自動車ローン借り換えのMotoRefiが9.4億円を調達し、返済に苦しむ人の利用拡大を図る

連邦準備銀行の集めたデータは、アメリカ人が1兆2000億ドル(約132兆円)の自動車ローンを背負っていることを示している。そしてその借金は借り換えが可能だが、この選択肢を知らない人が多く、また知っている人にとっても手続は複雑だ。

MotoRefiは、2017年にVCのQED Investorsから生まれたフィンテックのスタートアップで、最も有利な利率を見つけて、元の貸し手に返済して車両の所有者変更をするまで手続をすべて引き受ける自動車ローン借り換えプラットフォームをつくった。

このほど同社は、同社のプラットフォームをスケールアップして多くの人々に使ってもらうために、シリーズAラウンドで860万ドル(約9億4000万円)の資金を獲得した。ラウンドをリードしたのはAccompliceとLink Ventures。Motley Fool Ventures、CMFG Ventures(CUNA Mutual Groupの一部)およびGainglesも参加した。同ラウンドは、MotoRefiが2019年3月に発表した470万ドル(約5億2000万円)のシードラウンドに続くものだ。

MotoRefiには取締役として、Link Venturesのマネージングディレクター、Rob Chaplinsky(ロブ・チャプリンスキー)氏、および元Uber幹部で新しいVC会社、Construct Capitalの共同ファウンダーであるRachel Holt(レイチェル・ホルト)氏の2名が新たに加わる。

アメリカにおける自動車ローンの負債は学生ローンと同じだ、とMotoRefiのCEO Kevin Bennett(ケビン・ベネット)氏は言う。そしてマイカー保有者のほとんどは自動車ローンを借り換えるという選択肢そのものを知らない、と付け加えた。2017年のハリス世論調査によると、アメリカ人で自動車ローンを借り換えられることを知っていたのは47%だった。

「住宅ローンはあれこれ見て回るのに自動車ローンになるとクルマを買ったディーラーで組む人がほとんどであり、その利率は人為的に高い。一方、信用組合の自動車ローンはすばらしいが、消費者とつながる手段を持っていない」とベネット氏は最近のインタビューで語る。

MotoRefiが狙いをつけたのがそこだ。ベネット氏は、MotoRefiのプラットフォームは顧客の自動車ローンの支払いを平均100ドル(約1万1000円)減らすことができるという。

MotoRefi auto loan refinancing product

MotoRefiの初期の投資家であるホルト氏は、Uber在籍中にドライバーたちが抱える自動車ローンの金額を目の当たりにした。ディーラーはクルマの販売ではなく、融資で儲けているとホルト氏は言う。「私はこの問題を知り、解決しようとしているスタートアップを探していた」

米国の自動車ローン市場の規模は、TransUnionによるとおよそ400億ドル(約4兆4000億円)。しかし、この市場は2倍にも3倍にもなりうると、TransUnion Financial Serviceサミットで公開されたデータは示唆している。このチャンスが、Lending Treeなどの会社が自動車ローン借り換えサービスを立ち上げるきっかけになった。

MotoRefiは、新たな貸し手やパートナーを追加してすでにスケールアップを始めているとベネット氏は言う。今回調達した資金は、従業員を増やし、自社のテクノロジー・プラットフォームにさらなる投資を行うために用いられる。

同社は2020年1月にも、Progressive and Chimeと協同で別のパイロットプログラムを立ち上げた。Prime and Chimeは、顧客に直接借り換え融資を提供するほか、QED Investorsが支援するCredit Karmとの提携プログラムも実施している。

画像クレジット:Michael H / Getty Images under a license.

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

自動車の未来に関する議論に欠けているもの

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【編集部注】執筆者のNed Ryan氏は、週単位での車のリースサービスを提供するBreezeの共同設立者兼CEO。

これまで、世界最大規模である自動車業界で、これほどまでに変化の兆しがハッキリと見えたことはなかっただろう。自動車の所有の仕方が変わろうとしているのだ。そして本当に変化が訪れたとき、世界経済でこれまで起きたことがない程、とてつもない規模での富の移転が起きると予想されている。

しかし、世の中にはたくさんの対立する意見や情報が蔓延している。自動車の専門家やニュースの見出しによれば、Teslaが世界を征服し、自動車メーカーは将来的に交通会社になり、UberLyftの登場が、私たちの知るこれまでの車の所有という概念が終わろうとしている。さらに、BeepiCarvanaVroomShiftといったオンラインの自動車販売サービスによって、自動車ディーラーという存在も無くなってしまうと言われている。対照的に、その他のニュースの見出しよれば、自動車の販売台数が過去最高を記録し、トラックが新車販売のカテゴリーを牽引している他、これまでの同世代に比べ、ミレニアル世代の車の購入台数は最も多い。

さらに、自動運転技術にはボンヤリとした疑問が残っている。UberやLyftは、できるだけ早くドライバーを要する既存の車を自動運転車に代えたいと考えおり、AppleGMは理論上の自動運転業界での成功のために多額の資金を投入している。しかし、2009年から自動運転技術の開発に取り組んでいるGoogleでさえ、この先30年で完全に自動で走行する車が誕生するかどうか分からないでいる。

はっきりと言えるのは、自動車業界の将来の姿について様々な噂が飛び交っているということだ。シリコンバレーに住んでいる人のように、私は変化が起きると信じており、現状の自動車の所有方法は、破壊的イノベーションが起きるべき段階に達していると考えている。しかし、個人向け自動車販売台数が過去最高を記録する中、いつ、そしてどのように変化が起きるのだろうか?改革の担い手としては、Tesla、Uber、Google、Apple、Fordといった企業が想定されるが、どの予測も自動車業界全体の要となっている部分に言及していない。それが、地味ながら莫大な規模の自動車金融だ。この巨大金融市場が自動車業界全体を動かしている。

金融サービスが自動車業界全体を下支えしているのだ。

わかりやすい例として、アメリカの自動車ローン残高合計は現在1兆600億ドル以上に達している。この数字には、同様に巨大なリース市場が含まれていない。そしてアメリカで自動車ローンを提供する大手企業には、AllyWells Fargo、ChaseそしてCapital Oneといった銀行の他、トヨタやGM、Fordといった自動車メーカーの金融子会社など、馴染みのある名前が並ぶ。資産区分を考慮すると、自動車ローンは、アメリカの住宅ローンや奨学金に続く残高を誇っている。

このように自動車ローンが大きな市場を形成しているのは明らかだが、そもそも何の関係があるのだろうか?それは、アメリカの自動車販売台数が、強大な自動車金融市場と表裏一体となっていることにある。アメリカの新車販売台数の実に86%に対して借り金が用いられているため、個人向けの金融商品無しに自動車は売れない。つまり金融サービスが自動車業界全体を下支えしているのだ。実際のところ、アメリカは他国に比べて自動車金融への依存度が圧倒的に高い。アメリカの新車販売台数を現在勢いで抜く中国では、新車購入者の内26%しか金融サービスを利用していない。

これが自動車業界の将来にどのような意味をもつのだろうか?

Teslaのモデル3やシボレー・ボルトのような新しいタイプの車が今後も登場し続け、そのような車に備え付けられた目新しい機能は、自動車の未来の到来を告げるものとして歓迎されるだろう。しかし、このような革新的な自動車も、大部分は昔からの方法で購入されることになる。つまり個人向け金融サービスが利用されるのだ。

これが未来の車の所有方法であるわけがない。UberやLyftのような企業の成功で、将来の自動車業界を支えるためにも、新たな所有の形が誕生する必要があるのは明らかだ。実際に、Uberは新しい車体のリース資金のため、最近ゴールドマン・サックスをアレンジャーとする10億ドルの貸出枠の契約にサインした。Uber(そしてウォール街)も、特にアメリカ人の月々の自動車ローン支払額が過去最大となり、自動車ローン残高も記録的な額に達する中、本契約についてもっと柔軟性が必要だということは理解している。

柔軟に自動車が利用できる他のサービスとしては、FordのCredit Link(自動車リース契約を複数人でシェアできるプログラム)やGMのMaven(オンデマンドのレンタカー)が挙げられ、未来の車の所有方法について示唆を得ることができる。このような新興サービスの成功には、強力な技術インフラが欠かせないが、これは今日の自動車金融市場を左右する要因からは大きくかけ離れている。

もしも自動車の個人所有からのシフトが起き、各家庭に平均2.06台あるとされる車が必要なくなるとすれば、自動車金融インフラの刷新が必要になる。最終的には、Googleの自動運転車が普及するかもしれないが、そこに至るためには、総額1兆ドルにおよぶ今日の自動車金融市場にいる多くのビッグネームのすげ替えが必要となるだろう。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter