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2年ほど前に私はハーバード・ビジネス・スクールの教授、クレイトン・クリステンセンをこの番組に迎えてかの有名なイノベーションのジレンマについてインタビューした。「イノベーターは自らのイノベーションの虜となって次のイノベーションに遅れる」というのがクリステンセンの理論だが、今度はその理論自身がAccentureのシニア・フェローLarry Downesとリサーチ責任者のPaul Nunesの新著Big Bang Disruption: Strategy in an Age of Devastating Innovation〔ビッグバン・ディスラプション:破壊的イノベーション時代の戦略〕によって破壊されることになったようだ。
Downesによれば、「イノベーションのジレンマは今やイノベーションの悪夢にとって代わられた」という。現在の新しいテクノロジー・プロダクトは最初から完成度が高く、古いプロダクトより機能が圧倒的に優れている上に価格もはるかに安い。そのためレガシー・プロダクトは文字通り一夜にして葬り去られてしまう。スタートアップはあっという間に成熟企業になり、起業家は急速な成功を目指すだけでは足りず、次のイノベーションの波に飲み込まれないうちに買収先を探すなどの出口戦略を考えねばならない(Snapchatは戦略を誤ったかもしれない)というのがDonwsの主張だ。
革命が連続する今日のテクノロジー市場を考えれば、既存の大企業がイノベーションを持続させるためには社内での開発より成功の兆候が見え始めたスタートアップを素早く買収する方が賢明だという。おそらくDownesは最近Googleが人工知能のDeepMindやロボティクスのBoston Dynamics、モノのインターネットのNestなどを矢継ぎ早にに買収したことを評価しているだろう。AppleがTeslaを買収することもデイスラプトのリーダーの地位を守る上で有効だと考えているかもしれない。
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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+)