モバイルゲームを中心に、エンターエインメント領域で複数の事業を展開するアカツキは10月11日、エンタメ×テクノロジー領域に特化したファンド「Akatsuki Entertainment Technology Fund」を設立したことを明らかにした。
このファンドではARやVR、MRなど新しい技術分野×エンタメという領域でサービスを提供するスタートアップを対象に投資をする方針。規模は最大で5000万ドルを予定しているという。
ゲームやライブエクスペリエンスに続く、新たな事業領域の発掘へ
アカツキはもともとモバイルゲーム事業を成長させ、2016年3月に上場を果たした。同年6月にはゲーム以外のエンタメ領域に事業を広げるべく、アウトドアレジャー予約サイト「そとあそび」を買収。現在はライブエクスペリエンス事業としてリアルエンタメ領域のサービスも展開する。
アカツキ取締役CFOでファンドのメインディレクターを務める小川智也氏は、今回ファンドを設立した背景にも「さらに事業領域を広げていきたい」という意図があると話す。
「ARやVR、MRなどエンタメ領域で生まれてきている新しい技術や、それを活用したサービスへ投資することで新たな領域へ事業を拡大していきたい。特に最初は市場が盛り上がってきているAR×エンタメを1つの軸として考えているが、ゲームに限らずアニメや音楽、スポーツ、ライブなど幅広く見ていきたい」(小川氏)
アカツキではファンドの設立に先駆け、先日ハリウッドに子会社を設立し新たに映像事業に参入することも発表した。今回アメリカに拠点ができることもあり、グローバルで新たなエンタメ事業を創出していく絶好のタイミングと捉えスタートアップ投資を本格化する。
投資の対象となるのはシードからシリーズAの企業で、ファンドの総額は最大で5000万ドル規模を予定。「ファイナンスリターンが最優先というわけではなく、アカツキが事業としてやっていきたいことも踏まえて投資をしていく」(小川氏)ということもあり、将来的には外部からお金を集めることも検討するが、今回は全て自社の資金で賄う。
近年コロプラの「Colopl VR Fund」やgumiの「Tokyo VR Startups」などゲーム事業を展開する会社が、VRなど新たな技術に特化して投資することも増えている。アカツキの場合もARを軸に考えているそうだが、特定のテクノロジーだけに絞ると投資対象が狭まってしまうこともあり、エンタメ領域かどうかを重視して投資をする方針だ。
米国子会社のネットワークも活用した協業も視野に
小川氏によるとすでに複数のスタートアップとは話を進めていて、シリーズAのラウンドで投資が決まった米国企業もあるという。
特に「日本市場に精通している事業会社であること」「モバイルゲームの領域で実績があること」「日本のIPやコンテンツと協業できる可能性があること」がスタートアップのニーズとマッチするそう。
上述した米国企業の場合も、海外展開を見据えて日本か中国の事業会社から出資を受けることを決めていたため今回の話につながったという。
日本のIPやコンテンツを絡めた協業という点では、先日設立した米国子会社やパートナー事業ともタッグを組んで事業をサポートすることも視野に入れる。
アカツキとしては国内外でスタートアップへの投資をするとともに、エンタメ領域における事業会社とのネットワークを広げ、新たなサービスの創出を目指していく。