中国とインドの影に隠れているようだが、東南アジアにおけるテクノロジー成長は実に大きな可能性を秘めている。計6億5000万人もの人口を抱えるこの地域のデジタルエコノミーは今後7年間で3倍に成長し、2400億ドル規模に達することが見込まれる。Googleが実施した3回目の「e-Conomy SEA」レポートで報告されている。
Googleとシンガポールの政府系投資会社Temasekが共同で行う年次調査は、間違いなく東南アジアにおけるテクノロジーについて最も包括的な研究プログラムだ。この調査によると同地域は“転換期”に到達し、2025年におけるデジタルエコノミーの規模の予測を当初の2000億ドルから引き上げた。
東南アジアは主要6カ国に3億5000万人ものインターネットユーザーを抱えるーこれは米国の総人口より大きい。そして最新のデータでは、インターネットエコノミーは2015年の191億ドル、昨年の500億ドルから増え、今年は720億ドルに達する見込みだ。
レポートによると、インターネットエコノミーにおける最も大きな収入はオンライントラベル(300億ドル)で、次いでeコマース(230億ドル)、オンラインメディア(110億ドル)、配車サービス(80億ドル)となっていて、この内訳は2025年まで続く見込みだ。
この地域では大きな成長が予想され、世界で4番目に人口が大きいインドネシアは2025年までにインターネットエコノミーマーケットが1000億ドルに到達し、それにタイ(430億ドル)、ベトナム(330億ドル)が続く。データをみると、特にインドネシアとベトナムはそれぞれ2015年の3倍超と著しい伸びが予想される。
今年のGoogle-Temasekレポートには配車サービスについての詳細も含まれている。今年初めにGrabがUberのローカル事業を買収して以来、配車サービスは東南アジアにおいて特に注目を集める分野となっている。レポートによると、GrabとそのライバルであるインドネシアのGo-Jekはかなりマーケットを拡大させている。2018年の1日あたりの配車サービスユーザーは800万人と、2015年の150万人から増えている。そして月間ユーザーも2018年は3500万人で、2015年の800万人から成長している。
売上の成長に目を向けると、実際には輸送サービスより食品デリバリーサービスの伸びが目覚ましい。これはGrabやGo-Jekにとっては良いサインだ。というのも、この2社はオンデマンドサービスへ積極的に事業を拡大している。一方、東南アジアの主要経済国である6カ国の中で人口が550万人と一番小さいシンガポールは、この地域における配車サービスでひときわ大きなシェアを持つーこの傾向は2025年まで続く見込みだ。
ひときわ大きいといえば、この地域における巨大企業がいかに資金調達をすっかり独占しているかもこのレポートでは取り上げられている。過去4年で同地域に投資された240億ドルのうち、数十億ドルの価値がある企業が実に160億ドルを占めていて、Grab1社で60億ドルだ。
レポートでは毎回、この地域の成長は東南アジアのスタートアップのエコシステムを全体として押し上げる資金調達のレベルに左右される、と強調していて、資金の多くが限られた大企業に集中しているという事実は懸念すべき点だ。しかしながら、他の部分では発展していることがレポートで示されている。ユニコーンでない企業の資金調達の額は、2018年上半期をみると年間でかなりの伸びが予想されるー上半期だけで2017年通年の額を超えている。
レポートには「東南アジアにおける200以上のインターネットエコノミー企業が投資を確保し、企業価値10億ドル以下の企業は過去3年間で合計70億ドルを調達した。それらの中で最もダイナミックな部門が価値1000万ドル〜1億ドルの企業だった。インターネットエコノミーの基盤となっているこれらの企業は2018年上半期に14億ドルを調達し、2017年に調達した10億ドルをすでに超えている」と記されている。
レポートはこちらから閲覧できる。
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(翻訳:Mizoguchi)