空きスペースの短期利用をマッチングするレンタルスペースサービスが、日本でも浸透してきている。宿泊に特化した「Airbnb」が有名だが、他にも「スペースマーケット」や「インスタベース」、「スペイシー」など、さまざまな“場所”のマーケットプレイスが提供され、会議室や料理教室のためのキッチン、撮影スタジオなど、さまざまな目的で利用されている。
2015年5月からサービスを提供している「SHOPCOUNTER(ショップカウンター)」もそうしたサービスのひとつだ。そのSHOPCOUNTERを運営するカウンターワークスは10月2日、不動産開発・運用を営むクレディセゾングループのアトリウムと組んで、ポップアップストアや展示会向けのシェアリングスペースを新設し、共同運営事業を始めると発表した。
元々、SHOPCOUNTERの登録ユーザーにはアパレル企業が多く、ファッションブランドやEC事業者、クリエイターのポップアップストアや展示会、プロモーションイベント開催などを目的として、スペースが利用されている。具体的には、季節性のある衣料品やスポーツ用品などのポップアップショップや、新製品発売時の販促イベントなどで需要があるとのこと。登録・掲載されている場所は、主要商業地の路面店舗、小売店、店舗の壁や棚、ショッピングセンターや駅、空港などの空きスペースだ。直近3カ月の月間利用総額は、約300%の伸びを見せているという。
今回の共同運営スペース「BOK Gallery」は、東京・原宿の竹下口交差点にも近い好立地。1棟貸しの他、1階・2階を別々にレンタルすることもできる。
カウンターワークスでは、今回のアトリウムとのシェアリングスペースの共同運営は、商用不動産の短期利用の需要増に応えるとともに、不動産収入の多様化にも寄与するだろうと見込んでいる。カウンターワークス代表取締役CEOの三瓶直樹氏は、2016年10月の資金調達の際の取材に「スペースの貸し手は、借り手よりもこうしたサービスに慣れていないことが多い」と話していた。今回の共同運営では、アトリウムの持つ物件開発力、収益不動産の運営力による、さらなる空きスペース需要への対応が期待される。
今回の発表に際し、カウンターワークスでは「短期利用の需要が高まる一方で、対面や個別交渉でのテナント誘致ではなく、システムを利用したマッチングにより、テクノロジー面からも短期貸しの課題が解決されつつある」とコメント。共同運営を通じて「短期的には主要都市圏での商業エリアにおいて路面店舗や不動産の短期貸しによる収益機会を不動産所有者に提供し、中期的には短期貸し専用のシェアリングスペースの運用受注を増加させて、登録ユーザーの強い需要に応える」としている。