社内の信頼がインハウスSEOの成否のカギを握る


最近のトレンドはインハウスSEO(外部業者に頼まず自社でSEOを行うこと)だ。

アフィリエイトサイトの場合は全く無から始まるので被リンクはゼロなのだが、企業サイトの場合は企業活動に伴い必ず何らかの被リンクが付く。
私は被リンクがゼロであることと、少数でもちゃんとしたリンクがあるのは天と地ほども違うと私は思っている。

何かサイトができました。

ということをGoogleが検出した時に、そのサイトの正当性みたいなものを把握しようとする。
その際に全く外部からのリンクがなければ、評価の下しようがない。
リンクがなければ評価が著しく低いままに放置される可能性がある。

ところが企業サイトであれば企業活動が存在する。
人材募集をすれば求人サイトやハローワークといったオーソリティの高いサイトからのリンクが付く。
業界団体といったページもオーソリティが高いだろう。
電話帳に掲載すれば電話帳データベース系のサイトからリンクが付く。

これらのリンクはいわば企業の実在証明みたいなもので、サイトに存在意義があることをGoogleに対して証明するものだ。
ということで無理やり人工リンクをつけなくても、原則的には内部だけで勝負になる。

コンテンツの充実やといった内部の施策だけで検索結果への露出を高めることができる。
今までと原則論としては変わってはいないものの、よりその傾向は強まっている。

この原則に従うならば被リンク業者の出番はないのだ。

では誰でもインハウスSEOはできるのか?
なのだが、

「YesでもありNoでもある」

といったもったいぶった答えになるように思える。
確かに誰にでもSEOはできることは間違いない。

数百ページまでといった小規模なサイトであれば、コツコツコンテンツを作っていけばいいのだし、比較的大規模なサイトであってもやるべきことは大体決まっている。
前までは少なかったが、現在はユーザ参加型の大規模サイトについてのSEOの情報も比較的手に入るようになった。

SEOはこれをやれば順位やファインダビリティが確実に上がる正解はないのだが、

「これはやるべき。やって損はない。」

といった正解は数多くある。
自社サイトの中にある確実な不正解をつぶしていけば、検索結果経由での集客力を確実に高めることは可能だ。
なので、確実にやりさえすればSEOはできる。

しかし、インハウスのSEOにはインハウスならではの難しさがある。

SEO担当者に力が必要なのだ。

外部のコンサルタントなどと異なり、担当者には担当者としての権限と権威しかない。

SEO担当者はWebの制作部門であったり、広報であったり、あるいはシステム部門の所属であったりとか何らかの部門に属している。
そして、たいていはその部門の長ではなく、一担当者に過ぎないことが多い。

インハウスSEOというものは部門横断的な取り組みが必要である。
システム部門や広報、営業部門といった様々な部門の協力がなければ成功はおぼつかない。

しかも、それを行うことによる成果について定量的な説明ができない。
これをやったからどれだけの成果が得られるか説明することは不可能だ。
やらないよりもやったほうがいいということを積み重ねて、そのどれかあるいはいくつか、あるいは全部が成果を生み出す。

これはシステム部門からすれば、

「それやるのに工数は大体10人日かかります。それに対しての効果はどれだけ見込めるんですか?わからない?わからないなんて言わないで下さいよ。そんなコスト感覚のない発言は無責任ですよね。」

営業部門からすれば、

「Webサイトからの引き合いを取ることには大賛成ですよ。でも、コンテンツを作っていつ成果が出るか?わからない?わからないってそんなものに協力はできませんね。こっちはあなたと違って目の前にお客さんがいるんですよ。」

といったように反対されるのが普通である。
これらの反対を押し切ることが出来なければインハウスSEOは絶対に失敗する。
障害は競合サイトではなく社内にあるのだ。

そしてこれらの反対発言には根拠があり合理性がある。
それに対してSEO担当者の意見には合理性がないことが多くSEO担当者に分が悪い。
SEO担当者に社長の後ろ盾といった政治力があればいいのだが、普通はそんなものはない。

社内の反対を押し切る力とは何か?

それは「信念」だ

もし成果が出るという信念が持てなければ、打ち負かされるしかない。
信念を持つためにはどうするか?

インハウスSEOに必要なものは成功体験だ。
こうすればうまくいったという過去の事例が、自信をもたらし、言葉に説得力を与え、人を動かす。

サイト内の小さな改善による成功事例がよいが、実験サイトでもよいだろう。
成功するかしないか自信がないということは、自分自身すら説得することができないということだ。
自分自信すら説得できなくて、どうして他人を説得することができようか?

自分自身のやったことが成果を生み出したことを実感できれば人を動かせる。

そして、最初はちょっとした成功でもよいので、成果を出すことで社内に少しずつSEOは役に立つといった評価を植え付ける。
これによって社内における力、信頼を得てSEOを円滑に進めることができるようになる。

これがインハウスSEOの力の源泉で、皆に信頼されることが成し遂げるために必須なのだ。