中国のクロスボーダー企業に目を向ける東南アジアの新ファンドAltara Ventures

米中関係が緊迫する中、東南アジアは投資家やテック企業が海外進出を模索する中で注目の的となっている。Google(グーグル)、Facebook(フェイスブック)、Alibaba(アリババ)、Tencent(テンセント)、Bytedance(バイトダンス)などの巨大企業がこの地域に参入している。一部の投資家は店舗を構え、他の投資家は提携を結び、地元の新興企業に出資している。

現在、この地域を拠点とする5人の著名な投資家が、市場の一角を占めようと動き出した。シンガポールを拠点とするAltara Venturesが、東南アジアのアーリーステージのテック系スタートアップに焦点を当てた初のファンドを、1億ドル(約105億円)以上の資金調達を目標として設立された。同ファンドは中国との関係も視野に入れている。

Altara Venturesは、Fidelity International(フィデリティ・インターナショナル)の投資部門であるEight Roads Ventures(エイト・ロードス・ベンチャーズ)の元代表のDave Ng(デイブ・ン)氏が、ほかの4人のジェネラル・パートナーとともに共同で設立した。

その一人は、DBSグループとSingapore Telecommunications(シンガポール・テレコミュニケーション)の元会長であるKoh Boon Hwee(コー・ブーン・フィー)氏。二人目と三人目は、フィー氏とOmni Industriesを共同設立し、後にプライベートエクイティ投資を共同で管理した。Tan Chow Boon(タン・チョウ・ブーン)氏とSeow Kiat Wang(ソウ・キアト・ワン)氏だ。なお、Omni Industriesは創業後にCelesticaに買収されている。

4人目は、XboxとZyngaの元プロダクトマネージャーを務めたGavin Teo(ギャビン・タオ)氏だ。同氏は、Facebookの共同設立者であるEduardo Saverin(エドゥアルド・サベリン)氏が立ち上げたファンドB Capitalでン氏の同僚だった人物でもある。

Altaraは、英語の「Altitude」(高度)という言葉と、東南アジアの歴史的呼称である「Nusantara」(ヌサンタラ、インドネシアの島嶼群を表す言葉)という言葉に由来しており、この地域の技術進歩と同時にアーリーステージのスタートアップを支援するという当社の狙いを表している。同社は、フィンテック、消費者、企業向けソフトウェア、物流、ヘルスケア、教育に至るまで、幅広い分野を投資対象とする。中国のインターネットの世界で起こったことは、近隣諸国の起業家にとってインスピレーションの源となっており、中国から東南アジアへさまざまな方法でアイデアが流れている。

「第一は、、中国の創業者が、中国で手掛けてきたこと、そして中国で得たことから得た専門知識を、新しい市場として東南アジアに持ってくることです。これはまったく新しいスタートアップで、彼らは東南アジアの起業家と一緒になって、ホワイトスペース(事業展開の余地)の機会に取り組んでいます」とン氏は説明する。「また、アリババやLazada(ラザーダ)、Ant Financialsなどのテック大手の下で東南アジア地域に最初に赴任した中国の起業家が、自分たちで起業するのも見てきました」と続ける。

第二のタイプは特にAltaraが興味を持っているもので、「東南アジアでの経験、専門知識、ネットワークを彼らに還元すること」とのこと。

同ファンドは、米国と中国が「二分化の段階」に入っている現在でも、東南アジアのハイテク産業の将来に強気の姿勢を示している。「我々は、東南アジアは東西のコネクターとしての地位から恩恵を受けると考えています。今後10年から20年の間に、より多くの才能と資本がこの地域に入ってくることが予想されます」と締めくくった。

画像クレジット:The five GPs of Altara

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(翻訳:TechCrunch Japan)