ロンドンを拠点とする教育系スタートアップZzishは、学習用アプリの可能性を引き出すことを使命としている。その手段として、学習用アプリ制作の簡素化、そして完成したアプリを実際の教室で使いやすくするような環境づくりに取り組んでいるのだ。
Zzishは、アプリ制作用のプラットフォームの開発を通して、時に骨の折れる学習用アプリの制作を支援しており、さらに、教師向けセントラルダッシュボードの開発も行っている。これによって教師は、生徒の学習用アプリの使用状況、特に成績や、「ラーニングギャップ」(生徒がこれまでに実際に学習した内容と、その生徒が既に学んでいるべきとされる内容の差)の特定に関連した情報を、確認することができる。
以前Googleのプロダクトマネージャーを務めていた、Zzish共同設立者兼CEOのCharles Wiles氏は「私たちは、二種類の人々がそれぞれ持っている悩みを解決しようとしています。一方は、教室で使えるような学習用アプリの開発者が持つ悩み。そしてもう一方は、そのアプリを教室で実際に使う教師が持つ悩みです」と語る。
さらに「私たちは、何百万ドルもするバックエンド環境を提供することで、開発者が自分たちでやろうとすると、年単位とは言わずとも、月単位の時間がかかる、学習関連機能の実装作業を、数時間で行えるよう支援しています。また、学ぶという行為に革新をもたらすような、最先端の学習用アプリを、誰もがつくることができる環境を提供することが、私たちの目標です」とWiles氏は言う。
Zzishが提供するサービスのもうひとつの顔にあたるのが、教師用のダッシュボードなのだが、本当のところを言うと、Zzishは、教師(または起業家業精神を持つ教師)がユーザーとしてサービスを利用するだけでなく、アプリの開発に取り組むようになることを願っている。そのダッシュボード上では、Zzishのプラットフォームを利用している学習用アプリであれば、まとめて生徒の学習状況を確認することができる。ここで重要なのは、生徒の学びに関する情報を一手に集めて確認できることで、教室で行われる全ての活動を、ひとつの場にまとめることができるという点だ。
「その一方で、教師は、本当に学習効果があり、教室で使えるような魅力あるアプリを探すのが、ますます難しくなっていると感じています。小規模で開発された学習用アプリの大きな欠点のひとつは、生徒の成績を集計する機能や、教師が成績を確認できるようなダッシュボードを設けていないことです」と述べるWiles氏。
学習進度に関するデータ不足や、さらにはそのデータを一か所から簡単に確認できないといった状況は、ある程度開発にお金がかけられていて、人気のある学習用アプリでも見られることだ。これでは生徒の学習状況について、極めて基本的な洞察しか得ることができない。「私たちは、接続しているどのアプリの情報もきれいに表示できるような、単一のダッシュボードを教師のために開発し、どんなアプリとダッシュボードの接続も数時間で完了するようにしました。さらに、我々のダッシュボードは、教師のみなさんに、シンプルで行動に移しやすい情報を素早く提供するという点に重きをおいています」
ダッシュボードには、それぞれの生徒の強みや弱み、さらにはラーニングギャップまでリアルタイムに割り出す機能が搭載されており、教師は生徒に合わせて教育方法をアレンジすることができる。
結果的にWiles氏が主張する通り、Zzishは、教師のための全く新しい製品を作りあげた。彼は自社の製品が「単なる学習用アプリを、有益な教育用ツールへと変化させるもの」であると言う。
そのコンセプトを実証するため、ZzishはQuizalizeという自前の学習用アプリの開発を行った。このアプリをプラットフォームに接続することで、教師は自分で問題を作ることができ、さらに生徒の成績を随時確認することもできる。今日までに、100ヶ国以上から2万5000人もの教師がQuizalizeに登録している。
投資家がこの状況を見て黙っているわけがない。アクセラレータープログラムTechstars London出身のZzishは、追加で70万ポンドもの資金を調達したと発表し、合計調達額は150万ポンドに達した。支援者には、教育系テック企業のVCであるLeaf Investmentsのほか、エンジェル投資家でありForward Internet Groupの設立者でもあるNeil Hutchinson氏らが名を連ねる。
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(翻訳:Atsushi Yukutake)