SEM-LABOの阿部圭司氏の講演Webマーケティング・リレーセミナー #10 『Sexyなリスティング広告プレイヤーになるために…』 を一番前列の真ん中近くに座って拝聴した。
一言で感想を述べてみるならば、
「感動した」
のである。
と思った。
講演では具体的なノウハウ論ではなく、リスティングの本質的な考え方について述べていた。
巧みなプレゼンであったが、単に巧みなだけでなく経験に裏付けされた自信と深淵とも言える深みを感じさせられた。
私は、SEOを日々考えて生きているのだが、リスティングというまったく次元の異なる思考方法に触れて、めまいがするほどしびれたのである。
そんなわけで、私はリスティングは不得手であるのだがSEOの違いについて述べてみたく、あえて記事にしてみることにしたのである。
今回のセミナーでは海外SEO情報ブログの鈴木謙一氏が座談会の相手として登壇していた。
SEOとリスティングの違いについて、
- リスティング:成果が出るのが早いが、継続的に費用が発生する
- SEO:成果が出るのが遅いが、継続に費用はかからない
と対談の中で話されていた。
これは一般的に語られていることであるのだが、非常に大きな違いだ。
両者は運用する担当者に真逆の志向性を要求することに気が付いたのである。
リスティングは科学的、統計的思考が必須だ。SEOは科学である一面もあるのだが、
- 定量的に効果を予測することが非常に困難
- 実施手法の多くが科学的な思考と異なる
といった特徴がある。
SEOにおいて最も重要なものは根性と知恵だ。
科学的な思考は必要ではあるものの、重要性が高いものではない。
施策の結果が改善につながったかどうかは、結局わからないことが多い。
しかし、情熱を傾けていればいずれは成果が表れる。
これに比較して、リスティングは冷徹に数字を見て日々改善をはかっていくことが可能であり、そうしなければならない。
阿部氏はPDCAサイクルの話をしていた中で、Pを特に念入りに行い、DCAは超高速で回していかなくてはならないと述べていた。
SEOにおいては、リスティングよりPをとりわけ念入りに行う必要があるが、その後は結果が出るまでひたすらDをやるといったプロセスになる。
決めたことをひたすら愚直にやっていくのがSEOだ。
SEOとリスティングを両方とも高いレベルで運用できるプレーヤーはほとんどいないのは、このような性質の違いのためだと私は思っている。
リスティングは即応的思考、SEOは持久的思考が必要で、正反対の志向性が要求される。
では二者間に共通することはあるのだろうか?
大いにあると思う。
阿部氏はリスティングはWebの集客の中において、わずかな領域を占めているに過ぎず、限界があると述べていた。
リスティングを担当していると、常にリスティングで集客することだけを考えてしまいがちだが、できないことを知っておくことは重要であると強調していた。
SEOにも限界があり決して万能ではない。
SEO人は何でもSEOの問題として考えがちであるが、SEOで解決できない問題があることを念頭に置いておいたほうがよいことも確かである。
キャンペーンなどで、集客に緊急性が求められるようなケースではSEOが役に立たないことは言うまでもない。
それだけではなく集客に役立つキーワードが非常に少なく、かつ上位表示されている競合サイトが非常に強い場合などもSEOでの集客はあまり期待できない。
参考:超高難易度キーワードでSEO対策する際の考え方 エムスリー研究第2弾医療系求人業界SEO対策研究
限界を知って、ある程度のところで見切りをつけることは重要だ。
リスティングで費用が高すぎるキーワードは、SEOにおいては上位表示させるための労力が大きすぎたり、苦労しても上位表示する可能性が低い。 このようなキーワードに深入りすることを避け、勝ち目のあるキーワードで勝負したほうがよい。
コンバージョンするキーワード、あるいはPV数の多いキーワードが重要であることはまったく共通である。
キャッチコピーからどのように訴求するか? 方法は様々であるが、どのようなユーザーがどのように感じるか? を考えなければ集客効果が上がらない。
まとめてみると、リスティングも、SEOも集客の手法であるため共通してマーケティングの発想が必要であるが、違う手法であるため異なったノウハウや思考方法が必要であるということである。