マクドナルドが植物由来肉のハンバーガーをカナダで試験販売

マクドナルドの北米初となる植物ベースのパティの販売が現地時間9月30日にカナダで始まった。

Beyond Meatのパティを使った「P.L.T.」(Plant、Lettuce、Tomato)ハンバーガーが、カナダのいくつかの店舗で展開されている。マクドナルドが今年新たにベジタリアンハンバーガーを展開するのはこれが初めてではない。4月、同社はドイツのフランチャイズ店でビーガンハンバーガーを発売した。

マクドナルドはここ数年、ベジタリアンとビーガンのハンバーガーを単発的に国際展開メニューに載せてきた。2年前、McVegan(マックビーガン)バーガーをフィンランドとスウェーデンで発売するにあたり、Orklaというノルウェーの食品企業と提携を結んだ。

そして今回の北米での展開では、米国店舗メニューへのベジタリアン・ハンバーガー追加に向けて歩を進めたことになる。世界最大のファーストフードレストランとして、マクドナルドがBeyond Meatの植物ベースのタンパク質を含んだプロダクトを導入する動きは、同社にとって大きな後押しとなりそうだ。

今や世界最大の食品会社が自前の肉代替プロダクトを立ち上げようとしている。マクドナルドのドイツでのビーガン・バーガーの展開にあたってパートナーとなったNestle(ネッスル)はSweet Earth Foodsのチームが手がけたプロダクトを使用している。

Nestleは、植物由来肉マーケットに参入しようとカリフォルニア拠点のMoss Landing(モス・ランディング)を2017年に買収した。当時、Moss Landingは植物ベースのパティに取り組み始めたところだった。

Tyson(タイソン)のような大手食品企業はすでにタンパク質ベースの肉代替品を展開しているが、その一方でMcCain Foods(マケイン・フーズ)のような加工調理済み食品の企業はNuggs(ナッグス)に投資してきた。

マクドナルドがBeyond Meatの製品での北米デビューを決断したという事実は、最大のレストランチェーンへのサプライヤーマーケットはいまだに競争が展開されているということを示している。

実際、メジャーなファーストフード・バーガーチェーンは肉代替パティ供給が懸念されるためにベンダーと地域を限定した戦略を取り始めているようだ。

たとえば、Burger King(バーガーキング)はImpossible Whopper(インポッシブル・ワッパー)にImpossible Foods(インポッシブル・フーズ)のパティを使用しているが、情報筋によるとバーガーキングは南米で植物ベースのプロダクト用の地域サプライヤーを探しているようだ。

そして、こうしたパイロットテストが展開されても、ファーストフードチェーンが植物ベースのプロダクトをメニューに載せ続けることにはならないというのは重要な点だ。Beyond Meatは、カナダ28店舗でのマクドナルドのパイロットを勝ち取った一方で、カナダの大手ファーストフードチェーンTim Hortons(ティム・ホートンズ)のメニューから外された。

Beyond Meatは最も競い合っているライバルのImpossible Foodsよりも幅広い植物ベースプロダクトを提供していて、牛ひき肉の代替品に引き続き専念している。カリフォルニア拠点のEl Segundo(エル・セグンド)は植物ベースのチキンナゲットでKFC(ケンタッキー・フライド・チキン)のパイロットの提携を結んだ。またDunkin(ダンキン)のようなその他多くのファーストフードチェーンがEl Segundo(セグンド)のブレックファーストソーセージを販売している。

こうした競争は、ファーストフード以外にも広がっている。Sodexo(ソデクソ)や企業やカレッジ、大学にケータリングしている企業のような食品サービスベンダー大手も、タンパク質代替品のサプライヤーを取り込もうとしている。

一方で、プロテイン代替品の需要はうなぎ登りだ。この手のプロダクトのマーケットが今後10年間で従来の肉産業のかなりの割合を取り込む、と金融アナリストは予想している。

バークレイズ銀行のアナリストはタンパク質代替品のマーケットは2029年までに1400億ドル(約15兆円)に達する、と予測する。

「今回のテストで、P.L.Tのどんなところがいいのか、フィードバックを聞くのが楽しみだ。これは、顧客にとって何が一番いいのか、グローバルマーケットをより理解するのに役立つ」とマクドナルドのグローバルメニュー戦略担当副社長のAnn Wahlgren(アン・ヴァールグレーン)氏は話した。「顧客の需要、そしてレストラン運営へのインパクトなど、実社会におけるP.L.T提供がどのようなことになるのかを今回のテストでより深く知ることになる」。

イメージクレジット: McDonald’s

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(翻訳:Mizoguchi)

従業員アンケートのCulture Ampが約87億円を調達

不幸な企業がどう不幸かはそれぞれだが、従業員が何に満足し、何に満足していないかを理解する道はある。

メルボルンにある創業から8年のCulture Ampは、従業員が匿名で職場についての意見を伝えられるようにする企業のひとつで、多くの顧客から集めた匿名の従業員アンケートのデータをもとに、各社がお互いに学び、どのような取り組みをすべきかを提示している。

Culture Ampはカスタマーベースの拡大を狙い、Sequoia Capital Chinaが主導したシリーズEで新たに8200万ドル(約87億円)と大規模な調達を果たした。このラウンドには、Sapphire Ventures、Felicis Ventures、Index Ventures、Blackbird Ventures、Hostplus、Skip Capital、Grok Ventures、Global Founders Capital、TDM Growth Partnersも参加した。

これにより、同社がこれまでに調達した資金は1億5800万ドル(約168億円)と、それまでのおよそ2倍になった。同社は2018年7月にシリーズDで4000万ドル(約42億5000万円)を調達していた。

同社のアンケートソフトウェアはサブスクリプション方式で、従業員の感情を追跡し得られたデータを視覚化するためのテンプレート、質問、分析がすべてそろっている。このソフトウェアは四半期ごとのエンゲージメント調査などに使えるほか、業績評価、目標設定、自己評価にも活用できる。

従業員アンケートは画期的なものではないが、Culture Ampは匿名のフィードバックをチームレベルにまで落とし込み、従業員が自分の上司に直接フィードバックできるようにすることで、プロセスを改善しようとしている。

同社CEOのDidier Elzinga(ディディエ・エルジンガ)氏は、現在2500社の顧客がいて合計で300万人の従業員が同社のアンケートに参加していると語る。このネットワークの集団的知性を従業員の離職などの予測につなげられることが、おそらく同社の最大の価値提案だという。

同氏はTechCrunchに対し「従業員のエクスペリエンスを理解し、どこに力を入れればいいかがわかったら、お客様が行動するために我々は何ができるだろうか。我々には数千社の集団的知性がすでにあり、これを活用すれば同じような問題を抱える人々から学ぶことができる」と語った。

Culture Ampの従業員数は400人で、顧客にはマクドナルド、Salesforce、Slack、Airbnbなどがある。

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(翻訳:Kaori Koyama)