自動運転車からヒントを得た大型コンテナ船の自律航行化プロジェクトMassterly

ロジスティクスは自動運転車のもっともエキサイティングな応用技術ではないかもしれないが、もっとも重要な、に入ることは確実だ。とくに、想像するかぎり世界で最古の産業と言われる海運業は、それを待っている。いや少なくともノルウェーの大手海運企業二社は、Massterlyと名付けられた海運自律化ベンチャーを無から立ち上げようとしている。

“Massterly”は単にmass(大量輸送)の駄洒落ではない。“Maritime Autonomous Surface Ship”(海運用自動航行水上艦)はWilhelmsonとKongsbergの二社が、明日の海を行き来する自己統率船を言い表すために作った言葉だ。

彼らのビデオによると、二社は合わせて360年の経験を有し、今、海運業の次のフェーズへ跳躍しようとしている。その手始めは、世界初の全電動自律航行コンテナ船Yara Birkelandの建造だ。それは全長250フィート(76メートル)、積載量コンテナ120基とほどほどの大きさだが、荷積みと航行と荷下ろしを無人で行う。

(万一の事故等に備えて少数の人間が同乗または随航する。上部に手すりがあるのも、そのためだよね?)

大型のレーダーとライダーがあり、可視光カメラとIRカメラがある。通信衛星に、接続している。

コントロールセンターは陸上にあり、航空管制の場合と同じく、船はそこから管理される。船を人間による操船に切り替えることも、可能である。

もちろん最初は小規模な試行だ。Yara Birkelandはノルウェーの海岸から12海里以内にとどまり、Larvik, Brevik, そしてHerøyaを行き来する。速度はわずか6ノットだから、翌日配達は無理だね。

“ノルウェーは世界一の海運国だから、自動航行船の開発でも先頭に立ちたい”、とWilhelmsonグループのCEO Thomas Wilhelmsonがプレスリリースで語っている。“次のステップとして、設計と操船のためのインフラストラクチャおよびサービスを確立し、また、海運の自律運用にふさわしい、ロジスティクスの高度なソリューションにも取り組みたい。Massterlyはあらゆるレベルのコストを削減し、輸送を必要とするすべての企業の利益になる”。

Yara Birkelandの実配備は2020年になるが、そのときはMassterlyも独立の企業になっているはずだ。

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Uberはアリゾナ州の路上の自動運転車のテストを禁じられた

先週、試験走行中の車の一台が道路を横切ろうとする歩行者を死亡させるという事故を起こしたUberは、アリゾナ州の公道上での自動運転車のテストを禁止された。州知事Doug DuceyはUberのCEO Dara Khosrowshahiに送った書簡を公開し、その中で彼は、車載カメラが捉えた事故の様相を、“不穏当かつ怖ろしい”と形容している。

これまで同州における自動運転車の試験にきわめて前向きだった知事は、Uberなどの企業がその事業をアリゾナの路上で行うことを奨励していたが、今回は州の運輸局に対しても、Uberによる自動運転の試験の許可を“保留”にするよう指示した。

Uberはすでに事故以降および捜査の結果待ちの間、同社の自動運転試験車のテストをアリゾナ以外のすべての市場でも中止している。

このライドシェア企業がアリゾナで試験の運用を開始したのは2016年だが、その前にはサンフランシスコの路上で自動運転SUVを走行し、州の路上における無許可試験としてカリフォルニア州陸運局より直ちに中止を命じられた。そのときUberはテスト車全車をアリゾナ州に移すという派手な手に出て、Duceyはそれを強力に支持し、Uberの自動運転パイロット事業が彼の州へ移転したことを歓迎した。

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Uber、東南アジアのビジネスをライバルに売却――Grabの27.5%を得たのはwin-winの取引

スポーツの世界では「強いチームは調子が悪くても勝つ」と言われる。Uberがそれに当たるかもしれない。

Uberが東南アジアのライドシェア事業をGrabに売却することは大きな反響を引き起こしている。しかしこれをGrabが勝ってUberが負けたと捉えるならものごとを単純化し過ぎる。以下この点について背景を交え検討してみよう。

普通に考えればUberの東南アジア市場からの撤退はGrabの勝利だ。しかし神は細部に宿ると言われる。この取引は詳しく見ていけば双方にとって利益をもたらすwin-winの関係だとわかる。勝敗というより新たな提携関係の樹立という側面が重要だ。

まず事実関係をみていこう。

Uberは最近60億ドルと評価されたGrabの27.5%を得た。この所有権は単純計算で16.5億ドルの価値がある。過去5年間にUberが東南アジア市場に投じた資金は7億ドル程度だったことを考えれば、まずこれだけで十分なリターンを得たことがわかる。

一方、Grabは最大のライバルの事業を閉鎖させることに成功した。急成長中のフードデリバリーサービスのUber Eatsも含め、Uberのドライバー、顧客のすべてを手にすることになる。

数年前にスタートしたGrabは、当初は免許のあるタクシーに限った配車サービスで、しかも顧客は料金をキャッシュで支払う必要があった。Grabがライドシェア・ビジネスに転じたのは3年前に過ぎない。Uberが進出したことによって市場の性格は一変した。今度はその市場をGrabがほぼ独占できることになった。この点、Grabにとって画期的な取引だったことは間違いない。

資金、戦略ともGrabが優勢

スタートは比較的ささやかなだった(マレーシアで創立され、後にシンガポールに本拠を移した)にもかかわらず、 Grabはこの2年で長足の進歩を遂げた。現在、タクシー配車、自動車共有、自転車共有、バイクタクシーなど10種類の交通サービスを8カ国で展開している。Grabのローカライゼーションの取り組みはきわめて印象的であり、成長の重要な要素となってる。

ライドシェア企業にとってフードデリバリーへの進出はいわば定石だが、Grabは GrabPayで金融サービス部門にも進出を果たしている。これはオフラインでの商品販売やサービス料金などの支払いを可能にするサービスで、Grabはさらに少額金融や保険といった新たな分野も手がけている。

Grabの目標は単に新しい交通サービスを提供するにとどまらない。交通サービス以外の新しい分野はユーザーに利便性を提供するだけなくGrabにとっても利益率が高いという。

ただし―ここが重要だが―注意すべき点があった。つまり新規事業が現実に利益に反映されるには時間がかかるため、Uberとの競争には役立っていなかった。

ビジネス上の競争は結局のところ資金という要素に行き着くことが多い。

簡単に言えば、Grabは投資家にひんぱんに新たな投資を要請する必要があった。過去2年間、資金調達はGrabに有利に展開してきた。2016年には7億5000万ドル、 2017年には25億ドルを調達することに成功し、60億ドルの評価額に対して総額40億ドルの資金を得ている。

この間、Uberが東南アジア市場に投じた資金は7億ドルだったことと比較すれば、Grabが資金という重要な側面で優位に立っていたことが見てとれる。Uberが世界の市場に投資した資金の総額は印象的だが、東南アジアに関してはUberは投資額に枠をはめていたようだ。

またGrabへの投資には戦略的な意味が見てとれる。

SoftBank と中国版UberのDidi〔滴滴〕は直近の20億ドルのラウンドをリードしている。またトヨタ、Hyundai、Tiger Global、Coatue Management、またインドネシアの有力企業Emtek、Lippoも年来Grabを支援してきた。

こうした広汎なネットワークの構築に成功したことがGrabに大きな利益をもたらしているが、その一つは優秀な人材の獲得だ。特筆すべきなのは1年半前に辣腕のディールメーカーとして名高いMing Maaをプレジデントとして迎え入れたことだろう。Maaはゴールドマン・サックス出身でSoftBankの投資部門にも在籍していた。

Uberは国際化に当って、現地支社にローカライゼーションの主導権を与えているとたびたび主張してきたが、東南アジアにおける現地化にはかなりの混乱が見られた。Uberは早くから東南アジアに参入したにもかかわらず、事業のトップを任命したのは4年後の昨年8月だった。このことはUberが東南アジア戦略の確立にあたってそうとうに出遅れたことをよく象徴している。

Win-winの取引

しかしUberは中国からの撤退でもロシアからの撤退でも有利な取引をまとめている。今回もその例に漏れない。

Grabは未上場企業なので正確な株主情報は得られないが、Uberは今回の取引で最大の株主の一人となったことは間違いない。 東南アジアはライドシェア市場としてもっとも有望と考えらえれているので、この市場で最大の企業の大株主となるのはUberにとってもその投資家にとっても理想的な展開だ。

GrabにとってもUberにとって東南アジア市場は赤字だが、売上は過去2年で倍増しており、Googleも加わっている最近のレポートによれば、2017年には50億ドルの大台に乗ったという。Uberは投資を続けて事業を継続することも十分可能だったはずだが、むしろGrabという代理を通して東南アジア市場におけるプレゼンスを維持することにした。前述したとおり、Uberが保有することになるGrabの株式は直近のラウンドの評価額をベースにすれば16億ドル以上の価値がある。しかも今後利益が出るようになればGrabの価値はさらに大きくアップする見込みだ。

今回の取引にきわめて近い情報源によれば、Uberの500人前後の社員とUber Eatsを含む3カ国でのライドシェア事業を引き取るにあたってGrabはキャッシュでUberに1億ドル弱を支払うという。

Uberは赤字を出す事業を止め、キャッシュを得るだけでなく東南アジアのGrab、中国のDidiに大株主として参加する。UberのCEO、ダラ・コスロウシャヒはGrabの取締役会に加わるという。これは単なる金銭的価値を超えてUberがGrabに強い影響力をもつことを保証するものだ。

東南アジアにおけるライドシェア事業の焦点はGrab対インドネシアのGo-Jekの対決に移る。同社はGoogleやTencentといった有力企業が支援する50億ドルのスタートアップだ。Go-Jekはインドネシアを超えて事業を拡大する野心をがあり、事業分野はまさにGrabとバッティングすることになる。

Go-Jekに近い筋がTechCrunchに語ったところでは同社は今月中にもフィリピンで事業を開始するかもしれないという。 Go-Jekは慎重に戦略を立てることで知られているが、Uberが退場した今、同社はいよいよ正面からGrabとの対決に臨むことになるだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Uber、アリゾナ州で自動運転中に死亡事故――NTSBが調査チーム派遣

昨日(米国時間3/18)、Uberがテスト中の自動運転SUVがアリゾナ州テンピで自動運転モードで走行中に女性の歩行者をはねた。女性は付近の病院で手当を受けたが死亡した。Uberは事故に関する捜査に協力すると同時にすべての自動運転のテストを中止し、「犠牲者の家族にお悔やみ申し上げます。われわれは地元当局の事故の捜査に全面的に協力しております」と発表した。またNTSB〔国家運輸安全委員会〕も調査を開始したことをツイートした。

NTSBはアリゾナ州テンピのUberの事故に調査チームを送った。続報あり。――NTSB

自動運転中の死亡事故はこれが初めだ。Uberの事故からは事故責任と自動車保険に関して数々の疑問が生じている。自動車は自動運転モードだったが、運転席には安全を担保する役割のドライバーが着席していた。理論上、危険な状況が発生すればこのドライバーが事故を防止するために介入するはずだった。

事故発生後、Uberはアリゾナ、ピッツバーグ、カリフォルニアで実施されていた自動運転のテストをすべて中止した。昨年、NTSBは 2016年にフロリダ州で起きたTeslaのオートパイロットシステムに関連する死亡事故を調査している。NTSPは事故時にTeslaのオートパイロットは技術的には所定の作動をしていたものの、事故を防ぐにはデザインに不十分な面があったとした。またドライバーがシステムを過信して運転に十分な注意を払わなかったことも原因の一つだと認めたている。

取材中

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Fordは自動車の生産方法を変えようとしている…プラットホームからアーキテクチャへ

115歳になるFordはこれまで、数多くの変化を経験してきた。同社は今年もまた、変わろうとしているようだ。

今日Fordは、ミネソタ州ディアボーンの開発センターの奥深くにある劇場に、数百名のジャーナリストを集めた。その建物は、技術研究所や試験施設に囲まれている。通りの向こうには、テストコースがある。その向こうに本部の建物があり、駐車場からはThe Henry Ford Museum(ヘンリー・フォード博物館)が見える。ここは、Fordの発祥の地だ。

説明会の内容は半分がオフレコで、残る半分は説明資料に載っている。同社はその製品戦略を開陳し、その中には(オフレコの)、まだ誰も見たことのないコンセプトカーもあった。CEOのJim Hackettがジャーナリストたちの前に座り、彼がMark Fieldsの仕事を引き継いで以来の、同社の計画の進化を詳しく述べた。その中には、開発サイクルを短くすることや、外国の自動車メーカーとのパートナーシップなどがあった。

Fordは従来の自動車企業のプレスカンファレンス(記者招待催事)にほとんど必ずあった、プラットホームの話を避けた。これまでの自動車メーカーは、自動車のプラットホームというものを作った。それは、複数の車種が共有する共通基本設計のことだ。ひとつのプラットホームをベースに、小型セダンからSUVまで、いろんな車種を作る。プラットホームについて話すことによって自動車メーカーは、共通のパーツから複数の車種を作れる自社の柔軟性を示すことができた。Fordはそれをさらに前進させて、自動車の複数のアーキテクチャ(基本設計構造)を作ろうとしている。

これは、言葉と方法論における、小さいけど重要な変化だ。Fordによると、これによってスケッチからショウルームまでの開発時間が20%短くなる。

ひとつひとつのアーキテクチャに実装の柔軟性があり、基本となるアーキテクチャは5種類ある:

  • ボディー・オン・フレーム
  • 前輪駆動ユニボディー
  • 後輪駆動ユニボディー
  • 商用バン・ユニボディー
  • 電池式電気自動車

これら(上4)にさらに電動タイプと内燃機関タイプがあり、それが、構成のすべてだ。

Fordによると、同社はエンジニアリングの効率性に40億ドルを投ずるつもりであり、このアプローチが目標の達成に大きく貢献する、という。自動車メーカーはこれまで、パーツやエンジンや構造材を複数の車種で共有してきたが、しかしこのアプローチはFordの柔軟性をさらに増し、例えば上図のFord Explorer STのような、もっとユニークな車種を可能にするだろう。

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Volkswagenの自動運転スクールバスは通学だけではもったいないクールバス

自動運転車が普及したら、子どもを学校に行かせることがずっと楽になるかもしれない。そう主張したいVolkswagenはジュネーブのモーターショーに二年連続で、自動運転マイクロバスSEDRICを出展した。この未来のスクールバスは、外観がアメリカの小学校教科書の表紙によくあるような黄色で、中には学童を楽しませるための大型OLEDスクリーンがある。そして椅子の下には、かばんなどのための収納スペースがある。

乗客定員は4人だから、今のスクールバスに比べるとすごく少ないが、学校がこれを数台〜10数台持てば、今の父兄が運転する車による送迎などに比べると、ずっと楽になる。全電動のSEDRICは、親がスマートフォンのボタンを押せば来てくれるし、ドアツードアの運行なので通学時の子どもの安全性も高い。

外部に対しては、大きくて明るくて目立つLEDライトが、運転者や歩行者たちの注意を促す。ドアはガラス製の大きなスライドドアだから、子どもは楽に乗り降りができる。

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明るい黄色の外部塗装と、よく目立つライトにより、このマイクロバスの可視性はたいへん良い。乗客の安全性を再優先する車両だから、これぐらい目立つデザインにする必要があるだろう。

展示品はまだあくまでもコンセプトの段階で、自動運転マイクロバスの未来の姿を示す。でもルックスは今すでに相当クールだから、なるほど、自動運転の時代における子どもたちの都市内移動には、大きなバスは要らないな、と思ってしまう。

スクールバス、というより、クールバスかな。

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飛行車PAL-V Libertyの実生産バージョンがスイスのモーターショーに登場した

飛行車は意外と身近に迫ってきている。たとえばPAL-V Libertyは、スイスのジュネーブで行われたモーターショーで実際に見て触(さわ)れる実物だ。この空中飛行車の実生産バージョンがショーで展示されるのはこれが初めてだが、われわれは運良く見ることができた。

PAL-V Libertyの外観は、航空機というよりも自動車的だが、路上というよりも超特殊なサーキットで見かけるかもしれないようなレースカー、といったところ。細いボディーの前の方に二つのシートが横に並んでいるが、これはふつうのデザイン。そして飛行用の折りたたみ式回転翼が上にある。

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この車は、エンジンが路上用と飛行用の計二基ある。そして実は、‘ジャイロプレーン’(gyroplane)と呼ばれるクラシックな航空機のデザインをベースにしている。それは、空中を航行できることが実証されているデザインだ。しかもPAL-V Libertyは、ヨーロッパではEASAの、アメリカではFAAのルールに従って飛行できることが認められている。また、路上の安全基準も満たしている。

ただし、飛ぶためにはパイロットの免許が要る。離着陸には小さな飛行場+滑走路も必要だ。飛行モードとドライブモードの切り替えに5−10分を要するが、広い空き地を持ってる人なら、それも気にならないだろう。

お値段は40万ドルからだ。上に書いたいろんな要件のほかに、銀行の協力も必要かもしれない。最初の予約購入者にキーを渡せるのは2019年、それまでにすべての検定をパスしていればね。

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Sonyも日本でタクシー配車サービスを開始、AI利用を差別化要因に

Sony Corporationの今日の発表によると、同社はタクシー会社5社との提携により、AIを使った配車サービス(ride-hailing service)*を始める。AIは主に、天候や交通事情や地域のイベントなどに基づいてタクシーの配車割当を管理し、また需要を予測する。〔*: hailとは声かけ呼び出しのこと。〕

Sonyの発表の直後には、今アジアを訪問しているUberのCEO Dara Khosrowshahiがやはり、提携先の日本のタクシー会社をもっと増やしたいと述べた。Bloombergによると、昨年の8月にUberに参加したKhosrowshahiは、日本を重要な市場機会と見ているが、同社のこれまでのアプローチは“率直に言ってうまく行かなかった”、と認めている。

Sonyの配車サービスはこの春スタートし、提携タクシー会社は Daiwa Motor Transportation, Hinomaru Kotsu, Kokusai Motorcars, Green Cab, Checker Cab Groupの計5社だ。Sonyのサービスはそのアプリも含めて、日本のそのほかのタクシー事業者にも提供される。日本はタクシードライバーが専用の免許を必要とするので、Uberのような企業は東京やその他の大都市でライドシェアリングサービスを提供できない。Uberは今、タクシー会社のない小さな地方都市でのみ操業している。その結果日本では、配車呼び出しアプリが乗客とタクシー免許のあるタクシーを結びつける。タクシー免許のないふつうのドライバーは、だめである。

Sonyのサービスは、ソフトウェア企業のJapanTaxiとToyotaが始めた、やはりAI利用の配車サービスと競合する。この二社の提携は今月初めに発表された本誌記事〕。JapanTaxiによると、日本のタクシーの約1/4に相当する60000台のタクシーが同社のサービスに登録しており、したがって日本のタクシー配車アプリの中でマーケットシェアが最大である。ほかに、 UberDidi Chuxingもライバルだ(両社ともSoftbankが投資)。こちらはタクシー企業Daiichi Koutsu Sangyoとすでに提携している。Uber CEO Khosrowshahiも、今年は日本におけるプレゼンスの拡大に注力する、と言っている。

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州間Hyperloop交通システムの実現に向けてHTTと公的セクターが契約

減圧チューブ内を高速でポッドを走行させる輸送システム、Hyperloopの実現に取り組んでいる主要な企業は、HTT(Hyperloop Transportation Technologies)とH1(Hyperloop One)の2社だが、その前者、HTTが州間高速輸送システムの構築に向けて公的セクターから初の契約を得た。

この契約はHTTとオハイオ州北部の経済活動を調整するNOACA(North Ohio Areawide Coordinating Agency)、イリノイ州交通局(IDOT)との間で結ばれたもので、システムの実現性を探るフィージビリティ・スタディーの実施を内容とする。この調査の主たる目的はオハイオ州クリーブランドとイリノイ州シカゴを結ぶ複数の路線についてそれぞれHyperloop建設の可能性を探るというものだ。

HTTではオハイオ州州議会は今年1月にHyperloopの建設促進を決議しているという。またHyperloopによる高速交通ネットワーク建設に連邦政府の補助を求める書簡をいくつかの州から選出された議員が共同でトランプ政権に送った。

HTTのCEO Dirk AhlbornがTechCrunchに送った声明で「れらの動きは民間と公的セクターが共同する最初の例であり、Hyperloopによる旅行をアメリカにもたらすために大きな役割を果たすだろう」と述べている。

HTTはインド、ヨーロッパを含む世界各地で国や自治体とパートナー契約を結んでいる。そのほとんどは計画段階だが、今回の契約は実際の建設に向けて一歩を進めた例だろう。これが他の計画にも追い風になることが期待される。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

TeslaのElon Muskの自動運転技術にライダーがないのはなぜか

Elon Muskの自動運転のビジョンは、ライダー(LiDAR)が断固として重要部位ではないという点で、Teslaの多くの競合他社と異なっている。その姿勢は専門家たちの間でも多くの議論を喚(よ)んでいるが、元Teslaの社員たちも含めその多くは、完全な自動運転はライダーを含まないセンサー構成で管理できるという説に反対している。

Muskは今日(米国時間2/7)の四半期決算の報告会でこう述べた: “どんな環境やどんな状況でも運転できるためには、受動視像認識という問題を完璧に解決しなければならない。それを満点で解決できているときに、ライダーのような能動視像を使うことに何の意味があるのか。私の考えでは、それは松葉杖であり、企業をそこから抜け出すことが困難な隘路に追い詰める”。

Muskによると、彼らはレーダーのレンジ内におけるアクティブな光子生成を求めているのだ、それがあれば少量の吸蔵によって物が見えるようになるが、それを視覚的情報でやるのは不可能だから、機械学習で光の照射の状況の変動などを検知することもできない。彼によると、しかも多くの企業が間違った波長でアクティブな光子生成やろうとしているのが、まったく不可解だ、つまりそのレーザーのスペクトル(波長域)は、非常に高価だから。

というよりMuskはそれを、“高価で醜くて不必要”と呼び、そして、Teslaの自動運転の設計にそれを含める気はまったくないが、この分野での自分の賭(かけ)が当たらない確率はゼロパーセントではない、とも言った。

“もし自分が間違っていたら、私は愚か者に見えるだろう”、と彼は言う。“でも自分の方が正しいという完全な自信がある”。

Muskの最強の味方は、現在の最良のドライバーに、やはりライダーがないことだ。それは、人間、である。人間は主に、ごくふつうの受動視像に依存して自分の運転をしている。

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自動運転車のデモに同乗して追突事故にあった――Hyndai/Phantom AIの車が高速道路で追突

運輸交通テクノロジーについてたびたび書いてきた関係で私は自動運転車のデモ走行に乗る機会が多い。各種の自動運転車、先進運転支援システム(ADASの)搭載車にテストコース、敷地内、公道とさまざまな状況で乗ってきた。しかしこれまでこうしたテストやデモで一度も事故に遭ったことはなかった。

1月30日、火曜日に私とTechCrunchのビデオ製作スタッフは自動運転ソフトウェアのスタートアップ、Phantom AIが改造したHyundai
Genesisに乗ってサンフランシスコ国際空港付近でフリーウェイ101号を南下していた。

TechCrunchのスタッフ3名プラス、Phantom AIの共同ファウンダー、CEO、Hyunggi Cho、プレジデント、共同ファウンダーのChan
Kyu Leeらが乗車しており、Leeが運転席に座っていた。これはPhantom AIが開発したSAE レベル2の半自動運転システムをデモする走行で、このHyundaiは車速、レーンを維持し、前方の車両との車間を保ち、方向指示器を操作すると自動的に車線を変更するなどの高度なオートパイロットシステムを備えていた。

デモ中、L2システムはオンになっており、Phantom AIによれば時速60マイル(96.5km/h)で進行していた。エンベッドしたしビデオ記録ではクルーズ速度は時速70マイル(112.6km/h)に設定されていた。このとき前方を走っていたピックアップトラックが荷台に適切に固定されていなかったゴミ容器を路上に落下させた。われわれの直前を走っていた白のNissan Rogueは障害物に衝突することを避けようとしてブレーキをかけた。われわれのドライバーは前方の急ブレーキを認め、衝突を避けようと Hyundai Genesisにブレーキをかけたが間にあわずはNissanに時速20マイル(時速32km/h)前後で追突した。

Hyndai Genesisは上の写真のとおりフロント部分を大きく損傷し、ラジエーターから冷却液が漏れる状態になった。われわれはただちに路肩に停車した。ほとんど間をおかずに現地に到着したCHP(カリフォルニア・ハイウェイ・パトロール)の警官の指示に従って、われわれは次の出口で降り、シェブロンのガソリンスタンドに車を入れた。そこでTechCrunchのスタッフはCHPの係官に身元を報告した。ドライバーはさらに詳しい報告を行った。

Hyunggi Choの説明によれば、Phantom AIが搭載していたシステムの自動緊急ブレーキ機能は解除されていたという。このシステムは異常を検知すると急ブレーキをかけるものだが、たびたび誤った警報で作動し、乗員に不快な衝撃を与えるためデモ中は解除されていたという。Chan Kyu Leeはマニュアルでブレーキを作動させるためにフルブレーキングを行ったが、ビデオでわかるとおり、マニュアルへの切り替えは十分早く作動せず前車に追突する事故となった。【Phantom
AIによる詳しい説明は原文を参照】

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Airbusの空飛ぶタクシーVahanaが地上5メートルの初のテスト飛行に成功

つい昨日(きのう)のことのようだが、Airbusの電動で自動操縦の垂直離着陸機Vahanaは、単なる絵に描いた餅のようなコンセプトだった。それが今や、実際に飛んだ。実物サイズのプロトタイプのテスト飛行は1分にも満たなかったが、その間Vahanaは完全に自動操縦で地上16フィート(5メートル弱)を滑空した。

Vahana VTOLは、見る角度によっては複雑なヘリコプターのようだし、あるいは着陸しているドローンのようだ。開発したのは、Airbus社のシリコンバレーのR&D部門A³で、都市内交通機関としての実用化を目指している。路上の渋滞を無視できるし、従来の航空機と違って、短い停留所間距離にも適していることを、売りにしている。

まだまだ実際の商用化にはほど遠いが、最初の飛行が成功した、とは言えるのであり、次の日にもまた飛んだから、開発は正しい路線を進んでいるようだ。

次のテスト飛行の課題は、単なるホバリングではなく、指定された方向へ飛ぶことだ。人や物をA地点からB地点に運ぶためには、もちろんその機能が欠かせない。

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Fordが自動運転パトカーで特許を申請

Black Mirrorのシーズン4に驚かなかった人も、これにはびっくり!

Fordが、自動運転パトカーの特許を申請した。実際に特許が下りるかどうかは、まだ分からないが、そこに盛られているアイデアはちょいとおそろしい。

Motor1が見つけたそのパテントは、ほかの車が行った違反行為を検出できる自動運転パトカーを記述している。違反の発見は、自分の視覚系だけでなく、監視カメラや路側のセンサー経由でも行われる。

そのとき、このAIを装備したパトカーは、リモートで召喚命令を発したり、その車を追跡したりする。あるいは(ここからが怖いところだが)、“その方法にはさらに、システムがその車に対して一つまたは複数のアクションをリモートで執行することも含まれる”、と書かれている。

言い換えると、その自動運転パトカーは違反車にワイヤレスで接続して、乗員の身元確認をしたり、召喚令状を発行したりする。

Fordの特許申請書類には、機械学習のアルゴリズムが、その車の違反行為が警告ですむものか、それとも召喚を要するかを判定し、その結果を運転者に伝える、とある。

このパテントはまた、自動運転パトカーに乗っている警察官がその車のコントロールを運転者から取り上げたり、あるいはワイヤレスの接続を利用して各種のデータベースから違反者に関するさらなる情報を得る方法を記述している。

再度言うと、パテントに書かれていることが実際に製品として実現するとはかぎらない。私たちがロボットカーに拘引されるようになるとしても、それはまだ何年も先だ。しかしそれでも、パトロールの警官が自動化の時代の犠牲者になってしまうことは、すでに可能性の範囲内に入っている。

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Lexus LF-1 Limitlessコンセプトカーは万人向けに機能満載のクロスオーバー車

Lexusが今週のNorth American International Auto Showで、ラグジュアリーでクロスオーバーなコンセプトカーLF-1 ‘Limitless’を披露した。すっきりとしたスポーティーなルックスで、未来のオーナーの好みに合わせるための多様な機能を揃えている。

Lexus LF-1は、燃料電池やプラグインハイブリッド、ガソリン、オール電気など、様々な動力系を搭載できるが、それは2025年以降の全車種の仕様になるはずだ。また、グリルをLEDがおおう形になっているので、外部のドライバーや歩行者にシグナルが伝わりやすい。流線型の外形デザインは、スポーツカー的でもあり多目的車でもある同車の性格を表している。

この車種は自動駐車、ドライブ・バイ・ワイヤのステアリング/ブレーキ/信号など、一部の自動運転機能もある。さらに“四次元ナビゲーションシステム”は、三次元空間+時間のことで、車のアシスタント機能が、スケジュール情報などからドライバーの行き先を察知して、インテリジェントなナビを行う。

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そのほか、おすすめのガスステーションとか、ホテルの提案もする。もちろん、走行中に部屋の予約もする。それらを“コンシエルジュ機能”と呼んでいるが、実際には、今やスマートフォンアプリにすらなっているパーソナルなスマートアシスタントが、やがて車の標準装備にもなる、という予兆だ。

そのほかLF-1には、ジェスチャーによる命令入力や、タッチ方式のステアリングホィール(強制フィードバックあり)などもある。いずれも今後は、ドライバーの不注意を減らすための改良が行われ、車のさまざまな機能との対話をより容易にしていく予定だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Softbank、Auto1に4.6億ユーロ投資と発表――オンライン自動車販売プラットフォームをドイツから世界へ拡大

SoftbankのVision Fundがまた新たな大型投資を実行した。日本のITコングロマリット傘下の投資ファンドはベルリンを本拠とするオンライン自動車ディーラーのAuto1に4億6000万ユーロ(5.6億ドル)を出資することに合意した。

今日(米国時間1/15)、中古自動車の流通プラットフォームを運営するAuto1はこの投資を確認するプレスリリースを発表し、この投資により会社評価額は29億ユーロ(36億ドル)となったと述べた。またSoftBankの投資の半額は新株の発行によると付け加えた。

FTの記事によれば、Softbankは今回の投資により、Auto1の20%を所有することになる。ただしAuto1の広報担当者は会社所有権の具体的内容を明らかにすることは避けた。

SoftBankのAkshay Nahetaは投資の一環としてAuto1 Groupの取締役に就任する。

NahetaはSoftBankの投資について声明を発表し、「年間3000億ドル以上の価値がある自動車の流通市場はこれまで細かいセグメントに分断されていたが、Auto1 Groupはここに効率的かつ透明性が高いオンライン・システムを構築し、データ・プラットフォームを急速に発達させてきた。SoftBank Vision Fundの投資とわれわれのマーケットプレイス・ビジネスの運営に関する専門的能力はAuto1が世界的な存在となることを助けるはずだ」と説明した。【略】

Auto1は2012年に創立され、現在では30カ国以上をカバーしている。Auto1によれば、同社は 3万5000以上の自動車ディーラーをパートナーとしており、月に4万台以上を販売している。Auto1が提供するアナリティクスとロジスティクスが需要と供給を分析し、マッチングすることにより中古車に対する適正な価格づけが可能になるという。

Crunchbaseによれば、Auto1はSoftbankの投資以前に、 5億2000万ドル前後の資金を調達している。直近の資金調達は昨年5月に実行された3億6000万ユーロのシリーズEラウンドだが、これは株式発行と借り入れを組み合わせたものとなっている。Auto1は、この資金は同社の活動をヨーロッパ全域に拡大するために用いられると発表した。

Softbankの自動車関連投資はこれが初めてではない。昨年暮にVision Fundはライドシェアリングの大手、Uberに巨額の投資を実施している。

Softbankの孫正義CEOは、昨年、ファンドの背後のビジョンを説明し、人類は30年以内にスーパー知性を持った人口知能の開発に成功すると確信していると述べ、これが大型投資を急ぐ理由だとした。孫CEOは2017年にファンドのパートナーに向けたスピーチで100本脚のムカデ型ロボットに言及したが、ファンドの初期の投資はそれよりずっと実務的なものが多かった。

画像: Tomohiro Ohsumi/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ボーイングのプロトタイプ・ドローンは227kgを空輸する

ボーイングはさきほどドローンを開発していることを明らかにした。従来のドローンとは異なり、カメラなどよりはるかに重い貨物を搭載できるという。同社のエンジニアのチームがデザインした貨物ドローンのプロトタイプは500ポンド(227kg)の重量を空輸できる。

ボーイングのドローンはDJIなどが市販しているものよりはるかに大型だ。自重は340kg、長さ4.6メートル、幅5.5メートル、高さが1.2メートルあり、4本のアームの先端にそれぞれ二重反転プロペラを備える。このドローンを設計、開発するのにボーイングのエンジニアは3ヶ月しかかからなかった。ドローンはミズーリ州のボーイングのテスト施設で試験飛行を済ませたという。

ボーイングの最高技術責任者、Greg Hyslopは声明で「この貨物ドローンは、ボーイングのVTOL〔垂直離着陸〕テクノロジーに大きな新しい一歩を印すものだ。われわれは航空運輸のあり方を大きく変える入り口にいる。後で振り返って、このドローンが飛んだ日こそ大きな変革の始まった日だと思い起こすことになるだろう」と述べた。

ボーイングはまだこのプロトタイプについてスピード、航続距離などの具体的能力を明かしていない。技術的詳細はやがて発表されるとしても、この航空機がそのまま商用ベースで生産されるようになることはないだろう。しかしドローンの輸送能力をテストするプラットフォームとして重要な役割を果たすものと思われる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

自動車技術のためのディストリビューションAutomotive Grade LinuxをToyotaとAmazonがサポート

【抄訳】
かつてオープンソースのソフトウェアは大企業が避けて通るものだったが、その後の時の経過とともに、大中小あらゆる企業で使われるようになった。そして今回ご紹介するAutomotive Grade Linux(AGL)は、Linux Foundationの、オープンソースを自動車業界に持ち込もうとするプロジェクトだ。AGLのグループは今日(米国時間1/10、ラスベガスで行われたCESで発表を行い、ToyotaとAmazonがこのプロジェクトを公式にサポートすることが明らかとなった。

ToyotaはAGLを2018年型Camryに使っており、プロジェクトにプラチナメンバーとして参加する。一方Amazonは、シルバーメンバーだ。今日はToyotaとAmazonのマッシュアップがほかにもあり、しかもそれは偶然ではないだろう。

AGLグループのそのほかの既存メンバーは、自動車メーカーではFord, Mazda, Honda, Subaru, Suzukiなど, サプライヤーではDenso, Panasonic, LGなど, そしてチップのメーカーはNvidia, Intel, ARMなどの大手だ。メンバー企業は合計で110社になる。最近NTT Dataが加盟したことによって、大手通信企業もいることになった。AGLグループの事務局長Dan Cauchyはこう語る: “今、多くの通信機器メーカーとも話し合っている。CiscoやEricssonsのような世界的企業だ。どの企業もコネクテッドカー*関連の何らかのグループに所属しており、全員がAGLには関心を持っている。〔*: connected car, インターネットに接続されている自動車〕

しかしこれまでAGLが主にフォーカスしていたのは、自動車のインフォテインメント方面だ。昨年その分野で大きな進歩を遂げたグループは最近、AGLディストリビューションのバージョン5.0をリリースした。

Toyotaの参加によってAGLは一層評価が高まり、Cauchyによると同社のサプライヤーに対するLinuxの布教効果も見込める。Cauchyは曰く、“これによってAGLのシステム寿命が長期的なものになった。少なく見積もってもあと20年は存続するだろう。しかもそうなると、なかなか抜けられないね”。

しかも今AGLは、インフォテインメント以外にも手を伸ばそうとしている。中でもホットな話題といえば、当然ながら自動運転だ。そしてそれを目指して、Linux Foundationのいくつかの基盤的部分とAGLの連合が形成されようとしている。

“インフォテインメントでもそうだったけど、自動運転技術についても共通のプラットホームが必要だ”、とCauchyは述べる。“各社がばらばらに車輪を再発明している現状は、馬鹿げている。むしろ、Linux Foundationがこれまでやってきたものを、うまく組み合わせるべきだ”。

そしてその筆頭が、リアルタイムLinuxだ。これはもうすぐLinux Kernelのコンパイルタイムオプションになる。AGLはそれに対してさらにセキュリティを厚くし、自動運転車をハッカーにやられないようにしたい。遠隔通信や地図関連の技術も重要だ。とくに地図データは、各社ばらばらでなく、全メーカーが共有できる形式であることがきわめて重要だ。地図の共通化は、AGLがメインの課題として追究している安全性の面でも欠かせない。

【後略】



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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

CES:トヨタはモビリティー企業を目指す――e-Palletは都市交通の新たなプラットフォームに

トヨタはCES 2018を利用してビジネス戦略の方向転換を鮮明に打ち出した。 豊田章男社長はキーノートに登壇し、「モビリティー・サービス企業を目指す」と言明した。トヨタはモビリティー・サービスを副次的、周辺的なビジネスの一つというよりむしろ事業の核心に据えることに決めたようだ。豊田社長のコメントとe-Paletteのモビリティー車両業種横断的なパートナーの選定に見られるトヨタの将来ビジョンを総合するとそのように推測できる。

新しいモジュラー式コンセプトカーを中心としたトヨタのe-Paletteのビジョンには強い説得力がある。 e-Palleteはいわば何でも書き込める白紙のような移動のためのプラットフォームだ。電気モーターで駆動される全自動車両で、インテリアは要素を組み替えることでさまざなモビリティー用途に柔軟に対応できる。オープニングではユースケースをシミュレーションしたアニメが映された。この車両が都市内での荷物配送やライドシェアリングからモバイルオフィス、ホテル、さらには料理の宅配、イベントでのピザの販売まで自動運転でこなすところが示された。

e-Pallete車両は都市と近郊を効率よく走りまわり、ユーザーのニーズに応じてごく短時間で役割を変更することができる。もちろんアニメはそうしたビジョンを理想化して表現したものだろう。現実は非常に複雑であり、さまざまなハードルが待ち構えているはずだ。そうであってもこの理想は追求するに値する。かつ自動運転と電気化が交通の未来を一変させようとしているときに、将来ビジョンにe-Palleteを採用したのは自動車メーカーとして非常にスマートな戦略だ。

他の自動車メーカーのモビリティービジネスへの対応は、私の見たところ、副次的であり万一の保険に近い。たとえばVolkswagenだが、自身はモビリティー・サービスをサブ・ブランドのMoiaで実施しているものの、昨日、Nvidia CEOのJensen Huangと共にステージに立ったVolkswagenのトップはモビリティー・サービスの適用範囲に関して疑念を示していた。

過去に一部のアナリストはトヨタは電気自動車やモビリティー・ビジネスの分野で遅れを取っていると批判していた。しかし同社はモビリティー・サービスのプラットフォームを昨年から本格的にスタートさせているし、今回の発表では、この戦略をさらに推し進め、モビリティーを事業の中心として商業的に成功させていく構えを見せた。

豊田社長の今回のプレゼン、そしてUber、滴滴、Pizza Hut、Amazonを始めとする多数のパートナーの発表に至るトヨタの動きを観察すればモビリティー・サービスに対する取り組みがきわめて真剣なものであることが分かる。トヨタの事業戦略の大きなシフトはやがてモビリティー分野における強力なリーダーシップとして結実する可能性が高いことに業界他社は十分に留意すべきだろう。もちろんそのためにはトヨタは大きなリターンを得るまでに長時間かかることを十分認識した上で、この分野への投資を継続する必要がある。


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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

電気自動車に自動充電するソーラーハイウェイ、中国でパネルの小片が盗まれた

ソーラーパネルを道路に敷くことは、必ずしも迷案ではないが、しかし問題もあるようだ。たとえば、それを盗む人がいるかもしれない。中国ではまさにそれが起きて、世界で初めてのソーラーパネルで舗装したハイウェイ、と称する道路が、開通からわずか5日後にやられた。

Qilu Evening Newsが報じTechNodeが孫引きしている記事によると、山東省にあるその長さ1キロメートルの実験用道路は、1万枚あまりのソーラーパネルでおおわれ、それらは丈夫な保護層でサンドイッチされている。表側はもちろん透明だ。全体の厚さは3センチになる。パネルには電磁誘導コイルがあり、その上を電気自動車が通ると充電される。表面の雪や氷は熱で溶かす。その実用試験は12月28日に始まった。

しかし1月2日の点検で、小片が切り取られていることが見つかった。幅15センチ長さ2メートル足らずで、勝手に外れたものではない。誰かに盗まれたのだ。でも、誰が何のために?

ソーラーパネルは安いし、大量に盗まれたわけでもない。修理には数千ドルかかると言われるが、でもなぜ、そんな小片を? なぜわざわざ道路開通後に盗んだのか? 妨害行為が目的なら、小片をきれいに切り取るのではなく、大面積を破損したり塗りつぶしたりしただろう。

地元のニュースチャネルが引用している業界筋の話では、それは“プロの集団の”仕業だ、という(Googleの中→英翻訳による)。それなら、説明がつくかもしれない。彼らは技術に関心があったのだ、という説もある。

このソーラーパネルのサンドイッチの模造品を生産して安く売ることに関心のある集団なら、小片を切り取って持ち去ったことも理解できる。模造品は中国ではありふれているが、でもそれは多くの場合、もっと単純な消費者製品に限られているのだが。

道路は修理後再び開通し、その後盗難事件は起きていない。最大の被害は、修理工事の間に通勤者が迷惑したことだろう。警察は、まだ捜査を続けている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ヨーロッパのUberに打撃、EUの最上級審が交通サービスだと裁定

EUの最上級審CJEU(Court of Justice of the European Union, 欧州司法裁判所)が、各国のタクシー組合による長年の訴訟に最終評決を下した。Uberの、同社はテクノロジープラットホームにすぎない、という主張に対して、評決は同社は交通サービスである、と裁定した。

この判決によりUberはEU各国の交通法規の遵守を義務付けられ、それらの規則を回避することはできなくなる。

判決によると、Uberの“仲介サービスはその目的が、スマートフォンのアプリケーションと報酬によって、自分の車を使うノンプロフェッショナルのドライバーを都市内の移動旅程を求める人物に結びつけるのであるから、それは本質的に交通サービスに関与していると見なされるべきであり、したがってEUの法の意味内では‘交通分野のサービス’として分類されるべきである”、ということだ。

判決はさらに加えて、“その結果、そのようなサービスは、サービスを一般的に提供する自由の範囲からは除外されるべきであり、また内輪的な市場におけるサービスに対する指令や、電子商業に対する指令からも除外されるべきである。それゆえ、EUの現在の法においては、そのようなサービスがEU条約の一般規則に準拠して提供されるための条件を、EU各国が規制すべきである”、と言っている。

裁判所の評決に対してUberのスポークスパーソンは、メールで声明文を発行した: “この裁定は、われわれがすでに交通法のもとに操業しているEUの多くの国においては、何も変えないであろう。しかしながら、今なお数百万のヨーロッパ人が、われわれのもののようなアプリを使うことを妨げられている。弊社の新CEOが述べたように、Uberのようなサービスを規制することは妥当であるので、今後とも弊社は、ヨーロッパ全域の都市との対話を継続したい。これが、誰もがボタンをタップするだけで信頼できる乗車を確実に得られるために、弊社がこれからも採る方式である”。

最初の訴訟は、2014年に、バルセロナの職業的タクシー運転手組合が起こした。それは、Uber Systems Spainの活動が人を欺くやり方であり、不正な競争の行いである、という法廷の宣言を求めていた。その判定のために法廷は、Uberが提供するサービスが交通サービスであるか、情報の社会的サービスであるか、両者の組み合わせであるかを判決で決めることが必要、と決定した。かくしてこの事案は、CJEUに委ねられた。

裁判所のこの評決はヨーロッパにおけるUberの拡張意志を削(そ)ぐかもしれないが、しかしロンドンなど一部のヨーロッパ市場では同社はすでに交通法の下(もと)で操業している。ただしロンドンでは、別の理由で営業免許を取り消されている。

そこでUberの主張では、EUの多くの国では判決によって操業のやり方が変わることはない。

この判決が対象としているのは、Uberのピアツーピアの乗車呼び出しサービス(ride-hailing services)のみである。それはフランスやスペインなど一部のヨーロッパ市場では長年、完全に禁じられている。

そんな市場の一部(ベルリンやマドリッドなど)でUberは、ピアツーピアではないプロフェッショナルな乗車呼び出しサービスを立ち上げている。それは、地元の交通法に準拠するためだろう。しかしスペインでは今なお、地元のタクシー組合がUberやそのほかの乗車呼び出しサービスが存在することに反対している。彼らは、タクシーの免許の数を制限するはずの法が破られている、と主張している。

続報があればこの記事を更新する…

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa