ファッションコーディネイトアプリのiQONを運営するVASILYが3億円の資金調達を達成

資金調達の話題が続くが、ファッションコーディネイトアプリのiQONを運営しているVASILYが3億円の資金調達を完了したと発表した。その引受先はグロービス・キャピタル・パートナーズと、以前にもVASILYに投資している2社、伊藤忠テクノロジーとGMO VenturePartnersだ。グロービス・キャピタル・パートナーズはこれが新しく立ち上げた四号ファンドからの第一弾の案件となる。

iQONはファッションのコーディネイトのイメージをユーザーが作成して共有するサービスで、もともとはウェブサイトのみでサービスされていたものをモバイルアプリで展開したところ急速にユーザーの投稿を伸ばしている。すでにウェブサイトとモバイルアプリのユーザー比率は2:98でモバイルが圧倒的に多い。アプリのDL数は20万で、実際にコーディネイトを作ったりアイテムをお気に入りに登録したりといった何らかのアクションするユーザーは1日あたり1万2000人とまずまずの数字になっている。

ほかにも数字面では、これまでに作成されたコーディネイト数は累計でおよそ30万件、毎月1万件以上のコーディネイトが登録されて、お気に入りに登録される件数も月に100万を超えている。iQONはコーディネイトに使われているファッションアイテムをその販売元サイトで購入できるようになっているが、iQON経由で購入した月間の売上金額は昨年5月と昨年12月とを比較すると12倍も伸びているのだそうだ。12月は年末商戦で確かにECサイトの売上は単月比較では高くはなるが、とはいえこのサービスがビジネス面でも数字を伸ばしてきているのがわかる。

スタート時はウェブのサービスだったiQONだが今後もスマートフォンでの開発に力を入れていきたいと彼らは考えている。モバイルでのファッションのメディア領域ではまだ大きな勝ち組はいない。そういう意味で大きな資金調達をしたiQONがどのように成長するのかは興味深い。VASILYは今回の調達以前に1億4,000万円を調達している。

アドテクノロジーのDENNOOがシードラウンドの追加資金で合計200万ドルを調達

広告配信のDENNOOについては以前に記事にしている。DENNOOが開発するのは、実際に広告枠が表示された際にインプレッションをカウントしたり、広告枠が表示されている時間に基づいて広告配信の課金をしたりする技術で、まもなくその製品が可動するという。

そのDENNOOが新たな資金調達を実施したことを発表した。今回の資金調達は117万ドルで以前に調達した83万ドルとあわせて200万ドルのシードラウンドのファイナンスが終了したのだという。出資をしたのはニッセイキャピタル、サイバーエージェント・ベンチャーズに加えて新たな個人投資家が加わり、以前のラウンドでも投資をした元ヤフーの松本真尚氏、元電通でDistant Drums代表取締役の永田大輔氏も追加で出資している。

DENNOOは現在、日本で製品の開発を行っているが、企業としては北米に登記していて北米でのビジネスも視野にいれているためドル建ての資金調達になっている。共同創業者の梅田茂利氏と長山大介氏によれば、DENNOOの広告配信技術については以前に実施した試験配信でもある一定の評価を得られたと語っている。この2月には提携によって実際の広告の配信が始まるのだというが、それがどれだけ効果の高いものになり、ビジネスとなるのかは、実際にプロダクトが可動してから評価されるものだろう。

ミクシィの経営陣が新体制に、昨年買収したkamadoの川崎裕一氏らが執行役員に就任

昨年末にミクシィがクラシファイドのLivlisやPinterestクローンのClipieを運営するkamadoを買収したときに最初に思ったのは、その狙いには人材の強化があるに違いないということだった。kamadoの代表取締役社長の川崎裕一氏は1976年生まれのいわゆる76世代で、起業前のはてな副社長に就任する以前からインターネットのビジネスに関わる若い世代の代表者のひとりとしてこの業界で活躍していたことでも知られている。2000年前後に同世代で同じような場所にいたミクシィの笠原健治氏らとは近しい存在で、そういう意味では今回のミクシィへの参加は、なんとなく元の鞘に収まった感じもある。

そしてやはりというべきか、今日、同社は川崎氏が執行役員に就任したことを発表している。今回はそれ以外に新たに2人の執行役員が就任し、経営体制を強化していることがわかる。

サービスとしてのmixiは確かにTechCrunch Japan読者のようなエッジな人間からすれば、すでに過去のものになっているかもしれない。それは僕にとってもそうで、mixiでメッセージをやりとりすることもなければ、ログインしてもタイムラインにはTwitterのような外部サービスと連携した投稿が並ぶだけで、僕のつながりのある人たちの多くはログインしていない状態となっている。

しかし、それは僕らのようなユーザーにとってみればの話で、実際には昨年9月の数字でも月間アクティブユーザーは1,402万人でそのうちスマートフォンでログインした863万人もいる。これは国内の数あるインターネットサービスの中でも極めて大きな数字である。ユーザー属性を見れば、20歳前後のユーザーが多いし、どちらかと言えば女性が多いことからも、たまたまそういうユーザーに僕らが接点がないだけで、mixiの持つサービスとしてのポテンシャルはまだまだ大きい。

とはいえ、コミュニケーションの部分についてはLINEにそのお株を奪われ、情報のシェアという部分ではFacebookはmixiを超える大きな存在となっているし、Twitterも健在だ。これ以外にも機能やコミュニティ別に細分化されたソーシャルメディアはたくさん登場してきていて、mixiが安泰でないことは誰の目にも明らかだ。

だから、経営チームを刷新して強化していくことはミクシィにとって急務なことなのだろう。すでにユーザーファーストを掲げ、サービスを改善してユーザーの満足度をあげようとしていることは昨年から実施されていたが、新たな執行役の体制でその責任を明確化しようとしている。

新任の執行役員となった廣木大地氏は2008年に新卒で入社して開発エンジニアとしてmixiを支えてきたが、今回新たにmixi全体のサービスを統轄するユーザーサービス本部長に就任している。また、同じく執行役員に就任した森田仁基氏はゲーム事業部長を務めている。最近ではmixiの稼ぎ頭は広告からゲームによる課金ビジネスへとシフトしていて、昨年にはDeNAとのゲーム事業による事業提携も結んでいて、ゲームそのものはmixiにとって大きな意味を持つ。これに広告部門が加わって、mixi自体の事業を支えるわけだが、これら3つの機能を連携させながら新たなビジネスを生み出すのが川崎氏の役割だ。

だが、mixiを再度、誰にとっても有用なサービスに変えていくのは簡単な仕事ではないだろう。状況は楽観的とは思えないが、川崎氏は今回のミクシィへの参加や執行役員への就任について「テンションがあがっている」のだという。というのも、LIvlisの立ち上げ時のヒントはmixiのコミュニティー内での売ります・あげますのようなユーザー間の物品のやり取りにあったからだ。mixiではユーザー間のモノのやり取りや金銭のやり取りは禁止されているが、そういうニーズをオフィシャルに汲み取ったがのLivlisだったわけで、そういうポテンシャルはまだmixi内には残っている。サービスとしてやりきれていないことをmixiで実際に実現するのは川崎氏にとっては願ったりかなったりと考えているようだ。

LivlisやClipieについても今後も継続してサービスは続けていくということで、単体以上の付加価値を提供するためにmixiとの連携もこの先にあるかもしれないということだった。

ただ、これだけではmixiの将来を見通せない。では、mixiの今後の姿はどういうものになるなのだろうか。サービスを統轄する廣木氏が語るには、人だけでないモノも含めたつながりで、それがアプデートされ続けるものに取り組んでいくという。それがどんな仕組みでどんなものになるのかは明解にはわからなかったが彼らにはある種の使命感のようなものはあるようだ。

「人間関係を取り扱っている企業として、それを実現できていることに対して僕らは誇りをもっています。これはなくなってはいけないサステナブルな仕組みでないと、社会的な責任を果たせないと考えています。そういう意味で10年たっても20年たっても100年たっても使われていくものでなければならないという思いがあります」(廣木氏)

ミクシィは昨年9月スタートさせたサブスクリプションコマースのPetite jeteやコナミとの共同事業のmixiパークを今年に入って終了させたり、コニットやネイキッドテクノロジーなどの買収した企業をサイブリッジに売却するなど、チャレンジとその終了を繰り返していて、内部的にももがいているように見えるが、今回の新体制によって廣木氏が言うサステナブルな事業モデルを作れるか、期待をしながら注視していきたい。

Wishscope×カラオケの鉄人が始めるカラオケ好きのソーシャルネットワークohacoが事前登録を開始

2011年のTechCrunch TokyoのファイナリストだったクラシファイドのWishscopeは現在も成長中で登録会員数が4万人程度まで来ている。会員数としては少ないかもしれないが、その月間のアクティブ率は6割程度とまずまずの数字となっている。そのWishscopeを開発するザワットがカラオケルームを運営する鉄人化計画と組んで新たにカラオケのソーシャル化事業に参入する。

彼らが鉄人化計画と共同でリリースする予定のohaco(オハコ)はカラオケに特化したソーシャルネットワークだ。今日からその事前登録の募集が開始される。ところで、なぜカラオケのソーシャルネットワークなのかのか。その背景について、ザワットの代表取締役CEOの原田大作氏が教えてくれた。

最近は音楽の多様化によってカラオケを歌いにいったとしても歌いたい歌が人々によって異なってきていのだそうだ。それは、共通で楽しめるヒット曲みたいなものがなくなっているからだという。ただ、カラオケ好きというの一定層いて、どうしても自分の歌いたい歌がある場合は、ひとりでカラオケに行くのだそうだ。そういった自分が歌いたい歌の共通の趣味を持つ人たちをマッチングさせようというのがohacoの狙いだそうだ。

アニメソングだけを歌いまくりたいだとか、特定のビジュアル系バンドの曲だけを歌いたいだとか、仕事や学校の友達同士ではなくて、共通の音楽趣味を持つ人同士でのカラオケはこれまでの掲示板などで成立していたが、それを加速させようというわけだ。カラオケは確かに15年前のピークに比べて市場規模は半減しているが、そのニーズがなくなったわけではない。実際、Twitterで「カラオケ行きたい」と検索するだけでも驚くほどの結果が返ってくる。そういったニーズをマッチングさせるだけでもチャンスは大きい。

興味深いのは鉄人化計画が運営するカラオケルームのカラオケの鉄人のほうかもしれない。彼らはドワンゴと提携してボーカロイド系の楽曲をカラオケルームで配信するなど、ほかの大手カラオケルームとは違ってたくさんの楽曲を揃えている。このため、ニッチなファン層を満足させるだけの設備を提供できるわけだ。鉄人会計画の有料の会員制のモバイルサイトも順調に成長していて、ohacoはこのサイトと連携を図っていく。なお、ohacoは当初はiPhoneアプリでの提供になるとのことだった。

ザワットではWishscopeだけでなく、こういったニッチなソーシャルメディアを立ち上げることでWishscopeとの連携を図って相乗効果を高めていこうとしているのだそうだ。実際、ohacoに投稿された「〇〇の歌を一緒に歌ってくれる人募集」といった内容のものをWishscope側にも掲載していくという。今後はカラオケだけではない分野にも参入したいとのことだった。

ザワットはこれまで5,500万円の資金調達をしている。主な投資家はサイバーエージェントベンチャーズ、Net Capital Partners、松山太河氏(個人)、みずほキャピタル、SMBCキャピタルなど。