英国政府は、オンライン広告やストリーミングエンターテイメント(オンライン物品販売ではない)のようなデジタルサービスで収益をあげているAmazonやGoogle、Appleといったテック大企業の英国での売上に、新たな “デジタルサービス”税として2%を課すと発表した。
2018年予算の中で財務大臣Philip Hammondが発表したこの新税は、2020年4月に発効する予定だ。直近の売上に基づくと年間4億英ポンド(5億1200万ドル)の税収が見込まれる、とHammondは語った。
「もしそうしたテック大企業がデジタル経済を続けようとしているのであれば、ゲームのルールはいま展開されなければならない」とHammondは今日議会で語った。「検索エンジンやソーシャルメディア、オンラインマーケットプレイスなどのデジタルプラットフォームは我々の暮らし、社会、経済をほとんどの場合良い方向へとを変えた。[しかし]そうしたデジタルプラットフォームはまた我々の税制にかかる持続可能性や公正さという課題を提起した…ルールが遅れをとっている」。
「英国は国際的な法人税改革の試みをリードしてきた。しかし、進展は極めて緩やかだ」とし「永遠に議論を続けるわけにもいかず、我々はいま英国デジタルサービス税を導入する」と説明した。スピーチの抜粋はここでチェックできる。
Hammondはまた、新税は特定のモデルに“厳格に的を絞っている”とも語った。「これはインターネットで購入した商品にかけるオンライン物品販売税ではない」と語り、そうした税はユーザーに負担が回されて終わる、とも指摘した。デジタルサービス税は益をあげている企業が支払い、グローバル歳入で少なくとも年5億英ポンド(6億4000万ドル)にのぼるとHammondは話す。
明確にすると、英国政府はスタートアップではなく大企業に税金を“負担してもらう”ことを想定している、と大蔵省は記している。
“We will now introduce a UK Digital Services Tax.
…It will be carefully designed to ensure it is established tec… twitter.com/i/web/status/1…—
HM Treasury (@hmtreasury) October 29, 2018
新税はこうした企業が今日いかに課税されるかという点で変化を示すことになるかもしれない。これまで税金は利益をもとに算出されてきたが、これは企業がどのように利益を報告するかという点で問題を抱えていた。たとえデジタルサービスが英国で購入されても、多くの場合、英国で記録されていない。
と同時に、AmazonやAppleなどは世界で最も大きな企業で、人々がこぞってそうした企業からオンラインでプロダクトを購入することで、近年かなり巨大になっている。
また新税は、英国が欧州連合から脱退し、幅広い税法を適用することになったとき、英国がいかに税収を確保するかという点で興味深い展望を描いている。しかしながらHammondは、英国はいまデジタル企業への最善の課税法をめぐってG20やOECDと共に検討を進めていて、そうした話し合いが合意に達すれば、英国は独自プランの代わりにその内容を検討するかもしれない、と述べた。「言えるのは、我々は税制改革に真剣に取り組んでいるということだ。こうしたグローバル大企業が公正な負担をするのは至当だ」とも語った。
ただ、わずか4億英ポンド、そして2%というのはデジタル大企業にとって痛くも痒くもないとの指摘がすでに出ている。そうした企業は世界で最も収益をあげ、そして最も富んでいて、AmazonとAppleは時価総額1兆ドルを1番目と2番目に達成した企業だ。
英国における税はすでに何年間も、より現実的な方法で議論されてきていて、今回の新税はこれからいかにこの議論を発展させていくかという取っ掛かりにすぎない。
イメージクレジット: Phil Dolby/ Flickr under a CC BY 2.0 license.
[原文へ]
(翻訳:Mizoguchi)