歯列矯正のスマイルダイレクトクラブがNasdaq上場

SmileDirectClub(スマイルダイレクトクラブ)は米国時間9月12日に上場し、公開企業として初取引が行われた。歯列矯正のこの会社はNasdaqでティッカーシンボル「SDC」で取引されている。

記事執筆時点で、すでに株価は11%下落し20.36ドルとなっている

SmileDirectClubはこのIPOで、売出価格を1株あたり23ドルとして13億ドルを調達し、時価総額100億ドルほどになることを見込んでいた。同社はもともと株価を19〜22ドルで設定する意向だった。

「我々は、12、24、36カ月後、そしてそれ以降と長期的株主価値に照準を当てている」とSmileDirectClubのCFOであるKyle Wailes(カイル・ワイレス)氏はTechCrunchへの文書で述べた。「今日のIPOでプロダクトのイノベーション、プロセス、国際的な成長、カスタマーエクスペリエンスに再投資できる。我々は今まさにスタートしようとしているところで、我々の使命や5500人超のチームメンバー、顧客、そして株主に対するコミットメントはかつてなく強いものになっている」。

SmileDirectClubはIPOで調達した資金を海外展開と新たなデンタルプロダクトの開発に使う計画だ。同社は全国歯科協会が懸念を示している最中の8月に上場書類を提出した。

これに先立ち、SmileDirectClubは昨年10月の3億8000万ドルもの資金調達でバリュエーションは32億ドルに達していた。Clayton、Dubilier & Riceの投資家がこのラウンドをリードし、Kleiner PerkinsとSpark Capitalも参加した。この資金調達は、インビザライン(矯正用マウスピース)メーカーのAlign Technologyが2016年に投資した4670万ドル、そして2017年にSmileDirectClubの株式の19%を取得するのに投資した1280万ドルを超えるものとなった。

2018年のSmileDirectClubの売上高は4億3220万ドルで、これは前年の1億4700万ドルから大幅に増えた。

SmileDirectClubは目立たない歯列矯正マウスピースを顧客に届け、歯科専門医(歯科矯正医または普通の歯科医)に患者の様子をリモートでモニターする仕組みをとっている。マウスピースは、患者が自宅で型を取ってSmileDirectClubに送るか、同社のSmileShopsで直接スキャンしてもらうかして製造されたのちに発送される。

SmileDirectClubは、4〜14カ月かかる他の歯列矯正治療に比べ、同社の手法の費用は60%安いとしている。費用は1895ドルで治療の平均期間は6カ月だ。

しかし、米国歯科矯正医協会のメンバーは、直接の診察とレントゲンをスキップするSmileDirectClubのやり方は違法で医学的なリスクを伴うため、SmileDirectClubは法に反していると主張し、意見が対立している。同協会はまた、歯科治療について定める法規やルールに反しているとして、SmileDirectClubに対し36州で苦情を申し立てた。苦情は歯科業務を監督する当局と各州の司法長官に提出された。

SmileDirectClubはこの件について、S-1書類の中で考えられるリスク要因としてはっきりと触れている。以下、主な当該部分だ。

多くの歯科医、歯科矯正医が歯列矯正マウスピースはごく一部の患者のみに適していると考えている。全国、そして州の歯科医協会は遠隔歯科医療プラットフォーム使用を控えるよう呼びかける文書を出した。我々の歯列矯正マウスピースを使ったリモート治療を社会が今後も受け入れるかどうかは、部分的には歯科医・歯科矯正医と協会の推薦、そして効果や安全性、使いやすさ、信頼性、美意識、競合プロダクトと比べた価格といった他の要因に寄るところがある。

さらに、各州で事業を展開する我々の能力は部分的に特定の州のリモートヘルスケア治療や、歯科治療に関する州ごとの規則に左右され、州ごとの規則は政治や当局、その他の要因で変わりうる。州当局が、我々の医師との契約関係が法や規則に反していると判断するリスクもある。2つの州の歯科医事当局は新たなルールを設けたり、我々が現在とっている事業形態を制限する趣旨で既存ルールを解釈したりしている。

加えて、S-1で記されているように、全国歯科協会はこのほど米国食品医薬品局に、SmileDirectClubのマウスピース製造は「処方だけ」という条件に反しているとの陳述書を提出した。これまでにSmileDirectClubに影響を及ぼすような規則や法律は出てきていないが、同社の基幹ビジネスに大きな影響を及ぼすようなことが起こるのはあり得る。

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(翻訳:Mizoguchi)

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TechCrunch Japan

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