Sonos OneとAmazon Echo ―― 2つのスマートスピーカーたちに対する実に面白い探求のなかで、BoltVCのBen Einsteinは、伝統的なスピーカーメーカーとインフラ巨大企業、それぞれのフラッグシップモデルにみられる興味深い違いを発見した。
その投稿は全部を読む価値があるが、要約するなら以下のようなものになるだろう:従来型のスピーカーメーカーのSonosは優れたスピーカーをデザインし、その最新のハードウェアを手直しすることでAlexaやGoogle Assistantのようなスマートホーム機能を入れようとしている。Einsteinによれば、The Sonos Oneは、なによりもまずスピーカーであり、スマートハードウェアとしての機能は二の次だということだ。
「ちょっと掘り下げてみれば、ほぼ全てに対して従来どおりのデザインと製造プロセスを見てとることができる。たとえばその一例だが、スピーカーグリルは、平らなシート状の鋼板であり、それが打ち抜かれ、湾曲した四角形に丸められ、溶接され、継ぎ目は平滑に仕上げられ、最後に黒く粉体塗装されている。この部品の見栄えは大したものだが、特にイノベーションがあるというわけではない」と彼は書いている。
一方Amazon Echoは、もしエンジニアが無限の予算を与えられ、人びとが話しかけることができるような何かを作れ、と言われたときに生み出されるようなものに見える。デザイン上の決定は奇妙で興味深いものであり、最終的には家庭内会話マシンである性格のほうがスピーカーであるという性格を上回っている。さらにそれは製造にとてもお金がかかる代物だ。
つやつやしたスピーカーグリルを外してみると、衝撃的な秘密があらわになる。これは押出成形をしたあと、回転させながらドリルで穴を明けたプラスチックチューブなのだ。家電製品を分解し続けてきた私の長い経験に照らしても、こんなやりかたで作られた大量生産プラスチック部品を見たことはない。生産タイムラインに対する概算をしてみたが、おそらく部品をある軸上で回転させ、それに対して複数のヘッドを持ったドリルで穴を開けているのだと思う。各穴を1つずつCNCドリルで開けていては、とても長い時間がかかってしまうからだ。もしこのような部品がどのように作られているのかに詳しい人がいるなら、是非教えて欲しい。何はともあれ:これもまた驚くほど高価な部品だ。
スマートスピーカーを15年間生産してきたSonosは、家電メーカーとしての名声は高い。一方Amazonは、そのデバイスを家庭の居間に入り込み、販売を行うための手段の1つとみなしているので、自前のハードウェアを作らずライセンスを行うだけでも十分なのである。したがって、この2つを比較するのは少々不公平ではある。Einsteinの見立てによれば、その従来どおりの製造技術に依存するSonosの将来性は明るいものではない。一方Amazonはその製品を実現するためには金を惜しむことがないのだ。だがSonosは驚くほど上手く協調して働くスピーカーを作っている。彼らはこれを15年にわたって続けてきた。もし彼らの製品を(私がそうしたように)、競合相手たちのオーディオ愛好ではない「ダム」スマートスピーカーたちと比べてみれば、UI、UXそしてサウンド品質すべてにおいて、Sonosがほとんどのものをはるかに凌いでいることがわかるだろう。
一方Amazonは、Amazonとのコミュニケーションを行わせるためのものを作っている。これが大きな違いだ。
とはいえ、EinsteinはSonosには明らかな欠点があると彼は考えている。Sonosは、AmazonとGoogle(そしてHomePodが何らかの先触れならAppleも)が先行する、スマート技術を追いかける立場だからだ。とはいえ、スマート機能を追加した優秀なコネクテッドスピーカーを作ることは、ホームシアターのあらゆる側面をカバーしたスピーカー製品のエコシステム全体を構築しなければならないことに比べれば、それなりの価値はある。
逆からみれば、Amazon、 Apple、そしてGoogleは、Sonosがリードしているオーディオ品質を追いかけている。この先、私たちの部屋のあちこちで、小さな丸いスピーカーたちが貧弱な音でSpotifyを流すようになっても、私たちは気にしないかもしれないが、良いウーファーセットもまた良いものである。この良い音へのノスタルジックな愛が、低解像度メディアを視聴するこの世代の傾向を生き抜くことができるかどうかは賭けであるが、Amazonはその賭けは勝ち目がないと思っているのだ。
いずれにせよSonosは強く魅力的な会社である。KickstarterとAmazonによってもたらされた家電業界の大規模破壊を行き残ったスタートアップであり、私がこれまでに利用した中でも最高の中級スピーカーを生み出しているのだ。Amazonは素晴らしく、ほぼ異次元と言っても良い製品を作っているが、それは容易にコピーすることが可能で、Amazon Echoの部品よりも少ないコストでホッケーパックに詰め込んでしまうこともできることを考えれば、Amazon自身の目標がスピーカー作りそのものではないことは明らかだ。
今後のSonosのIPOが成功するかどうかは、AmazonとGoogleとの付き合い方に、ある程度左右される。そして残りは製品自身の品質と、Sonosユーザーたちの献身に頼ることになるだろう。そうした善意は、大手インフラストラクチャプレイヤーたちとの契約ほどの価値は無いかもしれない。だが、人気は高いがともすれば押し付けがましい製品群で迫るAmazonやGoogleに比べて、Sonosの志は遥かに高い。GoogleとAmazonが侵入を狙う家の中に、Sonosは既に住んでいる。そこがSonosの勝てる点だ。
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(翻訳:sako)