ガラスの3Dプリントは、ご想像どおり、かなりの難題だ。大量の熱と運を必要とするが、ガラスは均一に冷えてくれないから、簡単に美しい形にはならない。でも、これらの問題をすべて克服出来たら、天国が訪れるだろう。
ヴァージニア工科大学とロードアイランドデザイン学校(Rhode Island School of Design, RISD)の研究者たちが、ガラスの3Dプリントを研究するためのシステムとラボを作った。現在のシステムは、溶けたガラスをセラミック製のタイルの上に吹き出すエクストルーダーを使っている。そして小さな可愛らしいロボットアームがそのタイルを動かすことによって、物の形が一層ずつできていく。最終製品は、複雑で高解像度のものではないし、ガラスを溶融する工程もまだ素朴で原始的なようだが、とりあえず、ガラスを3Dプリントする、という夢は実現している。
“この研究は、アートとデザインとテクノロジとサイエンスが交わったところに生まれるイノベーションの例だ”、とRISDのガラスアーチストStefanie Penderは語る。“テクノロジが主導するアプローチではなくて、たとえばわれわれアーチストは、素材に関する深い理解をデジタルの製作過程に提供できる。この研究は、従来のテクニカルアートがデジタルな工程にリプレースされるのではなく、未来の工程をテクニカルアートがガイドしていく例でもある”。
このような、ローテクの職人芸が支える3Dプリントは、テクノロジとアートが結婚すると、難しい素材でもけっこうおもしろいものができる、という意味でなかなかおもしろい。