昆虫テックのムスカが個人向け園芸肥料をMakuakeにて先行販売開始、熊本県菊池市とのアグリ実証実験も開始

ムスカは8月24日、同社のテクノロジーを使って製造した有機肥料を個人向けの園芸肥料として、クラウドファンディングサイトの「Makuake」(サイトは8月24日14時オープン)で先行発売を開始することを明らかにした。

同社の特徴は、約50年間、1200世代の選別交配を重ねたイエバエの幼虫を活用した高効率なバイオマスリサイクルシステム技術を擁する点。通常は最低でも3~4週間かかる糞尿などの肥料化を1週間で処理できるうえ、肥料化にために働いたイエバエの幼虫はそのまま乾燥させてタンパク質が豊富な飼料に転換できる。

現在国内では、年間8000万トン、東京ドーム約61個ぶんにあたる畜産糞尿が出ているほか、食べ残しや売れ残りなどのフードロスは年間640万トンもある。特に問題なのは、年間8000万トンの畜産糞尿の処理過程で発生する温室効果ガス。これは地球温暖化の一因でもある。

畜産糞尿は堆肥化させることが法律で義務付けられているが、堆肥化処理の過程でメタンガスと亜酸化窒素が発生し、それぞれCO2の25倍と300倍の温室効果があるとされている。全国地球温暖化防止活動推進センター(JCCCA)の調査では国内総放出量の11%と22%におよぶとのこと。ムスカのテクノロジーを使えば、このメタンガスと亜酸化窒素の発生を大幅に抑えられるのが特徴だ。

現在同社は、同社の技術をつぎ込んだ完全閉鎖型の第1号(PoC)プラントの建設を進めているが、コロナ禍などに影響で完成がずれ込んでいるとのこと。そこで、同社の技術の一端を認知してもらうべく、クラウドファンディングによる肥料販売を開始したというわけだ。

5月にはムスカの飼料を利用して宮崎地鶏の地頭鶏を育てている宮崎県の石坂村地鶏牧場を支援するためにオンラインストア「Sustainable Food Market」も開設している。

また同社は、リバネスが主催する熊本県菊池市のアグリ技術実証事業に採択されたことも明らかにし、生産者とムスカ肥料の利用および効果について実証試験を進めていくという。具体的には、地作りおよび減農薬栽培にこだわりを持って野菜などを栽培する生産者と組み、豚糞由来のムスカ肥料を既存の堆肥などの農業資材の代替品として使用。作物の収量、成分、土壌などの変化を分析することで、ムスカ肥料の有効性を科学的な検証を進める。