2016年には、音楽業界との摩擦が物議を醸したチケット二次流通マーケットプレイス。だがスポーツの領域に関しては、業界や興行主との対話が進んでいるようだ。ミクシィ傘下のフンザは2月17日、日本ハムファイターズ(日ハム)とのスポンサー契約を締結したことを発表した。この契約にともなって、2017年3月31日の開幕戦より、日ハム主催試合を対象にした「チケキャン西川遥輝シート」を設置。フンザが運営するチケット二次流通マーケットプレイス「チケットキャンプ」にて独占販売するとしている。
対象となるシートは札幌ドームで開催される日ハムの全試合、SS指定席の一部(67席)で、料金は2500〜5500円の変動制になる。チケットには日ハム西川遥輝選手のTシャツが特典として付く。
この取り組みは約2年の交渉でようやく実現したものだという。野球チームは観客を伸ばしたい。だが札幌に拠点を置く日ハムは、集客面では首都圏なんかに比べればアクセスでも動員できるそもそもの人口でも不利な側面がある。そういった興行主の課題に対して「我々が協力できることがあると話してきた」とフンザ取締役の寺谷祐樹氏は語る。
例えば米国のスポーツ観戦などでは、集客力や満足度を高めるためにダイナミックプライシング(対戦カード、曜日、天候などを元に格差を設けて料金を設定する仕組み)の導入が進んでいる。日本でも東北楽天ゴールデンイーグルスが2017年度の導入を発表しているが、同じような仕組みを作る第一歩として、マーケットプレイスを利用したと言ってもいいかもしれない。そういえば過去には競合するチケット二次流通マーケットプレイス「チケットストリート」が、ナショナル・バスケットボール・リーグ(NBL、現在はジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ(B.LEAGUE)に統合)の主催者公認を得るという発表もしていた。
すでにフンザでは野球以外の領域でも一次流通の取り組みを進めるべく、交渉を続けているという。昨年話題になった音楽関係の興業についても聞いてみたが、「好意的に話したいというところと、ある程度時間がかかるところがある」(寺谷氏)とのこと。また今後の展開については「誰がチケットを買ったかというデータがあるので将来的には例えば『あるコンサートに行った人、興味がありそうなスポーツの観戦を提案する、といったこともできる可能性がある」としている。