世界最大のVCセコイア・キャピタル創業者のドン・バレンタイン氏が86歳で死去

Sequoia Capital(セコイア・キャピタル)の創業者、Don Valentine(ドン・バレンタイン)氏が米国カリフォルニア州ウッドサイドの自宅で亡くなった。死因は老衰で、87歳だった。

同社は自社サイトにバレンタイン氏に向けた追悼文を掲載し、「シリコンバレーを築いた時代を代表するリーダーの一人」と称賛した。

ニューヨーク生まれの同氏は、フォーダム大学で化学を専攻した後、南カリフォルニアのRaytheon(レイセオン)に入社、その後同州北のベイエリアに移動し、Fairchild Semiconductor(フェアチャイルドセミコンダクター)で働きながら、仕事で出会ったテクノロジー企業にわずかな自己資金を投資するようになった。Sequoia Capitalの記載によると、バレンタイン氏はその後、設立されたばかりの投資信託会社であるCapital Groupの目に止まり、1974年には300万ドル(約3億2600万円)のベンチャーファンドの責任者に抜擢された。その資金の投資先には、Atari(アタリ)とApple(アップル)もいた。のちに同氏は、同社を率いてCisco Systems(シスコ・システムズ)をはじめとする数々の大成功企業へ投資した。

バレンタイン氏は引退年齢よりずっと早くDoug Leone(ダグ・レオーネ)氏およびMichael Moritz(マイケル・モリッツ)氏に経営を引き渡すまでSequoiaを率いてきた。その後も10年間パートナーミーティングに参加し続けた。他のパートナーたちは、同氏がアドバイスと指針を与え続けたことを喜んでいた。必ずしも同意したわけではなかったが。

2017年、会社の継続性とスムーズな移行を確実にするために、パートナーのRoelof Botha(ロエロフ・ボサ)氏は、同社の全世界運用責任者他ったレオーネのもとで米国の責任者となった。ほかの上級幹部には、Sequia Capital Chinaの創業者でマネージングパートナーのNeil Shen(ニール・シェン)氏や、2012年に健康上の理由で退任したが積極的に社内で活動を続けているモリッツ氏がいる。

米国時間10月25日の午後レオーネ氏がバレンタイン氏の逝去について声明を発表した。「残念ながら、2019年10月25日にドン・バレンタインが死去したことをお伝えしなければならない。ドンの人生はシリコンバレーの歴史に深く刻まれている。彼はSequoiaを形作り、一緒に仕事をする幸運に恵まれた我々やSequoiaに投資した数多くの慈善団体ばかりでなく、20世紀後半で最も影響を与えたテクノロジー企業の創業者やリーダーたちに多くの痕跡を残した。ドンの妻、Rachel(レイチェル)とその家族、ならびに彼のパイオニア精神と忘れられない印象に触発されたすべての人たちに哀悼の意を表します」

バレンタイン氏がSequoiaという名前を選んだのは、「アメリカスギ(Redwood)の中で最も背の高い種類の長寿と力強さを示す」ためだったと同社の追悼文に書かれていた。パートナーらも「自分の名前を社名に冠することを避けた謙虚さ」を評した。

Sequoiaによると、バレンタイン氏の遺族には妻および3人の子供、7人の孫がいる。

同氏は、去る2013年のTechCrunch Disruptイベントに参加した。彼はこれもベンチャー業界のパイオニアであるKleiner Perkins Caufield & Byers(クライナー・パーキンス・コーフィールド・アンド・バイヤーズ)の共同創業者であるTom Perkins(トム・パーキンス)氏とともに登壇した。パーキンス氏は2016年6月に84歳で亡くなった。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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