“メニュー単位”で検索できるグルメサービス「SARAH」が講談社と提携、雑誌に眠る資産を有効活用

SARAH_top

「渋谷で美味しいナポリタンを食べたい」「今いるエリアで麻婆豆腐が美味しいお店を調べたい」など食べたいメニューが明確な場合に、どのように検索してレストランを探すだろうか?

そのような状況では「新宿×パスタ」や「現在地×中華」といった料理のカテゴリではなく、「新宿×ナポリタン」や「現在地のエリア×麻婆豆腐」のようにエリア×具体的なメニュー名で検索をする人も多いはずだ。

ただ既存のグルメ情報サイトの場合口コミや評価は店舗に対して行うため、メニュー単品ごとの評価がなかったり、該当する口コミを探すのが難しかったりした。そこでメニュー単位でレストランを探したいというニーズに応えるため生まれたアプリが「SARAH」だ。2015年のリリース以降一般ユーザーからの投稿を地道に蓄積してきた同社だが、今回新たな一手を打つ。

運営元のSARAHは6月9日、講談社が発行するグルメ雑誌「おとなの週末」と提携したことを明らかにした。合わせて2016年7月に講談社のほか、KLab Venture Partnersかんしん未来ファンドおよび個人投資家を割当先とする第三者割当増資により、総額約1億円の資金調達を実施したことも明かしている。

今回の提携でSARAH内におとなの週末のオフィシャルアカウントが開設。ユーザーはこれまで雑誌で掲載されてきた情報を、ジャンルやエリアごとに一品ずつ検索・閲覧できるようになった。最新号の情報も随時アップされるため、このアカウントをフォローしておけばトレンドをいち早く掴むのにも役立つ。

過去の情報誌に眠る「良質な資産」を有効活用

SARAH代表取締役の高橋洋太氏によると「紙媒体に掲載されてきた過去の資産を有効活用することで、ユーザーに価値を提供できないかと考えた」ことが背景にあるのだという。

「グルメ情報誌やライフスタイル誌には良質なコンテンツも多いが、今いるエリアで美味しいお店を探したいという際に、すぐにその情報を活用するのは困難。そのような過去の資産をウェブやアプリで上手く活かすことができれば、検索するユーザーの方にも大きなメリットがある」(高橋氏)

まずはおとなの週末が第1弾となるが、ユーザーの反応も見ながら他の雑誌やテレビ番組との連携も検討していくという。

コンテンツの提供をする側の講談社は、過去にもNewsPicksに投資やコンテンツ共有を行っている(2014年にユーザベースへ出資)。2017年に入ってからも、デジタルガレージと共同で女性誌のコンテンツとAI技術を組み合わせたデジタルメディアを開発することを発表するなど、スタートアップとの連携やデジタルメディアの活用に積極的だった。それもあり、SARAHとの今後の展開についても非常に気になるところだ。

SARAHのアイデアは「渋谷で美味しいポテサラ」を探した体験から

SARAHの設立は2014年。学生時代に一度人材領域で起業した後、エニグモでBUYMA事業に関わっていた高橋氏らが創業した。

高橋氏自身が「渋谷で美味しいポテトサラダを食べられるお店」を探そうと思った時に、なかなか見つけられなかったことがきっかけでSARAHの開発に着手。2015年にリリースしており、ウェブ版とアプリ版(現在は iOSのみ)を提供している。

食べログRettyなど既存のグルメサイトが店舗の情報をデータ化しているが、SARAHの特徴はメニュー情報をデータ化し、検索・閲覧できるようになっていること。ラーメンやカフェといった「店舗カテゴリ×エリア」でお店を探す人が多いのかと思いきや、検索数を見ても「メニュー×エリア」の合計値は近い数字だという。このことからもわかるように、実はメニュー名でお店を検索している人も少なくない。

最近では「チーズカルビ」や「ブラータ」などテレビ番組や雑誌で話題になったメニューを検索してSARAHにたどり着く人も増えてきているという。

「1番の競合は、まとめサイトやまとめ記事。最終的にはどれだけ美味しいものを表示できるか、コンテンツの質の勝負になると考えている」(高橋氏)

SARAHでは今回の連携のように他媒体のコンテンツも活用しながら、実際に食事をした人の投稿や評価といった情報を集め、幅広い層の人に楽しんでもらえるサービスを目指していく。

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。