近年、日々のやりとりにメールではなくLINEやSNSを活用する人が増えてきた。それに伴って、企業とユーザーのコミュニケーション手段にも変化が生まれてきている。
たとえばTwitterやFacebookで公式アカウントを開設してファンと積極的に交流をしたり、Web接客ツールを用いてプロダクトサイトを訪れたユーザーと対話をしたり。問い合わせ窓口やカスタマーサポートにおいては、LINE@を活用する企業も増えてきた。
ユーザーからするとLINEやSNSはなじみがある上、メールや電話よりも気軽に使いやすい。ただその一方で企業側としては従来に比べてはるかに多い問い合わせがきてしまい、対応が追いつかなくなるケースもあるようだ。
LINE@の使いやすさを維持しつつも、問い合わせ対応をより効率化することはできないか。本日スタークスが正式版を公開した「CScloud(シーエスクラウド)」は、そのような課題意識のもとに作られたLINE@の1:1トークを自動化・効率化するサービスだ。
自動シナリオとチームによる効果的な有人応対の組み合わせ
CScloudではLINEのMessaging APIを利用し、LINE@における個別のカスタマーサポート(CS)を自動シナリオと人による応対を組み合わせて効率化する。
主な特徴は「1対1のトークをチームで共有・管理できること」「自動シナリオでよくある質問への回答を自動化できること」「顧客情報や問い合わせ内容に応じてセグメント配信できること」の3点。問い合わせ窓口やCS部門が導入することで、問い合わせからの成約率向上や応対コストの削減が見込める。
スタークス取締役の大塚真吾氏は「今はすべての対応を人がやっている状況だが、そのうち7割くらいは人じゃなくても回答できると考えている。自動化できれば(担当者の)手間が削減されるだけでなく、即時対応できるようになるのでユーザーにもメリットがある」という。
たとえばECサイトにおいて顧客が注文した商品のキャンセルをしたい場合、どのような問い合わせか、どの商品のキャンセルかといった具合に一連のシナリオを設計。顧客が問い合わせをしてきた際に担当者が不在でも、シナリオに沿って進めればよくある質問への回答が自動で完結するという仕組みだ。もちろん全ての質問がシナリオで完結するわけではないので、途中から有人応対に切り替えることもできる。
重要度高まるCSをシステム面でサポート
これまでLINE@においては、各問い合わせをチームで共有し、担当者を設定したりステータスを見える化したりすることが難しかった。そのためCScloudでは当初LINE@のコミュニケーションをチームで対応できることを目的として、2017年12月にベータ版を開発。トライアルで美容品ECやブランド買い取りサービスなど数百社に利用してもらう中で、自動化の必要性を感じたのだという。
「サブスクリプション型のビジネスが増えてきていることもあり、CSの重要度も高まってきている。LINE@はユーザーからすれば(メールなどよりも)圧倒的にコンタクトをしやすいが、人手不足などで対応が間に合わず導入できない企業や、大変でやめてしまった企業もある。そのような企業でもLINE@を活用したCSを実現できるように、システム面からサポートしていきたい」(大塚氏)
今後は顧客管理システム(CRM)との連携やチャットボットとの連携などを予定。LINE@での顧客応対を自動化してくための機能を順次リリースしていく。またスタークスではCScloudのリリースに合わせて、CS業界に特化したWebメディア「CSJournal」も公開。業界人へのインタビューなどを通じてナレッジの共有も進めていく方針だ。