腕時計好きは世界中にたくさん存在する。FossilやRolexやOmegaなど、本当に素晴らしいものがたくさんある。そんな中に割り込もうとするKairosをご紹介しよう。エンジニア、デザイナー、そしてアントレプレナーが集結して、機械式の自動巻き時計でありながら、表面のガラス上にはインターネットからの通知を表示することのできるものを創りだしたのだ。
スイス製のSoprod A10BV-2を搭載したモデルと、シチズンファインテックミヨタの82S7を搭載したものがある。これで時計を組み立てれば、できあがるのは普通の機械式時計だ。Kairosはガラス部分に半透明のTOLED QVGAを搭載して、アイコンやアプリケーションから通知される情報を表示するようにしたのだ。尚、ドットマトリクス方式のディスプレイを搭載するモデルもある。こちらは文字と、電池残量を示すアイコンを表示するようになっている。
「機能面でいえば、SamsungのスマートウォッチやPebbleと同様です」と、ファウンダーのひとりであるSam Yangは述べる。「通知機能、リモートコントロール機能、フィットネス管理機能などを搭載しているわけです。これまでのものと異なるのは、機械式時計と半透明の電子ディスプレイを組み合わせた点です」。
韓国にてYangは、17歳のときにリモートエンジンスターター関連の会社を設立し、その後、ファッションブランドのマネジメントビジネスを立ち上げた。今回のスマートウォッチも、テックとファッションを融合させたものと見ることができるだろう。
「腕時計が大好きなのです。スマートウォッチでありながら、従来の時計好きの人にも興味を持って貰えるようなものを作りたかったのです」とのこと。ファウンダーは他に3人いて、Ken Yoonはルノー出身、Kyo Young JinはSamsungおよびLGで働いていた。そしてGabriel Gonzalesはファームウェアのプログラマーだ。時計の機械部分は、Patek Philippeでウォッチメーカーとして修行して、スイス製時計のマーケターをしているFrederic Weberの手になるものだ。
ムーブメントを機械式にしたことで、アナログタイプのスマートウォッチに感じていた不満を解決してくれた。すなわち秒針の動きがスムーズになったのだ。
機械式ムーブメントとスマートウォッチを組み合わせたことに大きな意味はあるのだろうか。それは、強いこだわりによるものというわけでもないようだ。
「スタート地点は素敵な機械式時計です。格好良い機械式時計に、スマートウォッチ風機能を付けることはできないかと考えたわけです」とYangは述べている。
時計ビジネスの規模にも魅力を感じたのだとのこと。
「昨年1年間で、190万台のスマートウォッチが売れています。また、普通の腕時計は12億台が販売されたようです。そのうちの77%が機械式ムーブメントのもので、2900万台がスイス製であったとのことです」と述べる。こうした数字を背景に、新旧を組み合わせることで、ウェアラブルの世界に新しい動きを持ち込みたいと考えているわけだ。
Kairosは金融関連企業からのシード投資と、シンガポールおよび香港の企業からのシリーズAを完了している。500台を試験販売し、そしてこの度、プレオーダーの受付も開始した。最も安価なモデルは499ドルからとなっている。
こうしたものというのは、往々にしてあっという間に消え去っていくことも多い。しかしメンバーは経験豊かで、機械式時計の人気を背景としたデザインは魅力的だろう。成功する可能性も大きいと考えている。機械時計のメーカーの多くはスマートウォッチには距離を置いたスタンスをとっている。しかしそこにテックを組み合わせることにより生み出されたハイブリッドモデルには、やはり大きな魅力があるように思うのだ。
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(翻訳:Maeda, H)