2008年にサービスを開始したOne Hour Translationは、オンライン翻訳サービスの中でも老舗で、多くの顧客により利用されている。100ヵ国にアクティブな翻訳者1万5000名を抱えており、対応言語も75以上にのぼる。オフィスはキプロスに構え、月間10万以上の翻訳プロジェクトを消化している。サービスを利用している企業には、コンテンツの整合性を気にしなければならない相当な大企業(トヨタやShellなど)からGoogle翻訳よりも、もう少々こなれた翻訳を望むといったレベルのところまで、さまざまであるとのこと。
自己資金によるサービスをスタートさせたCEO兼ファウンダーのOfer Shoshan曰く、この5年ほどで企業はより広いマーケットを意識するようになり、オンライン翻訳のニーズは高まりつつあるのだと言っている。
「いろいろな業界に金融危機が波及しましたが、そうした業界では、一国集中をリスクととらえて国際展開をはかるという動きが出てきました」とのこと。「こうした流れがあるので翻訳サービスのニーズは広がっているのです。市場は巨大で、昨年の統計では300億ドルという計算もあります」。
翻訳サービスは他にも数多く存在する(Gengo、Conyac、あるいはDakwakなどをTechCrunchでも取り上げてきた)。しかしOne Hour Translationは、さまざまなボリュームに対応することができ、短時間で実施でき、そして特許取得技術などを使って、より良いサービスを提供することができるのだとShoshanは言っている。
特許取得技術にはたとえばWeST(Web Site Translationの略)というものがある。サイトに数行のコードを追加することで、サイトを多言語対応化することができる。コードを仕込んでおくと、WeSTがサイトの全テキストを把握しておくようになる。そして変更箇所を自動的に識別して、翻訳者に変更箇所を通知するようになっているのだ。これにより、母国語でサイトを更新すれば直ちに多言語版もアップデートされることとなる。また、Translation Memoryという他の特許取得技術では、サービスを利用して過去に翻訳したフレーズを再利用して、翻訳料金を抑えることもできるようになっている。また、品質保持のために同時に2名の翻訳者に作業を依頼することもできるようになっている。
One Hour Translationのウリのひとつが、同社が保持しているテクノロジーにあることは間違いない。但し最大の強みは、登録している翻訳者の質と量だろう。1万5000名以上の翻訳者たちは、仕事を始める前にはテストにも合格しなければならない。翻訳者は母国語への翻訳のみを担当する。分野的には法律、メディカル、財務文書などの専門家がいて、あるいはコピーライティング分野やアプリケーションのローカライズを専門にする人もいる。
記事中に記したWeSTなどは、同社のホームページからも簡単に申し込むことができる。
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(翻訳:Maeda, H)