どうやってWebサイトに人を集めるか?
これが今回のテーマである。
私が初めてホームページを作ったのは1997年のことである。
(余談だがこのサイトはYahoo!カテゴリの「文学」に登録されていた。閉鎖してしまったのは惜しいことをした。あの頃の自分にSEOって言葉を教えてやりたい・・・)
Yahoo!Japanの創業が1996年である。
検索エンジンはまさに誕生したばかりの段階で著しく未発達だった。
Webサイトはまったくバラバラに存在しており、必要な情報を探すのは困難だった。
せっかく作ったサイトに人を集めたくて、様々な努力をしたものである。
現在のように検索エンジンは発達しておらず、ソーシャルメディアも存在しない中で、どうやって人を集めたのか?
ここに今に通じる集客のヒントが隠れていると思うのだ。
当時のWebサイトではCGIといった仕組みもほとんどなく、掲示板すらまれであった。
だから、Webマスターへの連絡はメールが主な手段だった。
- ソーシャルメディアでの言及
- トラックバック
- ブログへのコメント
- メールもしくはメールフォームでの連絡
私の感覚では、Webマスターへの連絡手段としては、この順序で下に行くにしたがって重くなる感じだ。
言い換えれば
「いい加減にはできない」
という感じになる。
メールは重たい手段だ。
よほどの用件がなければ使わない。
当時はそれしかなかった。
その中においてメールを送るのは、よくよく考える必要があった。
自分のWebサイトをPRしたいというのが目的であった場合は、自分のPRだけをするわけには当然いかない。
- 自分が面白い・好き・趣味が合うと思うサイトを見つける
- 自分のサイトで紹介文を掲載しリンクを貼る
- 「自分のWebサイトで紹介させてもらいました」と書く
- 相手も自分のWebサイトに来訪して内容を読む
- 相手も気に入ってくれたら同じようにリンクしてくれる
こんなやり取りが当時一般的だったと思う。
非常に面倒だったのだ。
しかし、これには大きなメリットがあった。
メールのやり取りは、よいページをふるいわける素晴らしいフィルターの役割を果たしたのである。
しょうもない何の中身もないSEO目的みたいなページを作った場合には、リンクしてくれとお願いすることはできなかった。
また、それを顧みず図々しくリンクのお願いをしたとしても、リンクしてもらえる可能性はごく少なかったからである。
これはメールという重い連絡手段だったからこそ、フィルターは機能したと私は考えている。
実際に面白い・価値がある・共感するものにしかリンクはあまりされなかった。
個々のサイトの中にあるリンク集には確かな価値が存在したのである。
そして、非常に濃いWebマスター同士の交流を生み出した。
Webサイトを通じてお互いがお互いを理解しあう文化が生まれた。
今であればソーシャルメディアがこの役割を担っているのだが、Webサイトとメールしかなかったからだ。
相手にも読んでもらわねばならないため、誰もが面白い・役に立つコンテンツを作ろうと努力をした。
そして、ほかの人のコンテンツも読むように努めた。
検索エンジンによるコンテンツの選択が可能になる前のインターネットの文化はこんな感じだった。
今こそ元々の文化から学ぶべきだと思うのだ。
もし、ロボット型検索エンジンがなかったとしたらどうサイトを運営するか?
全文検索の存在によって我々が忘れてしまった原点がそこにある。
実は検索エンジンもこれを評価している。
検索エンジンがなかったとしても、ユーザーが訪問してくるであろうサイトはどれか?
を評価しているのだ。
そもそも、検索エンジンにとっては、
のである。
そして、検索エンジンそのものも「無」から生まれたわけではない。
検索エンジンが生まれるずっと以前からサイトは人間から評価されてきた。
人間が行うような価値の評価をもし機械が自動的に行うにはどうすればいいのか?
それを考え抜いた末に作り出したのが検索エンジンのアルゴリズムだ。
だから、検索エンジンがなかったとして、
- どんなコンテンツを作っているか?
- どんな品質のコンテンツを作っているか?
- どんなサイトからリンクされているか?
- どんなサイトにリンクしているか?
- どのようにリンクしているか?
を考えるべきなのだ。
検索エンジンがあるがゆえに、この考え方を忘れがちになってしまっているのだ。
検索エンジンは、検索エンジンがなかったとしても、評価されるサイトを評価するように作られている。
だから、いったんは検索エンジンの存在を忘れて、どうあるべきかを考えれば正しい答えを原則的には導けるはずなのである。
自分が有用・面白いと思うサイトの運営者を想定してこれが基準とする。
基準となる人を想定して、
- 興味ある・見てみたい思ってもらえるジャンル・内容
- 有用だ・面白いと思ってもらえる品質
- 基準となる人のサイトからリンクしてもらえているか
- 基準となるようなサイトにだけリンクしているか
- リンク先の紹介文に心がこもっているか
と考えれば、必然的にサイトのあり方はわかるはずだ。
言い換えてみると、自分が書きたいと思うジャンルにおいて素晴らしいと感じる、Webサイトのオーナーから紹介してもらえることを目標とすればよいのだ。
今でもこの原則は変わっていないと私は考えている。
パラダイムチェンジがあって、検索エンジンが使われなくなるという時代が来たとしても普遍的に通用する考え方である。
検索エンジンのアルゴリズムの変化というレベルではなく、検索エンジンそのもの自体にとらわれない不変の営為、それが真のSEOだと私は確信している。