欧州スタートアップが同じ収益を得るために米国ローンチに費やす費用が大幅減

かつては世界的な拡大をするためには、ヨーロッパの企業は希望する成長を成し遂げるために、米国での立ち上げに多額の資金を投じるものだった。これは通常、そのチームの大きな一部を、サンフランシスコ/ベイエリア、あるいはニューヨークに再配置することを意味していた。だが新しい調査によれば、それがもはや成り立たないことが示された。

これは米国のコストが上昇し、ヨーロッパでの機会が改善されたことが原因だ。すなわち、ヨーロッパのスタートアップが米国でのローンチに費やすチームとリソースの量ははるかに少なくなり、それでもまともな結果を得られていることを意味する。とはいえ、ヨーロッパの企業はイノベーションでは遅れをとっているので、依然として米国への進出は狙い続けている。

米国時間9月23日に発表された、Index Venturesによる新しい調査(Index Venturesサイト)によれば、ヨーロッパのハイテク企業たちは、10年前の一般的な戦略とははっきりと対照的に、米国に進出する際にエンジニアリング拠点を移転することを選択するのは5分の1以下(275社中50社)だということが示されている。Indexによれば、その代わりに、ヨーロッパのトップのスタートアップたちは、はるかに小さな「設置面積」で、米国で必要とする成長による利益を得ることに成功している。

過去10年間のヨーロッパのスタートアップ275社に対する調査(100社以上の詳細な調査を含む)結果は、米国を拠点とするエンジニアリング、技術、R&Dチームの設立があまり支持されなくなり、ヨーロッパの大幅に改善された人材と資金を活用しながら、ヨーロッパにより長く留まるようになっていることを示している。

2008年から2014年にかけては、ヨーロッパのスタートアップのほぼ3分の2(59%)が、シリーズAの資金調達ラウンドに先立って米国に拡大、または完全に移転を行っていた。それが2015年から2019年にかけては、その数は3分の1(33%)に減少した。

これは、600万人を超える開発者がヨーロッパに居住し、これに比べると米国には430万人しか居住していないことから、ヨーロッパのテックシーンが発展していると結論付けたStackOverflowの調査結果とも合致している。米国の移民ルールが厳しくなり、需要が供給を上回ったことで、米国のテック企業の給与は、サンフランシスコではロンドンより42%高くなり、ヨーロッパのスタートアップが米国に注力しようとしても、コストが高くなり、コスト効率も低くなっている。特に在宅でも同じような成長を達成できるならなおさらだ。

ヨーロッパの創業者たちもまた、これまで以上に多額の資金調達を行っている。過去4年間で総ラウンドは153億ドル(約1兆6074億円)から343億ドル(約3兆6036億円)規模に増加している。

Index VenturesのパートナーであるDanny Rimer(ダニー・ライマー)は声明の中で次のように述べている。「一部の創業者にとっては、事業があるマイルストーンに到達したら、米国での拠点を確立するのは良い決断ですが、それは徐々にコストがかかり難しいものになっています」。

しかし同時にIndexは、ヨーロッパの一般企業によるソフトウェアへの投資額が米国の企業よりも4分の3(76%)少ないことを発見した。しかも多くの場合それはイノベーションのためではなく規制変更に対応するために使われているのだ。これは、ヨーロッパのスタートアップたちが、企業のエグジットを米国に求め続ける可能性が高いことを意味する。

調査結果は、国内および国際的な成長を目指すテクノロジー創業者向けの、Index Venturesによる3冊めのハンドブック「Expanding to the US(Index Ventureサイト)」で公表されている。また同ハンドブックには、スタートアップが米国でのローンチに向けて準備を始める必要がある段階を把握するための「性格テスト」も含まれている。

また過去10年間に米国に拡大した353のVC支援スタートアップ(ヨーロッパ(275)とイスラエル(78))の分析に加えて、米国の拡大戦略とそれを行った創業者へのインタビューも含まれている。

画像クレジット: NurPhoto/Contributor / Getty Images

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(翻訳:sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

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