最後に紹介するのは辻正浩氏である。
辻正浩氏は昨年のCSS Nite LP, Disk 24「インハウスSEO」において「事例で考える『SEOの力』」というテーマで公演をした。
この中で公開されたノウハウの多くは一般的に語られていないものであって、多くのSEOの専門家に強いインパクトを与えたことはいまだに記憶に新しいところである。
そして今回の公演も期待を全く裏切らないものだった。
さて、テーマであるが、
である。
これほど面白いテーマはなかなかない。
最も重要な問題でありつつ、SEOの教科書的な情報源からはなかなか得られない情報だからだ。
私自身もWebサイトを作り始めた時に非常に頭を悩ませたし、今も頭を悩ませる問題である。
さて、本題に入ろう。
この3つがあるが、「技術」について主に説明する。
大規模なサイトになればなるほど、必要な技術要件は多くなる。
数十ページしかないページであれば、ほとんどSEOの知識は必要なく、
数百、数千ページとなるとかなり多くなり、
数億ページとなると非常に重要性が高まる。
ある程度以上の規模のサイトになると、SEOへの考慮が非常に重要になる。
Webサイトの構造と必要になる技術要件
- トップページ
・特定ワードで評価させる内部修正
・重要なページへのリンク - 一覧ページ
・たくさんありここが重要 - 末端ページ
・テキストを評価させる内部修正
・リンクを受けやすくする仕組み
など
ページへのリンクを表すテキストの羅列は検索エンジンには評価されにくいからだ。
検索エンジンに評価されるために、一覧ページの上部にユニークなテキストが必要である。
「検索結果」といったtitleは論外(検索結果に表示されたとしてもほとんどの人はクリックしない)
一覧のカテゴリの名称入るのは絶対条件
札幌の一覧であれば「札幌の店舗一覧」といったようにカテゴリの名称が入っていなければならない。
nanapiの事例
「LINE(ライン)の使い方徹底ガイド116記事」
といったようにカテゴリの名称が入っている。
(※筆者注:LINE・ラインって両方入っているのも小技)
主要ページから内部リンクを貼る。
SEOだけではなくユーザービリティの観点でも必要である。
nanapiの事例では、グローバルナビゲーションやパンくずリスト、一覧ページで各記事タイトル下部にそれぞれ設置したパンくずリストなどからリンクしている。
一覧ページヘの内部リンクの重要性は知っていると言いながら、できていないケースが多いので重要である。
- 1ページ目を特定キーワードで評価させる
- より多くのページにより良い内部リンクを渡す
- より多くのページを認識させる
より多くのページを認識させるためには、
1.ページ送りリンクに配慮する。
「次へ」で延々とページ送りしないと、後ろのページにたどり着かないという作りはだめだ。
nanapiの事例では、ページ送りは少ないクリック数で後ろのページにたどり着けるよう配慮されている。
2.重複コンテンツを避ける。
重複コンテンツの問題はサイトの規模が大きくなると苦しむところだ。
重複コンテンツになりやすい理由としては以下のようなものがある。
アイテムの追加により1ページ目から2ページめへ押し出されたページが全く同じものになることがある。
1ページに5件しか表示されない仕様であれば、5件追新しいデータが追加されたら2ページ目と新しくできた1ページ目が全く同じになってしまう。
先ほどの例で言えば10件表示される仕様に変更すると、2ページ目には5件のデータが1ページ目から押し出されるが、新しい1ページ目との類似度は50%となるためかなり影響が軽減される。
また1ページに表示される件数を増やすことは、検索エンジンから同じ一覧ページのインデックス数でも多くのページへ内部リンクできることにつながる。
一覧ページが10ページだけしかインデックスされなかった場合を想定すると、
1ページに5件表示の場合は、内部リンクがされるのは50ページ。
それに対して10件表示であれば、内部リンクがされるのは100ページとなり、後者の方が有利になるということだ。
また一覧できる数が増えることはユーザービリティの向上にもつながる。
title、h1が重複すると重複コンテンツと判定される可能性がある。
そのためページ番号を入れて重複になることを防ぐ必要がある。
検索条件設定といった内容のページの先頭部分に膨大なHTMLのソースが存在する場合もある。
(プルダウンの全選択項目といったHTMLのソースは人間が目で見ている以上に大きく、これらのプルダウンがたくさん並んでいたりすると膨大なHTMLのソースが存在することになる)
このような場合などは重複コンテンツと判定されやすい。
iframe化して検索エンジンから認識されないようにするとか、画面の下部に持っていくとかして防止するのがよい。
検索エンジンに認識させるべきでないURLを反映させない。
(※筆者注 アユダンテ株式会社の安川洋氏も同じセミナーの中で同様のことを述べていた)
これが難しいならばcanonicalを使って正規化、それも無理であればウェブマスターツールのパラメーターの設定を行いパラメータを無効化する。
とは言え、ウェブマスターツールのパラメーター設定はなるべく行わないほうがよい。
SEO技術面では内部リンクが一番重要であり、すべてを左右すると言える。
その中でも一覧ページは内部リンクを最も操作しやすいテンプレートであり重要だ。
どのリンクがGoogleからどれだけ評価されているかは人間からはわかるわけがない。
わかることは以下の4つである。
- ウェブサイトによっても似たようなリンクであっても全く違う
- この半年でかなり変わった
- 検索エンジンがほぼ無視する内部リンクも増えている
- ユーザーを移動させるリンクには評価がある
- 実験を続けてアルゴリズムを追いかける 修羅の道
- ユーザー観点での内部リンクを突き詰める 平和な道
この2つがある。
(※筆者注:私はこの修羅の道という言葉には深く打たれて感動したのだが、この日のセミナーに参加した人々もやはりそうだったらしい。
SEOで飯を食う人間であれば、クライアントにはそのようなことはさせなくても、自らは修羅の道を往くべきではないか?というように思う。
私は最近はアルコリズムをほとんど追っておらず忸怩たる思いがあった。それ故に己の怠惰を喝破されたようでこの言葉には非常に深く打たれたのである。)
ある要件を忘れているところが多い。
一覧ページにユニークかしたテキストを入れることはユーザーの利便性にもつながる。
これをつきつめたのが、「コンテンツ化一覧ページ」である。
例えば、「デジタルカメラ 通販」と検索した人の検索意図を考えてみよう。
このような検索キーワードであっても必ずデジタルカメラを買いたい人とは限らない。
実際にカメラ屋に行った時に、
「さあ、どれにします」
と目の前にデジタルカメラを突き出されたら、困惑することになるだろうがWebサイトもこれと同じである。
実際の店舗でやられて困るようなことが、Webサイトでは普通に行われていると言える。
様々なデジタルカメラの購入に関する情報を知りたいといったニーズがあり、買いたいというニーズはその中のごく一部かもしれない。
「デジカメは今が買い時な理由」
こんなコンテンツをページの上部に置くのがよいだろう。
一覧ページにランディングした時の
直帰率の低下
PVの上昇
コンバージョンレートの上昇
キーワードの順位の上昇
流入キーワード数の上昇
といったことが実現できた。
ユーザー観点もSEO観点も満足させるのがコンテンツ化一覧ページだ。
ユーザー観点での改善は技術要件も満たす場合が多い!
多くのユーザーはWebサイト内の検索結果ページが、Googleの検索結果に表示されることを望んでいない。
検索から訪問するページとして、ユーザが望んでいないページを出そうとするSEOで成果が上がるわけはないのだ。
(※筆者注:たいていのユーザーは、自分が必要とする情報そのものズバリがあるページが、検索結果に表示されて欲しいと考えるだろう。Webサイト内の検索結果ページには必要とする情報はたいていは存在せず、その中からまた探さねばならないことになる)
マーケティング、コンテンツこの2つだけだと、せっかく価値があっても見てもらえないという残念な状況に。
技術、マーケティングこの2つがよくてもコンテンツが欠落しているSEOはスパムである。
技術、コンテンツこの2つがよくてもマーケティングが欠落していたら売上につながらない。
バランスのよいSEOを継続するには。
いいSEO施策はユーザーにも評価される。
ユーザ利点の薄いSEO施策は安定しない。