オープンソースのライセンス管理ツールのFOSSAが9億2000万円を調達

多くの企業内の開発者がオープンソースを利用するようになっていることに伴い、企業がライセンス要件を遵守することの重要性が増している。セキュリティを保護するためにオープンソースのコードをアップデートする必要もある。こうした課題を解決するのがFOSSAだ。米国時間9月16日、同社はシリーズAで850万ドル(約9億2000万円)を調達したと発表した。

このラウンドはBain Capital Venturesが主導し、Costanoa VenturesとNorwest Venture Partnersが支援した。FOSSAによると、これまでの調達額の合計は1100万ドル(約11億9000万円)となった。

FOSSAの創業者でCEOのKevin Wang(ケビン・ワン)氏は、同社はここ1年半、企業が規約を守って安全にオープンソースの利用を拡大できるようにするツールの構築に集中してきたという。オープンソースの利用の増加は、開発者にとっても規模の大きい企業にとっても全般によいことだと同氏は語る。オープンソースのコミュニティで生まれている革新を利用できる一方で、企業はコンプライアンスを確実にしなくてはならない。

ワン氏は「企業はオープンソースの活用をまさに始めたばかりで、我々はそこを支援する。企業がオープンソースを大規模に利用するにあたり、その利用を管理するプラットフォームを提供する」と説明する。これには3つの要素がある。1つ目は、社内で使われているオープンソースや他社のすべてのコードの追跡。2つ目は、ライセンスとセキュリティポリシーの遵守。そして3つ目は、レポート機能だ。「我々は、オープンソースを大規模に利用することから発生する大量のレポート作成とコンプライアンス業務を自動化する」(ワン氏)。

FOSSAが企業相手に力を入れ始めたのは比較的最近だ。もともとは2017年に、開発者が自分のプログラム中で個人利用しているオープンソースを管理するツールとしてスタートした。ワン氏は、規模の大きい企業でも同じような機能が役に立つというところに大きなチャンスを見いだした。企業は、無数に使われているオープンソースのライセンスを正しく使うためのツールを求めていた。

ワン氏は「企業内でのさまざまな使われ方や本当に複雑でミッションクリティカルなコードベースを、全体にわたって大規模に管理できるツールがないことに気づいた」と語る。しかも、ツールがすでにあるとしても、十分に活用されていないか全体をカバーできていなかったという。

FOSSAは2017年にシードラウンドで220万ドル(約2億4000万円)を調達したと発表し、それ以降、従業員数は10人から40人へと成長した。今回の資金調達で会社は急速に成長し、従業員数はさらに増えるだろう。ワン氏によると、同社の収益と顧客数は前年比で3倍になったという。今回の資金で製品と市場を拡大し、成長を加速させるとみられる。

画像:scyther5 / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

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TechCrunch Japan

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