機械学習ベースの金融コンプライアンスソフトウェアを開発するスタートアップのTookiTakiは(トゥキタキ)11月24日、シリーズA追加ラウンドでの1170万ドル(約13億円)の調達を発表した。Viola FintechとSIG Asia Investmentがリードし、野村ホールディングスのほか、既存株主からIlluminate Financial、Jungle Ventures、SEEDs Capitalも参加した。シリーズA合計(最初のシリーズAは3月に発表)調達額は1920万ドル(約21億円)になった。
同社は調達した資金で、マネーロンダリング防止(AML)および照合ソフトウェアを改善するほか、米国、シンガポール、インドのオフィスでスタッフを増員する。
記者発表で、Viola FintechのジェネラルパートナーであるTomer Michaeli(トマー・ミカエリ)氏は次のように述べた。「当社のAMLセクターでの20年にわたる経験から、Tookitakiのアプローチが非常にユニークであることがわかった。 レガシーAMLシステム上にオーバーレイを作るという実用的な方法は、金融機関にとって検出の精度を高め、運用コストを大幅に削減するのに役立つ。また、規制当局に対応した『ガラス張りの』ソリューションは、現代のAMLソリューション市場における革新的なアプローチと課題に対する深い理解を示している」。
TookiTakiは2012年に、CEOのAbhishek Chatterjee(アビシェク・チャタジー)氏とCOOのJeeta Bandopadhyay(ジータ・バンドパジェイ)氏が共同で創業した。TechCrunchが2015年にシードラウンドについて報じた時点では、同社はマーケターにアナリティクスを提供する会社だった。だが2016年後半に、コンプライアンス分野の予測分析機械学習プラットフォームに注力すると決めた。「ホリゾンタル(業種・領域横断的)なプラットフォームよりもバーティカルな(業種・領域を絞った)AIのビジネスチャンスが大きいことに気付いた」と創業者らはTechCrunchにメールで答えた。
チャタジー氏は2008年の金融危機の際、JP Morgan(JPモルガン)のアソシエイトとして、米国の規制当局と一緒に銀行商品が当時の新規制に準拠しているかチェックした。同氏が思ったのは、AMLソリューションがコンプライアンスプログラムの有効性を低下させているだけではなく、デジタルバンキングとオンライン処理の進歩に追いついていないということだった。TookiTakiの創設者らによると、レガシーAMLソフトウェアの検出率は低く、高度なマネーロンダリングを見逃していた。
TookiTakiは取引監視における検出漏れを50%削減すると主張し、削減率はデロイトのお墨付きも得ているという。同社のソフトウェアは説明可能な機械学習モデルを使う。調査に必要な詳細情報を提供しながらも、人間のコンプライアンススタッフが容易に理解できるよう意思決定の過程を分解する。またTookiTakiのプロダクトは、分散コンピューティングフレームワークを使用することでコストを最小限に抑えることができるため、クラウド・オンプレミスどちらでも展開できる。
同社のソフトウェアには2つの主要モジュールがある。異なるシステムを横断して疑わしい取引を探すモジュールと、リスクの高い個人や企業の顧客をスクリーニングするモジュールだ。その他、新しいマネーロンダリングパターンに合わせて絶えず更新され、アラートを低、中、高リスクに分割する機械学習アルゴリズムや、企業による調査の優先順位決定を支援する機能もある。
画像クレジット:Janet Kimber / Getty Images
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(翻訳:Mizoguchi)