スティングレイでの携帯通信傍受で人権団体ACLUが米当局を提訴

米国における最大の人権団体の1つが、物議を醸している携帯電話監視テクノロジーについて、国土安全保障省下の2機関を提訴した。公文書請求の一環で請求した同テクノロジーについての書類を2機関が提出しなかったと主張している。

米自由人権協会(ACLU)は12月11日、税関・国境警備局(CBP)と出入国管理および通関(ICE)を相手取って連邦裁判所に訴えを起こした。ACLUは2機関が基地局なりすましの「スティングレイ」に関連する記録を出さなかった、と非難していた。

スティングレイは携帯電話が接続されるよう携帯電話通信基地局を装う。これによりオペレーターはデバイスの固有識別子を集め、ロケーションを突き止めることができる。スティングレイは監視のために使われるが、レンジ内のすべてのデバイスも罠にかける。最新の高度なものは、レンジ内の全ての通話やテキストメッセージを傍受できるとされている。

2016年の政府監視レポートでは、CBPとICEが12基以上のスティングレイの購入にそれぞれ1300万ドル(約14億円)を支出したとされている。このスティングレイをCBPとICEは「逮捕・起訴された人の居場所把握」に使ったとACLUは指摘した。

しかしスティングレイの技術についてはほとんど知られていない。というのも携帯電話の通信傍受の技術は、デバイスメーカーとの厳しい機密保持契約のもとにほぼ警察当局や連邦機関に限定して販売されているからだ。

ACLUはテクノロジーそのものについて、そしてどのように使用されるのか調べるべく、2017年に情報公開法に基づいて請求を出したが、CBP、ICE共に書類を一切出さなかった、とACLUは話した。

ACLUは記録が残っていると思わせる証拠があると指摘したが、そうした書類を入手するための「万策が尽きた」。そしていま、2機関に対して記録を出すよう裁判所に強要してほしいと考えている。「政府による入国管理での強力な監視技術の使用に光をあてるためだけでなく、この技術の使用が合憲で法的必要条件をクリアしているかどうか評価するためであり、監視技術の使用は適切な監督とコントロールが条件となるものだ」と訴状に書いている。

ACLUは2機関のトレーニング材料とガイダンスの書類、そして米国のどこにいつスティングレイを設置したのかを示す記録を要求している。

CBP広報のNathan Peeters(ネイサン・ピータース)氏は、係争中の訴訟についてCBPは政策上コメントしない、と話した。ICEの広報はコメントしなかった。

画像クレジット: Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)