DMMがプログラミングスクールのインフラトップを買収ーー今月だけで2度目、DMMの財産が起業家を惹きつける

DMM.comは11月22日、プログラミング教育スクール「WEBCAMP」を運営するインフラトップを買収したと発表した。インフラトップが発行する株式の60%を取得する。株式取得総額は非公開。なお、今回の買収によりDMM.com COOの村中悠介氏、同CTOの松本勇気氏がインフラトップ取締役に就任する。

写真左より、DMM.com CTOの松本勇気氏、インフラトップ代表取締役の大島礼頌氏

インフラトップは、社会人向けプログラミングスクールのWEBCAMPを運営するスタートアップ。これまでに3000人の卒業生を輩出しているという。同社はWEBCAMPの上位コースとして転職に特化した「WEBCAMP PRO」も提供。プログラミング未経験者であっても、3ヶ月のコースを修了後にエンジニアとしての転職を保証するというものだ(転職が決まらなかった場合、スクール費用は返却する)。

インフラトップ代表取締役の大島礼頌氏は、「転職保証は、弊社のビジョンでもある“プログラミング教育を通して人生を実際に変える”ことにコミットするという意思表示だった。それを達成するため、Gitによるチーム開発なども想定した実践的なカリキュラムを設計した」と語る。その結果、現在までにWEBCAMP PRO卒業生の転職成功率は98%、転職後3ヶ月間の離職率は0%と高水準となっている。

今回の買収を主導したDMM.com CTOの松本勇気氏も、「インフラトップはチーム開発を含めたカリキュラムによる実践的な教育や、またその成果として、その後の就職率の高さなどが際立っている」とコメントし、同社のプログラミングスクールの質を評価している。

DMM.comによるスタートアップ買収と言えば、2018年11月に発表された終活ねっとの買収が記憶に新しい。「当初は上場しか考えておらず、今回の買収以前にも並行して他社からの増資の話もあった。しかし、DMM.comには『DMM英会話』を通してスクール運営のナレッジが溜まっていたこと、そしてサービスの磨き上げについて、松本さんからのコミットメントを感じたことを踏まえ、今後1〜2年の成長速度を考えるとDMMグループに入ることが正解だと思った」と大島氏はDMM傘下入りの理由を語る。

インフラトップのこれまでの株主構成は、総数の約80%が同社代表取締役の大島礼頌氏、残り20%がEast VenturesやMistletoeなどの外部投資家だった。今回の買収により、株式60%をDMM.comが所有、40%が大島氏が保有することになる。現時点での増資はなく、同社に直接キャッシュが入るわけではない。だが、大島氏は今後利用可能になるDMMのリソースを利用して、サービスのさらなる改善とマスプロモーションに注力すると話す。

「転職市場の現状として、40代や50代のエンジニア転職は難しいという現実がある。しかし、今後はWEBCAMPを利用すれば年齢や経歴関係なく転職によって人生を変えられるということを実現したい。また、弊社はリアルとオンラインのどちらでもスクールを運営しているが、オンラインでもリアルと遜色ないクオリティを追求していく」(大島氏)

終活ねっとの買収でも同様だが、DMM.comが事業拡大のためにアクセルを踏みたいと願う起業家を強く惹きつけている。DMMの事業は非常に広範囲に渡り、それだけ蓄積されたノウハウの種類も多い。キャッシュカウ化した本業から潤沢な資金も流れ込む。だからこそ、即時買い取り、終活メディア、プログラミングスクールなど、彼らが手を組めるスタートアップのスコープも当然広くなる。DMM.comが日本の若手起業家を惹きつける“シェアハウス”のようだと感じるのは僕だけだろうか。