、ボーイング社はFAA(米連邦航空局)、NTSB(米国家運輸安全委員会)と協議した後、この措置に全面的に協力すると声明した。

3月10日にエチオピア航空の737 Maxがアディスアベバ空港を離陸した直後に墜落し、乗員、乗客157人全員が死亡する墜落事故が起きた。これによりEUを含む各国が737 Maxの飛行を禁止する中、FAAに対して同型機の飛行を差し止めるよう圧力が高まっていた。ボーイングの声明は「原因解明と再発防止に全力を挙げる」としている。

737 Maxはナイジェリアとインドネシアの航空会社の運行するフライトで事故を起こしていたが、New York Timesの以前の記事によれば、ボーイングのCEO、Dennis A. Muilenburgはシカゴからトランプ大統領に電話をかけ、737 Maxの安全性について問題ないと確約していたという。主要国の中で米国だけが737Maxのフライトを停止する措置を取っていなかった。

報道によればこの電話は月曜日から予定されていたが、トランプ大統領がTwitterでハイテク旅客機の安全性に疑念を示したため繰り上げられたものらしい。

飛行機を飛ばすのは難しくなり過ぎている。パイロットはいらない、MIT卒のコンピューター科学者だけいればいい、という具合だ。飛行機だけでなくさまざまな製品で同じことが起きている。そしていつも行き過ぎて余計な機能を付け加えてしまう。瞬時の判断が必要な場合には古き良き単純な方法のほうがずっといい。

トランプ大統領が飛行禁止の緊急命令を発する準備をしていることが報じられたが、ボーイングは争わず従う姿勢を示した。

速報:トランプ大統領、「737 max 8および737 max 9のすべての飛行を禁止する緊急命令を発する準備をしている」

ボーイング社は声明で次のように述べた。

我々は安全性に積極的に配慮した(緊急命令による)措置を全面的に支持する。 安全性は過去も現在もボーイング社が旅客機を設計、製造する過程で最優先する中心的価値であり、.これに以上に優先すべき課題は我々にも我々の産業にも存在しない。我々は調査担当チームと協力しなが事故の原因を解明し、このような事態が二度と起きないよう安全性を増強する施策を追加すべく全力を挙げている。

そしてついいにFAAは正式に737 Maxの飛行を禁止した。以下がFAAの声明だ。

FAAは米国の空域内で、あるいは米国の航空会が運行する場合において、ボーイング737 MAX航空機の飛行を一時的に禁止することを命じた。FAAは新たなデータを入手し続けており、この措置は本日朝までのデータの分析結果に基づくものだ。

飛行停止は調査が行われる期間中継続される。これにはコックピットの音声を含む墜落機のフライトレコーダー記録の解析が含まれる。フライト302の事故について、FAAのチームはNTSBの事故調査にエチオピア現地で協力している。

画像:Joe Raedle / Getty Image

【編集部注】日本の航空会社ではANAが737-8 Maxの導入を決定しただけですでに運用している例はない。Wikipediaのページ末尾に採用航空会社と運行状況の一覧があるが、FAAが飛行を差し止めたためすべての737 Maxが運行停止となった。737 Maxは昨年10月にインドネシアのライオンエアが運行する機体が墜落し189人が死亡する事故を起こしていた。

なおTechCrunchでは同じくShieber記者が昨日、「737 Maxの墜落でEUが飛行差し止め、原因はオートパイロットの不具合か?」という記事を執筆していた。記事によれば機体の迎え角(AoA)を検知するセンサー系に不具合があるとシステムが不正な機種下げを実行しようとする。自動操縦解除の手順に不慣れなパイロットの場合、高度の乱高下などを引き起こし墜落の原因となる危険性があるという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ドローンが初めて臓器移植用の腎臓を運び結果は良好

ドローンを使う配送に実用性があるのは、二つの分野だけではないだろうか: テイクアウトと臓器移植だ。どちらも、荷重が比較的軽いし、しかも時間要件がきわめて厳しい。そして確かに、冷蔵ボックスに収めた腎臓を運ぶボルチモアでの実験は、うまくいった。このぶんでは、良質な装具に収めたあなたの昼食のパッタイも、無事に早く届くだろう。

このテスト飛行を行ったのは、外科医のJoseph Scaleaが指揮するメリーランド大学の研究者たちだ。Scaleaは、空輸では十分な柔軟性が得られないことに不満を感じていた。そして、そのいわゆる‘最後の1マイル問題’の当然のようなソリューションが、ドローンだと思った。

Scaleaと彼の同僚たちはDJI M600ドローンを改造して冷蔵ボックスを運べるようにし、飛行中の臓器の状態をモニタするためのバイオセンサーを設計した。

数か月待って、彼らの研究に腎臓が与えられた。それは、テスト用には十分だが、移植用には使えない、という状態のものだ。チームは、ボルチモアに到着したそれをコンテナに収め、距離と条件がさまざまに異なる14の旅程ミッションを実行した。最長は、病院までの距離が3マイル(約5キロメートル)、最高速度は時速67.6キロメートル(42マイル)だった。

腎臓の生検は飛行の前後に行われ、また小型の航空機による参照飛行のあとにも行われた。小型航空機は、中距離の臓器輸送によく使われている。

画像クレジット: Joseph Scalea

結果は良好だった。風や、ドローンのモーターの熱などが心配されたが、モーターと回転翼が離れているドローンを選ぶなどで対応し、ボックスの温度は冷凍よりやや高い摂氏2.5度が維持された。ドローンの振動や機動によるダメージは、見受けられなかった。

ドローンにも、そして臓器の輸送方法にも規制があるので。このような配送方法が近日中に実用化されることはないだろう。しかしこのような研究が、規制の改定の契機になると思われる。リスクが定量化されれば、腎臓や肝臓、血液などの組織や、そのほかの重要な医療用品を、この方法で輸送できるようになる。多くの場合、一分一秒を争う状況で。

とくに有益なのが、災害現場だろう。航空機はもちろん、陸上車両もそこへ行けない状況がありうる。そんなとき、ドローンは必要な品物を届けられるだろう。しかしそうなる前には、飛行によって血液が凝固しないなど、実用化に向けての十分な研究が必要だ。

この研究の詳細は、IEEE Journal of Translational Engineering in Health and Medicineに載ったペーパーに書かれている。

画像クレジット: Joseph Scalea/メリーランド大学ボルチモア校

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

自動車産業が総合交通サービス業になる?自動車メーカーが車を使わない交通アプリTransitに投資

Transitは、都市に住んでる車を使わない人びとのためのモバイルアプリを作っている。同社はこのほど、二つの自動車メーカーからシリーズBで1750万ドルを調達した。

そのラウンドをリードしたのはRenaultNissan-Mitsubishiグループの投資部門Alliance Venturesと、Jaguar Land RoverのVCファンドInMotion Venturesだ。これまでの投資家AccelとReal Venturesも参加した。

RenaultNissan-MitsubishiとJaguar Land Roverの投資は、5年前なら奇妙に感じられただろう。でも、今は2018年だ。今年は、スクーター戦争とマイクロモビリティ(micro-mobility)の年だ。そして自動車メーカーはそろそろ、単純に車を作って売るだけのビジネスから脱して、業態を多様化しようとしている。

2012年に創業されたTransitは最初、バスや列車などの公共交通機関の時間を調べるアプリだったが、だんだん成長して今ではライドシェアや自転車〜スクーターのシェアなども利用できる。データはリアルタイムで、今シェアを利用しているユーザーからのクラウドソーシングも含まれる。アプリはそのユーザーが今利用しているシェアに通知して“次はどこそこへ行け”と指示し、アプリの本来のユーザーにはそのシェアの推定到着時間を教える。今では、ボストンやボルチモア、シリコンバレー、タンパベイ、モントリオールなどの交通局もTransitを利用している。

同社はこのアプリが交通機関/交通手段の種類やその提供企業/製品を特定しないことを目指しており、その意味でオープンAPIの熱心な支持者だ。今その理想にいちばん近い形を実現しているのは、Transit発祥の地、モントリオールだ。COOのJake Sionによると、モントリオールではユーザーが、カーシェア、自転車シェア、Uber、そして公共交通機関を利用できる。

Transitは世界の175の都市で使われており、今回の資金は各地の既存サービスの内容充実と、対応都市の拡大に充てられる。内容充実は、対応する交通機関/手段の増だけでなく、決済方式の改良等も含まれる。

Alliance Globalのベンチャー担当VP François Dossaは、声明でこう述べている: “この投資はTransitの努力をさらに前進させ、都市における移動をシームレスにし、そのアクセス性を向上する。それはAllianceの2022年戦略にもフィットするものであり、そこでは弊社が、各種シェアサービスを含むすべての交通機関交通手段のシームレスな統合化における、業界のリーダーになることを目指している”。

画像クレジット: Transit

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イーロン・マスク、LA地下のトンネルの映像公開――掘削会社は来月お披露目パーティー開催へ

昨夜(米国時間11/3)、Twitterで物議をかもし続けるスーパー連続起業家、イーロン・マスクが、驚くべき映像をTwitterに投稿した。マスクが2年前に設立した交通インフラ企業であるThe Boring Companyがロサンゼルスで掘削している地下トンネル内の全長をタイムラプスで撮影したものだ。マスクは大都市圏における交通渋滞を解消するために現在4つの地下トンネルの掘削を計画している。

マスクはまたThe Boring Comapyがオープニング・イベントを開催することを(いつものように)Twitterで発表した。ロサンゼルスの南の近郊ホーソーンから掘削されているこの高速輸送トンネルは約5週間後の12月10日に一般公開される。この日の夜のお披露目パーティーの後、翌日は希望者に無料で試乗のチャンスがあるという。ただしある程度の度胸が必要だろう。マスクによれば、このシステムは「歩行者、自転車、自家用車を時速250キロで輸送できる」という。

計画ではこの交通システムはスケートと呼ばれる電動カプセルが16人の乗客、あるいは乗用車を高速で輸送する。自動車は地表からエレベーターで地下に降ろされ、カプセルに搭載される。

マスクはツイートでトンネルの全長について具体的な数字は挙げなかったが「びっくりするほど長い」と述べた。

今夜はLAの地下に建設中のBoring Coのトンネルの全長を歩いてみた。 びっくりするほど長い。12/10のオープニング・パーティーに向けて順調に計画は進んでいる。われわわれは一直線に進んでいる。

〔日本版〕ホーソーンにはSpaceXの本社、Teslaデザインスタジオがある。

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滑川海彦@Facebook Google+

自動運転車タクシーの料金計算方式のテストをWaymoが開始

Googleからスピンオフして今やAlphabet傘下の自動運車転技術の企業Waymoが、同社の自動運転車の乗車料金の計算方式のテストをフェニックスで開始した。これは同社が商用のロボタクシーサービスの立ち上げを準備していることの、いちばん新しい兆候だ。

Waymoはまだ、フェニックスでもどこでも、大規模な商用ロボタクシーサービスを立ち上げてはいない。でも、その日は近い。

Waymoの初期の乗車プログラムでは、厳選された本物の人間のグループがアプリを使って自動運転車を呼ぶだけだったが、今回テストはさらに拡大された。AlphabetのCFO Ruth Poratが、木曜日(米国時間10/25)に行われた同社の決算報告でそう説明した。すなわちWaymoは、第三四半期の間に行なう、そのアプリにある料金計算方式のテストを開始した、とPoratは述べた。

前回Waymoがそのプログラムの数字を共有したときは、その初期の乗車プログラムに400名が参加した。しかしWaymoのスポークスパーソンは今回、それがどれだけ増えたかを明言しなかった。

代わりにこう言っている: “初期の乗車プログラムの一環として最近、アプリにある料金計算方式のテストを始めた。料金計算は現在実験段階であり、初期の乗車者からのフィードバックを得ることだけが目的である。サービスの本格的な開始に向けて現在検討中の、そのほかの料金計算方式を反映したフィードバックにはならない”。

Waymoは、2016年に郊外地区のチャンドラーなどでテストを開始して以来、少しずつフェニックスにおける商用サービスに向かって近づいていた。2017年4月には初期的な乗車プログラムを本格的に開始し、その年の後半にはテスト車の隊列から社員と乗客を外して、空の自動運転ミニバンの車列をフェニックス大都市圏の街路に送り出した。

今年の5月には、Waymoは一部の初期的乗車者に、人間のテストドライバーが乗っていない自動運転ミニバンをタクシーのように呼ばせることを開始した。さらに最近同社は、フェニックスで公共交通プログラムを立ち上げ、人びとを最寄りのバス停や、列車やライトレール(市街電車)の駅まで運ぶパイロット事業を始めた。

テストはカリフォルニア州のマウンテンビューやテキサス州のオースチンなど、他の都市でも継続する。同社は今月の初めに、同社の自動運転車がアメリカの公道を1000万マイル走破したと発表した〔約1610万キロメートル〕。

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リチャード・ブランソン、Virgin Hyperloop Onerの会長を辞任――サウジ公営ファンドの投資はキャンセル

Virginグループのファウンダー、リチャード・ブランソンがVirgin Hyperloop Oneの会長を辞任したことが報じられた。

Reutersが引用した声明によれば、ブランソンは、予想したより時間を必要とすることがわかったためだとして次のように述べている。

わが社の発展段階の現状からすると、ビジネスの詳細を知りチャンスを活用するためにさまざまな業務を自ら実行できる会長が必要だと感じた。私はすでに多くの時間をVirginグループの諸企業ならびにチャリティー事業の運営に費やしているため、これは私には困難な任務となる。

しかしここで述べられていない重要な問題は、サウジアラビアの公共ファンドからの資金提供の計画がキャンセルされた点だ。サウジのPIFは総額10億ドル前後をVirginグループの宇宙事業に投資する計画だったが、ブランソンがサウジを非難した後、交渉は中止されていた(TechCrunchはカショーギ殺害事件はシリコンバレーへの一時代の終焉となる可能性があると報じている)。

Washington Postのコラムニスト、ジャマル・カショーギがイスタンブールのサウジ領事館内で殺害され、遺体が切断されたとされる事件が発覚した後、ブランソン始め、多くのビジネスリーダーがサウジとの関係を絶った

Virgin Hyperloopの最大の投資家は UAE(アラブ首長国連邦)のロジスティクス企業、DP Worldだ。今年に入って、両社はハイパーループ・テクノロジーを用いて公共交通機関を建設するジョイント・ベンチャーを立ち上げた。 DP WorldがVirgin Hyperloopに最初の投資を行ったのは2016年だった。

今月、Virgin HyperloopはBlack & Veatchと共同で実施したミズーリのセントルイスとカンザスシティを結ぶ路線に関するフィージビリティスタディの結果を発表した。

グローバルなインフラに関して調査を行う独立企業であるBlack & Veatchのレポートは両都市を結ぶ主要な高速道路、 I-70に沿うルートの可能性について、安全性、サスティナビルティともに肯定的な評価を下した。同社のCEO、Rob Lloydは次のように述べていた。

今回のフィージビリティスタディはアメリカにおける旅客、貨物の輸送を行うフルスケールの商用ハイパーループ路線の実現に向けての第一歩だ。ミズーリ州が最初の高速道路の出発点となったというアメリカの運輸の歴史において占める栄えある地位を考えるとき、われわれはこのハイパーループ路線計画を特に誇りに思う。この路線はやがて全米を結ぶハイパーループ・ネットワークの礎となるに違いない。これによる社会的、経済的影響は計り知れない。

アメリカではコロラド州とオハイオ州もVirgin Hyperloopのテクノロジーの利用に関するフィージビリティスタディを実施しており、インドやUAEでも別個の計画が進行中だった。

Virgin Hyperloop OneもHyperloop Transportation Technologiesもともに、 イーロン・マスクのハイパーループ計画からインスピレーションを受けている。

ハイパーループは真空近くまで減圧されたトンネル中をカプセルが高速で移動する新しい交通システムで、イーロン・マスクの宇宙企業、SpaceXで開発されたテクノロジーや素材が多数用いられている。

われわれはVirgin Hyperloop Oneの広報担当者にコメントを求めており、回答があり次第、記事をアップデートするつもりだ。

画像: Axelle/Bauer-Griffin/FilmMagic / Getty Images

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滑川海彦@Facebook Google+

LimeのスクーターのライダーがワシントンD.C.で今月二人目の死亡事故に遭う

生後18か月のサンフランシスコのスタートアップLimeは、今やその明るいグリーンの自転車やスクーターがアメリカ中の都市に広まっている。今日(米国時間9/11)はタコマとワシントンでパイロット事業を立ち上げたが、でもその小さな勝利は、短命と感じられたかもしれない。その理由は、この国の反対側〔イーストコースト〕で今日、Limeのライダーが、ワシントンD.C.のDuPont界隈を乗り回しているとき、一台のSUVに殺されたからだ。地元の消防署が救助時のビデオをビデオをシェアしたが、被害者の成人男性を車の下からひきずり出さなくてはならなかった。

それは、知られているかぎり同社にとって二度目の死亡事故で、今月初めにはダラスで、24歳のテキサス州の男性が自分が乗ってるスクーターから落ち、頭を強打して死亡した。

ある面でそれらの事故は、不運だったとはいえ、現状のライダーやe-スクーターの劣悪な脆弱性があるかぎり、誰にとっても意外ではないはずだ。e-スクーターの利用は増えていて、LimeとそのL.A.のライバルBirdは今週、彼らの顧客が1000万を超えた、と発表した。しかしそれと同時に、各都市はからと、歩行者の事故防止のために歩道での使用を禁止している。そこでライダーたちは、彼らがいずれ徐々に追い払いたいと願っていたものと同じタイプの、巨大で排気ガスを吐きまくるマシンと、街路を共有することになった。ところが、追い払うどころか、SUVの売上台数は、失業の減少と製品に対する消費者の高い信頼、そしてアメリカ人の心から消えることのない巨大な乗り物への愛が相まって、どんどん増え続けている

e-スクーターの企業とその投資家たちが前から言っている解決策は、専用レーンを設けることだ。Birdは、自転車とスクーターの安全を確保するインフラストラクチャを作るためのファンドまで創設している。

ヘルメットの着用義務も有効と思うが、カリフォルニア州は反対している。水曜日(米国時間9/19)にJerry Brown知事は、電動スクーターに乗る〔年齢18歳以上の〕カリフォルニア州民は1月1日よりヘルメット着用を義務付けられない、という法案 に署名した。

この法案はBirdがスポンサーだ、と報じられている。

画像クレジット: Lime

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ルノー・日産・三菱連合がGoogleとパートナーして車載システムをAndroidベースに

Googleが、車の売上ベースでは世界最大の自動車メーカー連合であるRenault-Nissan-Mitsubishiとパートナーして、Androidベースのインフォテインメントシステムを数百万台の自動車に搭載していく。彼らはWall Street Journalにそう語った。その次世代型インフォテインメントシステムとダッシュボードディスプレイはAndroidを使用し、2021年にローンチする。

運転者は車のダッシュボードから、Googleの地図やアプリストア、音声アシスタントなどにアクセスできる。このパートナーシップは、自分のオペレーティングシステムをより多くの自動車に載せたいと願っているGoogleの野望の実現に向かう、大きな一歩だ。この連合は今年の前半に計550万台の車を売り、VolkswagenやToyota Motorを上回った。

連合の役員たちはWSJに、多くの顧客がすでにGoogle Mapsなどのアプリを使い慣れているので、運転時には連合が自分たちで独自開発したソフトウェアよりも、Googleのアプリが好まれる、と語っている。

またGoogleが2007年にソフトウェアをオープンソースにしたことも、役員たちは評価している。連合のコネクテッドビークル担当VP Kal MosはWSJ紙に、“ここ数年で信頼が築かれた”、と言っている。

GoogleとパートナーすることによってRenault-Nissan-Mitsubishiは、ソフトウェアを自分たちのエコシステムで独自開発するよりテクノロジー企業とパートナーする、という戦略において、ライバルの自動車メーカーよりも先んじることになる。しかしこれによって多くの顧客を勝ち取ることにつながるかもしれない反面、貴重なユーザーデータのコントロールをGoogleやAppleなどの企業の手に渡すことにもなる。彼らはWSJの取材に対して、Googleは車載アプリから集めたデータにアクセスできることになるが、しかしその前にユーザーの許可を求める必要がある、と述べている。

そのほかの自動車メーカーも、たとえばVolkswagenはAudiの車載ナビにGoogle Earthを入れているし、Volvoは、次の車載インフォテインメントシステムをAndroidベースで構築する。

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Google XのLoon、Wing、グループ企業に昇格――アストロ・テラーが祝福

Google XのプロジェクトとしてスタートしたLoonとWingがXを卒業し、Googleグループの親会社、Alphabet傘下の独立企業となった。Google Xとムーショット・プログラムのの責任者、Astro Tellerが昨日(米国時間7/11)、Mediumに記事を書いている。

Xのプロジェクトとしてスタートしたときには予想されなかったことだが、 LoonとWingは メンバーの懸命な努力と過酷なフィールテストの繰り返しという長くクレージーな期間を終え、今やXを卒業し、Alphabetグループの独立企業2社となることが決まった。

Loonは2013年、Wingは2014年にそれぞれスタートしている。 当時はで突飛なアイディアの典型的なムーショットと考えられていたが、その後大きな進歩を遂げた。

Loonは多数の無動力の巨大気球の編隊で、辺鄙な地域やインフラが未整備の国でインターネット接続を安価に提供する。たとえば昨年夏にペルーで水害に襲われて通信手段を失った何万人もの人々にインターネットが使えるようにした。秋にはハリケーン・マリアによって大被害を出したプエルトリコでも活躍している。

一方、 Wingは宅配サービスに自動操縦の電動大型ドローンを使おうとするもので、遠隔地への配送の効率化とCO2排出の低減を狙っている。テストではオーストラリアのメキシカン・ファーストフード店、Guzman y Gomezのブリトーを奥地に配達している。この5月にアメリカ運輸省はドローンテクノロジーを一段と進歩させるためのUnmanned Aircraft Systems Integration Pilot Program10チームの一つとしてWingを選定した。

Tellerは声明でAlastair WestgarthがLoonの初代CEOに、 James Ryan BurgessがWingのCEOにそれぞれ就任する予定だと明らかにした。WingではAdam Woodworth がCTOに就く。

LoonとWingは自動運転のWaymoやサイバーセキュリティー分析プラットフォームのChronicleなどX出身のGoogle企業の仲間入りをする。同時に、SpaceXのインターネット衛星(プロトタイプ段階)やAmazonが以前から宣伝しているドローン配送システムのライバルとなる。

当然、前途には厳しいものがあるはずだが、Alphabetという巨大な後ろ盾を得ていることはこれらの若い企業にとって非常に心強いだろう。

画像:Alphabet

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

WazeがEsriとパートナーして道路/交通情報の分析、情報取り出し、視覚化をリアルタイムに

Wazeはこれまでの4年間パートナーの都市に、、その無料のConnected Citizens Programでおびただしい量のデータを送ってきた。その集積され匿名化されたデータには、交通状況や道路状況、危険物や事故や災害、犯罪などに関する貴重な情報が含まれているが、しかしそのようにデータを具体的に理解することは都市の側の仕事であり、それが往々にして重荷だった。

そこで今度Wazeは、マッピングとアナリティクスのプラットホームEsriとパートナーして、都市に一種のデコーダーリングを提供し、クラウドソースで提供された大量のデータから情報を取り出せるようにした。そのためにコードを書いたり、別のソフトウェアを買う必要はない。

両社の火曜日(米国時間7/10)の発表によると、これからWaze Connected Citizens Programのメンバーは、Wazeのライブ・アラート・データ(リアルタイム警報データ)を、EsriのArcGIS Marketplaceから無料で入手できる。Waze Connected Citizens Programは、2014年の10月にローンチした、交通状況/道路状況データの双方向交換の仕組みだ。Wazeは会員の都市や町にデータを配布し、ユーザーにとって重要かもしれない情報を受け取る。たとえば都市はWazeに、近く行われるマラソン大会やフェスティバル、あるいはスポーツ行事中のリアルタイムの道路閉鎖の情報などを提供できる。

しかしWazeが都市に提供するデータは、そこから対応可能な情報を取り出すために、専門技術者や特殊なソフトウェアを必要とした。今回のEsriとの広範囲なパートナーシップにより、Wazeの地図上の警報情報(事故、渋滞、道路損傷など)が、いろんなアプリケーションですぐに利用できるようになる。

全世界で700以上の都市が、Connected Citizens Programを利用している。新しい参加都市が日に日に増えている、とWazeのグローバル・パートナーシップ・マネージャーAdam Friedは言っている。

Wazeはつねに、アラートデータをライブでパートナーの都市に提供してきた。しかしそれらのデータは生データなので、都市側が分析や地図上の視覚化をする必要があった。

実はすでに、Wazeの会員都市の多くがEsriのソフトウェアを利用している。でもそんなユーザーでもこれからは、Esriの上でワンクリックするだけでWazeのデータにアクセスでき、直ちに分析と視覚化を開始できる。それは都市にとって大きな進歩であり、これまでのように何か月もかけてWazeのライブのアラートデータを分析する必要がなくなった、とFriedは言っている。

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シドニー空港がフェイススキャン(顔認識)によるチェックインを試行

オーストラリアは、パスポートによるチェックインをフェイススキャンに置き換えようとしている。その、昨年発表された計画が今週の初めから、シドニー空港でQantasの乗客に対して試行されることになった。それは、従来の紙のパスポートに依存する“不便”を駆逐する試みだ。

シドニー空港のCEO Geoff Culbertが、プレスに配った声明でこう述べている: “この計画で最初から協働しているQantasと、このたび共に試行期を迎えられたことは、まことに喜ばしい。未来には、チェックイン時にパスポートとバッグで曲芸を演じたり、ポケットやスマートフォンの中を探しまくって搭乗券を見せることが、まったくなくなるだろう。最初から最後まで、お客様のお顔がパスポートであり搭乗券なのだ”。

まだきわめて初期的な段階だが、ここまで来るだけでも相当な時間を要している。このような技術をシドニーの年間4300万名の乗客に対し実装することは、相当大きな事業だ。しかも、それに随伴するセキュリティやプライバシーの課題も、複雑極まりない。

公共の見地から、セキュリティを疑問視する声も、当然ながらある。

キャンベラ大学のBruce Baer Arnold助教授は、The Financial Review誌宛ての声明で、こう語る: “テロの防止などをセキュリティの根拠として挙げるのなら、ショッピングモールや公共の広場、メルボルンクリケット場のようなスタジアムなどでも採用すべきだ。人が集まるところなら、どこにでもだ。でもそれは、資金的にも技術的にも大げさすぎる。バイオメトリクスはきわめて強力で本物の社会的利益を作りだすが、同時に本物の危害も作りだす。昔から、金槌を持っていると何もかも釘に見える、と言うが、テクノロジーの過信にもその危険性がある”。

試行は最初、一部の国際線の便に対して行われ、チェックインと搭乗と待合室入場と手荷物預けの場面で顔チェックを行う。そして今後は、モバイルのチェックインや通関でも実装したい、と言っている。

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BaiduがSoftbankのSB Driveとパートナーして日本で自動運転バス事業を始める

中国の検索大手Baidu(百度)が、Softbankの子会社SB Driveと自動車メーカーのKing Long(金龍)とパートナーして、来年早々日本で自動運転のミニバス事業を開始する。

この合意は、北京(Beijing)で行われた、Baiduの例年の、AIに関するデベロッパーカンファレンスCreate Baiduで発表された。この合意により、Baiduの自動運転ミニバスApolongの何らかの型式が2019年の初めに中国から日本へ輸出される。合意によると発注量は10台とされ、中国から自動運転車が輸出されるのはこれが初めてである。

ApolongはKing Longと共同開発され、Baiduの自動運転システムApolloを装備している。それはレベル4の運用が可能で、自動車工学の国際団体SAE Internationalの定義によると、一定の条件下では、自動車がすべての運転を行う。このバスは最初、観光地や空港などの、制御された、あるいは限定された地理的範囲内に配備される。

Baiduはカンファレンスの冒頭で、自動運転ミニバスの大量生産をKing Longとの提携により開始した、と発表した。バスは、福建省(Fujian province)の南東部、厦門(Xiamen)にあるKing Longの製造施設で生産される。

Baiduは自動運転バス事業を中国では北京、深圳、平潭、武漢などの都市で立ち上げる計画だ。

画像クレジット: Baidu

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

世界を57兆個の小さな区画に分割してそれぞれにユニークな名前をつけたwhat3wordsに投資が殺到

what3wordsは、世界全体を57兆個の、一辺が3メートルの正方形に分割して、そのひとつひとつに3つの言葉を割り当てている。その同社がこのほど、新たな投資家3社を開示したが、それらはどれも自動車業界方面からだ。

what3wordsは木曜日(米国時間6/28)に、中国最大の自動車グループSAIC Motorのベンチャー部門と、Formula 1のチャンピオンNico Rosberg、そしてオーディオとナビゲーションシステムのAlpine Electronicsが、ロンドンの同社に投資を行ったことを発表した。これまでの投資家Intel Capitalも、そのラウンドに参加した。

その資金は、新しい市場開拓と製品開発に充てられる。

調達額は公表されていないが、この投資は、ユーザー体験を単純化し、音声コマンドで容易に使えて、企業を自動運転車両の時代に向けて準備させてくれる技術への、主に自動車業界の関心を示している。このアドレッシングシステムではひとつの位置にユニークな(それ一つしかない)3語の組み合わせを与えるから、これまでの音声操作のナビゲーションシステムの多くが抱えていた重大な欠陥をなくしてくれる。それは、道路名の重複だ。

同社は、これら57兆個の正方形に、25000語のボキャブラリーを持つアルゴリズムを使ってユニークな三つの言葉から成る名前を割り当てた。そのシステムは、what3wordsアプリで誰もが利用でき、1ダース以上の言語に対応している。たとえば、パリのエッフェル塔の特定のコーナーにいる友だちに会いたければ、3語のアドレス、“prices.slippery.traps”を送る。Airbnbのホストは3語のアドレスを使って、ゲストを分かりにくい入口に案内する。自動運転車には3語のアドレスを与え、大きなスポーツアリーナの特定のエントランスへ行かせる。

what3wordsのCEO Chris Sheldrickはこう語る: “今回の資金でこの会社が進むべき方向が固まった。それは、車やデバイスや音声アシスタントなどに行き先を指示する方法だ”。

今年の初めにwhat3wordsは、Daimlerが同社の10%株主になったことを開示した。Daimlerの株の一件と、最近公開された投資家(前述)は、いずれも同社のシリーズCラウンドの一環だ。

同社の奇抜なグローバルアドレッシングシステムは、Mercedesの新しいインフォテインメントとナビゲーションシステム…Mercedes-Benz User Experience, MBUX…が採用し、まずこの春にアメリカ以外の市場で発売されたハッチバックの新型Mercedes A-Classに載った。セダンのA-Classはアメリカ市場に今年の後期に来る。

TomTomが先月発表したプランでは、今年の後半に同社のマッピングとナビゲーション製品にwhat3wordsが組み込まれる。TomTomのナビゲーションや交通技術製品を採用している自動車メーカーは、Volkswagen, Fiat Chrysler, Alfa Romeo, Citroën, Peugeotなどだ。

同社はそのほかの自動車メーカーとも商談を進めており、それは、車のインフォテインメントシステムにwhat3wordsを取り入れてもらうことが目的だ。

画像クレジット: what3words

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[ビデオ]ふつうの円形の車輪が地形や地質に応じて三角形になる未来の軍用車両

DARPAは、そのGround X-Vehicle Technologies計画の一環として、未来的でしかも実用的な新しい軍用車両を披露した。イノベーションのひとつである構成を変えられるホイール・トラックは、カーネギーメロン大学のNational Robotics Engineering CenterとDARPAの共同開発だ。しかもそのホイール・トラックは、戦闘用車両を単なる武装を超えて生存性を強化するための設計要素の、ひとつだ。

ビデオでお分かりのように、構成を変えられる(reconfigurable, リコンフィギュラブル)ホイール・トラックは、円形の車輪から三角形のトラック(キャタピラー)への変形およびその逆をなめらかに約2秒で行い、しかも走行時にスピードを落とさずにそれができる。円形の車輪は硬い地面に合い、キャタピラー方式のトレッドはやわらかい地面で武装車両が自由に動ける。

Ground X-Vehicle計画のトップ、Amber Walkerによると、この技術は“車両の戦術的な動きと、多様な地形における行動性を大きく改良する”。…そのアドバンテージは、下図のGIF画像でお分かりいただけよう。

車輪の技術なんて、一見ぱっとしないが、結果は見た目にも印象が強いし、とってもスムーズだから、あらためて見なおしてしまう。

ビデオには、ほかにも見逃せない設計機能が映っている。そのひとつが、窓なし走行技術Virtual Perspectives Augmenting Natural Experiences(V-PANE)で、これは複数のLIDARとビデオカメラの像から、まわりの状況をリアルタイムで作りだす。そしてドライバーは3Dのゴーグルをつけて、VRによる窓からの光景を見る。そのVRは奥行きの把握と再現が強化され、ドライバーの頭の動きにリアルタイムで追従する。もちろん、さまざまな地形データ等も表示する。

画像クレジット: DARPA

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Hyperloopのチューブがゾエトロープ効果で乗客にとって透明になる

19世紀に人気があった視覚的イリュージョンがHyperloopにやってくると、それはまるで透明なチューブの中の旅になってしまうかもしれない。一定間隔で並べた狭い窓は、その一つ々々の視野は制限されるが、数十個ものそんな窓が毎秒目の前を通過すると、ゾエトロープのような効果が作り出され、乗客はチューブの壁が透明になって外の景色が見えるような錯覚をおぼえる。

それはVirgin Hyperloop OneとデザインハウスBjarke Ingels Group(BIG)の公式のコンセプトで、2016年にデモしたこともある。今度彼らが共有したビデオでは、その動的構造と、乗客が実際に目にする光景を見せている。実現可能性については、触れていないけど。

元々のゾエトロープは、〔上記Wikipediaの図にあるように〕側面にスリットのあるシリンダーと、その中壁に描かれた一連のコマ撮り画像〔アニメ数コマぶん〕から成る。シリンダーを回転させるとスリットの向こう側の画像が人間の目には連続した画像(動画)のように錯視され、素朴なアニメーションになる。

その例として下図は、PixarがディズニーのCalifornia Adventureのために作ったゾエトロープだ:

Hyperloopのデザインコンセプトでは、それはリニアーな(線形の)ゾエトロープだ。つまり画像が回転するシリンダーの内壁上のループではなく、横に長い帯だ。地下鉄の窓から見えるアニメ広告に、そんなのがあったよね。

Hyperloopの場合は、客車がその中を移動していくチューブの壁に10メートル間隔で船の舷窓のようなスリット状の窓があり、そこから外界が見える。低速では数秒ごとにその窓が見えて、そのストロボ効果で不愉快かもしれない。でも、目標の時速1200キロメートルに達すると、なめらかな像になる。

彼らのシミュレーションでは、こうだ:

それは、本当に必要だろうか? 外界の擬似画像を見せることが目的なら、液晶ディスプレイで“舷窓”を作ればよいし、飛行機の席のように小型テレビでもよい。でもそれでは、ゾエトほどクールでないだろう。でも今あるテスト用路線でも、点検や避難用にそんな窓がチューブの壁にあるから、意外と楽に実装できるかもしれない。

しかし現状は、Hyperloopそのものがまだプロトタイプだし、今行われている開発努力が実を結ばない可能性もある。でも、人びとが、自分は今狭いチューブの中をめちゃくちゃ不条理なスピードで通過中なんだ、と思わずにすむためには、有効な気晴らしかもしれない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

GoogleのインキュベーターからWAYZのNY地下鉄版登場――Pigeonはクラウドーシングで遅延を教えてくれる

Googleのインキュベーター、Area 120からニューヨーク市の地下鉄通勤者を助ける新しいアプリが登場した。最近NYの地下鉄はとみに遅延の回数が増えているが、アプリは利用者にクラウドーシングで最新の運行状況を教えてくれる。

PigeonアプリはAppleのApp storeに登録されているものの、現在は「招待オンリー」なので、私自身はまだ試していない。

しかPigeonのウェブサイトの説明によれば、利用者は日頃通勤、通学に使うルートを設定しておくと、運行に遅延が生じた場合、適切な代替ルートを教えてくれる。運行情報は他の地下鉄利用者からリアルタイムで収集されるので正確だ。クラウドーシングでナビゲーションができる点、地下鉄版のGoogle WAYZといっていいだろう。

Pigeonの開発チームはウェブサイトに「長年ニューヨーク市に住んで地下鉄を利用してきたので運行があてにならず苛立たしい思いをすることが多いのを実際に知っている。そこでわれわれはこのプロジェクトを立ち上げた。地下鉄利用者が互いに情報を交換して助け合い、ニューヨークにおける通勤をかくも不快なものにしている混雑、遅れ、ストレスを最小限に留めるためのアプリだ」と書いている。

Pigeon

私自身もニューヨーカーだが、地下鉄での移動ではもっぱらGoogleマップを頼りにしている。このアプリにはMTAの発表をベースにした遅延情報やそこそこ正確な到着予定時間が表示される。しかしもっと正確でもっとリアルタイム性の高いデータが得られるなら大歓迎だ。それに私は通常の通勤ルートで地下鉄に乗る場合、いちいちGoogleマップをチェックしない。つまり思わぬ遅延に出くわして重要なミーティングに出られなかったり、ひどく遅れたりする可能性があるわけだ。

Accel Partnersが支援するTransitやSequoia、 Intel Capitalが支援するMoovitのようなスタートアップも公共交通機関の利用にすぐれたナビゲーションを提供しようと努力している。

このアプリについて問い合わせるとGoogleの広報担当者から以下にような声明が送られてきた。

インキュベーターのArea 120ではさまざまなプロジェクトが動いているがPigeonもその一つだ。このiOSアプリはニューヨーク市の地下鉄利用者に他の利用者からリアルタイムで運行状況を知らせ、最適な代替ルートを選べるようにする。Area 120の他のプロジェクトと同様、きわめて初期段階の実験であるため今のところ発表可能な詳細は少ない

画像:Joe Josephs / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

メアリ・ミーカー、恒例のインターネット・トレンドを発表――全スライドと重要ポイント要約

テクノロジー分野の最新の数字を漏れなく知っておきたいなら朗報だ。伝説のアナリスト、ベンチャー投資家、 メアリー・ミーカーがInternet Trendsの2018年版を発表した。記事末に294ページに及ぶスライド全体をエンベッドしてある。モバイルからeコマースまであらゆるジャンルがカバーされている。ここでは特に重要と思われる点を選んで要約してみた。

  • Internetの普及: 2018年には世界の人口の半数、約36億人がインターネットにアクセス可能になる。これをもたらした大きな要因は安価なAndroidスマートフォンとWifiだ。ただしインターネットの普及が飽和点に近づくにつれ、個々のサービスは新たなユーザーを獲得することが困難になるものと予想される。
  • モバイル利用状況:インターネット・ユーザー数の増加率が低下するとともにスマートフォンの出荷は頭打ちとなった。一方、モバイルの普及によりアメリカの成人がオンラインで過ごす時間は増えている。 2016年には1日あたり平均5.6時間だったものが、 2017年には5.9時間に増加した。
  • モバイル広告: 消費者がモバイルにシフトするスピードは速く、広告費はそれに追いついていない。モバイル利用時間に広告費が比例するためにはさらに70億ドルの支出が必要。各プラットフォームはコンテンツの選別を次第に強め、内容が安全と認められるページに出広する傾向にある。
  • 暗号化:オンラインの暗号通貨はブームを巻き起こしている。Coinbaseのユーザー数は2017年1月以来4倍に増えた。
  • 音声: 音声テクノロジーがいよいよブレークした。音声認識の精度が95%を超えた。また2017年にはAmazon Echoの販売台数累計も1000万台から3000万台に増加した。
  • 1日あたり利用状況: Facebookなどのサービスの売上は1日あたりユーザー数の増加に強く結びついている。つまりユーザーがそのサービスの利用を習慣化するかどうかが収益性のカギとなる。
  • テクノロジー投資: 上場、非上場企業ともテクノロジー投資は過去最高を記録している。上場企業におけるR&D投資プラス資本的支出のトップ6社はすべてテクノロジー企業だった。

写真はMorgan Stanleyのアナリスト当時のメアリー・ミーカー。サンフランシスコで 2010年11月16日に開催されたWeb 2.0 Summitで講演中のもの。現在ミーカーはベンチャーキャピタル、KPCBのパートナーで、今年も11月17日に講演の予定。タイトルは「コントロール・ポイント:ネットワーク経済をめぐる戦い」。撮影:Tony Avelar/Bloomberg/ Getty Images

  • eコマース対現実店舗:eコマースの成長は加速し、全リテール支出の13%を占めるまでになった。オンライン・ショッピングと商品の発送数は急増しており、ショッピング・アプリにはビッグチャンスとなっている。
  • Amazon:ますます多くの消費者が検索エンジンよりむしろAmazonで商品の検索を行うようになった。AmazonのCEO、ジェフ・ベゾスは依然としてFacebookやYouTubeで消費者の購買意欲をかきたてる努力を続けている。
  • サブスクリプション・サービス:契約者数は急増している。2017年には対前年比でNetflixは25%、New York Timesは43%、Spotifyは48%それぞれアップした。フリーミアム・モデルは有料契約へのコンバージョンを加速する効果がある。
  • 教育: 学資ローンの返済額が急上昇するにつれ、雇用者は企業が必要とする新しい能力を学ぶためYouTubeや各種のオンライン・コースを利用する傾向を強めている。
  • フリーランス化:雇用者は在宅勤務を含めて柔軟性の高い労働時間を強く求めるようになった。またインターネットを利用したフリーランス雇用は全雇用の3倍の伸び率を示している。2017年にオンデマンド労働は23%増加した。これはUber、Airbnb、Etsy、Upwork、Doordashなどのサービスの成長によるところが大きい。
  • 運輸交通:自動車の購入台数は減少傾向にあり、長く乗るようになった。交通関連への支出はUberなどライドシェア・サービスにシフトしている。2017年にはライドシェアへの支出は倍増している。
  • エンタープライズ: エンタープライズ向けサービスがより良いインターフェイスを得てコンシューマ・アプリ化している。DropboxとSlackが.このような急成長の代表的な例。
  •  

  • 中国: 中国のユーザーはアメリカと比較してプライバシーと交換に利便性を獲得することをためらわない傾向がある。 これは中国企業の競争力を高めており、インターネット企業のトップ20にますます多くの中国企業が加わる結果を生んでいる。またこれらの企業はAIに巨額の投資を行っている。
  • 中国のeコマース: Alibabaが商圏を中国の外に急拡大している。売上では依然Amazonがリード。
  • 移民:アメリカのトップ企業の56%は移民1世または2世によって創立されており、経済成長にとって決定的に重要な要因となっている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

東南アジアでUber事業を買収したGrab、フードデリバリーにも進出――インドネシアのGo-Jekは強力なライバル

さる3月下旬にUberの東南アジア事業を買収したタクシー配車サービスのGrabがフードデリバリー事業にも乗り出した。今日(米国時間5/28)、GrabFoodがスタートした。

このサービスはここしばらくタイなど数カ国でベータ版としてテストされていたが、いよいよGrabの本社があるシンガポールで正式にスタートした。また近くGrabの主要マーケットである東南アジア6カ国で営業を開始する。

Grabが東南アジアでUberの事業を買収した中にはUberEatsも含まれていた。UberEatsの運営を停止する前にマーチャントとユーザーベースはそのままGrabFoodに引き継がれる。

GrabFoodはシンガポールではスタンドアローンのアプリとなるが、オンデマンドでオートバイ・タクシーを提供している諸国ではGrabの配車サービスと一体で提供される。新サービスは既存のDeliveroo、FoodPanda、Go-JekのGoFoodその他がライバルとなる。

GrabFoodはGrabのポイント・システムなどのロイヤルティプログラム、GrabRewardsの一部となる。利用者は代金をキャッシュ、クレジットカード、GrabPayで支払うことができる。配達時間の指定ができること、利用最低額が設けられていないことが大きな特長だ。

前述のようにGrabは3月にUberの東南アジア事業を買収したことを発表しているが、現実の事業移行は難航した。 先月TechCrunchが報じたように、各国の規制、UberからGrabに移管されることになった従業員の不満、Grabが市場を独占することへのユーザーの懸念などがGrabにとっては「成長の痛み」となっている。

とはいえ、Grabは声明で「フードデリバリーへの参入は消費者の日々を生活をインターネットによって結び付けられたエコシステムによってさらに快適なものにする」という戦略において重要な部分を占める」と述べた。

最大のライバルだったUberを排除したことはこの目標を現実的なものにしたかもしれないが、依然として Grabは地域のライバル多数と競争する必要がある。たとえばインドネシアでは市場のリーダーはGoogle、Tencentが支援するGo-Jekだ。同社はベトナム、タイ、シンガポール、フィリピンの市場に近々参入することを確認している。Go-Jekはこの事業拡張に5億ドルを用意している。同社は他国への展開にあたって現地のパートナーを活用するモデルを採用するものとみられ、パートナーがそれぞの国情に合わせてブランドを含めた事業内容を決定していくという。

Grabも手を拱いてはおらず、 Wall Street Journalによれば、100億ドルの会社評価額で新たに10億ドルの資金を調達する。これは昨年7月に日本のSoftBankと中国の滴滴出行から20億ドルの資金を得たときの評価額60億ドルと比べて大幅なアップだ。

一方、Go-Jekも最近Tencent、JD.com、Google、Allianz、Meituan、シンガポールのファンド、GICやTemasekを含む多数の投資家から15億ドルを調達している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Elon Muskが過剰なオートメーションを過失と認め、人間を過小評価していたと反省

なにごとにも機敏な億万長者、TeslaのCEO Elon Muskにしては珍しく、自分の会社が生産工程でロボットに頼りすぎていた、と認めた。

Wall Street Journalの記者のツイートに応えてMusukは、こう言った: “Teslaの過剰なオートメーションは間違いだった。人間が過小評価されていた”。彼はこれを、CBS NewsのGayle Kingにも語った: “工場にはコンベヤベルトの複雑でクレージーなネットワークがあったが、それほどの生産効果があるわけでもない。だから、全部捨てた”。

Teslaは低価格車Model 3の生産が遅れているため、批判を浴びていた。最近は、週2500台の生産目標を達成できないことが明らかとなり、投資家を幻滅させた。

その不確実性ゆえに、株価は乱高下した。1か月前は340ドルだったが、252ドルまで落ちた。しかしMuskが、第三四半期の黒字とキャッシュ・フロープラスの予想を述べてからは、回復した

Muskは金曜日(米国時間4/13)に、The Economist誌に宛てたツイートで、このことを明かした。

彼はそのツイートで“資金調達の必要性はない”、と述べ、株価は金曜日に300ドル34セントで引けた。

同社の時価総額は507億ドル、対してFord Motorsは450億ドルだ。

画像クレジット: Tesla Club Belgium/Flickr

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Lyftがドライバーの稼ぎを公表、それが本当なら空車時も含めて1時間平均20ドル弱

LyftやUberのドライバーはどれぐらい稼いでいるのか。この疑問は長いあいだ、世間話の話題や大学などの研究テーマになってきた。そして今回はLyft自身が、同社のドライバーの稼ぎを、やや明らかにしてくれた。

Lyftのドライバーコミュニケーションとコミュニティ部門のトップLaura CopelandがMediumに書いている: “Lyftのドライバーの稼ぎ高、とくにその1時間あたりの平均額を、これまでいろんな外部グループが独自に推測してきた。その気持ちや動機は十分理解できるし、確かにこれは重要なトピックだ。そこでこの際、われわれの方から誤解を正すべきだろう。そしてまた、ドライバーの収入を高めるための弊社のやり方を、ご説明したいと思う”。

もちろん給金の額は、市場の性格や、客数、時間帯、乗車距離、渋滞の程度、などなどの条件で変わる。しかし時間給に関しては、Lyftによると、その間の有客走行の売上額がいちばん確かな数字だ、という〔その1時間が空車でなかった場合〕。そのシナリオに従うなら、Lyftによると1時間あたりの稼ぎ高のメジアンは全国平均で29ドル47セントだ。Lyftの上位25の市場では、1時間あたり31ドル18セントだ。

しかし呼び出しを待ちながら空車で過ごす時間も含めると、全国平均で1時間あたり18ドル83セント、上位25の市場で21ドル8セントになる。

もちろんこの全額がドライバーの収入になるわけではない。税金、ガソリン代、車のメンテナンス費用などの経費合計は、1時間あたり3〜5ドル、とLyftはThe Rideshare Guyに説明している。

先月はUberが、ドライバーの稼ぎ高に関して数字をやや明らかにした:

たとえば、2015年10月にプリンストン大学のAlan Kruegerと共に行った調査によると、アメリカにおけるUberの上位20市場の1時間あたりの平均収益は19ドル4セントだった。スタンフォード大学の教授たちと行ったより最近の調査では、2015年1月から2017年3月までのアメリカの全ドライバーの1時間当たりの収益は21ドル7セントだった。

Uberの完全な分析はこの記事にある。

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