科学雑誌「Newton」を読んで育った同輩諸君。本当に残念なお知らせだ。
Newton発行元のニュートンプレスの元社長らが出資法違反容疑で逮捕されたと報道されたのは2月17日のことだった。それからわずか3日、先ほどニュートンプレスが東京地裁に対して民事再生手続き開始の申し立てを行ったと発表した。
ニュートンプレスの説明によれば、同社は借入金返済を停止させていて、外部弁護士、会計士の協力の元に返済計画の策定を進めなるなどしていた。ただ、前代表逮捕など状況の変化を受けて自力の経営改善を断念。「裁判所及び監督委員の指導・監督を受けながら経営改善を進めていくことが、当社の再建にあたり最良の手段であると判断」したとしている。ニュートンプレス代表の高森康雄氏は、Newtonの維持・維持を社会的使命と考えて再建に臨むとしている。
Newtonは1981年創刊。初代の竹内均編集長はテレビなどでも一般向けの科学解説を行うなど、TechCrunch Japan読者の中にも良く見ていたという人は多いだろう。豊富なビジュアルを使った誌面は当初は斬新で、ぼくも見開き一杯に描かれた美しい土星の輪の絵なんかに見とれて宇宙論を志した子どもだった。最新の科学的知見を一般向け、あるいは子どもにも分かりやすく解説するスタイルは今も変わっていない。
今となっては日々リアルタイムでNASAからじゃんじゃん写真がソーシャルに流れてくるし、YouTubeを見れば大量の科学系の解説動画もある。そもそも紙の雑誌市場自体が縮小しているうえにビジュアルを主体とするという切り口だけでは、もうビジネスとしては厳しいのかもしれない。とはいえ科学を分かりやすく伝えるという使命は、水素水が流行しまくる現在の日本でこそ必要とされているもの。再建に向けた取り組みが順調に進むことを祈るばかりだ。