3人めのスピーカーはGoogleの中の人、長山一石氏である。
お題は、
である。
このテーマはSEOの技術論的に難しい部分である。
また、サーバーやプログラミングの知識がない一般のWebマスターにとっては、知識としては知っていたとしても方法論として手が出しにくい部分だ。
しかし、いつまでもこの問題を回避するわけにはいかない。
こうしているうちにもスマートフォンからのアクセスの割合は伸びている。
また、スマートフォンは常に身につけているデバイスなので、思い立った時にすぐ使われる。
言い換えれば検索ユーザーのモチベーションが高いケースが多い。
どうこの問題と向き合わなければならないか?考えなければならないところに来ているわけだ。
さて本題である。
モバイルはスマートフォンだけではない。
タブレットもフィーチャーフォンもある。
サイトをスマートフォン向けに最適化することは必須になってきている。
1秒以内に表示させないと集中力が途切れると言われている。
1秒以内に表示されることは大変である。
GoogleではPagespeed insightsという、表示速度を高速化することを支援するツールを提供している。このようなツールなども使いながら、できる限り高速化することが望ましい。
above the fold(ファーストビュー)についてはせめて早く表示できるようにしたほうが良い。
スマートフォン向けページ・PC向けページそれぞれのリダイレクトに気をつけよう。
リダイレクトに失敗するケースがあり、
- 下層ページにアクセスされた場合でも、トップにすべてリダイレクトさせてしまう
- 無限のリダイレクトループしてしまう
- クローキングになってしまう
- リダイレクトされない
といった失敗がよく見られる。
レスポンシブルWebデザインであれば、このような失敗は起きないのでお勧めである。
まだ、同一URLでコンテンツを変えて(筆者注:ダイナミックサービング)もよい。
Vary HTTPヘッダーを使うのもよい。
リレーションシップアノテーションを設定するのもよい。
JavaScriptを使ったリダイレクトは避ける。
一対一で対応するURLへとリダイレクトする。
アノテーションを利用する。
GoogleBotを特別扱いしない。
クローラビリティを確保すること。
携帯端末に最適化されたウェブサイトの構築方法に詳細は掲載されているので詳しくはご覧頂きたい。
必ずしもレスポンシブルWebデザインにする必要はない。
正しくアノテーションや、Vary HTTPヘッダーを設定し正しく動作していれば問題ない。
しかし、これらについては設定が誤っている場合は、GoogleBotだけではなく実際に閲覧するユーザーが困るケースがあるので、レスポンシブルWebデザインを使うことをお勧めしたい。
4人目のスピーカーもGoogleの中の人、金谷武明氏である。
非常に今ホットな話題だ。
再審査リクエストがうまく行かず苦しんでいるという話題が、Googleのウェブマスター向け公式ヘルプフォーラムに寄せられている。
また、このフォーラム内にも「再審査リクエスト」というディスカッションのカテゴリが設けられ、興味深い報告も数多くなされている。
この問題に苦しんでいる人も、そうでない人も一度ごらんになることをお勧めする。
再審査リクエストはスパムを行った人だけでなく、正しくサイトを運営している人からのリクエストも少なくない。
金谷氏自身もともとソニー・コンピュータエンタテインメントに在籍していたため、インハウスでSEOを行っている担当者の気持ちも理解できる部分があるとのこと。
といったわけで、ウェブマスターに対して再審査リクエストに正しく対応できるようにするためのポイントを話してみる。
- 違反内容の確認
- 違反の修正
- 再審査リクエストの送信
概要としては上記の通りだが、詳細については以下。
- ウェブマスターツールに届いたメッセージを確認し、違反内容を把握する。
このメッセージをよく読んでいないケースも結構ある。 - 手動対策ビューアーで違反箇所を確認する。
対策の必要なページが表示されていることもある。 - HP製作会社やSEO会社に確認する。
過去に契約したSEO会社にも確認する。
制作会社などが善意で思ってスパムリンクを設置したと言うケースもあるため、Webマスターがまったくあずかり知らなところでスパムリンクが貼られていることもあるため、考慮が必要。
- サイトへの不自然なリンクの場合
サイトへのリンクを確認する。
ここに出てくるリンクはすべて確認しなければ審査は通らないと思った方がよい。
また、再審査を抜きにして考えても、ユーザーや同業者がそういったリンクを見つけることもあるため、ブランディングなどの観点から対策した方が望ましい。しかし、Googleとしてもどうしても外せないリンクがあることは承知している。
そのために否認ツールがあるわけだが、否認ツールを使う前に可能な限り修正することが必要だ。すべてのリンクを否認したという申請がくることもあるが、まず審査は通らない。全部外すことが原則である。
(筆者注:全てのリンクを否認ってSEO関係者の間ですごくウケてた。気持ちは分かるけど、ドメイン変えたほうがいいんじゃね?って感じだ) - ハッキングされた場合
Fetch as Googleで確認する。
通常のブラウザで確認できない場合でも改竄箇所を確認することができる。根本的な原因の修正に取り組む。根本的な原因を解消していないと何度も同じことを繰り返してしまう。
根本的な修正の例)テンプレートをアップデートするなど
- 修正方法がわからない場合
ヘルプ記事を参照する。
再審査リクエスト専用カテゴリを利用する(このカテゴリの設置は日本独自の取り組みである)。
フォーラムはGoogle社員も見ているし、詳しい人からのアドバイスももらえるので活用して欲しい。
修正が困難な場合は以下のように経緯を記載すること。
- SEO施策を依頼した会社名
- 依頼時期とその内容
- 削除のために行った対応とその経緯
- 削除が困難となっている理由
削除の依頼に応じない、リンクの削除依頼に対して高額な費用を要求するなど。
SEO会社がホワイトハットを名乗っていてもそうとは限らない。
評判を調べてみることをお勧めする。
ウェブマスターツールにログインして、手動対策ビューアーを試して欲しい。
上記のフローの多くは、ウェブマスターツールの機能である。
なにも悪いことをしているつもりはなくても、過去に何があったのかわからないので、確認しておくのはよいことである。
しょっちゅう再審査リクエストに登場する、やばいSEO会社の名前について教えて下さい。
(Web担当者Forum安田英久編集長の質問)
同じSEO会社の名前はしょっちゅう出てくる。でも、言えません(笑
この後、Googleの方々と名刺の交換をさせていただいたのだが、本当にみなさん腰の低い方々だった。
以前、グーグル秘録 (文春文庫)という本を読んだのだが、その中の記述にGoogle社は社員採用の基準として人間性を重視していると書いてあった。
長時間飛行機の隣の席に同乗して、一緒に過ごしてみたいと思えるか?
といった観点から人柄を見るのだという。
なるほど、と思った次第である。
それはともかく、Google社員の方にあったのはこの日が初めてで、GoogleってBotじゃなくって本当に人間がやっているんだ。
って初めて実感しましたって感じである。
次は3名、SEOのソリューションを提供する会社の方のプレゼンテーションがあった。
- Ginzamarkets
- データアーティスト株式会社
- アイ・エム・ジェイ Marketing & Technology Labs
こちらについては割愛する。
というか、集中力が持たなくなったのであった。
その次がパネルディスカッション
であった。
- 三澤 直哉氏(楽天株式会社)セントラルSEOチームマネージャー
- 木村 將(エムスリー株式会社)システムエンジニア
- 山田 研一(Gengo)Director of Marketing
- 長束 鉄也(Retty株式会社)取締役
- 安田 英久(Web担当者Forum)編集長
安田編集長を除いてはインハウスSEOの担当者で、第一線で活躍していらっしゃる人たちである。
個人的には三澤氏と木村氏とはお話をしたことがある。三澤氏と木村氏はとっても気さくで、気取らないナイスガイである。
さて、このパネルディスカッションの間もなんというか集中力がなくって、筆記ができずかなりグダグダであった。
それなりに覚えているところだけ書いてみる。
この話題が中心になっていた。
大体80万円ほどかかったらしい。
(筆者注:それがどれくらいのリターンを生んだのかはどうやらわからなかったらしい)
(筆者注:結論ははっきり出ていなかった。私もSEOのKPI設定は非常に難しいと思っている。
私見ではあるが、成果報酬SEOではない通常のSEOのために投下したコストを把握するのは困難で、コンバージョンがSEOの効果によるものなのかも厳密に分けることもできない。大半のSEO施策は、SEOがなかったとしてもやるべきことがほとんどだから)