ヘルステックスタートアップのCardiogramは、a16z Bio Fundがリードインベスターとなったシードラウンドで200万ドルを調達した。同社は、心血管疾患のスクリーニングや、心血管に関連した健康状態の改善・維持に関するアドバイスを発信するアプリを開発している。
Cardiogramのアプリは当初、Apple Watch用としてスタートした。しかし、同社は当アプリを最終的に”デバイスに依存しない”ビジネスへ発展させようと計画しており、Android Wearを搭載したスマートウォッチや、Fitbit、Garminなどのフィットネスバンド兼アクティビティトラッカーへも今後対応させていきたいと考えている。
シードラウンドでの資金調達に加えて、Cardiogramは”生活習慣用アプリストア”についても本日発表を行った。このアプリストアでは、ガイド付きの瞑想や、肉体・心理的なエクササイズのアプリをダウンロードすることができ、ユーザーの心血管の状態を維持もしくは向上させるのに役立つと同社は考えている。
共同ファウンダーのBrandon BallingerとJohnson Hsiehによれば、これまでにCardiogramは、約10万人のApple Watchユーザーから100億もの計測結果を集めている。
「この量のデータがあれば、C統計量(正誤判別をするときに用いられる指標)を算出することができ、不整脈の典型例である心房細動を90%以上の確率で発見することができます」とBallingerは言う。「私たちは、設立間もないデジタルヘルス企業であっても査読を申請するのが重要だと考えています。その証拠に、これから数年の間に私たちは、医療雑誌やAIカンファレンスで研究結果を発表していく予定です」
Cardiogramの創業チーム
これまでにCardiogramは、高齢者だけではなく、その逆と言えるフィットネス好きの若者にも人気を博している。ファウンダーのふたりによれば、ユーザーの年齢層は18〜94歳とのこと。
シードラウンドには、Homebrewや、Color Genomicsの共同ファウンダーであるElad GilやOthman Laraki、Rock HealthファウンダーのHalle Teccoといったエンジェル投資家らも参加していた。
a16zで2億ドルのヘルスケア業界に特化したファンドを立ち上げた、同社ジェネラル・パートナーのVijay Pandeは、Cardiogramへ投資した理由のひとつは、収集したデータをアクションに直結した情報に変換し、人の命を救うことができる同社のサービスの力だと話す。
「Cardiogramは、ウェアラブルというチャンネルを通して、新しい情報源から大量のデータを収集し、最新の機械学習技術を利用することで、ユーザーが自分たちでアクションを取れるようなサービスを提供しています。これは私が個人的にとても興味をもっているサービスの種類でもあります」と彼は言う。
Pandeは、Cardiogramが今後も情報共有や自社の研究結果を精査するために、研究者のコミュニティと密接に協力し、今回の調達資金を人員の増強や製品開発にあてることを期待している。
現在Cardiogramのアプリは、心血管疾患の代表例である心房細動の発見・予測に向けて改良が進められているが、その他の心血管疾患や血圧と関係のある肥満などの病気を予測するのにも役立つ可能性がある。
さらに現在Cardiogramは、サンフランシスコにあるUniversity of CaliforniaのHealth eHeart研究の一環として、同大学の研究者や心臓専門医と協業を進めている。
彼らは、主要なウェアラブルデバイスやスマートフォンから収集したデータを基に、アルゴリズムを使って心房細動を正確に予測・発見すると共に、正常な心臓とはどのような状態のものなのかを定義づけることを目標にしている。
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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)