日本のフィンテック業界にまた新しいビックニュースが飛び込んできた。
テーマ投資型の資産運用サービス「FOLIO」を提供するFOLIOは1月18日、LINE、米国のゴールドマン・サックス、電通ベンチャーズ、三井物産、SMBCベンチャーキャピタル、DCM Ventures、Draper Nexus Venturesを引受先とした第三者割当増資を実施した。調達金額は70億円。これにより、創業から約2年のFOLIOの累計調達金額は91億円となった。
でも、今回のニュースは資金調達だけではない。FOLIOはコミュニケーションアプリ「LINE」との業務提携も併せて発表しており、2018年下半期をめどにLINEアプリ上から直接FOLIOの資産運用サービスが利用できるようになる予定だという。
FOLIO代表取締役の甲斐真一郎氏はTechCrunch Japanの取材に対し、サービスの共同開発はこれから進めていくところだとした上で、「チャットをUIとした場合、ユーザー体験が金融取引とは親和性が良くないと考えている。イメージとしては、LINEのなかに独立した機能としてFOLIOが組み込まれるカタチを想像している」と話す。
ユーザーは普段利用するLINEから簡単に資産運用サービスを利用できるようになるだけでなく、特に若年層のユーザーにとっては資産運用を始める良いきっかけとなりそうだ(証券免許を持つのはFOLIOなので、同社を通した口座開設は必要)。
今回のプレスリリースの中でもう1つ注目の点がある。FOLIOは今回調達した資金をもとに「機械学習・分散型台帳技術などの先端技術研究機関を創設」するとしているのだ。これについて甲斐氏はこう話す。
「FOLIOには個人でトークンを発行した経験をもつ社員もいるなど、ブロックチェーン分野は社員の関心が高い領域でもある。個別株のやり取りをP2Pでできないかなど、これから模索をしている段階だが、金融と親和性が高い分野でもあるので先鞭をつけたいと思っている」(甲斐氏)
また、これまでほとんどPR・広告活動を行ってこなかったFOLIOだが、今後はテレビCMなどのマス広告を含めた大規模な広告活動を開始するそうだ。
今回の資金調達と業務提携について、LINE代表取締役社長の出澤剛氏は「FOLIOの、テーマに投資するというこれまでにない新たな投資スタイルや洗練されたUIは、投資をより身近で手軽にするものであり、投資経験者はもちろんのこと、投資に興味があっても手を出せていない投資初心者や投資から離れてしまっている方などが投資を始めるきっかけになります。また、オンライン証券は、LINEのスマートポータル戦略においても今後重要な役割を果たすものになる」とコメントしている。
FOLIOはTechCrunch Tokyo 2016のスタートアップバトルで優勝を争い、翌年にも登壇して事業の進捗を語ってくれた。今回のシリーズAでは70億円という大型調達を実施した同社だが、はたしてFOLIOはコミュニケーションアプリのLINEと融合してどんな未来を見せてくれるのだろうか。