スクーというオンライン講座がある。
黒須敏行氏のSEO対策を考える前に考えるべきことというオンライン講座を聴講したのだ。
黒須氏はアルコブログというSEOブログがあるが、ビジネス的な観点からも掘り下げたユニークな分析を行っているため、ご覧になられている方も多いだろう。
講座の話に戻る。
講師から聴講者に対し質問を投げかけ、
聴講者はチャットで答えると、
講師がそれにレスポンスするといった双方向性のある講義だ。
この講義においては黒須氏の問題提議が巧みだった。
単なる1問1答ではなく、聴講者に考えさせる問いとなっていてた。
設問であるが、
ケース1:「bokete」のSEO対策について
ケース2:「MoneyForword」のSEO対策について
ケース3:「テックマネッジ」のSEO対策について
ケース4:「スクー」のSEO対策について
これらサービスについてPRを目的としてSEOを行うべきか?
なかなか練られた良問だと思った。
一度考えてみることをお勧めしたい。
行うべきというケースと行うべきでないケースがあると黒須氏は回答していた。
行うべきでないケースとして「キーワードがない」「検索数が少ない」ためSEOからの集客ができないのが理由として挙げられていた。
私もこれに基本的には深く同意するのだ。
しかし、私は、
と考えておりSEOにはまだまだ可能性があると信じている。
黒須氏に反論するかのように感じられるかもしれないが、そういうわけでは決してない。
氏の考え方は非常に有用であり一般的に正解である。
そもそもこの記事を書いた理由が、黒須氏の講義に深く感銘を受けたためである。
私の考え方が特殊であり、こんな考え方もあると思って読んでいただければ幸いだ。
さて、やっと本題である。
すべてのビジネス上の行為には目的がある。
目的を達成できなければ、その行為には意味がない。
ではSEOの目的とは何だろうか?
SEOの目的は、
にある。
こう書くとわかりにくいので、言い換えてみよう。
ファインダビリティとは、サイトの見つけやすさと言い換えればよい。
そして、「必要とする」という観点も同じく重要である。
必要としないキーワードで上位表示されても、SEOの目的は達成されない。
一般的にSEOとはビッグキーワードにおける上位表示の技術を指すことが多い。
ビッグキーワードで上位表示されれば、目に触れる回数が多くなるのでファインダビリティは大きく改善するからだ。
しかし、ビッグキーワードでの上位表示が必ずしもSEOの目的と合致しないことには留意すべきだろう。
さて、「必要とするファインダビリティ」とは何だろう?
もう一度言い換えてみる。
必要な検索結果からの見つけやすさ
のことだ。
Webサイトを作ることには何らかのビジネス上の理由がある。
手間あるいは、費用をかけて作るので何らかの目的が必ずあるはずなのだ。
それは何か?
「会社パンフレットが必要であるのと同じ意味で会社のWebサイトが必要」
こんな会社は多いだろう。
中小企業におけるWebサイトの目的はほとんどこれだと思う。
会社名で検索したときに検索上位、できれば最上位に表示されることがSEOの目的である。
ここまではSEOすべきである。
通常は何もしなくてもこの程度は達成できるのだが、それすら達成できていないケースも散見される。
冗談のような話であるが、
Flashで全コンテンツが作られていたり、
会社概要のページがパンフレットをスキャンした写真になっていてテキスト情報がなかったり、
などという場合もある。
こんなケースでは、社名で検索した場合でも上位表示されなかったりする。
最低限、会社名で検索して上位表示される程度にはSEOを行わなくてはならない。
現在達成できているのならそれ以上のSEOは不要である。
「地域名 + 業種名」で検索したユーザーを集客したいなら、その程度までSEOを行う必要がある。
例)「高田馬場 床屋」「自動車修理 銚子」
ECサイトなどをやっている場合は、取り扱っている品目や効能などで上位表示を目指さなくてはならない。
さて、黒須氏の質問に戻ろう。
自社の商品やサービスをPRするにあたって、検索からの集客が期待できないケースは確かにある。
黒須氏の例ではないが病気で来店できない人のために、自宅や病室を訪問してメガネを作ってくれるサービスがある。
このサービスをPRするケースを想定してみよう。
このようなサービスを表すキーワードの検索の絶対数が少ないため、検索からの集客が難しい。
そもそも訪問してメガネを作ってもらうという発想が一般的ではない。
病院や老人ホームに直接営業するといった手法が最も重要だろう。
しかし、SEOをしても無駄だとは思わない。
方法はないわけではない。
SEOはリスティングと異なり、いくらサイトに集客しても費用が変わらないというメリットがある。
リスティングは今すぐコンバージョンにつながらない客を集めれば集めるほど、費用対効果が悪化する。
しかし、SEOは今すぐでなくても、将来コンバージョンする可能性のあるユーザーなどを集めてもよい。
メガネの例であれば介護の話題や、地元病院内での小話などの中にあるキーワードから集客して、
「なるほど、出張してくれる眼鏡屋ってものが存在するのか」
と、気付きを与えることができる。
そうすれば、そのようなニーズが発生したときに思い出しコンバージョンに至る。
そのためには2つのファインダビリティを確保する必要がある。
- 医療・介護などでのキーワードや、地域キーワードでのファインダビリティを高める
例)「○○病院 入院」「介護 苦労 自宅」「老人ホーム 春日部」 - コンバージョンにつながるキーワードでのファインダビリティを高める
例)「メガネ 在宅 春日部」「出張 メガネ」「メガネ作成 家で」
1.にて存在を知った人が、後日サイトを再訪する際に検索するであろうキーワードで検索結果への露出をさせる。
この2段階のファインダビリティを高めれば、Webから集客できる可能性は高いと考えているのである。
ここまでの手間をかけずに、SEOによって集客する選択肢は捨てるという戦略は一般的には正解であろう。
しかし、全く無理ではないと考えている次第である。
まとめてみよう。
必要なファインダビリティを確保するためにSEOは必要である。
また、必要なファインダビリティは、Webサイトに何を求めるかによって変化する。
一見してコンバージョンにつながるキーワードが少ない、あるいは検索数が少ないキーワードしかないビジネスであっても、
サイトやビジネスの存在を知ってもらう。
必要になった段階でコンバージョンにつながるキーワードで集客する。
この2段階のファインダビリティを確保することでビジネスにつなげることは可能である。
しかし手間がかかるためこれを行わないことも戦略としては正解である。
ということである。