今回は、経営者層及びホームページの管理者、あるいは個人商店で自分でホームページを運用している方に向けて書いた記事である。なので極力専門用語を使わずに平易に書くつもりである。
さて、今回私が言いたいのは、
なのである。そのそもそも論に立ち返って、何のためにホームページを作ったのか?を再度確認し、やるべきことを明確にすることをお勧めしたいのだ。
経営者層や商店主などには是非読んでもらいたい記事である。
また、ホームページの運営担当者が読んでも気づきがあるかもしれない。
システム開発の話になるが、迷走するプロジェクトには共通して大きな問題があることが多かった。
目的を明確にしていないということである。
プロジェクトが始まる時に、このプロジェクトの目的は何かを簡潔に表現したスローガンみたいなものを全員で合意し、共有する必要がある。これがないプロジェクトは破たんすることが多い。
プロジェクトの目的はこんなレベルで簡潔に作成する。
例えば、
「月次決算の省力化の実施。月次決算を2日で完了させ、経営判断の迅速化、事務コストの削減を図る」
「顧客管理の一元化の実現。顧客対応履歴の担当者・部門間での共有による追客状況の可視化で売上向上を図る」
こんなレベル感である。
プロジェクトの目的があり、目的が達成されることによりどういう恩恵を受けるのか?
が明確である。
これがないと、「会計システムの刷新」といった抽象的な文言だと、各部門や担当者がそれぞれ違うことを期待する。
全く違ったことを期待しながらプロジェクトが進んでいく。
全部実現しようとしたものの予算が足りず中途半端なシステムになったり、大幅に予算も開発期間も超過してしまったり、ろくに使いもしない機能を多数盛り込んで無駄なシステムを作ってしまったり。といったことが発生する。
実はこれはホームページにも当てはまることなのだ。
ホームページ制作も一つのシステム開発のプロジェクトであり、同じような失敗が起こる。
個人商店といったレベルであっても、規模感の差こそあれ同様だ。
ホームページは何のために作るのか?その戦略的な位置づけは何なのか?
ホームページの位置づけを大きく分けると、以下の通りになるだろう。
もちろんこれは一つである必要はなく、これとこれを実現したいといった複数の位置づけでも可である。
達成すべき目標はあくまで概要なのだが、このようなレベルで考えればよいということだ。
- 会社案内として使いたい
達成すべき目標:会社案内パンフレット程度の情報を盛り込んで作成し、社名なり屋号なりで検索して検索の上位に表示される - 来店してもらう
達成すべき目標:実店舗に来る可能性のあるユーザーを集客し、来店したい欲求を喚起する。 -
会社の知名度を高めたい
達成すべき目標:ホームページに広くユーザーを集め、覚えてもらうようにする -
引き合いを増やしたい
達成すべき目標:ホームページに見込み客を集め、商品やサービスの魅力を余すことなく伝える -
EC・コンテンツの売上を増やしたい
達成すべき目標:ホームページに商品を欲しい客、あるいは潜在客を集め、購入してもらう -
ブランド力を高めたい
達成すべき目標:自社・あるいは自社ブランドを知っているユーザーを集め、信頼感・親近感・高級感・購入意欲といった感情を高める
結局ホームページの目的はこの5つにほぼ集約されるであろう。
ホームページはこれら全てを可能にし得るメディアである。
だからこそ、ホームページを作る場合において、何をしたいかを明確にしなければならないのだ。
明確にしないままだといずれの目的も達成できない中途半端なホームページが出来上がる。
まさしくシステム開発と同じなのだ。
大企業で予算が潤沢にあるものの焦点が定まらず、いずれの目的も達成できていない例もあるし、中小企業や零細企業では目的を達成するための予算、あるいはかけられる人的資源が足りず目的が達成できていないことが多い。
私は特に中小零細企業についてはこの点を強調しておきたいのである。
ホームページから引き合いをとることは非常に手間のかかることだ。
SEOといった手法によって検索エンジンから集客する、リスティングといった手法で集客する、ソーシャルネットワークからファンを増やし集客する・・・、といった様々な方法があるが、いずれも簡単なものではない。非常に手間がかかるのだ。
もし、ホームページを営業マンだと考え、それ相応に人的資源を投入することができるのであれば、集客を狙うのは営業戦略の上で考慮すべき戦略だ。
しかし、中途半端にしか手間をかけられないのであれば、会社案内だと割り切った方がよい。中途半端に投入した手間は無駄になる。
目的を考えることは最重要であり、その上で目的を達成するために必要な資源が捻出できないのであればきっぱりあきらめる。これがホームページの作成の意外に知られていない重要なポイントである。