Airtableが非技術者のためのツールで複雑なソフトウェアを開発できるようにするために5200万ドルを調達

大企業ならば、おそらく相互に関連した情報の複雑なバックボーン(そこには膨大なデータが含まれ、そこへの操作が簡単にできるようになっている)を構築するための、多数のエンジニアとリソースを抱えていることだろう。しかし小さな企業だったり、それほど技術指向ではない企業の場合、そうしたリソースを持つことは難しい。

それこそが、Howtie LiuにAirtableの作成を決意させたものだ。このスタートアップは一見ただのスプレッドシートにしか見えないものを、堅牢なデータベースツールとして使えるようにすることを目指している企業だ。背後で行われている複雑性を隠しながら、プログラミング経験のない人たちに、自分たちの仕事を処理するための複雑なシステムが作れるようにしてくれる。本日(米国時間3月14日)、彼らはBlocksという名の新しいツールで、さらなる1歩を踏み出した。これを使うことで利用者たちは、SMSや統合マップなどの様々な操作部品を、システムにただドロップすれば良いようになる。例えば、技術バックグラウンドを持たない小規模ビジネスのオーナーが、注意深く全てのアクティビティ、例えば食品トラックのネットワークを追跡することが、金額を入力してツールの1つをドロップするだけで、可能になるものだと考えてみて欲しい。

「私たちは、皆が持っているこの力をソフトウェア開発の中に引き出して、それを誰でも使える『一般消費者向け製品』の形にしたいと願っているのです」とLiuは言う。「同時に、ビジネスの観点からは、一般にローコードアプリケーション(プログラミングをあまり行わなくてもよいアプリケーション)のプラットフォームが持つ、大きなチャンスに期待しています。これらのプラットフォームは、普通なら予算を使い時間もかかる、重量級の高価なユースケースのニーズを解決します。私はAirtableをGUI寄りのものとして位置付けています。これに対して多くのツールはデータ管理的側面が中心です」。

Liuによれば、同社はCRVとCaffeinated Capitalによって主導されたラウンドで5200万ドルを追加調達したと語った。他にラウンドに参加したのはFreestyle VenturesとSlow Venturesである。調達資金は全て、プログラミングプロセスそのものを抽象化しようとするシステムの構築に利用される。しかし結局は、論理操作のレゴブロックに過ぎないものを使って、どれだけ実際にシステムをカスタマイズできるかということには、ある程度の限界がつきものだ。要するに、ここでの目標は、平均的なプログラマーが作るような、一般的な操作をなるべく数多く抽出することだ(そして大企業にはしばしば、これらを高度にカスタマイズするニーズが存在している)。

こうしたことは、まだ流行ってはいないが大きな市場の可能性のある、小規模から中規模のロングテールビジネスを、企業たちが徐々に狙おうとするときに必要となるものだ。そうした企業にはエンジニアを雇うためのリソースもおそらくないだろう。GoogleやFacebookが大学にやって来て、技術系のバックグラウンドを持った学生たちをさらっていくのとは対照的だ。これが、ビジネスを運用するために必要な、沢山の複雑な操作を抽象する用途に、Excelが大人気を博している理由の1つである。しかし同時に、Liuはそうした哲学はさらに前に進めることができるべきだと語った。

「クラウドの世界には、AmazonのクラウドインフラのEC2があります。これはハードウェアを抽象化して、既存のマシン上の情報を乗せることが可能です」とLiuは言う。「そして、OSやそれ以上のものを載せることも可能です。コンテナ、Heroku、およびその他のツールが、運用レベルの複雑さを取り除いています。しかし、それでもアプリケーションとロジックは書かなければなりません。私たちの目標は、その部分をさらに飛び越えて、アプリケーションコードのレイヤーを抽象化することなのです。利用者は私たちのインターフェイスやブロックを直接使うことができます。これらは全てプラグアンドプレイで利用できるレゴブロックのようなもので、利用者に、よりダイナミックな機能を提供します。マップビューやTwilioとの統合などがその例です」。

そして実際には、Twilioを始めとする多くのプラットフォームも、それ自身でコーディングの初心者に対して、とても親切なものになろうとしている。例えばTwilioは開発の初心者が、そのプラットフォームを利用するためのとても素晴らしいドキュメントを沢山持っている。その中でAirtableが狙うのは、これら全てを複雑なウェブの上で相互接続し、リレーショナル・データベースを背後で構築し、利用者が正確性、速度、そして信頼性を犠牲にすること無く、シンプルに運用できるようにすることだ。

「明らかにMySQLは、コードやカスタムSQLクエリを使用してデータとやりとりしたい場合には素晴らしいものです」とLiuは言う。「しかし、究極的には、ビジネスエンドユーザーが、文字通りターミナルベースのSQLプロンプトを、データとのやりとりをするプライマリインターフェイスとして採用することを期待することはできません。もちろんそのようなデザインを採用することはないでしょう。明らかに、SQLレベルのデータベースの上に、何らかのインターフェイスが必要です。私たちは基本的に、Postgresのようなリレーショナルデータベースと同等の価値をエンドユーザーに対して開放していますが、私たちはさらに重要なものを提供しています:データを即座に可視化するインターフェイスです」。

これまでにも、平均的なユーザーが慣れ親しんでいる基本的なフォーマットを再考しようとする活動は数多く見られてきたが、柔軟性に対しての成熟度は進んでいる。例えばワード文書の背後にある概念を再考しようとするスタートアップCoda6000万ドルを調達した。こうした努力はいずれも、非テクニカルユーザーのためのより堅牢なツールキットの作成に向けられている。このことは、この分野が徐々にホットな場所になることを意味している。特にAmazonやMicrosoftのように、こうしたサービスをオンラインで提供しようとしていたり、そうしたビジネスに目をつけた企業たちにとってはチャンスのようにみえる。

Liuも、同社の目標は、WYSIWYGで汎用なプラットフォームを作ることで、潜在的な全てのビジネスケースを追い求めることだと話した。こうしたやり方は通常ホリゾンタルアプローチ(水平アプローチ)と呼ばれている。ただ、こうしたやりかたは大変危険なもので、おそらく同社に対して投げかけられる最も大きな疑問の1つである。例えば他のスタートアップや企業がやって来て、特定分野のニッチを全て奪ってしまうかも知れない(例えば、ヘルスケアに特化したカスタムGUIプログラミングインターフェイスとか)。しかしLiuはAirtableにとってのチャンスは、最初から水平アプローチをとっているところにあると語る。

「ソフトウェアには、文字通りコードを書かなければならないという前提があります」とLiuは言う。「コードを書くことであまりにも多くのことを構築しているために、自分たちを解放することが難しくなっているのです。しかし有用なアプリケーションの中身を考えてみるとき、特にB2Bの企業内ツールのユースケースを支える、コードで書かれた大量のソフトウェアを見ると、結局その大部分は主にリレーショナルデータベースモデルなのです。そしてそのリレーショナルデータベースの側面から見ればバラバラの形式ではないのです」。

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(翻訳:sako)