3DプリンターのGlowforge、プロダクト量産と素材の拡充のため2200万ドル調達

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プラスチックの押出成形を始め、木材や金属からの削り出しや細胞を使った生体組織の生成まで、3次元オブジェクトの造形する最新の方法と言えば3Dプリンターだ。

家庭用またはオフィス用のデスクトップ型レーザーカッターとエングレーバーを製造するGlowforgeは、今回2200万ドルを調達し、製品の量産を開始する。同社のファウンダーでCEOのDan Shapiroによると、今後はあらゆる作り手に対応した素材カタログやプレミアムデザインを発表する予定でいる。

Glowforgeはまず初めに、自社サイトでクラウドファンディングのキャンペーンを実施した。主力製品の先行予約は2790万ドルにも達した。またシードとシリーズA投資で900万ドルを調達している。

シアトルに拠点を置くGlowforgeは、シリアルアントレプレナーでエンジェル投資家でもあるDan Shapiroにより創設された。彼はテクノロジー関連の商品比較検索サイトで、後にGoogleによって買収されたSparkbuyのCEOだった。現在、Glowforgeには35人の正社員がいる。

Shapiroによると、調達した資金は人材確保と製造に充てるほか、自社の3Dプリンター用に最適化されたプレミアム素材のブランド「Proofgrade」のマーケティングにも使う予定だ。

新たに開発したProofgradeの素材にはコーティングが施されており、このコーティングは素材をデザイン通りにカットした後で簡単にはがすことができる。

Shapiroによると、ユーザーはProofgradeのコーティング上に直接、黒い油性のマーカーペンでデザインを描くだけで、その線に沿ってレーザーが素材を自動でカットしたり彫ったりすることができる。

さらに、GlowforgeのプリンターはコーティングにプリントされているUV(紫外線)バーコードを読み取ることで、素材に応じて自動で設定を行う。新しいユーザーにとって負担となるプリンターの複雑な設定の手間を省くことができる。

Glowforgeは材料工学の専門家と共同で特別仕様のレザー、木材、アクリルやボール紙などを用意することで、複雑なデザインでも素早くカットでき、切り口もスムーズで高品質な仕上がりを実現するという。

以前に投資したFoundry GroupTrue Venturesは、今回もGlowforgeのシリーズBラウンドに投資している。

FoundryのBrad Feldは彼が以前に投資して、誕生したばかりの3Dプリンター市場で成功を収めたMakerbotとGlowforgeとを比較する。

Makerbotの3DプリンターはレーザーカットではなくFDM方式(熱溶解積層法)をデスクトップ型で実現した。Makerbotは2013年、4億300万ドルでStratasysに買収されたと伝えている。

「Glowforgeは高性能なハードウェアに加えて、ソフトウェアとユーザーコミュニティーにも多くのエネルギーを注いでいます。ハイエンドなプロだけが使うものから、「プロシューマー(プロとコンシューマーの中間)」も使うものへとシフトを起こしていて、それは業界を一新してしまうプロダクトに見られる特徴です」とFledはコメントしている。

Glowforgeは寿司のデコレーション用の海苔やチョコレートなど、食材のデザインも扱えるため、料理愛好家の中でも人気を集めている。Shapiroによると、Proofgradeのラインナップに追加できる食材も調査中とのことだ。

Glowforgeが提供するGlowforge Proのパッケージにはエアフィルターが付き、また素材を通すスロットもあるため、ユーザーは特大サイズの素材、例えば長い木材やレザーなどもカットすることができる。

レーザーカットでは蒸気や煙などが発生するため、Glowforgeはエアフィルターまたは排気口の使用を奨励している。

現在、他社の3Dプリンターを始め、メーカーコミュニティーに向けた「個人で使用可能なデバイス」やビジネス向けのレーザーカッターのFSLaserやEpilogLaserなどの相次ぐ出現で、Glowforgeは競争の渦中にいる。

Glowforgeについての詳しい紹介は、昨年12月のTechCrunchの実演ビデオレポートを参照してほしい。

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(翻訳:Maki Itoi)