先月深圳(シンセン)で開催されたTechCrunchイベントで、私たちはWT2を試す機会があった。これはスタートアップTimeKettleによる、賢く野心的なデバイスだ。これは1対の無線式イヤホンだ。多言語会話に参加する双方が1つずつ耳に装着する。するとデバイスが話されたことを、お互いの言語に翻訳して聞かせる仕組みだ。本質的にはバベル魚(小説「銀河ヒッチハイクガイド」に登場する、万能翻訳を可能にする魚)だが、もちろんまだとても原始的なものだ。
デバイスは、小さな充電ケースに入れられている。そして、あなたの言語を知らない人と話したくなった時に、それらを取り出す。1つは自分の耳に、もう1つは相手の耳に装着する。ケースから取り出されると、それらは自動的にiOSアプリとペアリングされ、音声のモニタリングを開始する。
あなたが英語で話すと、少し遅れて、あなたの話し相手はそれを中国語(またはこの後追加されるどのような言語でも)で聞くことになる。相手は中国語で応答し、あなたはそれを英語で聞く。とてもシンプルだ。
もちろん、すでに似たようなことをしている翻訳アプリもあるが、このイヤホンを共有するという非常にシンプルな方法は、取り扱いの際の様々な面倒を省いてくれることを意味する。まるであなたの言語を話す人と話しているかのように話し、アイコンタクトや普通のジェスチャーでそれを補うことになる。
これがTimeKettleの創業者であるWells Tuが達成したかったものだ。彼と私は(英語と中国語を使って)コミュニケーションの複雑さや、ボディーランゲージの重要性について語り合った。もしWT2を一度も見たことも使ったこともない人たちを相手にするのなら、操作の簡便さもとても重要だ、と彼は言う。
現在、デバイスはまだプロトタイプに過ぎないが、デザインと利用されるチップセットはほぼ最終形に近いものだ。通常よりも大きめのBluetoothヘッドセットに期待できるもののように、それは私の耳にかなりよくフィットした。
翻訳の品質に関しては、過剰な期待を抱かない限りは良いものだった。複雑な話やイディオムには対応することはできない。とはいえそれでも多くの会話を行うことが可能だ。私が感じた問題は、主に遅延だ。アプリが仕事をしている間、私とWellsはお互いに黙って見つめ合いながら、数を3つカウントしていた。とはいえ、私が使用したバージョンは速度に関しての最適化を施されていないものだった。チームは現在それを改善するために必死で作業している。
「沢山の作業を行い、イヤホン、アプリ、サーバ間のデータ伝送プロセス全体を最適化して、遅延を1〜3秒へ短縮しようとしています」とWellsは語った。
会場での不安定なワイヤレス接続も悪い方向に働いていた。少なくとも、オフラインでの翻訳が十分に機能するようになるまでは、確実なデータ接続が必要だ。
WT2はまだ出荷可能なものではない、しかしWellsと私は、たとえ最初のバージョンが完璧なものでなくとも、誰かがそれをやらなければ、誰も何も成し遂げることはできない、という意見で一致した。この種のテクノロジーは将来的には普遍的なものになるだろう。しかし最初の段階では、珍しく、奇妙で、4分の3の時間位しか動作しなかったりするものだ。ランゲージバリアを乗りを越えてコミュニケーションを改善するという目標を達成するための、それぞれのステップに、私は惜しみない賞賛を送りたい。
WT2の詳細については、Webサイトで知ることができる。来月に開始される予定のKickstarterに注目しておいて欲しい。
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(翻訳:Sako)