私自身はアフィリエイトを否定するものでは決してない。
むしろSEOを勉強する過程において、アフィリエイトを学ぶことから得られる実践的な知見は大きい。
だからむしろ推奨したいと考えているのである。
SEOだけでは、そこからコンバージョンに至る大部分の過程を学ぶことができない。ところが、アフィリエイトをやることで自分でなんらビジネスを所有していなくても、コンバージョンに至るかなりの過程を実践で学べる。だから、アフィリエイトそのものを推奨したいのだ。
さて、今回の話は、私がアフィリエイトを嫌っているのではなく、
何故世間の人々の多くがアフィリエイトを嫌ってしまうのか?
ということを論じているというわけであるので、誤解のないようあらかじめ申し上げておきたい。
さて、アフィリエイトにはこのような大きなメリットがある。
- 広告主
コンバージョンが発生して初めて費用を支払うことができるため、広告の費用対効果が明確である。 - アフィリエイター
自分で在庫負担などの金銭的な負担なしで、様々な商品やサービスを売って(紹介して)利益を得られる。
さて、少々話は外れるのだが、近江商人の話をしてみたい。
商才に優れていたと言われる近江(滋賀県)出身の商売人は近江商人と呼ばれた。
成功した近江商人はがめつく商売をすることを嫌い、真っ正直に商売をすることで消費者から信頼を得て成功したと言われている。
近江商人は様々な商売哲学を残したが、その中で最も有名な哲学を体現した言葉が
である。
・売り手
・買い手
・商売に関わる社会の人々
が全て満足する商売が良い商売であるというのである。
私もこの考え方に賛成である。
これを正しいビジネスのありかたと私は定義している。
アフィリエイトは広告主・アフィリエイター共にリスクの少ないビジネス、販促手法である。
アフィリエイトはWinWinのビジネスモデルであると言われるゆえんだ。
しかし、広告主・アフィリエイターともに売り手側である。
買い手、およびそれに関わる社会の人々にとってもよいのか?
と考えてみるとどうだろう?
まず買い手にとってのメリットとは何か?
消費者自身が気がついていなかった商品やサービスに対する発見を与えることである。
知らないモノを知ったことによって購入の選択肢が増えた。
あるいは、あるモノを買うつもりだったのだが、それとは別のモノの長所を知ったことでよりよい選択をすることができた。
といった場合だ。
商品を提供する売り手自身が気がついていない、消費者視点からみたメリットの紹介。
様々なメーカーを横断した比較といった切り口。
これらはアフィリエイターなればこそできる切り口と言えるだろう。
価格.comなども広告収入で成り立っているわけで、アフィリエイトとも言える。この種のアフィリエイトビジネスは消費者の利益の著しい向上につながっている。
最後にそれに関わる社会の人々についてどう影響があるか?
様々な影響があるが、サーバー業者といった産業の売上が増えたりするといった周辺産業への波及効果があるであろう。
さて、こう書くとアフィリエイトには何も批判される理由はないように見える。
しかし、実際のところアフィリエイトのメリットの本質は、
売り手とアフィリエイターがWinWinであることである。
そこに消費者やその他の人々に対する利益という観点が考慮されていないことが多いのだ。
一言で言うと売る側の都合だけしか考えられず、結果として誰かに害をなすということである。
その結果こういうことがおきる。
アフィリエイトで何かの比較サイトを作る場合を考えてみよう。
商品A、B、Cがあったとして、実際はAが最も価格が安く品質も良かったとする。
その次に良いのがBで、Cは値段も高く品質も悪いとする。
ところが、商品Aにはアフィリエイト広告がなく、Bには広告があるものの広告単価が低い、Cは広告単価が高いとする。
こんな場合、多くのアフィリエイターはCを最も高い評価を与え、Bは相対的に低く評価し、Aは紹介しない。
本来は消費者に対してはAを紹介するべきなのだが、アフィリエイトというビジネスの構造上そういうことにはなりにくい。
消費者の判断を歪める原因になりやすいのである。
アフィリエイターの目的は自分が広告するものを買ってもらうことである。
なるべく不利な情報は書きたくない。
まあ、それだけならいい。
嘘八百が並ぶことが多い。
そもそも、ほとんどのアフィリエイターは商品についての知識など一切持ち合わせずに適当に書いている。
数万円もするようなものをいちいち買って評価するなんてことは普通はやれない。
数万円どころの話ではなく、数百円のものだって買うことは稀だろう。
知識を持たずに、売りたいがためにデタラメ、嘘八百の誇大広告を書いた記事は有害以外の何ものでもない。
この手の記事が増えると、逆に売り手にとっても悪い影響が出る時がある。
あまりにもあからさまなステルスマーケティングの記事が増えると、企業姿勢を疑われる可能性が出てくる。
一般消費者はアフィリエイトというビジネスモデルを知らない。
企業が組織ぐるみでステルスマーケティングをやっているって思われたりもする。
だからブランドイメージを大切にする企業はアフィリエイト広告という販促手法を取らないことが多い。
売り手にとっても、買い手にとってもこの種のステルスマーケティングは嫌われるのだ。
前述のとおり、多くのアフィリエイターは自分でその商品なりサービスなりを実際に使ってみることなく、誰かが書いた情報を元にリライトしたり甚だしきはそのまま丸写ししてコンテンツを作る。
これは何ら新たな価値をネットの中にもたらしていない。
それのみならず膨大な二次情報を生み出すことで、本来必要な一次情報を埋もれさせてしまう。
何かについて調べた時に、アフィリエイトサイトばかりが検索結果に表示された場合のガッカリ感はかなりなものである。
何故そんなにがっかりするのか?
それは、
「そこに自分が欲しいナマの情報があると思えない」
「どうせ似たようなことしか書いていない」
と思えるからである。
特に情報商材である。
情報商材のアフィリエイトは単価が高いため、かなりメジャーなアフィリエイトの分野の一つであるが、インチキな情報が氾濫している。
このインチキな情報をまき散らしているのがアフィリエイトだ。
アフィリエイトがもし存在しなければ、大多数の人はその種の詐欺的な情報商材を目にすることはないだろう。
またアフィリエイト自体が情報商材のネタとして使われていて、
「何もしなくても、毎日5万円入金される驚異のアフィリエイト」
みたいないかがわしいキャッチコピーで流布している。
見るからに怪しい。この手のキャッチコピーにひっかかるまともな人はまずいない。
ギャンブルのような射幸心をあおる詐欺、それがアフィリエイトであるという図式が多くの人の頭にある。
また、この種の詐欺はアフィリエイターが被害者になる。
射幸心を煽る悪のアフィリエイターが、情報弱者のアフィリエイターをカモにするのだ。
カモにしようという気持ちが溢れまくっているので、アフィリエイトイコールいかがわしいというイメージになるのだ。
「何もしなくても、毎日5万円入金される驚異のアフィリエイト」
といったこの手のフレーズがいまだになくならないのは、それがある一定確率で信用されているからだ。
いくらこんなフレーズで引っ掛けようにも引っかかる人がいるというのは、それを信じる人がいるからである。
人は他人が羨ましい生き物だ。
毎日働いていても大して給料をもらえるわけでもない。
それ故に、働きもせずにいい暮らしができるなんてけしからん(実際は羨ましい気持ちの裏返し)!
という気持ちを持っている人がいるわけだ。
実際のところ、アフィリエイトって何もせずに稼げるわけでもないので誤解なのだが、その種の誤解を生み出す表現を日々アフィリエイターが生み出しているのでいつまでたってもなくならない。
アフィリエイターの多くは、手間をかけずに儲けたいと考えている。
また、ブランドイメージを損なうなんてことを考える必要がない。
だから、スパムに走ることが多い。
検索エンジンスパムは、検索ユーザーの利便性を損なう。
人工リンクを中心としたSEOをゴリゴリやるこで、上位に表示させようとするウェブマスターが多くなると検索エンジンは機能しなくなる。
この検索エンジンの機能不全に大きく一役かっているのがアフィリエイトだ。
上位表示させるためには手段を選ばない。
最悪ペナルティを食らっても、ドメイン移転すればいいやぁみたいな戦略は企業は取り得ない。
企業と異なりいくらでも検索結果を汚染するようなサイトを作ることができる。
またメルマガアフィリエイトみたいなものは、スパムメールの温床になる。
スパムメールはインターネットのトラフィックの多くを占めており、ネットワークの負荷の大きな原因になっている。
出会い系などはこの最たるものだ。
「女子高生と出会える」みたいなこんな半社会的な広告を作ったりするのはアフィリエイターである。
いくら出会い系サイトを運営していたとしても、業者自身はそのような広告を作ったりはできないから(本音のところは売上が取れれば万々歳)事実上アフィリエイターを黙認する。
アフィリエイトが嫌われてしまう原因を書いてきた。
私は色々書いてきたが、アフィリエイト自体が悪だと言うつもりはまったくない。
アフィリエイトというビジネスは消費者を軽視しがちになりやすい性質を持っているってことを論じてみただけである。
実際に自分が扱う商品なりサービスをきちんと研究して、分析をし独自の視点からユニークな記事を書いているアフィリエイターも多い。
それは結局のところ消費者の利益にもつながり支持を得られるし、最終的にはそれで稼いでいるアフィリエイターもいる。
消費者視点でのコンテンツを作るアフィリエイターが増えて欲しい。アフィリエイターの社会的認知は向上するだろう。
元々の売る側が気が付かなかった視点での記事を作ることは誰にとってもプラスになる、三方良しのビジネスであるはずなのだ。
さて、最後に付け加えておくと、世の中キレイ事じゃないってそんなことぐらい私だってわかっている。でも、
「キレイ事じゃないんだよ!」
って居直るってことは悪だと思われることを肯定していることに他ならないと思うのだ。
嫌われるのが嫌である、あるいは誤解であると思うならば、消費者の視点からアフィリエイトのビジネスを展開して欲しいと切に願う次第である。