Googleは数週間以内に、Enhanced Campaignsと呼ばれる新しいAdWordsシステムを提供開始する。これは複数のデバイスを横断して広告するよりよい方法であると同社は謳っている。
公式発表ブログ記事と、私がGoogle広報担当者と話した内容によると、狙いはキャンペーンの実施プロセスを簡素化し、使用しているテバイスに依らず最適な広告をユーザーに届けることにある。記事中、 技術担当SVPのSridhar Ramaswamyは、「Enhanced Campaignは、位置情報、時間、デバイスの種類などの状況に応じた適切な広告を、個別のキャンペーンを立ち上げることなくあらゆるデバイスに配信することができる」と言っている。
Google広報担当者は以前私に、企業がデスクトップ、モバイル両方に広告を出したければ、別々のキャンペーンを作る必要があると言っていた。Enhanced Capmpaignでは、一つのキャンペーンをデバイス横断で実施することができ、さまざまな環境に応じて修正することも可能だ。例えば、広告主はモバイル広告では費用を抑え、特定の地域には多く広告を投入することができる。ブログ記事にある事例はこうだ。
ある朝食カフェは、スマートフォンで近所の「コーヒー」または「朝食」を検索している人にリーチしたがっている。入札調整機能には、0.5マイル離れた人には25%高く、11am以降の検索には20%低く、スマートフォン上の検索には50%高く入札するという、簡単な3つの選択肢がある。こうした入札調整は同一キャンペーン内の全広告、全キーワードに適用できる。
他にGoolgeが強調する機能として、環境に応じた広告ユニットのカスタマイズ(例えばモバイル広告には〈クリックで電話〉ボタンを付ける)、呼び出しやダウンロードの回数などが掲載された新しいレポート等がある。
Starcom MediaVestによると、同社はすでにこのシステムを試行中で、Starcom USAの副社長兼部門長、Paul DeJarnattは私にメールで、「良い点もあるが制約もある」と言った。彼は強化されたレポート機能と「今後の拡張の約束」に期待していると言った。しかし、Googleは手順の簡易化に走りすぎたため、モバイルとタブレットでターゲティングの選択肢が少なすぎるということも示唆した。
「当社クライアントの多くは、タブレットの利用者や、本物のモバイル検索利用者にとって何が重要かを見つけるために、克明な調査やテストを行ってきた。後者はデスクトップの検索ユーザーとは大きく異なっている可能性がある。今はわれわれがそのような見方をしたとしても、最も関連性の高い広告を、最も興味を持っている利用者に届けるターゲティング方法がなくなってしまった。これは、検索エンジンのあらゆる操作に関連性をもたらすというGoogleの使命に反するものだ」とDeJarnattは言った。
同じように、AdobeのBill Mungovenはブログ記事で、今後広告主はタブレットだけをターゲットするキャンペーンができなくなると指摘する。ある意味でそれは理にかなっていると同氏は言う。なぜなら「タブレットが実際にはスマートフォンよりもノートPCやデスクトップのように使われている」からだ。しかし彼によると、それはGoogleの利益にもなる、なぜならGoogleはタブレット広告がデスクトップと同列になった方が儲かるからだと言う。
DeJarnattも同様の点を指摘して、「最大の受益者は、少なくとも現段階ではGoogle自身だ」と言った。彼はEnchanced Campaingnはスモールビジネスに役立つだろうと言ったが、こうも付け加えた。「緻密なマーケターや代理店にとって、Enhanced Campaignは一歩後退に感じられる」
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(翻訳:Nob Takahashi)