「米税関国境警備局は空港の顔認識検査を米国人が拒否できることを明示していない」と監視当局が指摘

米政府の監視当局は、米国国境機関が空港での顔認識の利用について、米国人が拒否する方法を含め、正しく情報公開していないことを指摘した。

国境警備と移民審査を担当する米国税関・国境警備局(CBP)は、生体認証入出国プログラムの一環として米国内27の空港で顔認識技術を導入している。プログラムはビザの滞在期間を超える訪問者を見つけるために実施されている。

外国人は米国入出国の際に顔認識を実施しなければならないが、米国市民は拒否(オプトアウト)することが許されている(未訳記事)。

しかし政府説明責任局(GAO)は水曜日(米国時間9月2日)付けの公報で、CBPは「米国を離れる際に米国人が顔認識を受けることに関する通知が「一貫していない」ことをと指摘した。

CBPが米国の空港で顔認識を行っていることの乗客への告知。GAOはこの告知が米国市民は拒否可能であることを必ずしも伝えていないと語った(画像クレジット:Twitter/Juli Lyskawa)

「この掲示の目的は、CBPが一部の空港で顔認識技術を使用していること、および収集したデータをどのように使用するを旅行者に伝えることだ。掲示では、該当者が拒否する方法に関する情報も提供すべきだ」と同局は言った。「しかし、CBPの告知は必ずしも最新、完全でなく、顔認識の拒否を要求方法について限られた情報しか提供しておらず、入手できない場合もある」

告知の中には期限切れのものや一貫性のない情報もあった、と当局は言う。しかしCBP担当者はGAOに対して、新しい掲示物の制作には「お金がかかる」ためポリシー変更のたびに行うのは現実的ではないと語った。

CBPは航空会社を使って、搭乗前に旅行者の顔の生体認証データを収集している(未訳記事)。データはCBPの運用するデータベースに転送され、顔認識情報は米国市民については2週間、移民以外の外国人については最大75年間保存される。

この協力作業の一環として、CBPは航空会社が同局のデータ収集とプライバシーに関する慣行に準拠していることを監査しなければならない。しかし監視当局によると、CBPは航空会社1社しか監査しておらず、5月現在「協力航空会社の大部分に関してCBPのプライバシー要求を満たしているかどうかの監査ができていないことが発覚した」。

監視当局はこの問題について、CBPの再委託先でナンバープレート認識会社のPercepticsの関与した2019年のデータ漏洩(未訳記事)と合わせて取り上げている。当時CBPは、旅行者のナンバープレートデータを無許可で局内ネットワークに送信したことを非難された。

その事件でハッカーは旅行者約10万人のナンバープレート画像を盗み出し、後に地下サイトに投稿した。

CBPは、監視当局による5点の総合的提案に同意すると語った。

画像クレジット:Jim Watson / Getty Images

関連記事:Yes, Americans can opt-out of airport facial recognition — here’s how(未訳記事)

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

米国入管はますますソーシャルメディアを重視、他人の投稿で入国拒否も

米国に入国しようとする旅行者が自分が投稿したものではないソーシャルメディア上の画像やビデオを理由として税関・国境警備局の入管担当職員に入国を拒否される例が増えている。

友達、家族、知人など本人以外がFacebook、Twitter、WhatsAppなどに送りつけてきたコンテンツによって大勢の外国人が米国への入国を拒否されるというのは奇妙な話だ。当局によって米国の安全保障に有害と認定されるような画像が旅行者のスマートフォンなどのモバイルデバイス上にダウンロードされていると拒否の理由になる場合がある。

最新のケースはレバノン市民が新学期の開始を前に米国への入国を拒否されたという。

ハーバード大学の学生新聞「Harvard Crimson」によれば、 ボストンのローガン国際空港の入管職員は、レバノン国籍で17歳のIsmail Ajjawi(イスマイル・アジャウィ)氏に宗教および宗教活動について質問し、携帯電話とノートパソコンを捜索した。その結果発見された友達のソーシャルメディア活動が「安全保障上不適当」と判斷されたという。

アジャウィ氏のビザは取り消され、直ちに帰国を命じられた。しかし理由は本人以外の人物の活動だ。

米国の入国管理は奇妙な場所で、法律はもっぱら入管職員の入国許可の判斷をたやすくすることを目的としている。旅行者保護することには重点が置かれていない。入管では外国人だけでなく米国市民に対しても令状なしの捜索が認めてられており、表現の自由、弁護士を依頼する権利も制限されている。

このため米国の税関・国境警備局職員には旅行者の入国の可否を判斷するにあたって非常に広い自由裁量の余地がある。

米国の税関、入管は空路、海路、陸路トータルで毎日平均して113万人の旅行者の入国を処理する。何らかの理由で入国を拒否される旅行者は1日当たり760人ある。そのうちの一部は過去の犯罪歴や旅行書類の不備のように歴然とした理由だが、理由が明確でない拒否もある。しかも不服申し立ての方法がない。

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旅行者が米国への入国を拒まれた例(画像: Abed Ayoub/Twitter)

A:画像はWhatsAppで他人によって投稿されたもので私が投稿した記事ではない。
Q:WhatsAppに投稿されたのはいつか?
A:わからない。
Q:米合衆国および合衆国市民はこのような(過激派の)画像に著しい懸念を抱いていることを理解しているか?
Q:している。【略】
A:この質疑および携帯電話に保存された内容を考慮した結果、あなたの合衆国への入国を認めることはできないと判斷された。

入国管理当局は入境地域以外では違法となるような携帯電話の令状なしの捜索も認められいる。これには米国市民も含まれ、一部からはこのような広汎な権限を違憲とする非難がでている。昨年、入管当局は3万人の旅行者の携帯電話を捜索しているが、これは2015年の件数の4倍にあたる。捜索は当局の随意であり理由を明かす必要はない。

さらにトランプ政権は6月に米国に入国するためのビザを申請する外国市民はソーシャルメディアのアカウントを開示するよう要求し始めた。1500万人の外国市民がこの要求に従う必要があると推定されている。

当局の広報担当者はコメントしなかった。【略】

画像:Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook