パーキンソン病の患者が作った病態自己管理アプリMyHealthPalは研究機関へのデータ提供も目指す

【抄訳】

ウェアラブルは、その開発と利用の進展とともに、保健医療方面の応用への関心が急速に拡大している。アプリやデバイスによる健康管理が、徐々に日常化しつつある。毎日、状態を監視する必要のある患者は、とりわけ、このハードとソフトの組み合わせから得る利益が大きい。そしてもちろん、今は多くのスタートアップがこの流れに乗ろうとしている。

今日ステルスを脱したiOSアプリ+プラットホームのMyHealthPalは、ユーザに長期的な健康管理機能を提供するが、最初はとくにパーキンソン病に焦点を当て、またこれと同様の疾病も対象にする。

【中略】(投資関連)

ファウンダのMike Barlowは、2年前の41歳のとき、パーキンソン病と診断された。そして彼は、治療の効果を自分で管理し、測定し、症状の変化をチェックし、各日の気分や食事やエクササイズなどを記録する便利な方法がないことに気づいた。

そこで彼が作ったMyHealthPalは、患者の日々の各種データを、その患者用のダッシュボードに記録し表示する。

類似のアプリとしてmpowerやGluko、GlucoSuccessなど(主に糖尿病関連)がある。AppleのHealthKitとResearchKitも忘れてはならない。NEAをはじめVCたちも、こういう、個人の健康管理分野に着目している。

しかしmyHealthPalは、その疾病の患者自身がそのほかの患者のために設計した、という点が、大きなメリットだ。

myHealthPalでは、ユーザが自分のデータを匿名化して寄贈すると謝礼として売上の一部をもらえ、それが研究機関や介護施設などへユーザの名前で寄付される。それはまさに、患者たちのための共有経済だ。

この件でMyHealthPalはEUや合衆国のプライバシー規則へのコンプライアンスを重視し、また同社の技術は、合衆国の電算化医療情報保護のための法律HIPAAにも準拠している。

CEOのMary Keane-Dawsonは、こう言う: “最終的にMyHealthPalはデータ分析のプラットホームになり、研究者たちがここで大量のデータを利用できるようになる。そういう展望があるからこそMyHealthPalは、投資家と医学研究機関の両方が関心を持つビジネスなのだ”。

今現在、ニューヨークの高名な病院、Mount Sinai Hospitalで試験を行っている同社は、今後イギリスと合衆国のそのほかの機関やチャリティーなどと連携していく予定だ。

これをあえて‘市場’と呼ぶなら、不幸にしてとても大きな市場だ。国連の世界保健機構(WHO)によると、慢性疾患(パーキンソン病、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患、過敏性腸症候群、HIV/AIDS、アルツハイマー病など)の患者は全世界で4億2100万人もいる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa


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